元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

88 / 216
お ま た せ
大コラボ回の続きでーす


番外 S09地区の結婚式2

さて、式は終わり記念撮影と相成ったのですが…

各基地のメンツと代わる代わる記念撮影してから…宴会となるわけですよ。

新郎新婦と副官とP7とステアー囲ってパシャリ。

P7は出自がちょっと特殊で指揮官さんの事をお母さんなんて呼んでるらしい。

ステアーも同じく呼んでるからもうあれだね、子持ちの夫婦になるわけだ。

これが本当のできちゃった結婚ってやつかな?いや、違うか…

で、最後に皆集合して…大団円ですよ。ふふふ。いい笑顔で取れてると思いますよー?

真ん中のユノちゃんとPPKのペアの笑顔がまた眩しい…

 

「重い…」

 

そんなことを言ったユノちゃん。あぁやっぱり重いのね。

まぁすごい布の量だしねー…私も流石にあのドレスを着ることになったら苦労しそう。

というか気を抜いたら踏み抜いてすっ転ぶ…

見た感じユノちゃんは標準的なティーンエイジより細い…色々と。

そんな彼女がドレスを身に纏ってたらそりゃ重いか…

 

「では来賓の皆様、続いて披露宴の会場に案内致しますので着いてきて下さいませ」

 

およ?この人は普通の人間じゃね?この基地基本的に人間が居ないんじゃ…

まぁ信頼されてる人間って所か。まぁそれは良いでしょう。

それより披露宴ですから…あーやべぇ、ついにアレを披露する時間が来たんだ。

あばばばばば…緊張してきた…やべぇよやべぇよ…

 

披露宴会場はそこそこの広さだ。それぞれ用意された席に座って…

うわ、何この料理の数々…全部とっても美味しそうなんですけど…

司会進行が言うには今新郎新婦がお色直し中と…もちっと動きやすいドレスに着替えてくるのかな?

 

「お兄ちゃんは各基地に挨拶回り?」

「みたいよ…交流を持つのは悪いことじゃないでしょ?」

「ご苦労なことだよねー」

「お姉ちゃんは?」

「ここの基地の416を見かけて話に行ったみたいよ」

「なるほどー?」

 

まぁ今の内なら別に良いんじゃないかな。今はまだ歓談に集中しても文句はねぇでしょ。

あ、ほんとだ。お姉ちゃん同士で話してる。端末見せあって…あーさては趣味の見せあいだな?

で…お兄ちゃんは…あーお酒片手に陽気に色んな基地の指揮官さん相手に挨拶回りしてる。

この中だと若い方だからペコペコしてるなぁ…

 

F小隊の指揮官さんにー女性と…子供?がドッタンバッタンしてる所にーG3と話してる指揮官さんか。

 

「皆様長らくお待たせしました。新郎新婦のお色直しが完了致しました…では、拍手をもってお出迎えください!」

 

パチンと照明が落ちてスポットライトが入り口に向かう。

扉が開け放たれるとその中から現れたのは45姉のドレスに似た物を着たユノちゃんと対称的なカラーリングの男装のPPKだ。

おぉ綺麗なりね…それにしてもPPKが手慣れた様子でエスコートしてるなぁ。

ほらちょっと日和った感じのユノちゃんの手を取ってるんだぜ?惚れるっしょ。

で、会場の上座に二人が座ると…全員所定の席に戻ってから静粛に。

案内+司会してたのはヴァニラと名乗った。ふーん…整備士かぁ。なるほど。

ユノちゃんの紹介とPPKの紹介…パンフレットに書いてることだけどね。

で、副官が代表して言葉を述べるみたいだ。あははユノちゃん食いしん坊なんだね。

まぁ突然だったのは確かだけど招待されちゃね?

