――――――――――――D08基地司令室・朝
「じゃあ今日一日よろしくな」
「りょうかーい」
今日も一日午前の出撃です。まぁ何もなく終わればいいかな。
出てきても私のワンマンショーで終わるしなんだったら観測手の代わりをしてもいいか。
最近私もこの基地の雰囲気に当てられ気味で戦闘中のキリッとした雰囲気でもあくびが出たり…
まぁ普通の雰囲気に近い行動をするようになってしまってるんだよね。
割と意識的に切り替えてたけど境界線が結構曖昧になってきたのかも。
間延びしたスコーピオンの返事で私達が司令室から出ようとした時だ。
「んぁ?」
「何かカサカサ…ヒエッ!?」
M14の悲鳴で私達の意識がカチリと切り替わったんだが…
悲鳴の正体に私達まで悲鳴をあげることになるんだ。
「ぎゃー!!」
「ご、ごき…!」
「ごきぶりぃー!!」
花も恥らう戦術人形連中揃ってゴキブリにおびえて竦み上がる。
黒くてテカテカしててから長い触覚をわさわさしながら高速で寄ってくる姿は気持ち悪い。
私も例外なく竦み上がっていてあわあわ…とMk23の背中に隠れてたり。
人間だった頃から虫っていうのは嫌いだった。それも大っ嫌い!
蚊って言う害虫からゲジゲジ、ムカデとかに始まる見た目がきしょいのとか…もうマジ無理。
あんなの触れるのとか考えらんない。どうかしてるって…気が狂ってるとも言える。
「う、うちころしゅぅ!!」
もう見てられない。Mk-23引き抜いて基地内でぶっ放しそうになっていた。
この時私は冷静さを欠いていた…が。悲鳴を聞きつけたハウスキーパーがすっ飛んできていた。
「はっ!」
短い掛け声と共に放たれた一撃は床に這いつくばっていた黒いGに吸い込まれ息の根を止めていた。
やったのはG36だ。おっそろしく早い一撃だったけど…どうして早くに…?
片手にはポリ袋が…あれ…もしかしてその中に入ってるのって…?
あ、黒くて同じくらいの大きさのが見えるなぁ…あは、あははは…
「き、聞くけど…もしかして…」
「こちら今朝から駆除して回ってるゴキ」
「あーもう良いわかった!いっぱいいるんかーい!」
つまりはそういう事だ…ゴッキーがいっぱいな基地なんて嫌だぁ…
ゴキは一匹見かけたら100は居ると見たほうが良いんだっけ…?はぁ…嫌だなぁ…
帰ったらまた居たりしたら私Mk-23引き抜いてぶっ放すけど…
――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・昼
まぁ帰ってきてもドッタンバッタンしてた。つまりゴッキーはまだ居るってこった。
私は逃げ込むように出来て真新しい共有スペースに来たわけだが…
気のせいなのかなぁ…さっきから耳にカサカサと音がするんだ…
もちろん見渡してもそんな影は見当たらないんだ…うん…気のせいなんだろう。
そういえば基地の周辺は森林地帯だからまぁ虫が入ってくるのもあり得るのか…
むしろ今まで良く見つかってなかったなってレベルか…あーやだ。
「ぽと?」
何かが降ってくるような音がしたんだ。振り返ってみると…あーらやだ。
茶色の触覚持ちのアレが落ちてたの…あははははは…
「キェアアアアアア!!!」
ぶっ放されるMk-23の45口径弾…のゴム弾頭。
元々は訓練用の弾だが冷静さを欠いた私がぶっ放しても良いようにって挿し替えていた。
それが見事に功を奏した訳ですが…まだ新しい兵舎の床はGの体液で汚れた…
うぇ…グロテスク…いや、やったのは私なんだけどさ…これ掃除しろっていったら私無理だよ?
こんなの見てるだけでも嫌なのに触れとか絶対イヤ。絶対にイヤ。
よくG36は躊躇いなく掃除できるよ…私には絶対に無理なことだ。
「はっ…まだ他にも居るんじゃ…」
天井の方を見ると…居ない。壁を見る。居ない…もう一度床を見る…死体だけ。
でも耳につくカサカサ音は鳴り止まない…どっかにまだ潜んでる…
駆除用の薬剤を撒くしか無いんじゃないのコレー…ふえぇ…
「んみゃぁ!みゃお!」
んぁ?なんだろう…ペットブースからにゃんこの鳴き声がするなぁ…
そういえば猫を飼うと虫が居なくなるって聞いたことがあるような…
いやぁまさかなぁ…まだ子猫だしそんな事してないでしょー…うわ。
やってましたよ…可愛らしい子猫が咥えていたのはグロいゴッキーだった…
「ペッしなさい!ぺっ!」
「みゃお!」
「ぎゃー!飛んできたー!!」
その後の私の記憶が無いんだけど気がついたら床に倒れてた。
だーちゃんが必死こいて私のおっぱいふみふみして起こしてくれたよ…
――――――――――――D08基地司令室・夕方
ゴッキー騒動のせいで人形が竦み上がる事案が多数発生してから基地業務が滞る事になった。
中には私と同じで気絶する人形も居てから阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
流石にこれはいかんということでお兄ちゃんも駆除用の道具を発注していた。
でも届くのは何日か後だからどうしようもないんだよね…いや、まじ…
今日だけで結構な数が駆除されたけどそれでもまだまだ居るっぽい。
以外にここで頼りになったのが兄さんなんだ。流石に清掃員だからかな?
