私の頭痛が治まると、目に映ったのは見覚えのない黒いISだった。
警報が鳴り、観客席のシャッターは閉まっていた。
私は通信機で織斑先生に状況を聞いた。
茅「先生...何があったんですか...」
千冬「VTシステムだ。ボーデヴィッヒの機体に仕込まれていたらしい。お前らはすぐ避難しろ」
VTシステム。
私がISの資料を調べていた時に目にしていた。
過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムだが、アラスカ条約で禁止されている物だった。
茅「ボーデヴィッヒさんはどうするんですか...!このままだと彼女は...」
千冬「今、教員部隊が向かっている!早く避難するんだ!!」
様子を見る限り、前のクラス対抗戦と同じだった。
セキュリティーが外部からロックされ、生徒は避難できず、増援部隊は突入に時間が掛かっている。
そんな中、織斑君はあの黒いISに零落白夜で突っ込んで行った。
しかし、黒いISは一撃で織斑君を切り倒し、織斑君のISは強制解除されて腕から血を流していた。
茅「織斑君!なんて無茶な事を...!」
一夏「あいつ...千冬姉と同じ居合を使いやがる...。あの技は千冬姉だけの物なんだ...」
その言葉で理解した。
あれは、織斑先生をベースとしたVTシステム。
つまり、使っている武器も織斑君と同じ『エネルギー無効化攻撃』を持つ物。
だから、織斑君の腕を傷付ける事が出来たのだと。
一夏「あいつは...俺が倒さなきゃダメなんだ...!!」
エネルギーが切れて、ISが展開出来ない織斑君はそう言った。
他の人が聞けば、馬鹿な意地だと思うだろう。
しかし、私は理解できる。
私もそんな馬鹿な意地を持って生きている人間だから。
茅「...デュノアさん。織斑君にエネルギーを分けて下さい。そうすれば、後一回は零落白夜を使えます」
デュノア「そ、それは出来るけど、良くて部分展開だよ!下手に突っ込んだら一夏が死んじゃう!!」
茅「私が囮になります。私が武器を抑え込んだら攻撃して下さい」
デュノア「そ、そんな!何で時花さんがそんな事を!!」
茅「これは、私の責任なんです!私が頭痛なんて起こさなければこんな事には...!!」
このままでは、織斑君とボーデヴィッヒさんは止まらない。
そうなれば、待つのは最悪の未来だけ。
「私はそんな世界認めない」
.
.
.
.
.
事件は収拾した。
私が黒いISの武器を封じる事で隙が生まれ、織斑君はボーデヴィッヒさんを救う事ができた。
だが、私は肩にあの武器を受けて重傷になった。
最初から無傷で止められると思ってはいない。
致命傷を受けなければ、私はどこを代償にしてでもあの武器を止めるつもりでいたからだ。
私は、面会謝絶の病室の中で、いつもの雑務を行っていた。