お兄ちゃんの方を見ると副官に向かってサムズアップしてたし気持ちは同じか。

素直にこういう祝い事は盛大に祝うタイプだからね。お兄ちゃんって人間は。

 

「アヤツに何時までも色褪せぬ思い出を残せたことを、改めてお礼を言いたい、本当にありがとう」

 

このセリフとあの身体の傷から察するに相当アレな過去があるんだろうな…

そしてそういう思い出が数少ないのかもしれない。

楽しい思い出の一端にでもなれたなら私達は幸いですよ、副官さん。

乾杯の音頭に合わせ皆酒坏を高く掲げた。

 

んーでもってからはじめての共同作業と言うわけですよ。

結婚式といったら勿論コレ、ウェディングケーキにケーキ入刀です。

いや、でけぇな…これ作るのにどれだけコストかかったんだよ…

これ大体食べる部分ってちょっとだけで他は飾りとかだったりするんじゃないの?

これ全部本物じゃね?どんなバランス感覚で作ったんだよ…作ったの誰だよ。

 

切り分けられたケーキの配分とかもあったんですが…

ユノちゃんとPPKの食べさせ合いっこが発生してから皆ニヤニヤと見ていましたよっと。

 

で始まった新郎新婦を交えての歓談会ですよ。交流が深かった基地からそれぞれ挨拶に行っては祝福を叩きつけてるな。

あ、人数捌けたね…私達も行くのかな?

 

「よし、行くぞ野郎共」

「野郎じゃなくて女郎じゃない?」

「盛大に祝ってやろうじゃないの」

「まぁおめでたい席だから素直に祝福を言おうじゃない?」

「新しい家族の誕生だよ!」

 

お兄ちゃんが意気揚々と席を立ってからユノちゃんの所へ。

私達も後に続いていってから

 

「ご結婚おめでとうございます。今回は招待いただきありがとうございます。私D08地区の指揮官のディーノ・タカマチと言います。あ、敬語はいい?助かるわ…正直敬語は性に合わないんだわ。まだ交流が始まって間もない俺達を招待してくれてありがとうな!これからのここの基地全体に良いことあるといいな!」

「結婚おめでとうございます。HK417と言います…きっと辛いことがいっぱいあったんだろうけど…これからずっと幸せになれるはずだから、お幸せ…に…ぐすっ…ぉぉん…」

「何泣いてんのよ…多くは言わないわ。お幸せにね」

「結婚おめでとう~初夜はハメを外しすぎないようにね~?」

「おめでとうございます!これからずっと家族だね!羨ましいな♪」

 

私がおんおん泣いてからお姉ちゃんに呆れられたけどべつに良いじゃん!

辛い事が沢山あっただろう人のめでた~い門出なんだよ!感動して何が悪いか!

 

あ、やべ…そろそろ時間じゃない?

お姉ちゃんと9姉の裾を引っ張ってアイコンタクト。

9姉は直ぐ様手荷物のヴァイオリン引っ張ってステージ脇に待機。私達も同じく…

司会のアナウンスと一緒にステージにスポットライトが当たる…うわー緊張してきた。

 

「ご紹介に預かりました。D地区のHK416よ…今回はちょっとした余興を提供するわ」

「同じくHK417です。盛り上がってくれたら嬉しいですね…あはは…」

「UMP9でーす!今回は張り切っちゃいますよー!」

 

ステージの上に立ってからライトの眩しさに視線が途切れる。

ふぅ、これならまぁ…大丈夫でしょ、うん…

お姉ちゃんとアイコンタクトして頷く。あとは私達で踊り切るだけだ。

 

「「Hey!Where's the Drum?」」

 

9姉のヴァイオリンの演奏が始まる。それより私達がすこし早くに動き出す。

最初は簡単なシーケンスだ…ミスる要素なんて無い無い。

踊る時は笑顔笑顔!お姉ちゃんも徹底して調教したからこの時ばかりは輝く笑顔だ。

 

ヒュー!君は輝いているね!ティファニーのダイアモンドみたいだ!

もう昔みたいに扱われない…時代遅れになんかにならない。

君は可愛いなぁ、この世界はおかしくなってるかもしれないけれど…君に救われたんだ。文句ある?

