やはり俺が“とある本丸鎮守府”の審神者兼提督で戦車道までやるとか多忙過ぎるだろう 作:BREAKERZ
沙織「それにしても何だったの、あの黒森峰の副隊長さん!」
華「イヤな感じでしたわ」
武部と五十鈴がここまで個人を悪く感じるとは、相当あの副隊長の態度が気に入らなかったんだな。
八幡「副隊長はあんなでも、黒森峰女学園は優勝候補No.1の強豪だからな。大会に出場するならいずれぶつかるだろうよ」
優花里「それにしても比企谷殿があんなに食ってかかるとは以外でした」
八幡「まぁな、おかげで黒森峰の副隊長さんの性格が少し分かったがな」
沙織「性格??」
華「先ほどのやり取りで解ったのですか?」
八幡「あぁ、俺達が『繰り上げ』だの『成り上がり』だの『ラッキー副隊長』だのと呼ばれて、かなり腹を立てていただろう?」
沙織「うん、凄く気にしているって感じだったね」
八幡「多分本人も内心、[自分は西住みほがいなくなったお陰で副隊長になれただけ]って、本心では気にしているんだよ」
みほ「えっ? そんな事無いと思うけど・・・・」
安定「西住さんはそう思っても、あの副隊長さんはそうは思っていないんじゃないかな? じゃなきゃあんなに簡単に僕達の挑発に反応しないよ」
優花里「しかし、先ほど西住殿のお姉さんが諌めましたけど?」
清光「あの手のプライドの高そうなタカビーちゃんは、そう簡単に消化できていないよ」
八幡「それにこんな公共の場で感情的になって手が出そうになるって事は・・・・」
安定「直ぐにムキになって冷静さを欠きやすいって事だね?」
華「と申しますと?」
八幡「頭に血が昇って冷静さを欠きやすいと言う事は、指示を出す車長としては致命的な弱点になる。しかも彼女は間違い無く西住を意識している」
みほ「えっ? 私を??」
八幡「当然だろ? あの様子なら副隊長さんは西住のお姉さんを尊敬している。尊敬する隊長の妹で自分と同い年で自分の前の副隊長、戦車道を辞めた筈の“ライバル”が再び戻って来て意識しない方がおかしいぞ」
優花里「おおぉっ、あの短いやり取りや挑発行為で黒森峰の副隊長の性格と弱点を分析していたんですね」
沙織「何か、比企谷って敵に回したくないなぁ・・・・」
華「こちらの弱味をエグく突いて来そうですね・・・・」
オイコラ、お前らも淑女ならもう少し言動に気を使え。
みほ「逸見さんが、私をライバルって・・・・」
西住が困ったように顔を俯かせた、西住はこう言うライバル視される競い合いがあまり好きじゃなさそうだから反応に困っているんだな。
華「ケーキ、もう1つ頼みましょうか?」
麻子「(挙手)もう2つ頼んでも良いか?」
五十鈴が追加注文しようとすると冷泉が便乗してきた。つうかコイツ、あんな場面でちゃっかりケーキを間食してたのかよ? マイペースさなら宗近達平安の刀剣達に匹敵するかもな・・・・。
安定「八さん。僕達も(本丸鎮守府の)皆にお土産でも買っておこう」
八幡「そうだな。それじゃ“ホール”で何個か買っておくか」
沙織「えぇ?! ケーキをホールで何個もって、比企谷、お金大丈夫なの?!」
八幡「あぁ問題無いぞ」
優花里「比企谷殿って、もしやリッチなのですか?」
八幡「そんなんじゃねぇよ」
清光(昨日お給料が出たからって頻発しちゃってまぁ・・・・)
これでも本丸鎮守府で審判者兼提督をやっているからな。ケーキをホールで10個買っても余裕の給金が出ているんだよ。
* * *
それから俺達は連絡船に乗って大洗の学園艦に向かっていたが、俺は『西住まほさん』に連絡を取っていた(清光と安定は誰か来ないように見張り役)。
八幡「先ほどはどうも西住まほさん」
まほ《先ほどは我が隊の副隊長が無礼な態度を取ってしまい誠に申し訳ありませんでした・・・・》
八幡「イエ、こちらも少々態度が悪かったですから。それとそちらの副隊長は俺の事を知らないようですね?」
まほ《はい、比企谷提督の事は軍務上の秘匿として考え話さないように言われています。しかしグロリアーナのオレンジペコとアッサムは知っているようですが?》
