やはり俺が“とある本丸鎮守府”の審神者兼提督で戦車道までやるとか多忙過ぎるだろう   作:BREAKERZ

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伊達と英国がやって来た。

ー本丸鎮守府・審神者<八幡>の部屋ー

 

「ふぁ~ぁ、昨日は良く眠れたぜ。甘酒の効果か?」

 

仕事が終えて不動と甘酒を飲み交わした後、ポカポカと身体が温まり、心地いい気分で眠りについた翌日の朝5時、俺は寝間着から制服に着替える。今日は戦車道の強豪『聖グロリアーナ』との練習試合、折角の日曜日は“五虎退”達や“暁”達と遊びながら日曜朝のヒーロータイムを楽しみたいものだ。なんて考えていると審神者の部屋の襖が開き、清光と安定、それと見送りに来た他の刀剣男士達や艦娘達。

 

清光「八さ~ん、そろそろ行こうよ」

 

安定「こっちは準備完了だよ」

 

八幡「おう、んじゃ行くか。長谷部、長門、陸奥、大淀、留守の間は本丸鎮守府を任せる」

 

長谷部「お任せください主」

 

長門「提督、お気を付けて」

 

陸奥「戦車道の試合、私達も後でネットで見るわね♪」

 

大淀「(ペコッ)行ってらっしゃいませ提督」

 

八幡「他のみんなも長谷部達を上手くフォローしてくれよ」

 

刀剣男士・艦娘『承知/は~い!』

 

みんなに見送られ、俺と清光と安定は『本丸鎮守府』と『大洗学園艦』を繋ぐ襖を通って、審神者の部屋から大洗に行き、家を出て、学園に向かう。

 

清光「そう言えば八さん。昨日小山先輩から連絡は来た?」

 

八幡「あぁ、取り敢えず西住が隊長をやる事になったみたいだ」

 

安定「やっぱりね。でももしも西住さんが隊長をやらなかったらどうなっていたの?」

 

八幡「河嶋先輩が隊長を・・・・」

 

清・安「「あぁそれじゃ負けてたね」」

 

コイツらも河嶋先輩の事は嫌ってはいないが、いかんせんあの人、自分が思っているほど頭脳戦に長けていないからなぁ。

 

八幡「あと、なんか今回の親善試合で勝ったら、会長から『干し芋3日分』が貰えるんだと」

 

清光「うわっ、要らない・・・・」

 

安定「“勝ったら”って事は“負けたら”どうなるの? なんか凄く嫌な予感がするんだけど?」

 

八幡「(肩を落とす)・・・・・・・・・・・・・・・」

 

清光「主?」

 

八幡「負けたら大納涼祭りで『あんこう踊り』を披露するんだと・・・・」

 

清・安「「うっわ~~・・・・」」

 

清光と安定も肩を落として露骨に嫌そうな顔色を浮かべた。『あんこう踊り』は女子にとっても男子にとっても嫌なモノだからな。まぁ見ている男子達は、“女子の格好”に大喜びするけど・・・・。

 

ドゴーーーーーーーンッ!!

 

なんて駄弁っていると俺のスマホ(プライベート用)から着信音を鳴り響き(仕事中はバイブレーション)、画面に【武部 沙織】と表示されたので出てみると。

 

八幡「はいもしもし?」

 

沙織《あぁ、比企谷?! 大変なの!!》

 

八幡「どうした?」

 

沙織《麻子が起きないの!!》

 

やっぱりな、昨日の今日で早起きできるとは思わなかったが、まさか本当に寝坊するとは。清光と安定も察したのか呆れ顔を浮かべている。

 

八幡「冷泉の家はどこだ? 直ぐに向かう・・・・」

 

 

ー数分後・大洗冷泉家ー

 

沙織「うぅ~ん! もう麻子起きてよ! 試合なんだからぁっ!!」

 

一階建てで立て札に『冷泉』と書かれた古い家についた俺達は「失礼しま~す」と一応言って家の中に入り、部屋を見ると、うつ伏せで掛け布団にしがみつく冷泉と、必死に掛け布団を引っ張りながら冷泉を起こす武部がいた。つか冷泉の布団の前に置かれた大量の目覚まし時計、一応起きる努力だけはしていたか・・・・あくまでも努力だけは・・・・。

 

八幡「朝から大変だな武部も・・・・」

 

