私は結論を出した。
茅「このメンバーで福音に勝てる可能性はありません」
一同はざわついた。
私は、頭の中で何度も色んなシミュレーションを行った。
しかし、不確定要素が多すぎて『福音に勝つ未来』よりも『専用機を持つメンバー達が死ぬ未来』しか見えなかった。
千冬「諦めろと言いたいのか?」
茅「いいえ...。策がない訳ではありません。一つ目はISの開発者である篠ノ之博士が福音に停止命令を出す事です。これが一番安全かつ確実な方法です」
束「あ~無理無理~。さっきからやってるんだけどね~、全然止められないの~。理由はこの束さんにも分かんないけどね、テヘ」
千冬「...だそうだ。他にはないのか?」
茅「二つ目は、予備のISまたは誰かの専用機を織斑先生に使って貰い、山田先生の指揮のもとで福音と戦う事です...。しかし、これは良くて五分五分かと...」
束「それも無理だね~、予備のISなんか持ってないし、専用機をちーちゃん用にプログラミングし直すのは時間が掛かるんだ~。まぁ、凡人に言ってもそんな事分からないかな~」
私には分かる。
コイツは嘘しか言っていない。
コイツは停止命令を出すどころか、私達の様子を面白可笑しく眺めていただけだった。
それに加えて、国際指名手配されてる身でありながら、予備のISを一つも持っていないと言う言葉が信じられない。
コイツの目的は分からないが、この事件に関しては自分の手で解決しようとは塵にも思っていないらしい。
茅「...最後の策は、時間稼ぎです。代表候補生が福音を遠距離から攻撃し、住民を避難させる時間を稼ぐ事です。織斑君と篠ノ之さんは万が一の救護役として待機させるしか...」
その言葉に篠ノ之束は私をバカにする様に言い出した。
束「はァ~~~。いっくんが一目置いてるから少しは期待してたのに、思った以上の役立たずで負け犬思考だね~。そんな消極的な考えでよく生きてこれたね?」
茅「...じゃあ、アナタは他に良い手があると言いたいんですか?」
束「いっくんの白式と箒ちゃんの紅椿で福音をやっつけちゃうんだよ」
私の押し殺していた全ての感情が限界点を超えた。
茅「何考えてるんですか!!織斑君と篠ノ之さんを殺す気ですか!!」
束「あれあれ~?君は知らないのかな~?いっくんは、クラス対抗戦で無人機を倒したり、学年別タッグトーナメントではVTシステムのISを倒したんだよ~。それに加えて、私が作った最新のIS『紅椿』があればどんな相手でも楽勝だよ」
コイツが何故そんな事を知ってるかという疑問よりも、結果しか語らない言葉に激怒した。
織斑君はどちらの事件でも軽傷とはいえ負傷し、私は前の事件でこの重傷を背負った。
千冬「仕方ない。束、紅椿の調整をしろ。束の作戦を使う事にする」
茅「反対です!コイツはさっきから嘘しか言っていません!!織斑君と篠ノ之さんに何かあってからじゃ遅いんですよ!!考え直して下さい!!」
千冬「お前の気持ちは分かる。しかし、時間がないんだ。山田先生、時花を自室に戻らせてくれないか?」
そう言うと、山田先生は私の肩を支えて自室に案内しようとした。
私は部屋に出る直前、篠ノ之束を睨みつけてこう言った。
茅「織斑君に何かあったら、お前を殺してやる...!!」