八幡「あぁそれは・・・・まぁ気にしないでください・・・・」
言えん。金剛四姉妹が口を滑らしてしまったからだなんて、恥ずかしくてとても言えん。
まほ《そちらでは貴方の“仕事”の事を知っているのは?》
八幡「大洗では学園長を含めた一部の教師陣と生徒会だけですね。妹さんも知りませんよ」
まほ《そうですか・・・・それでみほは、その・・・・》
八幡「・・・・最初は乗り気じゃなかったですけど、今はそれなりに楽しそうに戦車道をしている感じですよ」
まほ《楽しそうに、ですか・・・・》
声の感じから“黒森峰戦車道隊長”ではなく、“西住みほの姉”としての西住まほだと分かった。平然としていたが、やはり妹が心配のようだ、同じく妹のいる身としては良く分かる。
八幡「安心してください。妹さんは思っているよりもずっとタフな性格していますよ」
まほ《・・・・比企谷提督。ご迷惑を承知でお願いがあります。みほの事、見守ってあげてください》
八幡「まぁ一応マネージャーですからね、出来る限りの事はします。こちらの事は気にしないで下さい、そちらも戦車道の試合、頑張ってください」
まほ《心配は無用です。一回戦で負ける事はありません》
うわぉ、『黒森峰戦車道の隊長モード』に切り替わった。つか一回戦ごとき勝つなんて当然ってか? 王者の貫禄有り過ぎだろう。姉妹揃って戦車道の事になるとキャラが変わるなぁ。
通話を切り、黒森峰の一回戦の相手を見ると、『知波単学園』と表示されていた。
八幡(あっ、こりゃ“西さん”達には悪いが、黒森峰は難なく通過するな・・・・)
『聖グロリアーナ』や、去年の優勝校『プラウダ学園』もそれぞれのブロックに上手く振り分けられているな。
麻子【強豪校が有利になるように、示し合わせて作った“暗黙のルール”】
八幡(冷泉が言っていたように、強豪校である黒森峰やグロリアーナやプラウダやサンダースが有利になるように振り分けられているような組み合わせだ。順当に行けばベスト4に入るのは常に4強。これはまだまだマイナーである戦車道のイメージアップの為の策謀が入っている可能性大だな。仕方ない、こちらも少し裏技を使うか・・・・)
俺はスマホを操作し、鎮守府にいる大淀に連絡を入れた。
八幡「あぁ大淀、俺だ。明日の他の学園艦との航路の打ち合わせだが・・・・」
* * *
学園艦に戻った俺達は西住達と別れ、本丸鎮守府に戻り、清光と安定も部屋に戻り、俺は本丸で書類仕事を終えて、長谷部と光忠とこんのすけと、鎮守府から来た長門と陸奥と大淀で“資金と予算”の話し合いをしていた。
八幡「そうか、それなりにやりくりはしているからまだ大丈夫なんだな?」
光忠「うん。ウチは鎮守府とも合併しているから、それなりに色を付けて貰っているからね」
こんのすけ「しかし、いつまで持つか分かりません。主さま、早急に対策を練った方が宜しいかと・・・・」
八幡「(ため息)だよな・・・・」
長谷部「くっ、申し訳ありません主。この長谷部が付いていながら・・・・!」
長谷部が苦い顔を浮かべて、資金が入った“がま口財布”を握りしめていた。がまちゃんがペッタンコだ。
八幡「まぁ仕方ねぇな。卯月<4月>の花見で結構な買い物をしちまったしな」
陸奥「かなり散財しっちゃたからね」
長門「主に次郎太刀と準鷹と日本号の為にな」
大淀「でも、素敵な思い出になりましたね」
俺達は本丸鎮守府の審判者の執務室の窓から見える、丘の上の大きな樹を眺めた。
今年の弥生<3月>の初め、それまでずっと枯れ木のような姿だったあの樹を、本丸鎮守府の刀剣男士や艦娘達の間で「何の樹なのか?」と話題となり、桜でも梅でもない、欅でもなければ檜でもない、ただの枯れ木ではないかと囁かれた。
皆は桜が良いと言い、桜の花を咲かせて欲しいと枯れ木だった樹に願掛けをするために安定が「薄紅色の短冊に願いを書いて、樹にお願いしてみよう。一振り一隻100枚ね」と言い出して、全員で書き出した。