清光「以外と貧乏クジ引くタイプなのかな沙織ちゃんって・・・・?」

 

安定「ここまでされて起きない冷泉さんも、呆れるの通り越して凄いって感心するなぁ・・・・」

 

麻子「眠い・・・・」

 

沙織「単位は良いのッ!?」

 

麻子「良くない・・・・」

 

沙織「だったら起きてよ!」

 

麻子「不可能なモノは不可能だ・・・・」

 

ここまでされても起きないとは、冷泉のヤツ以外と根性有るな、悪い意味で・・・・。

 

八幡「(ため息)安定・・・・」

 

安定「うん。沙織さん、少し離れて」

 

沙織「う、うん・・・・」

 

武部が離れて俺の隣に移動したのを確認した安定は、清光とに目配せすると清光は頷き、冷泉の敷き布団を掴み、安定は冷泉がしがみついている掛け布団を掴む。

 

安定「(沖田譲りの・・・・)冴えた一撃!!」

 

麻子「ッッッ!!??」

 

安定が掛け布団を引っ張ると冷泉の身体は掛け布団ごと宙を舞い、清光が空かさず敷き布団と枕を片付ける。

 

ボスッ!

 

麻子「ううぅぅ・・・・」

 

しかし、冷泉は掛け布団にしがみつきそのまま手巻き寿司のようにくるまった。

 

沙織「もう麻子! いい加減に起きなさいよっ!!」

 

八幡「イヤ武部、これで良い、むしろこれが良いんだよ」

 

沙織「えっ???」

 

八幡「清光、安定」

 

清・安「「あいよ」」

 

清光と安定がくるまった冷泉を抱える。

 

八幡「よし、このまま冷泉を連れて行くぞ。武部、冷泉の制服を持ってきてくれ」

 

沙織「分かった!」

 

♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪

 

八幡「おい誰だ、こんな朝早くからビューグルを鳴らしている愉快なヤツは??」

 

俺達は窓を開けて冷泉家の庭を見ると、秋山がビューグルを鳴らしていた。

 

優花里「皆さん、おはようございます!」

 

八幡「秋山?・・・・ん?」

 

なんか車道からガタガタと聞きなれた音が聞こえているのだか?

 

ガタガタガタガタガタガタ・・・・ドオォーーーーーーーンッ!!

 

突然目の前にⅣ号戦車が現れると、砲撃音(空砲)を鳴らした。オイオイ、こんな朝早くからそんな過激なモーニングコールしてるんじゃねぇよ! ご近所の人達も起きただろうが!

 

みほ「すみません! 空砲です!」

 

Ⅳ号から西住が出てきた。

 

麻子「んん??」

 

おぉ、冷泉かぼちぼちだが目を覚ました。

 

みほ・秋山「「おはようございまーす!」」

 

八・清・安・武『お、おはよう・・・・』

 

それから俺達は冷泉を連れてⅣ号に乗って移動した。ご近所の人達も戦車に好意的な態度だ、いやむしろ戦車道頑張れって激励する人もいる、しかし・・・・。

 

八幡「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

Ⅳ号の車内に入った俺の目に映るのは、まるで女子の部屋みたいにデコられたⅣ号車内だった。

 

清光「快適に過ごしたくてデコったの?」

 

武部「うん! だって狭いしガタガタ揺れてお尻痛いし、なんか寂しいじゃない?」

 

安定「まぁそうだね・・・・」

 

八幡「おい秋山・・・・?」

 

優花里「申し訳ありません比企谷殿、内装までは守りきれませんでした・・・・!」

 

秋山が申し訳無さそうにしていたが、まぁ乗るのはコイツ等なんだから、外装は兎も角、内装は好きにしても良いかな・・・・。

 

優花里「歯磨いてください!」

 

華「顔も洗ってくださいね」

 

沙織「終わったら制服に着替えて、朝ごはんも有るからね、おにぎり作ってきたから! あっ! 比企谷と清くんと安くんは麻子の着替えを覗かないようにね!!」

 

八・清・安「「「へいへい」」」

 

言われんでも覗かんわ。あっ、そうだ。

 

八幡「冷泉、やる・・・・」

 

俺はマッ缶を冷泉に渡した。

 

麻子「これは?」

 

八幡「マイ・フェイバリット・ドリンク、マッ缶こと、MAXコーヒーだ。寝惚け眼には丁度良い」

 

麻子「・・・・貰っとく」

 

