元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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トラウマは払拭するもの


Day75 クルージング再び

――――――――――――D08基地工廠・早朝

 

 

「よし、誰もいないな…」

「と思った?」

「のわぁっ!?」

 

朝からこそこそガレージに来ていたお兄ちゃん。うきうき気分だった所ごめんね。

今日も私がお邪魔してたり。一人でどっかにフラフラとさせるつもりは無いんだ。

まぁマジな話トラウマは塗り替えてしまったら軽減するんじゃないかって思惑。

今日お兄ちゃんに同行して特に何もなく平和に終わったら…もしかしたらって…

 

「あのなぁ…417、先週あんなのがあったばっかなんだぞ?」

「今日はほら、だーちゃんも連れて行くから」

 

バックパックを背負ってそんなバックパックから顔をひょこっと出したのは私のペットロボのだーちゃん。

護身用のツールとしても機能するみたいだから私がもしも不覚を取ってもリカバリーが効く。

腐っても元鉄血の戦闘人形だから戦闘力については折り紙付きでしょ?

バイクに乗ってる間に振り落とされないようにって事でバックパックに入れてるけど自由に出れるみたいだし。

 

「それに、何かあったらまた守ってくれるでしょ?」

「…おう」

「なら、今日も一緒に連れて行ってほしいな…だめ?」

「なるべくお前一人にはしないからまぁー安心しとけ」

「うん♪」

 

よし、お兄ちゃんの同意を得られたから今日も一日お兄ちゃんと一緒だ!

今日は私はカジュアルな童貞殺しな服装だけど…別にこれで乗っても平気だよね?

 

「一応確かにな…世の中にはスカートで乗るライダーも居るが非推奨だぞ?」

「じゃあ別にいいよね?」

「どうなっても知らねぇからな…」

 

うーん…今度スカーチョでも買うかな?まぁでも乗れなくはないんだから行けるでしょ。

大事な所はしっかり隠れると思うし…うん。座り方次第じゃないかな?

はい、半ヘル被ってから後部座席に乗って…ちゃんとスカートはお尻の下に巻き込んでおいてっと…

 

「じゃ、行くぞ」

「ごーごー♪」

 

太ももでしっかりお兄ちゃんの脇腹を挟んでから背中に抱きつく。

がっこんと音がしてからギアが入ってバイクは爆音立てて発進した。

 

 

――――――――――――

 

 

早朝の冷たい風は私の頬を撫でる。中々寒い。お兄ちゃんはかなり着込んでるけど。

私は結構薄手だからちょっと後悔…それよりも後悔要素があるんだ。

 

「いやぁぁぁあああ!!スカートがめくれてるぅー!!」

「だから言ったじゃねーか!!」

 

ロングスカートは風に煽られて太ももの根本辺りまで多分見えてる。

真横とかから見られたら間違いなく中身が見られる!これは想定外ー!

私の泣き言にお兄ちゃんは呆れ半分で速度を緩めてくれた…優しい…

 

「ったく」

「ふえぇぇ…」

 

信号待ちでちょっと止まったからそのスキに余ってる布を太ももの内側に巻き込めば…多分平気かな…?

んー…うん、多分平気だね。お兄ちゃんの好きな速度にしてもOKかも。

それにしても今日はとっても早くに出たからか車の通りも少ないなー

もっと交通量はあってもおかしくないんだけど…運搬業者のトラックくらいじゃないかな?

 

「やっぱ朝は良いな…気ままに流せる」

「お兄ちゃんもっと出しても多分OKー!」

「マジ?じゃあちょっと様子見なー?」

 

お兄ちゃんのバイクはかなりの巨体にも関わらずかなり俊敏だ。

言ってすぐにスピードが一段上がった。全身に浴びる風圧も上がるけど不安を感じさせない。

ずっしりとしたその車重が安定感を出しているんだろう。

うーん…私も乗れるバイクがあるならちょっと考えてみようかな?

140センチのチビでも乗れるバイク…あるかなぁ?いや、乗り方しだい?

 

「おっと…燃料がもう少ないから給油に入るぞー」

「はーいりょうかーい!」

 

近くのガソリンスタンドに入っていってバイクを止める。

するとそこには同じ様にバイクに乗ってる人が居て私達の方を見ていた。

 

「417、ちょっと降りてな?給油口そこなんだよ」

「あ、うん…」

 

あれ?ガソリンタンクってライダーの股の前のあれじゃないの…?

まぁ良いや…ちょっと伸びておこうかな…

 

「お若いの、デートですかな?」

「はい?」

「ばぶふっ!?」

 

声を掛けてきたのはご老人だ。元気だなぁ…バイクに乗ってたのおじいちゃんなんだ?

わーばりばりな革ジャンだ。お兄ちゃんは理解できず首を傾げてるけど私は吹き出した。

若い二人、タンデム…傍から見たらそう見えちゃったりするのかな…えへへ

 

「い、いや違いますよ!?」

「そうっすよ、こいつと俺はただの上司と部下っす」

「いでっ…何すんだ417!」

「なんでもなーい…ぷーだ」

 

ただの上司と部下って間柄じゃ面白くないなーって思っただけ。

ムカついたから足を軽く蹴ってからほっぺた膨らませてそっぽ向いちゃうもんねー

 

「ほっほっほ…そうかいそうかい、朝は空いとるが気をつけるんじゃよ?」

「へい、あざっす」

 

しゃっきり歩いてバイクに跨ってからおじいちゃんは走って行った…すげー

健康の秘訣がバイクだったりして…少なくとも精神的には若くいられるんじゃないかな?