そして皆の願いと気持ちが込められた薄紅色の短冊を吊るされた樹は、薄紅色の短冊が風に揺れ、まるで桜が満開に咲いたように美しかった。
短冊の中には『結婚!』とか『山伏さん、姉さんを貰ってください・・・・!』『夜戦!夜戦!夜戦!』『速きこと島風の如く!』『アイドル那珂ちゃん!』『提督と薬研君が私に甘えてくれますように❤』『提督にバーニングラブ!』『金剛お姉様とムフフ』『可愛い短刀がもっと来ますように』『胸を大きく・・・・』等が有ったような気がするが、深く考えないようにする。
それはさておいて、本当に願いが叶ったのか、樹に“桜の蕾”が芽吹いた時は流石に驚いた。そしてそれを見て鶯丸が呟いた。
鶯丸【誰かが言っていた。見たことがない木を見たら、それは『万葉桜』かも知れないと、一万年に一度だけ桜が咲く・・・奇跡の樹。それを見た者はどんな願いも叶うという】
そしてあの樹は『万葉桜』と呼ばれ、本丸鎮守府の名物となり、本格的に満開に咲いた卯月では、俺と清光と安定に小町も春休みでもあったため、毎日のように花見に宴会が繰り広げられた。
その際、『大太刀 次郎太刀』と『飛鷹型軽空母二番艦 準鷹』に『槍 日本号』と言った、我が本丸鎮守府の『飲んべえ代表』、別名『アル中軍団』が酒を飲み尽くしてしまい黒いオーラを纏って倒れた、慌てた何人かの刀剣と艦娘が生活必需品が売られている『万屋』に行って酒を買おうとしたが。何故か、酒ではなく鮭だったり、化粧用品だったり弁当だったり玩具だったりカメラだったりお洒落サングラスだったり、酒じゃない物を無駄に大量に買ってきてしまい散財したのである。
八幡「まぁ一応上の方に話は通してあるから、資金と予算の方は今は保留と言う事で良いだろう」
長谷部「はい・・・・」
長門「早く決まると良いのですが・・・・」
こんのすけ「では主さま、刀剣男士の顕現に参りましょう」
八幡「あぁ。長谷部、光忠。お前達も仕事に戻って良いぞ。長門、陸奥、大淀、皆も鎮守府に戻って良いぞ。あ、後お土産のケーキは皆に均等に渡しておいてくれよ」
『(コクン)はい』
全員が頷いたので、俺はこんのすけを連れだって研ぎ部屋に向かおうとした。
八幡(ん、山姥切に清光? なにしてんだ?)
丘の上の樹のふもとに座っている山姥切に清光が近づいている姿が映ったが、後で聞いてみようと思ったので研ぎ部屋に向かった。
ー清光sideー
清光「どうしたの山姥切?」
山姥切「加州・・・・」
学校から帰った俺は、縁側で同じように任務から帰投してきた那珂ちゃんの髪を櫛で梳いていた。ちなみに安定は川内ちゃんと万屋に買い物に行った。すると近くで丘の上の樹を眺めている叢雲ちゃんを見かけたので話しかけると、昼間にソハヤノツルキと何か話をしてからずっと山姥切が丘の上の樹にもたれながら上の空状態になっているらしい。
叢雲【あのバカ<山姥切>、この間顕現したソハヤノツルキが自分と同じ“写し”なのに、その事を気にしていないからずっとソハヤノツルキを見ていたのよ。それで今日、私が任務<学園艦の護衛>から帰って来て見れば、あぁなっていたのよ。まったく心配させっ・・・・べ、別に山姥切の事なんかまったく心配なんかしてないわよ! アイツがいつもよりブルーになっていると鬱陶しいだけだから!!///////】
な~んて、誰も何も聞いてないのに、顔を赤らめてツンデレ台詞を出す叢雲ちゃんの言葉をにこやかに聞き流して、刀剣男士同士なら話しやすいだろうと俺が山姥切に近づき、話しかけ山姥切の隣に腰を下ろす。
清光「当ててやろうか? ソハヤノツルキでしょ?」
山姥切「・・・・・・・・」
清光「皆から聞いたけど、ソハヤノツルキは内番の仕事を率先してやってくれているし、鍛練にも付き合ったり、飲み付き合いも良いし、面倒見も良くて頼れる兄貴分って感じで艦娘の皆とも直ぐに打ち解けて、評判が良いみたいだね?」
山姥切「あぁ、ソハヤノツルキも俺と同じ“写し”だ。しかし俺とは何が違うのか、それが分からなかった」