そして俺達は学園艦の艦橋に付くと、他のチームの戦車や一般車と並ぶ。

 

武部「久しぶりの陸だぁ♪ アウトレットで買い物したいなぁ」

 

華「試合が終わってからですね」

 

武部「えぇ~、昔は学校がみんな陸に有ったんでしょう? 良いなぁ、私その時代に生まれたかったよ・・・・」

 

優花里「私は海の上が良いです! 気持ちいいし、星も良く見えるし!」

 

八幡「だいたいその時代ならまだ『深海凄艦』がいて、海の上は戦争状態だったんだぜ?」

 

武部「あっそうか。戦争はイヤだなぁ」

 

みほ「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

華「西住さんはまだ大洗の町、歩いた事が無いんですよね?」

 

みほ「あっ、うん」

 

武部「後で案内するね♪」

 

みほ「ありがとう」

 

武部達が久しぶりに大洗の本土がある陸に上陸する事ではしゃぐ中、静かにマッ缶を飲んでいた冷泉が俺に近づく。

 

麻子「なかなかイケる。おかわり・・・・」

 

八幡「今は無い。また後でな」

 

麻子「分かった・・・・」

 

冷泉がまたウトウトし始めたが、もうほっとく。

 

八幡「(ヒソヒソ)そう言えば今日応援に来るのは誰だ?」

 

清光「(ヒソヒソ)後で小町ちゃんが連れてくるから、後のお楽しみだって」

 

八幡「(ヒソヒソ)なんか嫌な予感がするんだが?」

 

安定「(ヒソヒソ)大丈夫だよ。今度の応援組も」

 

みほ「比企谷くん達どうしたの?」

 

八幡「あぁ今回の連中試合に、清光達の剣術道場の門下生達が来るってさ」

 

沙織「えっ? 江雪さんと宗三さんと小夜くんが来るの?」

 

八幡「イヤ、今回は江雪達じゃない。別のヤツらだ」

 

沙織「その人達が戦車で戦う私の勇姿に一目惚れしちゃったらどうしよう~~!」

 

華「戦車に乗っていては姿は見えないのですから一目惚れは無いと思いますが?」

 

五十鈴のツッコミが耳に入らず、武部はまだ見ぬ応援組<刀剣男士>との恋が生まれるのではと、期待に(けっこうなサイズの)胸を膨らませていた。

 

 

* * *

 

陸に付き、艦橋から出て行く戦車道チームの上に影が差す。上を見上げると大洗学園艦を上回る大きさの学園艦が現れた。

 

沙織「デカっ!?」

 

八幡「聖グロリアーナの学園艦だ」

 

華「では、彼処に見えるあれが聖グロリアーナ学院の戦車ですか?」

 

みほ「うん・・・・」

 

安定「ウチの学園艦よりも大きいね」

 

清光「流石はお嬢様学園って感じ?」

 

学園艦の外部通路から見える戦車。ウチと違って良い戦車使ってそうだな・・・・。

 

 

 

ー大淀商店街ー

 

【祝 聖グロリアーナ女学院 大洗学園 戦車道親善試合開催】

 

と横断幕が張られた商店街に来た俺達はそのまま試合が行われるフィールドに移動した。

 

アナウンサー《ピンポンパ~ン。本日、戦車道の親善試合が、午前8時より開催されます。競技が行われる場所は、立ち入り禁止となっているので、皆様ご協力お願いします。なお、アウトレット他、見学席を設けておりますので、応援のお越しの方はこちらもご利用下さい》

 

八幡「さぁて、もうすぐ始まるが・・・・」

 

小町「お兄ちゃーーーーーーん」

 

試合が始まるまでまだ時間が有り、暇していた俺達に、元気良く手を振ってやって来たのは我が魂の妹である比企谷小町だった。

 

八幡「おう小町、こっちだ」

 

みほ「比企谷くん、この子は?」

 

八幡「あぁコイツは妹の比企谷小町。中等部の3年生だ」

 

沙織「へぇ~比企谷の妹!」

 

華「可愛らしい妹さんですね」

 

小町「はじめまして先輩の皆さん! 比企谷小町です! いつも兄が皆さんにご迷惑をかけております!(うわ~、皆さん可愛い系から綺麗系までいる! 艦娘の皆さんも美人揃いだけど負けてない!)」

 

麻子「比企谷さんと違って礼儀正しいな・・・・」

 

