学年別タッグトーナメントは大会自体が中止になり優勝チームはなしとなった。
私達の学年は合宿に備えて、多くの者が水着を買うなどの準備をしていた。
だが、私はこの傷がまだ完治に至らず、泳ぐどころか水着を着る事すら出来ない。
私は、皆が合宿を楽しみにしている間もいつもと変わらずにクラスの雑務を淡々と行っていた。
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ラウラ「時花、少し良いか?」
ボーデヴィッヒさんが作業をしている私に話し掛けて来た。
茅「何ですか?手短にお願いします」
私は作業の手を止めず、耳と口だけで彼女と対話する事にした。
ラウラ「私は織斑一夏を嫁にしたい!どうすれば良いか教えてくれ!」
私はその言葉に手を止めた。
ラウラ「学年別タッグトーナメント前に作ったお前の資料は非常に役に立った!恋愛は情報収集が先決だと聞いてな、お前なら私に満足行く資料を作ってくれると思ったのだ!」
私の資料を評価したのは嬉しかったが、それ以上に悲しさが溢れた。
この人は、もう私の知っているボーデヴィッヒさんではない。
オルコットさんと同じで牙の抜けた恋する乙女だった。
茅「すみません...恋愛というのはデータだけでは測れないのです...。それに、ボーデヴィッヒさんが本当に織斑君の事を好きであるなら、私に頼らず自分の力で掴み取るべきだと思います...」
本当は問い詰めたかった。
私の知っているボーデヴィッヒさんは強さを求め続けた女性ではなかったのかと。
しかし、あの学年別タッグトーナメントでボーデヴィッヒさんの負担になってしまった私にそんな事を言う資格はなかった。
ラウラ「そうか、なるほど...。恋愛とは奥が深い物だな...」
そう言ってボーデヴィッヒさんは、織斑君を追い掛ける様に学園の外へと足を運んで行った。
私は、悲しみを忘れるために雑務を続けるしかなかった。
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合宿。
私の部屋は山田先生と同室だった。
怪我人である私を他の生徒と一緒にするのは、私にとっても同室者にとっても良い影響ではないと思ってそのような部屋割りが行われた。
皆は海で楽しそうに遊んでいる。
真耶「時花さん、何かあったら遠慮なく言ってくださいね」
茅「わかりました」
私は潮風が傷口に触る事を恐れ、一人室内で外の景色を眺めていた。
本当なら雑務をしたかったが、雰囲気を壊しかねないし不快感を与えると思って雑務に関する物は何も持って来なかった。
でも、今だけは体も心も休ませよう。
私は波の音を音色にして眠りに付いた。