君を笑顔にしたいだけなんだ!マイケルみたいにスリラー…プリンスみたいにキスしたい

マーヴィン・ゲイみたいにノリノリに行こうよ。ハサウェイみたいに君の為に歌を歌うよ…こんな風に。

君は僕の理解を超えている。頭がおかしくなりそうだ。生まれる時代を間違えたなんて思ったり。

偽物ばかりのこの世界で唯一無二…君って本当にクラシックだ…

 

まぁお二人に向けてのことだから君たちって言ったほうが良いかな?

練習したかいもあって難なく踊りきってみせた。ほっとした半面もう終わり…っていう残念感。

 

「結婚!」

「おめでとうございます」

 

何度目かの祝福を送ってからステージの上から引っ込むんだが…

 

「ぐえぇぇっ!?」

 

ホッとした私が気を抜いちゃって足をくじいて転げ落ちた。

会場からは笑いがどっと生まれた…うえぇ恥ずい…

んぁ?誰だお前…あ、この人形は農業の先輩のP38じゃん。なんか鼻息荒いんですけど

 

「あそこまで踊って、そして歌えるならアイドル行けますよ!どうでしょうか、是非とも一度一緒に、え、駄目ですか、そうですか……あ、後で農業について語りません?」

 

熱烈な勧誘だった…いや踊って歌えるけどアイドルは興味ないっす…

人前で踊るのは後にも先にも多分こんな事だけですから…

勢いに引き気味でジェスチャーで結構です…ってしたらすっごい残念そうだった。

だから私達は戦術人形だろぉ?アイドルしてる暇はねぇんですぅ!

 

それからは本場のアイドルによる歌と踊りがあって…なんかこの基地の変なVectorが…

 

「え、何アレ…」

「…ふぅん」

「いい歌ね」

 

微笑みジョークを飛ばしてたヤツとは思えない見事な歌を歌い上げてから私達呆然。

ん?でもこれどっかで聞いたことあるな…えーっとえーっと…あー出てこない!

くそぅでもこれはどっかの歌だ…私が聞き覚えのある曲だもん…!

ってなわけで余興は私のぐえー!以外は特に何もなく終わった。

 

「では、二人の馴れ初めエピソードを話すにゃ」

 

お、お、何が始まるんです?馴れ初めエピソードですって?

ヒョー!キタキタキタ!!赤裸々なエピソード期待してますよー!!

いけー語っちまえIDW!ほほう?最初のPPKはヘタレだったと?

ほうほう、ヘタレが距離を詰めるのに相談したっと…じれったさにキレたのかな?

わーPPKの顔が真っ赤っ赤だねぇーこれはマジですね。ひゅーひゅー

あ、告白はユノちゃんからなんだ?で返事がぶっ倒れた?なにそれ面白い。

あ、固まってからビターンだったんだ…くすくす…

 

楽しい時間って言うのは得てしてあっという間に流れていくものだ。

今回のこの結婚式、披露宴もそうだ。あっという間に閉宴時間に差し掛かっていた。

そう、もうこの楽しい楽しい披露宴はおしまいなのだ。

 

「えっと、今日はこんなに沢山の人達に集まってもらってとても嬉しかったです!今までこうやって祝われるとか無くて、今回初めて『おめでとう』っていう言葉を掛けられて、その、えっと、あれ?」

「ご、ごめんなさい、ひっぐ、だからその、えぐ、今日はありが……ありがとうございます!!」

 

ふふ、ずっと我慢してたのかな?私なんて我慢することもなくおんおん泣いたのに。

強い子だね…うん…こっちこそ今日はありがとうね。

 

 

――――――――――――

 

 

「何見てるの?」

「んー?あぁ…この前の結婚式の写真」

 

HK417の私室には写真立てと一枚の写真が飾られていた。

「あなたの幸福を祈る」を意味するバラの葉がモチーフの額縁だった。




いやーコレほどね書いててするする書ける回は無かったんだ。
改めて招待してくれたユノちゃん達におめでとうやで。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。