八幡「だろう? 自慢の妹だ」

 

清光「出たよ八さんのシスコン」

 

安定「そう言うセリフを他の皆にも言えれば良いのに」

 

八幡「清光、安定、五月蝿いぞ。所で小町、応援組はどうした?」

 

小町「あれ? さっきまで居たんだけど?」

 

誰が来たのか半分不安を感じる俺の耳に聞きなれた声が入ってきた。

 

???「コイツは驚きだ!!」

 

???「金ピカだーーーーーー!!」

 

???「二人とも、はしゃぎ過ぎだよ」

 

???「・・・・・・オイ、応援に来たんだろ?」

 

オイオイマジかよ? 他の三振りは兎も角、よりにもよって“アイツ”がいるのかよ? しかもウチの珍妙戦車軍団に興味を持ちやがった・・・・!

 

みほ「比企谷くん、あの人達は?」

 

八幡「江雪たち左門兄弟と同じ、清光と安定が通っている剣道道場の門下生だよ。応援に来てくれたんだ」

 

沙織「えぇーーーっ!! 江雪さんや宗三さんでも思ったけど、清くんと安くんの通っている剣道道場って、イケメンが多いのっ!? 」

 

八幡「あぁそうだな、まぁイケメンが多いっちゃ多いな」

 

沙織「江雪さんや宗三さんのような儚げ風の美形とはまた違った伊達系の爽やかイケメンっ! あぁ戦車道をやってて良かったっ!」

 

麻子「沙織、うるさい・・・・」

 

華「ですが確かに、伊達男って感じな人達ですわね」

 

みほ「うん、そうだね」

 

他の戦車道メンバーも応援に来た刀剣男士達に注目する。刀剣男士達も横に整列した。

 

八幡「んじゃ自己紹介させて貰うな。はいどうぞ」

 

光忠「はじめまして、僕は『庄子光忠<ショウジ ミツタダ>』。今回大洗戦車道チームの応援に来ました。よろしくね♪」

 

太鼓鐘「へへへ、俺『小鐘貞雄<コガネ サダオ>』! 気軽に『貞ちゃん』でも構わないぜ♪」

 

鶴丸「『鶴岡国永<ツルオカ クニナガ>』だ。俺を驚かせるなんて凄い戦車だな♪」(ウィンク♪)

 

伽羅「・・・・・・・・・・・・」

 

八幡「おい・・・・」

 

光忠「伽羅ちゃん・・・・」

 

伽羅「・・・・『小栗伽羅人<オグリ カラト>』だ。コイツらに付き合って来ただけだから、馴れ合うつもりは無い・・・・」

 

今回の応援組は『燭台切光忠(眼帯は前髪で隠した)』と『太鼓鐘貞宗』、『鶴丸国永』と『大倶俐伽羅』か。本丸鎮守府の伊達組が来たのね。本名を隠すためにかなりもじった名前にしたな。しかし、太鼓鐘と鶴丸は来たがると思っていたし、光忠も付き合いが良いから来るとは思ってはいたが、まさか大倶俐伽羅まで来るなんてな。そう言えば正月に雑煮の事で歌仙と喧嘩して、なんかギスギスした雰囲気をしてたな。なまじ社交性が有る歌仙と馴れ合い嫌いの大倶俐伽羅とじゃ相性が悪いからな・・・・。

 

 

 

ー本丸鎮守府・茶室ー

 

瑞鶴「うぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・!」

 

暁「ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ・・・!」

 

雷「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ・・・!」

 

電「ううううううううううううう・・・!」

 

響「(平然)・・・・・・・・・・・・・・」

 

翔鶴「(苦笑いを浮かべる)」

 

鶯丸「(にこやかに微笑む)」

 

歌仙「君達、辛いなら無理に正座せず、足を崩しても善いんだよ・・・」

 

暁「だ、大丈夫よ! ちゃんと正座して茶道をやるのも、い、一人前の淑女<レディ>としての大切なたちなみ、嗜みなんだから・・・!」

 

雷「わ、私だって! 正座して茶道をできるようになって見せるわ・・・!」

 

電「い、電もなのです。頑張るのです・・・!」

 

翔鶴「瑞鶴、あまり無理をしなくても・・・」

 

瑞鶴「し、翔鶴姉ぇだって、正座してできるんだから、私だってできるわ・・・!(聞いた話だと、一航戦の赤城さんや加賀だって出来るんだもの、負けてられないわ!!)」

 