黙々とゴッキーを駆除する姿は頼もしかった…ただイタズラで私に投げるモーションしたのは許さねぇからな。
ガチで投げられたと思って私が気絶することになったんだから…
口から泡吐いて気絶する妹を見るのは楽しいかこんちくしょう…
「にしてもHK3姉妹がそろって…ねぇ」
「何か」
「問題でも」
「あるぅ!?」
虫嫌いガチな私とまだ耐えれるけど虫嫌いなお姉ちゃん。G28は私と同レベル。
つまり…私とG28は気絶するっていうことをやらかした人形だ。
お姉ちゃんはなんとか駆除する側に回れたみたいだけど…嫌な顔してた。
ちなみに駆除に回れたのは数えるだけしか居なかったり…UMP姉妹とスプリングフィールド…そしてお姉ちゃん。
あのFALもゴッキーには怯えてから逃げてた。流石に気絶まではしてなかったけど。
戦闘狂の気が強いスペクトラが可愛らしい悲鳴を上げて逃げる姿はレアだったけどね。
「まぁ大分数は減ったからしばらく安心して良いんじゃねーの?」
「とか言ってまた投げつけるフリしたら金玉蹴るからね?」
「え、417にそんな事したの?きちくー!」
「ちょっと面貸しなさい…」
今日は姉妹揃って固まって寝ようね…私一人で寝るとかやーだー…
お布団の中に潜り込んできたりしたら発狂できる…うん…無理。
聞いた話だとムカデとか暖かい所探してお布団の中に入ってくるんだって…
あとはお昼に遭遇したような…天井からぽとって落ちてくるとか…なんとか…
兎に角今日はもう私一人で寝るとか考えられなくなった…どうしてくれる。
大体このクソ兄のせいだったりするんだが…あーくそ…
私がトラウマで虫が大っ嫌いなのしっててあんな事しやがったんだから…
――――――――――――D08基地HK416私室・夜
「で、私達3人纏まって」
「虫怖い虫怖い虫怖い…」
「んー416と一緒っていうのも乙だねー♪」
私、虫怖いBot。虫のことが大っ嫌いです。絶対に虫を近づけないでください。
カタカタ震えてお姉ちゃんに抱きつく戦術人形みたいな何かでーす…
3人で固まって1つのベッドに入り込んでいるわけですが…暑い。
そしてお姉ちゃんが私とG28に挟まれてるから結構苦しそう…
でもまぁ…こんな風に固まって眠るのも良いかな。えへへ…何というか家族って感じだし。
異性じゃなかったら兄さんの所に行ってたり…いやからかわれるだけだな。
「電気消すわよ」
「「はーい」」
照明が消えて真っ暗になる…瞬時に夜視モードになってからお姉ちゃんの横顔が見える。
向こうにはちょっとだけG28が見える…あ、私の手を握ってきた。
握り返すと嬉しそうだ…こういう所はほんと可愛いなぁ…
流石に3人寝ているベッドに入り込む事はしないのかだーちゃんはクッションの上で寝ていた。
んーしかし…こういう雰囲気何だっけかなぁ…うーんうーん…
あ、あれだ…学生時代の修学旅行ってヤツだ!アレに近いんだ…
楽しかったなぁ友達連中とぎゃーぎゃー言い合いながら寝てから…全然眠れなくてから…
やれ好きな人が居る居ないだのあの女の子が可愛いだの…言い合ったなぁ。
「ねぇー」
「なに?」
「なぁに?」
「好きな人って居る?」
「「そりゃ417よ」」
うぇへへへ…大好きなお姉ちゃんと可愛らしい妹分に好きって言われた。
でも好きってそれは違うかなぁ…うん。それはLike的な好きじゃん。
私が聞いてるのはLove的な好きなんだけど…まぁ答えは決まってるかな?
「あぁ…そういう好きね…指揮官」
「えー?416と417以外に考えてない」
G28はまぁいつもどおりのフルスロットルな回答ありがとうございます。
お姉ちゃんはまぁそうだよね、お兄ちゃん好きだよね?うんうん…
私もお兄ちゃん大好きだからなぁ…うーん…となるとなぁ…
「でも知ってる?私達からアプローチする方法もあるのよ?」
「え、嘘どうやるの?」
「私達が誓約の証を購入して指揮官に押し付けるのよ」
なるほど…通貨さえあれば出来るのか…逆プロポーズしちゃえばいいんだね。
そういう方法もあったか…そういう結婚方法した基地とかあるのかな?
まぁ無いなら私達が最初になるか…うへへへ…夢がひろがりんぐ…
虫は作者も大嫌いです。
ムカデはマジ無理。絶滅してくれよ…