元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

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ヘリの知識は無いから結構適当


Day79 工廠のお手伝い

――――――――――――D08地区前線・朝

 

 

「この形態の警備何時まで続くんだろうねー?」

「ヘリが直るまででしょー?」

「そのヘリが直るのが何時になるのかしらね」

「パーツがないってぼやいてたよー」

 

今日もガタガタとバギーに揺られての警備任務。私は運転席に座ることを禁止されたので荷台に座ってる。

ドライバーシートに座ってるのはUziだ。まぁ天然の気がある彼女らしいゆったりとした運転だ。

ナビゲーターシートにはMk23、荷台に私、M14とスコーピオンって配置だ。

双眼鏡で遠くを見ながら荷台に揺られる…人間だったら多分酔ってる。

任務中だからあんまり色々持ち込めないけどミュージックプレイヤーを私は持ち込んでる。

まぁ警備任務に支障が出ないようにボリュームは下げてるし片耳刺しだから平気平気。

大戦中の兵士だって同じ様な事してたんだから別に良いでしょ?

ほら、成果を出してれば割とゆるいのがG&Kだし…これくらい許してくれるでしょ。

 

「それにしても今日は見ないなぁ…」

「暇だねー」

「こういう日のほうが多いでしょ」

 

敵襲が無い。かなり平和でいいんだが警備中ではかなり暇なんだ。

あくびを噛み殺しながら双眼鏡で前線を睨む作業がかれこれ何時間続くんだ?

人間の頃だったらやれ勉強だ、やれ就活だ、やれ今日の食事だーって忙しかったのにな。

戦火から離れて暮らせていたからそういう平和のありがたみがそうでもなかったけど…

戦場に立ってみると平和ってありがたい半分暇すぎて死ねる…

最前線のS09地区とかならもっと違うんだろうけど…あとは新興地区の方面。

あの辺りだったらまぁ毎日暇せずドンパチやってるんだろうけど。

それともグリフィンお抱えの小隊とかに配属とかに鳴ってたら違ったんだろうなぁ。

 

「ふぁぁぁ…」

「417眠そうねー」

「だって暇だし車の上だし…眠くなるよ…」

 

もうすっかり私は平時の気分だよ…今から襲撃あってもすぐに切り替えられないかも…

この丁度いいガッタンゴットンが全身揺らしてて丁度いい刺激なんだよね…

人間の頃からそうだったんだけど…乗り物乗るとすぐに寝ちゃってたんだよなぁ…

特に電車とか気が抜けたらすぐにぐーぐー寝てた…うん。

今も417抱えてこっくりこっくり行きそうなんだもん…いや、マジ眠い…

 

「んぁー!!」

 

眠気覚ましに荷台の上に立ってからぐーっと伸びをしてみる。

んー…鬱蒼とした森林の香りが胸いっぱいに入ってくる。言い換えれば青臭い。

幸いっちゃアレだけど…マジ鉄血の人形来ないかなー…暇してるんだ。

的当てさせろよコンチクショウ…あーホント…寝ちゃおうかな…

 

 

――――――――――――D08基地ヘリポート・昼

 

 

「捗ってるぅー?」

「ダメダメ、全然駄目だよ」

「イーグルちゃんはご機嫌斜めだよ、はっはっは…はぁ」

 

パイロットの二人は暇そうだなぁ。整備してたんだろうけど全然駄目ってさ。

呑気にビールを昼間っから飲んでたよ…おいそれで良いのかヘリパイロット。

お前一応基地待機扱いだろ。それで緊急事態になっても知らないからね?

まぁ暇すぎて酒でも飲んでないとやってられないんだろうなぁ…

メンテナンス班もパーツがないことには手出しできないって投げてたしなぁ…

必然的に私達の出る幕も無いってわけで…んー…なにかお手伝いとか出来たらなぁ。

 

「どこが悪いの?」

「あー発動機がてんで動かなくなってなー」

「セルモーターが死んでるのかそもそも電気系統が死んでるのか…専門家じゃないから分からん」

 

エンジン系統が死んでるのなら原因は色々考えられるなぁ…

点火用のプラグが死んでたり被ったら点火しなくなるしインジェクターが死んだら…

いや、そもそもエンジンエラーならHUDに出てこない?エラーコードとかさ。

この話し聞いてる感じ診断ツールごと死んでるってパターンなのかな?