響「(平然)・・・・・・・・・・・・・・・」

 

鶯丸「響? 君は大丈夫か?」

 

響「うん、鶯丸さん。大丈夫だよ」

 

歌仙「(苦笑)そこまで言うなら始めようか。それじゃ茶道の作法を教えるよ」

 

一方、茶室の外では・・・・。

 

天龍「アイツらなにやってンだ?」

 

龍田「一人前の淑女<レディ>を目指して、茶道を覚えるんだって歌仙さんに頼んだらしいよ。翔鶴さんと鶯丸さんもお手本として呼ばれたみたい」

 

天龍「ふ~ん、俺は茶道なんてお上品なのは性に合わねぇわ。龍田、道場で手合わせしようぜ。今日は光も貞も伽羅もいねぇから相手をしてくれ」

 

龍田「うん良いよ♪」

 

 

 

ー八幡sideー

 

そしてやっぱりと言うかなんと言うか、戦車道チームに囲まれる伊達組。

 

光忠「これお口に合えば良いけど、差し入れに作ってきた“ずんだ餅”だよ。みんなで食べてね」

 

みほ「あ、これはどうもありがとうございます。えっと“ずんだ餅”って・・・・?」

 

八幡「宮城県を中心に南東北に広がっている郷土菓子だ。すりつぶした枝豆を餡にして乗せた餅で、他にも白玉団子に乗せたずんだの団子もある。光忠達は東北にいた事が有るから作ってきたんだよ」

 

華「まぁ、お豆の香りがとても香ばしいですね・・・・」

 

麻子「うまそうだな・・・・?」

 

八幡「光忠が作ってきたもんだ。不味いって事は絶対にない」

 

光忠「ありがとう八さん」

 

優花里「これは庄子さんが作ってきたのですね!」

 

沙織「イケメンで料理できて、剣道やってるから強い上に性格も良好。完璧じゃないっ!」

 

光忠「はははは、ありがとう」

 

流石は光忠だ、あっという間に仲良くなりやがった。他の三振りは?

 

磯部「君運動神経良さそうだね! 我がバレー部に参加しない?」

 

太鼓鐘「バレーボールか良いな! 前にビーチバレーしたことあるけどバレーボールもやってみたいぜ!」

 

梓「鶴岡さんってその髪の毛自前なんですか?」

 

鶴丸「おう、それにしてもピンク色の戦車には驚いたぜ! 俺を驚かせるなんてやるなぁ!」

 

伽羅「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

左衛門佐「無言の佇まい、きっとただ者ではないな?」

 

カエサル「おそらく名の通った強者だな」

 

まぁなんとか受け入れられてはいるな。

 

アナウンサー《間もなく、試合開始の時刻です。選手以外の方達はご退場ください》

 

清光「あ、八さん。そろそろ行こう」

 

八幡「おう」

 

みほ「比企谷くん・・・・」

 

八幡「ん?」

 

みほ「その・・・・見ててね!」

 

八幡「あぁ、見ててやるよ」

 

俺はヒラヒラと手を振りながら、清光達と見学席に向かった。

 

 

ー見学席近くー

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・!!

 

西住達と離れ、見学席に向かおうとしていると、学園艦が有る港から、ものすごい地鳴りが迫って来た。

 

小町「あぁあれは・・・・」

 

清光「八さん、来ちゃったよ・・・・」

 

安定「聖グロリアーナの“護衛艦”だから、来るとは思っていたけど・・・・」

 

太鼓鐘「なんだなんだ??」

 

鶴丸「あぁ貞坊はまだ会ってなかったな・・・・?」

 

光忠「これは間違い無く“彼女”だね(苦笑)・・・・」

 

伽羅「(ため息)五月蝿いのが来た・・・・」

 

みんな思い思いに意見を言うと土煙を上げながらソイツはやって来た。

 

???「テーーーーーーイーーーーーートーーーーーークーーーーーーっ!!!」

 

土煙から跳び上がったソイツは、俺に抱きついた。

 

???「バーニングゥゥ! ラァァァァァァァァァブッ!!」

 

ムギュッ!!

