『織斑君のタッグパートナー、更識さんの専用機が出来上がった』
更識さんは織斑君や整備課の生徒達と一緒に製作途中だった専用機を協力して作り上げたと言う噂を耳にした。
大会開催前に間に合った事を皆は喜んでいるが、私には嫌な予感を払拭出来なかった。
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消灯前。
更識さんが泣きながら廊下を走って行った。
私はこの事態をすでに予想していた。
織斑君と更識会長が同室なのを知れば、織斑君が自分の意思ではなく更識会長の意思で更識さんと巡り合わせたと知るのは当たり前の事だと思っていた。
私は、開けっ放しの更識さんの部屋に入った。
更識さんは暗い部屋の中、床に屈して泣いて、私の存在に気付いていなかった。
そんな彼女に私は声を掛けた。
茅「更識さん」
簪「だ、誰...!?」
更識さんは驚いて、私の方を向く。
簪「一組の時花さん...?」
私は傷付いている更識さんに追い打ちを掛ける様に言った。
茅「明日のタッグトーナメント、棄権して」
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簪「え...?」
茅「明日のタッグトーナメント、必ず織斑君を中心に何かが起こる。アナタは日本代表候補生だけど専用機は完成したばかりでテスト稼働も満足にしていない。何かが起こってからじゃ遅いの。だから棄権して」
簪「い、いや...!皆と約束したの...!!」
更識さんは、織斑君に裏切られた悲しみと私に対する恐怖で震えながらそう答えた。
茅「アナタは織斑君を信じる事が出来るの?織斑君は自分の意思でアナタを選んだわけじゃない。更識会長の命令で仕方なくアナタを選んだのよ」
簪「違う...!違う...!」
茅「違わない!!」
私は、心では分かっていても言葉で一生懸命否定する更識さんに現実を叩きつけた。
茅「明日、アナタはこの部屋から出なくて良い。どうせ大会は中止になるし、織斑君には私から説明して上げる」
そう言って、私は泣き続ける更識さんを置いて部屋から退出した。
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タッグトーナメント開催日。
織斑君は更識さんを探して奔走していた。
私は織斑君の前に立ちはだかった。
一夏「時花。簪を知らないか?探しても居ないんだよ」
茅「更識さんは棄権するようです」
その言葉に織斑君は驚いた。
一夏「どうして!?専用機も完成したのに!」
茅「更識さんは気付いてしまったんですよ。織斑君の意思ではなく、更識会長の意思で作られたタッグだと」
一夏「なっ...!?」
茅「だから私が棄権を勧めたんです。織斑先生も言っていたでしょう、不完全な力など無い方が良いと...」
一夏「お前...!」
その時、地響きが起こった。
私の予想は裏切らなかった。