私の記憶が、フラッシュバックする。
女尊男卑の人達によって、父親を庇って死んだ母親とボロボロの父親。
幼い私はその光景を震えながら見ているしか出来なかった。
「私はどうなってもいい!娘だけは...娘だけは見逃してくれ!!」
両手両足を折られた父親が暴行者達に血反吐を吐きながら土下座していた。
そんな父親をあざ笑うかの様に、暴行者達は父親を容赦なく痛めつけた。
だが、どんなに痛めつけてもその姿勢を崩さなかった父親に恐怖し、暴行者達は不気味さを感じて、私に何もせずに帰って行った。
私は、その光景を忘れる事が出来なかった。
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時花「や、止めて下さい...!」
私は、織斑君の土下座を直視出来なかった。
一夏「千冬姉にはもう迷惑を掛けたくないんだ...!頼れるのは、お前しかいないんだ!」
私は、その姿に逃げ出す事も織斑君の言葉に逆らう事も出来なくなっていた。
それでも頭の中では私の意思に関係なく、織斑君を傷付けずにデュノアさんを救う方法を模索し続けていた。
時花「...す、数日待って下さい。私が...何とかしますから...!」
私は、自分の頭の回転を初めて呪い、涙と鼻水で汚れた顔を隠しながら部屋から退出した。
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私は、連日授業を休んでいる。
現存するISの手に入れられる情報、設計図等をかき集めてまとめていた。
昼は自室、夜は寮の共有トイレで寝ずに作業をしていた。
デュノアさんがいつ帰国を命じられるかは分からない。
もし、デュノアさんに何かがあったら織斑君がどれだけ傷付くのか。
「私はそんな世界認めない」
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数日が経過し、私は就寝時間の前に織斑君の部屋を訪ねた。
一夏「時花...!お前今までどこに居たんだよ!それに、その姿...」
私は目にクマができて、髪の毛もボサボサ、服は汚れまみれだった。
時花「これをお渡しします...。デュノアさんに渡して下さい...」
それは一つのUSB。
私が、全身全霊を込めて作った自作のISの設計図が入っていた。
私を心配する織斑君をよそに一人で自室に戻り、久々の睡眠に身を委ねた。
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次の日。
私は、学校に登校した。
本当は休んでいたかったが、私の欠席中にボーデヴィッヒさんがまた問題を起こしており、その事後処理をしなければならなかったからだ。
その日、とあるニュースが持ちきりになった。
『デュノア社!新型IS開発!!』
その話題に女子生徒達は騒ぎ、デュノアさんに詰め寄っていた。
休み時間。
デュノアさんが私に話し掛けて来た。
シャルル「あの...ありがとね、時花さん」
デュノアさんはお礼に言いに来ていた。
しかし、私はこう返した。
茅「礼なんかいらない。私は忙しいから話し掛けないで」
私は、ボーデヴィッヒさんの事後処理だけではなく、連日休んだ分のクラスの雑務も行わなければならない身であり、デュノアさんと話をする余裕すらなかった。
シャルル「でも...時花さんのおかげで僕は救われたんだから、何かお礼を...」
私はその言葉に怒りで我を忘れてデュノアさんの胸倉を掴み、壁に叩きつけた。
茅「勘違いするな!私はお前を助けた訳ではない!!二度と話し掛けるな!!」
私の突然の蛮行に女子生徒達が私を取り押さえたが、デュノアさんは私に恐怖し二度と話し掛けては来なかった。
その日、私に『反デュノア』と新たなレッテルが付けられたのは言うまでもなかった。