 

八幡「ふごっ!!??」

 

抱きつかれた俺は倒れないように踏ん張る。そして俺に抱きついたソイツは、両サイドにシニョンを結った茶色いロングヘアー、西洋風にアレンジしミニスカートにした巫女装束の衣服、俺より二~三歳くらい年上の女性、イヤ“艦娘”。

 

八幡「こ、“金剛”・・・・!」

 

金剛「スリスリスリスリスリスリスリスリ! ンン~~♪提督~~❤ 会いたかったデ~~ス❤❤」

 

そう、俺に盛大に抱きついたコイツは『金剛型一番艦高速戦艦 金剛』。英国帰りの艦娘で、同じく英国風の聖グロリアーナの護衛艦として任務に励んでいる。

最近護衛任務や学校とかですれ違っていたりしたので、ほぼ久しぶりに会えたモノだから、過激なスキンシップもいつよりも(比較的に)激しい方だ。しかも、抱きついた金剛の身体から紅茶の良い香りや、俺の顔を挟んだかなり自己主張の激しいバストとか、俺の腰をガッチリホールドしたスラッとした太ももの感触が刺激的だ。なまじ金剛ってスタイル抜群で美人だし、柔らかいし良い匂いが・・・・ハッ、いかんいかん!

 

八幡「いい加減に、しろっ!」

 

金剛「Oh!」

 

なんとか自制心をフル稼働して金剛を引き剥がした。運良く他の見学者達は戦車道の試合が始まるのを今か今かと夢中になって気付いていなかったが・・・・しかし大型ディスプレイで観戦って結構大掛かりだな・・・・。

 

金剛「提督~久しぶりに会ったんだからもうちょっとスキンシップさせてほしいネ~」

 

八幡「お前のスキンシップは思春期男子には刺激が強過ぎるんだよ」

 

金剛「む~、でも諦めませーン。提督のHeartを掴むのは私デ~~ス!!」(ゴオォウッ!!)

 

背中からなにやら気合いの炎をバーニングさせている金剛に俺も小町達も半眼で呆れる。

 

太鼓鐘「なぁ八さん。この人も艦娘なんだよな?」

 

八幡「なんだ太鼓鐘はまだ会ってなかったんだな?」

 

金剛「ん? Oh! YOUがニューフェイスの刀剣男士デスネー!? はじめましてデース!」

 

太鼓鐘「おう! 俺は太鼓鐘貞宗! ヨロシクな!!」

 

金剛「元気の良いBOYネ! でも元気の良さなら私だって負けないネ!」

 

金剛はまるで戦隊ヒーローの名乗りのようなポーズを取る。

 

金剛「金剛型一番艦! 英国で生まれた帰国子女! 金剛デ~ス!」

 

ドオォンッ!

 

比叡「同じく二番艦! 恋も戦いも負けません! 『比叡』です!」

 

ドオォンッ!

 

榛名「同じく三番艦! 『榛名』、全力で参ります!」

 

ドオォンッ!

 

霧島「同じく四番艦! 艦隊の頭脳、『霧島』!」

 

ドオォンッ!

 

比・榛・霧『我ら、金剛型四姉妹!』

 

金剛「デ~ス!」

 

ドコッ!ドコッ!ドコッ!ドッゴーーーーーーンッ!!

 

何故かコイツ等の背中から砲撃をする大砲と、色鮮やかな煙が立っているのが見えるんだ? て言うか・・・・。

 

八幡「比叡、榛名、霧島、お前らまでなにしてんだ?」

 

榛名「それが、私達を久しぶりに提督に会わせようと、三日月ちゃん達が後押ししてくれて」

 

霧島「ご厚意に甘えようと思い、やって来ました」

 

清光「そもそも比叡さん達はいつの間に来ていたの?」

 

比叡「(金剛とハイタッチ) それはもちろん! 皆さんが金剛お姉様に注目している間に、こっそり、迅速に来ました!」

 

八幡「そんな事をするための高速戦艦じゃねぇだろうが・・・・」

 

『金剛型二番艦高速戦艦 比叡』。姉の金剛に百合な感情を抱く、灰色がかった茶髪のセミショートをした元気溢れるアホの娘。ちなみにバストサイズは姉妹の中で一番慎ましいサイズ。

 

『金剛型三番艦高速戦艦 榛名』。灰色がかった黒髪ロングで性格は控えめ、良く俺の仕事を手伝ってくれるし疲れた時は膝枕とかマッサージとかしてくれる大和撫子。バストサイズは長女と互角。

 