清光「それでソハヤノツルキを観察していたの?」
山姥切「あぁそれで思いきって聞いてみたんだ、何故お前は“写し”である事を気にせずにいられるんだって・・・・」
清光「それで?」
山姥切「ソハヤノツルキは・・・・」
ソハヤ【別に気にしてない訳じゃないぜ。だけどそんな事気にしたって仕方がないだろう。俺は生まれた時から“写し”なんだし、なら前を向くしかねぇじゃねぇか? “写し”から始まっても良いじゃねぇか。問題はその後だ、生きた証が物語るよ。お前<山姥切国広>の物語を造りな。きっと“お前だからこそ出来る事”がある筈だぜ!】
清光「へぇ~カッコいい事言うね?」
山姥切「それで少し考えていたんだ。“俺だから出来る事”と言うのは、一体なんなんだろうっとな」
清光「それで上の空状態だったて訳ね?」
山姥切「・・・・・・・・」
清光「あのさ山姥切、これはちょっと前に主が言っていたんだけどさ」
山姥切「主が?」
清光「うん、戦車道を始める前に戦車を探して西住みほちゃんと話をしていた時にね」
八幡【自分のやるべき事をちゃんと理解して、自分の成すべき事を成そうとしている立派な奴等だ。だから俺はソイツらを“贋作だ”とか“写しだ”とか区別しないし、ソイツらを“尊敬”している】
山姥切「主が、俺を尊敬している・・・・?」
清光「うん、主は俺達の事を大切にしてくれて、尊敬してくれている。山姥切はさ、“自分だから出来る事”が分からないって言うけど、山姥切って結構俺や安定の相談相手になってくれているじゃん」
山姥切「何?」
清光「俺と安定は“主の護衛役”って本丸鎮守府で最重要任務に付いているけど、やっぱり出陣回数が激減している事にちょっと悩んでいた時、山姥切はこう言ってくれたでしょ?」
ほぼ一日中主と一緒にいられる上に、主と一緒に学校生活まで送っているくせに贅沢な事を言っているって事は分かっているけど、刀剣男士としてやっぱり出陣が少なくなるのは、刀剣男士としての務めを果たせないから悩んでいたんだよね。
山姥切【加州と大和守は、主が“一番一緒にいて安心できる刀剣男士”だ。加州がいたから今の主がいる。大和守がいたから主は今を楽しめている。お前達二振りが、一番主と近しい刀剣だから、主の護衛役を任されているんだ】
清光「あの時、俺達って主に愛されているって思って、嬉しかった。山姥切は皆から一歩離れた距離から皆の事を見ている。そんな山姥切だから、本人が気づいていない事にも気づく事ができるでしょ? それにさ、去年阿津賀志山での出陣で、過去に捕らわれていた今剣を叱咤したでしょ? 安定に聞いたよ。山姥切は皆の事を陰ながら見ているから助言が上手いんだよ」
山姥切「俺が、皆の事見ているか・・・・」
山姥切が顔を上げると同時に一陣のそよ風が吹いて、山姥切のフードのように被った布を捲った。すると綺麗な金髪と端正な顔立ちをした『本丸鎮守府の隠れイケメン』、山姥切国広の素顔が見えた。
山姥切「あっ・・・・!」
布を取った素顔を晒したくない山姥切が、慌てて布を被り直そうとする。
清光「えぇ何で被り直すの? 羨ましい位キレイなのに~」
山姥切「キ、キレイとか言うな!!」
このように『本丸鎮守府の隠れイケメン』と呼ばれる程の美形なのに、“写し”だからと布で自分の素顔を隠すんだよね、それでキレイって言われると照れているのか、恥ずかしいのか直ぐに隠したがる。
清光「やっと山姥切らしくなったじゃん♪」
山姥切「あっ・・・・」
清光「ほら、山姥切が落ち込んでいると、向こうの艦娘ちゃんが心配しちゃうよ」
俺が指差す先には、那珂ちゃんに背中を押されながら向かってくる叢雲ちゃんがいた。
山姥切「叢雲・・・・心配をかけた」
叢雲「べ、別に心配なんかしてないわよ! ほら! 提督が皆に食堂に集まれって言ってたから行くわよ!」
山姥切「あぁ」
そのまま手を繋ぎ合って本丸に戻っていった。すると那珂ちゃんがモジモジした感じで俺に近づく。
那珂「清光く~~ん❤」
清光「分かってるよ、はい那珂ちゃん」