 

「ああいうおじいちゃん多いの?」

「あぁ、割と見るね」

「へぇー」

 

おじいちゃんが乗れるなら私が乗れるバイクもあるかな…あんなふうなクルーザータイプ。

 

 

――――――――――――

 

 

給油が終わって走ること数分、私にとっては因縁の場所でありお兄ちゃんにとってはお決まりの場所。

ライダーが多く集まるスポットに来たわけだ。今日も大盛況。色とりどりのバイクが止まってる。

あのレイプ未遂犯と同じ様なバイクも止まってる…もう出所してるなんて事はないよね…?

 

「大丈夫だって、手握っとくか?」

「うん…」

 

気を抜くと身体が震えてくる…あの時の恐怖が私を襲ってくる…

ぎゅっとお兄ちゃんの手を握っておかないときっと震えが止まらない…

 

「おや?先程のお嬢ちゃんと兄ちゃんではないか」

「ほぇ?」

 

声を掛けられてそっちを見ればおじいちゃん達が談笑していた。

その中の一人がさっきのガソスタのおじいちゃんだった。

 

「あぁさっきぶりですね」

「ど、どうも…」

「ちょっと話をしていかんかね?コーヒーを奢るぞ?」

 

コーヒーを餌にちょっとお話かぁ…あのおじいちゃん達なら良いかな…

 

「行ってきていい?」

「危ないと思ったらすぐに呼べよ?」

「うん…」

 

おじいちゃん達の傍に行くとベンチに座らせられて…なにをお話するんだろう?

ずっとバイクのお話してたみたいだけど…うわ、一斉にこっち向いた…

 

「ほほぉ…これは別嬪さんじゃのう」

「将来楽しみじゃなぁ」

「こりゃこりゃ、この嬢ちゃんはあの兄ちゃんのコレじゃぞ?」

「ぶっ」

 

小指を立ててコレって…ち、ちがわぁぃ!!まだ違うわ!

あわあわしながら違う違うって頭を振ってアピールするけど私の反応が面白いのか…

 

「本当のこと言ってみ?どこまでしとるんじゃ?」

「付き合っとるんじゃろ?」

「ち、違いますぅ…好きですけど…」

「「「ほほぉ…」」」

 

たっぷりと私はおじいちゃん達のおもちゃにされました…

そのおじいちゃん達と仲がいいお兄ちゃん達も混ざって私弄りが加速したりした。

なんなのよもうこの場所ぉ…ふえぇぇ…だからまだ関係は…んにゃぁぁぁ!!

 

 

――――――――――――

 

 

「お、いや、お前どうしたし…」

「ふえぇぇ…お兄ちゃ~ん…」

「ほっほっほ若いのぉ」

「もう二度と話さないからなくそじじい!!」

「元気もいいのぉ」

 

なんかヘロヘロとした417だったが背後に付きそうご老人を気に留めた様子もない。

417の様子は見るからに良くなっていた。男を見た時に微かに強張っていた表情も自然だ。

借りてきた猫のように縮こまっていたのも嘘のようだ。今では元気に中指を立てるほどだ。

 

「はしたないから止めような?」

「がるるるるる…」

 

清楚な見た目なのに勿体無いこと。ご老人はそんな417を気にした様子もなく笑っていた。

なんだか俺を見る目が生暖かいんだが、何を話したんだ?

 

「ほれ、約束のコーヒーじゃ」

「おっと、いいんすか?」

「わっとと…」

「若いエキスを吸えたからのぉほっほっ」

 

そう笑ってご老人はご自慢のアメリカンクルーザーに乗ってから後にした。

かなり年季の入ったモデルだがエンジンの掛かりが一発だ…かなり手入れしてるな。

因みに417は見えなくなるまで唸っていた…お前は犬か?腕に抱きつくな、当たってんだが?

 

「当ててるの!」

「ぉ、ぉぅ」

 

まぁなんであれ417が元気になってくれたならまぁ良いか。やけにグイグイくるな…

コーヒー飲みながら417の方を見ていると視線が合った。基地と変わらない可愛らしく小首を傾げたもんだ。

ぷんすこ怒りながらコーヒー飲んでる417だったが…本当にお前に何があった。

 

「あのおじいちゃん達私が心に傷を負ってるの感づいてたっぽい」

「ほぅ」

「私が若いお兄さんを怖がったのから色々ね…聞き出されちゃったけど…悪い経験じゃなかった」

「ならさっきの言い方はねーだろ」

「私とお兄ちゃんの関係を散々からかってきたんだけど?」

 

やつれてる原因はそれか。つかからかわれるのが嫌なら勘違いされるような事をしない方が良いんじゃね?

 

「私は!お兄ちゃんの事…好きだから…もっと堂々としたかったけど…」

 

……コーヒーうめぇ

 

「お兄ちゃんは私のことそうでも無いでしょ…?」

「家族としては好きだぞ?」

 

おぉ不満そうな顔、分からなくもないけどよぉ…俺のどこが良いんだよ?

あのリング、マジでどうすっかなぁ…火種になりかねねぇなぁはぁ…胃が重いぜ。

 

 

翌日俺がソロで訪れた時には彼女はどうした?とからかわれる羽目になった。

417と俺はそうじゃねぇって説明しても聞き入ってもらえねぇし…




ご老人は多分こういうからかいは大好きだと思うの。
あと指揮官は鈍感ではない。
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