元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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カプセルでどうにかなる不思議な世界。



Day73 16Labからの試供品

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「まーた変なのが送られてきたなぁ…今度は何だよ…」

 

早朝司令室に速達で送られてきたのは小さな封筒であった。デカデカと烙印が押されている。

送り主はお得意先のI.O.Pのお抱えラボ16Labだ。無下には出来ない。

同梱されている書面に何か書かれているのだろうが…指揮官は壮大にため息を吐きながら封筒を開ける。

中から転がりでた2つのカプセルと書類。赤字で試供品、紛失注意と印字されていた。

 

「試供品ってなんだよ…」

 

ハロー冴えない指揮官くん。今日この書類を送ったのは他でもないこの私ペルシカ姉さんの実験に協力してもらいたいんだ。

他の基地にも送りつけてるから君だけじゃないから心配しないでくれたまえ。

今回送った物は臨床実験が終わったばかりのロリ化薬だ。戦闘能力に影響を与えず一定期間人形を等しくロリ化させる物だ。

まぁスキンを作るよりも断然コストパフォーマンスが良いからね。要望が多くて作ったんだよ?

私の独断ではないさ、本当だよ?何ならデータを見せてもいいけどね?

そんなこんなで作ったは良いけど…実験データが足りないんだ。そこで君たちと慕う人形に協力してもらいたいんだよ。

実際に使ってみてから実働データをフィードバックしてもらいたいんだ。

正式に商品化するにあたって実働データっていうのは重要だからね。

じゃあ頼んだよ~

 

「…なんじゃこりゃ」

 

指揮官の一言は全てを物語っていた。いや、本当になにこれ?

人形にのみ作用する飲み薬って時点でかなり怪しいのだが…そもそも人形は機械なのでは?

内部骨格はどうするんだ…と指揮官は怪訝に思うが16Labの技術は未だ不透明な所もある。

あながち無いとも言い切れないのが…なんとも言い難い。

 

「だーれに飲ませたものか…つか時間が書いてねぇし…」

 

元々ロリロリしている人形に飲ませても無意味だろうし…2つある事も鑑みて…

指揮官の脳裏には飲ませる対象はほぼ浮かんだのだが懸念の効果時間がどれほどなのかが記されていない。

これには指揮官はとても困った。戦闘能力に影響を与えないと言うが保証がない。

非番の人形に与えるのが無難である。そうとなれば…早速呼び出す。

 

「しきかーん?」

「私達を呼び出してなんですか~?」

 

数分と待たずして一組の人形が到着する。UMP姉妹だ。

座右の銘は面白ければ何でも良しなのでノリ良く飲んでくれる…と踏んだのだ。

 

「あー…まぁこれを飲んでくれや」

「なにこれ?」

「何かの薬品ね~あーまさか指揮官ってばエッチなものを」

「ちげぇよ、16Labのバカが送りつけてきたんだよ、実働データが欲しいってよ」

「ふーん…」

「それならまぁ~面白いかもしれないわね~」

 

まぁこれがこの基地に波乱を巻き起こすのだが…まだ指揮官もUMP姉妹も予想していなかった。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

 

「ふぁーぁ…今日は何しようかなぁ…」

 

朝からお姉ちゃんと食事してから今日は何をしようかと伸びていた所。

お互いオフスタイルで私はTシャツにジーンズ、お姉ちゃんはたてセタにジーンズ。

私はいつもの髪型でお姉ちゃんはポニーテールにしてる。

 

「偶には二人でカラオケとかどうかしら?」

「お、それも良いねー」

 

二人でカラオケっていうのも乙なんじゃないかなって思って身体を起こした。

しかしその時だった。兵舎の入り口が勢いよく開けられた。何事だよ…と目を向ける。

 

「すまねぇ、416こいつらの面倒頼む」

「はぁ?」

「416と417だー」

「とつげきー!」

「「ぐふぅっ!?」」

 

なんか私のおっぱいに突撃してきた。ちっこくて栗色の弾丸が…

お兄ちゃんが抱えてた方は飛び降りたと思ったらお姉ちゃんの方に突撃かましてるし…

何というか聞いたことあるような声だったけど…なんだろう…んがが…

 

「これかぞっ!」

「えぇ…」

 

これ9姉だー!?ただすっごく無邪気な笑みを浮かべてて私のおっぱい弄り回してるし…

目の傷が無くなってるしえらくちっこくなってるけど何事?

あーやめんかやめんか私のおっぱいはおもちゃちゃうんやぞ…跳ねさせない、そんなにたぽたぽさせなーい。

横を見ればお姉ちゃんも同じようなことをさせられてたり…あ、キレてる。

引き剥がしてからそっと置いてる辺りは気遣ってるんだろうけど…出力変わってないな?

普通にまた突撃しようとしてその顔を押さえて押し返そうとされてるし…

 

「ねぇお兄ちゃん?」

「何も言うな…」

 

えぇ…これお兄ちゃんが何かしら知ってるんじゃないの?どうなってんだよ…

私達が面倒見ろっていやいや…子守をしろって言うの?ぐえー…普通にパワーはそのままじゃん!

その癖思考は子供っぽくなってるから遠慮っていうものが欠落してる…

だから私のおっぱいはおもちゃじゃなーい!やめんかー!痛い痛い痛い!!