 

「ちょっと見ても良い?」

「あぁどうぞどうぞ、俺らの席に417ちゃんが座ったってなったらプレミアもんだわ」

「何ならちょっと動かしてみても良いんだぜ、動かないけど」

 

許可が出たのでちょっとコクピットによじ登ってみる…んー…

いかん、どれがどれなんだか分からん…適当にスイッチオンオフじゃ点かないだろうしなぁ。

 

「ちょっとー!暇してるんなら教えてよー!!」

「へいへーい、へへ、美人に手取り足取り教えてあげましょ」

 

ビール片手なのがすんごく不安なんだけどまぁ現職が間違えたこと教えることないでしょ。

フライトさせるのに飲酒は死ね!だけどさせない飛ばさない動かさないだからまぁ多少はね?

うわっ酒くせぇ…ほほーこのスイッチから入れていって…あーこれがメインスイッチなんだ?

で、各種電気系統をスイッチ・オンにしていって…ふーん、これでエンジンがかかれば飛べるっと?

HUDとか診断ツールの印字はどこだ…多分あると思うんだけど…

あ、もしかしてヘルメットに印字されてたりして…ちょっと被ってみようか…

うわ、汗臭い…!これ中身干してないでしょ…うえぇぇ…今度中身消臭させないと…

んー…コレでもない、となるとどっかに…うわ、ちっこい!!

 

「これさ、エラーコード出てない?」

「どれどれ…あーそういえばそんなのもあったなー」

「いや、確認しようよ!!」

 

説明書引っ張り出してみたらほらー!ここに印字されるとか書いてあるじゃん!

エラーコード表まで出てきてありがとうございます!!

現職パイロットが気づかないで人形が気づくって何事さぁ…もー…

結局ヘリの不調の原因は点火プラグ故障、あとo2センサーの死亡だね。

基本的に部品交換だね、これで直る見込みがあるから良いけどさ。

 

「メンテナンスのお兄ちゃ~ん、ちょっといいー!?」

「なんだぁー!?おっぱい揉ませてくれるのかー?」

「揉ませなーい!!それよりー!ヘリのエラーコードは把握してるー!?」

「してるぞー!」

 

ならOKか、メンテナンス班が把握してなかったら大事だったけど…

じゃあ具体的な修理期間とかも出るのかなー?まぁパーツが有るかどうか…だけど。

 

 

――――――――――――D08基地工廠・昼

 

 

「なーにしてるの?」

「あぁヘリの生産元にパーツ発注して何時届くかのチェックだな」

 

ふむ、オンラインで確認できるのかな?こういうのってディーラー通さないといけないんじゃない?

それともG&Kって名前が強いのか融通してくれるのかな?

ちょっと横から覗いてみると2項目浮かんでるけど…納期未定かぁ…

 

「届かないことにはどうにもならないよね?」

「そうだなぁ…メカマンもこれはどうしようもねぇ待つだけだ」

 

パーツがないと修理しようがないもんねー待ちかぁ…ふーむ…

でもプラグって自動車とかにも使われてるし規格が合えば…あー違うか?

変に改造しても刺さらないだろうし…プラグの太さもあるけど長さとかもあるからなぁ…

自動車のプラグって結構長いしヘリコプターのエンジンのプラグの長さがどうか…だよね。

 

「不良品のプラグってもう引っこ抜いたりしてる?」

「いや、交換する際に引っこ抜くんだが…まぁ規格品だからなぁ」

「生産元が遠いから輸送に時間かかるかもしれんし…近くのパーツセンターにあればラッキーだな」

 

言外にそこらへんので代用なんてのは無理って言われた気がする。

まぁつまりはコレが届くのを絶対待てか…しばらくはバギーでの警備になるのかぁ

あ、私が振り回して不調になったバギーはどうなってんだろう?