『金剛型四番艦高速戦艦 霧島』。黒髪ボブカットに緑色のフレームでオーバル型の眼鏡を着用した、四姉妹の中では(比較的に)沈着冷静な頭脳役。そして実は四姉妹1のバストサイズをした隠れ巨乳。

 

こんな喧しく常時ハイテンションで、勢い任せなところが有るが、赤城や加賀と言った一航戦と同じエースチームなんだよな・・・・。

 

光忠「アハハハハ、金剛ちゃん達は相変わらず元気だね・・・・」

 

伽羅「こう言うのは騒々しいと言うんだ・・・・」

 

鶴丸「ま、アイツらが元気なのは良いことだぜ♪」

 

金剛「oh! 燭台切に鶴丸に大倶俐伽羅! 三振りがいたとは!?」

 

榛名「でも大倶俐伽羅さんが来るだなんて珍しいですね」

 

伽羅「付き合いで来ただけだ」

 

安定「それはそうとさ、金剛さん達って聖グロリアーナの護衛艦を担当しているんだよね?」

 

清光「と言う事は向こうの戦車道チームとも知り合いなの?」

 

霧島「えぇ、ダージリンさん達とは良く任務の合間に紅茶の時間を共に過ごしています」

 

八幡「お前ら任務中になにしてんだ?」

 

小町(う~ん、金剛さんの過激なスキンシップにも揺らがないとは我がお兄ちゃんながら我慢強いなぁ、榛名さんももっと積極的になってくれれば良いけど・・・・ハァ、艦娘の皆さんにもLOVEの感情を抱かれているのに気付かないとは、本当にゴミぃちゃんなんだから・・・・!)

 

 

ーみほsideー

 

整列した戦車とそれぞれの車長達の前に、聖グロリアーナ女学院戦車隊、『チャーチル歩兵戦車Mk.Ⅶ』を中心に『マチルダ歩兵戦車Mk.Ⅲ』が4両でやって来た。

チャーチルから赤い軍服に白い肌に青い瞳、プラチナブロンドの髪を三つ編みにして後ろに纏めて、見るからにお嬢様と言わんばかりの品の良さそうな少女『グロリアーナ戦車道隊長 ダージリン』が降りてきた。

 

河嶋「本日は急な申し込みにも関わらず、試合を受けていただき感謝する」

 

ダージリン「構いません事よ。ところで、そちらのマネージャーの方は?」

 

河嶋「マネージャーとは、どちらのマネージャーだ? タレ目か? ツリ目か? 腐眼か??」

 

ダージリン「腐眼の方ですわ。お会いしたいと思っていたので」

 

優花里「(ヒソヒソ)腐眼と言う事は比企谷殿の事ですよね? 何でグロリアーナのダージリンさんが比企谷殿に??」

 

沙織「(ヒソヒソ)もしかして比企谷って向こうの隊長さんと恋人関係だったりして!?」

 

華「(ヒソヒソ)沙織さん、落ち着いてください」

 

河嶋「あいにくマネージャー達はもう見学席に行った」

 

ダージリン「そうですの・・・ハァ、2・3ヶ月ぶりですのに相も変わらずつれないお方・・・・それにしても、個性的な戦車ですわね?」

 

河嶋「なっ!?」

 

ダージリン「ですが、私達はどんな相手にも全力を尽くしますの。『サンダース』や『プラウダ』のように“下品な戦い方”は致しませんわ。騎士道精神でお互い頑張りましょう」

 

明らかに見下した態度のダージリンに河嶋はムカッとした態度になる。

 

審判「それではこれより! 聖グロリアーナ女学院対大洗学園の試合を始める! 一同礼!!」

 

『ペコッ』

 

戦車道の試合が始まった。

 

 

ー八幡sideー

 

さて、いつまでも三日月達にだけ護衛任務をやらせておく訳にはいかないので、金剛四姉妹を護衛任務に戻らせ、俺と小町、清光と安定、光忠と太鼓鐘、鶴丸と大倶俐伽羅は大型ディスプレイで試合を観戦する。

それぞれ所定の位置に付いた両校の戦車5両の画面を固唾を飲んで見つめる。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

審判《試合開始!!》

 

審判の号令で試合が始まった。はてさて、この試合で西住が隊長としての実力と、“強豪”と呼ばれる聖グロリアーナとの実力の差を知ることができるかな?

 




次回、『本丸鎮守府イベント企画部長』と『あんこう踊り』が出会う。

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