私は、織斑君の様子がおかしい事に気づいた。
織斑君は今まで面識がなかった生徒会長の妹、四組の更識さんにアプローチを掛けていた。
始めは今まで組んだ事のない専用機の人とタッグを組み、織斑君自身が新たな一歩を踏み出そうと決意したのかと思っていた。
しかし、織斑君は更識さんに何度断られてもひたすらアプローチを掛け続けていた。
織斑君が一人になった所で私は尋ねた。
茅「織斑君、なぜ更識さんに声を掛け続けているのですか?アナタなら一組・二組にいるメンバーでタッグは組めるでしょう?」
一夏「いや、その...簪さんの専用機を見てみたいからかな...」
私はすぐに嘘だと分かった。
茅「織斑君のその言葉には、アナタの意思が感じられません。悪戯で更識さんを傷付けようと思っているなら許しませんよ」
一夏「ご、ごめん!そんなつもりは...」
織斑君は恋心が分からない程の鈍感だが、意図して誰かを傷つけるような事をする人物ではなかった。
原因は一つしかないと思った。
茅「...更識会長ですか?」
織斑君の反応を見て、すぐに私は更識会長のもとへ向かった。
.
.
.
私は勢いよく部屋の扉を開けた。
楯無「あらあら、茅ちゃんどうしたの?そんなに怖い顔して」
茅「アナタが織斑君に命令したんですか!四組の更識さんとタッグを組むようにと...!!」
楯無「...どこで聞いたの、その話」
その時、息を切らして織斑君が追い付いて来た。
一夏「すみません、楯無さん...。口を滑らせたつもりはなかったんですが...」
楯無「何となく予想は付いてから大丈夫よ。一夏君は隠し事が下手だし、茅ちゃんは勘が鋭いしね」
更識会長は『許容範囲』と書かれた扇子を広げた。
茅「アナタは自分勝手すぎる!!織斑君と更識さんの意思を無視してこんな事...!!織斑君はアナタの玩具じゃないんですよ!!」
楯無「なら、一夏君の意思を尊重して今からパートナーを選ばせましょうか?もう手遅れだと思うけど。他のメンバーはタッグが決まっているし、下手をすれば織斑君に火の粉が飛んで来るかもしれないわよ」
更識会長の言う通りだった。
連日、織斑君が更識さんにアプローチをしているのは周知の事実で、更識さん以外の専用機のメンバー達は織斑君と組む事を諦め、別の専用機メンバー同士でタッグを組んでいた。
ここで、織斑君の自由選択を許せば暴動が起きかねない事態に発展する。
楯無「これは一夏君自身が望んだ事でもあるの。簪ちゃんの専用機は、一夏君の専用機の製作のために人員を削られ、未完成のまま凍結。一夏君は簪ちゃんを助ける義務があるのよ」
姑息で卑怯で卑劣な言い分だった。
更識さんの専用機が未完成で凍結したのは企業側のせいであって、織斑君のせいではない。
それを織斑君のせいに仕立て上げ、織斑君に罪悪感を与えて、自分の思い通りに動かそうとしている。
茅「最ッ低...!!」
私はこれ以上話すだけ無駄だと感じ、部屋から立ち去った。