ちょっと見てみようかな…ぶっ壊したわけじゃないけどさ…

 

「触るなよ?」

「ちょっと見るだけだって…動かさないよぉ…」

 

おぉ睨まれた…ごめんてごめんて…まぁスポーツ走行させた後だからエンジンが焼けたか?

でもチェックランプは点いてないし…ディーゼルだからプラグってわけじゃないしなぁ。

圧縮比がイカれたのか…インジェクターにカーボンが付着しちゃったとか?

サスペンションはリジットアクスルサスペンションで安くて頑丈さが売りだから…まぁ大丈夫でしょ。

実際にちょっとゆさゆさ揺さぶっても平気な顔して揺れてるからね。

となるとヘリと同じで心臓部であるエンジン系統の不調かな?

 

「そっちはどっかのバカが振り回しすぎてエンジンにガタが来てるんだよ」

「あははははぁ…ごめんなさいって…」

「整備終わらなかったらおっぱい揉ませろ」

「か、考えておく…」

 

うわぁ…メンテナンス班がすごい目で私を見てるよ…ごめんてごめんて。

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夕方

 

 

「という訳で手伝います!」

「じゃあほれ簡易マニュアル、工具とかは分かるよな?」

「もち!規定トルクできっちり締めるよー!」

 

Tシャツとオーバーオールに着替えてから戻ってきました!

まぁ私が不調に追い込んだバギーだけでも整備しようじゃないですか。

えぇと…不調箇所はピストン周りかぁ…増し締めで直る可能性が高い為指定箇所の増し締めを実施せよか。

まぁエンジンも頑丈さが売りだからなぁ…大規模なオーバーホールは必要ないか。

じゃ、ちゃっちゃとやっちゃいましょう。使う工具は予め整然と並べて。

手を入れる場所って言うのは結構決まってる。そして整備しやすさをちょっとは考えてくれてたりする。

まぁ手が入りやすいか入りにくいか…なんだけど。ソケットレンチじゃなくてスパナでやってます。

ソケットレンチはお兄ちゃん達が楽するために使ってもらわないとね…

 

「へへ、417ちゃんのおっぱいも良いけど…尻も良いな」

「フロントグリルに押しつぶされてるおっぱい…良いなぁ、揉みてぇ」

 

あーうん、まぁ分かってたけどセクハラ目線はしゃーないな。

くそ、私の背丈がちっこいから上体乗っけないと手が届かないんだよぉ!!

んー…今の所増し締めしていって…あ、増し締めは対角線上を順番に締めていくのがコツね。

そうしないと接着が偏って締め付けがよろしくなくなるので…

マニュアルの規定トルクできっちり締めてあげれば…またいい調子に戻ってくれると良いんだけど。

まぁディーゼル機関は振動が酷いし高回転ガン回しで熱を持って緩んだんだろうな。

そして圧縮が逃げて不調って事かな…うーん…と、上は良いから次は下だな…

ダンボールを敷いて失礼し…ま…んがぁっ!!

 

「ん~!!」

「ぶっ」

「おっぱいが支えてんの」

 

もぉ!こういうときに限って私のおっぱいは本当に邪魔ばっかりする!!

潜るときにちょっとおっぱいを抱きしめてから潜ることになった…

うげ、ちょっと胸が苦しい…でっと…下に潜れば見えづらいなー

人形には夜視モードがあるから見えるけど人間だったらライト必須だな。

あーホント人形ボディ便利…指定箇所は…えっと…あ、ここか。

規定トルクできっちり締めれるからトルクレンチ要らずだし。

よし、こんなもんかな…じゃあちょっと試しに一発回してみましょう。

 

「キー借りるよ」

 

ちょっと煤けた手でキーを差し込んで回してみる。

ん、掛かりもよくマフラーから黒煙上げてくれた。ばっちしじゃね?

 

「んじゃ、暇な時に手伝ってくれても良いんだぞ?」

「セクハラ目線がなくなったら考えてあげる」

 

多分無くならないんだろうけど。つまり私の回答はそういう事です。




ディーゼル機関に関してもうろ覚えなのは内緒。
ただ熱持ちすぎると暴走するのはマジな?緊急停止にエアコックを閉じる機構が無いと延々爆発し続ける可能性もあるんだぞ。

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