 

 

――――――――――――D08基地ペットスペース・昼

 

 

「アンタ達なにやってんの?」

「見ての通り…子守」

 

今は静かに寝てるけどまぁ起きてる時は酷かった。やんちゃな子供相手してるようなものだもん。

飛びかかってくるし蹴ってくるし殴ってくるし…どったんばったん走り回るし。

いや、ほんと疲れる…パワーがそのまま据え置きって言うのがかなり凶悪なんだよ。

遠慮なしだからキックがえらく痛むしパンチだって良いところ入ったら気絶しかねない。

どんな事が起きてこうなったのか知らないけど…マジいい迷惑だよ…

ペットスペースに連れ込んだのが功を奏したんだけど…子猫と子犬には遠慮するのか撫で回してにこにこしてるだけだ。

ちっこい身体だからか子犬に集られて張り倒されて顔をベロベロ舐められてる45姉がいた。

まぁそんなこんなで遊び疲れたのか二人揃って今はすやすや寝ていますっと。

その周りに子犬がくっついて寝てるもんだから寝姿は可愛らしい天使だよ。

起きてる間はただのイタズラが過ぎるクソガキって所だ…まだ腹が痛む…

わーちゃんがペットと戯れに来たけどまぁ寝てるから静かに私に聞いてきた。

 

「寝てるわね」

「ようやく寝てくれたって所…」

 

お姉ちゃんはお姉ちゃんで疲れ切った表情で45姉の寝顔を撫でてる。

私もだけど何度もおっぱいに突撃食らっててね…無表情になってた。

まぁつまりは子供相手にキレてたんだけど怒鳴り散らす訳にもいかず無表情になってたのさ。

いや、まじ…子守体験することになるとは思ってなかったからね…

 

「しかし寝顔は可愛いわね…ちょっと抱っこしても良い?」

「起こさないでよ…」

「起こしたら恨むわよ…」

 

兎に角起こしたらまた暴れまわる可能性がとても高いので私とお姉ちゃんの心は一致していた。

絶対に起こさないでくれよっていう、もう疲れたくねぇってね…

寝顔は可愛いのは認める、だが起きたら私は知らねぇからな…

わーちゃんはまぁ可愛いものに目がないからこの幼女化45姉と9姉を抱っこして至福顔。

しばらく抱っこして満足したかと思えばまた子犬の傍に寝かせてから…

抱き合わせで寝かせてから子犬の寝顔も含めてから端末でパシャパシャ撮り始めた。

 

「ふぁーぁ…」

「417も眠る?」

「じょーだん…私が寝たらお姉ちゃん大変じゃん」

 

私が寝てる間に二人が起きだしたら大変だし…私はまだまだ起きてられる。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・おやつ時

 

 

「うまー♪」

「おいしー♪」

 

ちびっ子化した二人は揃って甘い物で黙らせることにした。

今は私謹製のチーズタルト食べてデレデレにさせてから大人しくさせてる。

9姉は割とよく笑ってたからそうでもないけど45姉の無邪気な笑顔はレアだ。

この間にちょっと写真に収めておいて後々の交渉材料に使うのは…

 

「お、二人共ここに居たか」

「お兄ちゃん?」

「指揮官…何をしに来たんですか?」

「やつれてんなぁ…その薬の効果時間について問い合わせてたんだよ…」

「薬?はぁ?薬理的にこうなったって言うの?」

「そんなオカルトやファンタジーじゃあるまいし…スキンなんでしょう?」

「いや…16Labのバカがやらかしてくれたんだよ…で、効果時間だが24時間らしい」

 

一日まるっと子供にする薬ねぇ…そもそも薬効果あるの?

パーツの組み換えとかならまだ分からなくもないんだけど…

一応カタログ上にも存在するれっきとしたパーツだったりするし…

我らがメイドのG36にもそういう子供にしちゃうパーツキットは存在する。

UMP姉妹には存在してなかったと思うけど…試供品みたいな感じで提供されたと思ってたけど。

明日の今頃にはとりあえず何時ものUMP姉妹に戻ってるってことでOKなのかな?

え?てことはだけど夜寝かしつけるのも私達がやらなきゃいけないの?

 

「という訳で後もよろしく」

「嘘でしょ…」

「この子守がまだ続くのね…」

 

私達姉妹揃ってがっくりうなだれる…ここまでで大分疲労したっていうのに…

この後さらに長い夜が待ってると思うと気が重い…重すぎる…世界の親ってすげー…

子供に対して叱ることはあっても理不尽にキレたりする親は少なかったと思うし…

子供ってこういうもんでしょ?いや、ほんと…親ってスゴイな…

私のパパ、ママもそうだったのかな…もう、全然覚えてないけど…優しかったのかな。

 

「お?417どうしたんな疲れた顔して」

「兄さん…親ってスゴイんだね」

「…あぁ、まぁな」

 

兄さんは怪訝な顔してたけど私のやつれた顔とお菓子ですこしは大人しくなってるロリUMP姉妹を見て納得したように頷いた。

兄さんは…パパかママの記憶ってあるのかな…遠い目してた。

 

「417ー!おかわりー!!」

「わたしもー!」

「あーはいはいおかわりねー…ぐふぅっ!?ろ、ロケット頭突きはやめようね…」

 

もってくれよ私のボディ…あと胃袋の中身が出そうになるからマジでロケット頭突きはやめようね…

私の反応が面白いのかケラケラ笑ってるけどまじ笑い事じゃねーからな…

 

「はやくはやくー」

「はやくー」

「待って待って…いやー!?おっぱいはだめー!」

「「やわらかーい♪」」

「にゃぁぁぁあああああああああああ!!!?」

 

子供って怖い…




子供って容赦ないから怖いよ。
甥っ子にマジで殴る蹴るされた作者だから言える事ゾ

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