俺も那珂ちゃんと手を繋いで本丸鎮守府に戻った。うん、やっぱり那珂ちゃんとこうしていると、何か落ち着くな。
ー八幡sideー
さてと、本丸鎮守府・食堂に集まった皆に新たな刀剣男士を紹介する。
八幡「喜べ藤四郎兄弟。新しい兄弟達が来たぞ」
後藤「よ! 後藤藤四郎だ! 今にでっかくなってやるからな!」
信濃「俺、信濃藤四郎。藤四郎兄弟の中でも秘蔵っ子だよ。宜しくね!」
ツリ目に明るい茶髪に紫色のメッシュが入った刀剣男士、『短刀 後藤藤四郎』。
赤い短髪に明るい雰囲気のある刀剣男士、『短刀 信濃藤四郎』。
鯰尾「後藤! 久しぶりだな!」
後藤「鯰尾! また会えて嬉しいぜ! ここでも宜しくな!」
信濃「沢山兄弟達が居ると聞いていたから、兄弟達に会えて凄く嬉しいよ!」
乱「こちらこそ♪」
八幡「今日は遅いし、本丸鎮守府の案内は明日だな。一期一振、任せて良いか?」
一期「はい主。私も弟達と一緒にいたいですしね」
我が本丸鎮守府でも兄弟の数が多い粟田口吉光作の藤四郎兄弟。ちなみに鳴狐も粟田口だが、正確には粟田口国吉作であるため、藤四郎兄弟には含まれない。
長門「(後藤&信濃を注視中)」
陸奥(あ、姉さんのショタコンセンサーが反応してる・・・・)
和泉守「おい、そこのショタコン。新しく来た新入りを早速色目で見るな」
長門「な!? だ、誰が色目で見ているか!!」
和泉守「イヤ完全に後藤と信濃を色目で見てただろ?」
長門「そ、そんな事は無い!」
和泉守と長門が騒いでいるが、巻き込まれたら面倒だし無視しよう。
鳴狐(キツネ)「(ボソボソ)小町様、これで新しいAWT48のメンバーが揃いました」
小町「(ボソボソ)うんうん、後藤君と信濃君にも歌や踊りを教えないとね~♪ 宜しく頼むよ鳴狐マネージャー」
鳴狐(本体)「(ボソボソ)お任せください、小町社長」
なんか小町と鳴狐が不穏な事を喋っているが、とりあえず気にしないでおこう。明日は色々忙しいからな、早く寝るか。
~翌日~
安定「良いのかなぁ? サンダース付属に来ちゃって」
清光「あくまでサンダースの学園艦の航路スケジュールの確認だし、そのついでに偵察もやるだけだよ」
八幡「清、安、ブツブツ行ってないで行くぞ。大淀、サンダースの学園長との会議までの時間は?」
大淀「はい、二時間後に予定しております」
現在俺は、護衛役である清光と安定、秘書艦(代理)である大淀を連れて、サンダース大学付属高校のある学園艦に来ていた。
学園艦の護衛艦である艦娘達の司令官である俺は、定期的に他の学園艦に赴いて航路のスケジュール会議を行っている。あくまで軍務で仕事だから学校側からも了承を得ている。本来ならサンダース付属との会議はもう少し先だが、今回戦線道の一回戦での相手でもあるから予定を早めて赴いた。一応表向きは『来客』と言う事なので、それを証明するネームプレートを付ける。
大淀「提督、“まだ二時間”の時間が有ります。私は待合室で待っていますから、提督と加州さんと大和守さんは自由行動をしてきて下さい。時間が来たら連絡します」
八幡「分かった。苦労をかける・・・・」
大淀「イエ、お気になさらないで下さい」
優しく微笑む大洗。無理にサンダースとの会議を早めてくれた大淀には苦労をかけているな、本当に頭が下がるわ・・・・。
* * *
さてと、大淀の行為に報いる為にも、サンダース付属の戦車道チームの情報を集めないとな。とりあえず戦車道の格納庫に向かおうとしているが、サンダース付属はリッチ校なだけに学園艦も大きく広い、部外者だと地図無しで歩いていると迷子になってしまうな。
清光「ここがサンダース付属の戦車か」
安定「すごい数の戦車だね。八さん、何て戦車なの?」
八幡「これは『M1シャーマン』だな。流石はお金持ち学校、機甲大隊一個分(約50両)もある」
ようやく戦車道の格納庫に来た俺達はサンダースの戦車の数に圧倒されていた。50両もあると不備が有っても直ぐに修理・補修ができるから常にベストな状態で試合に挑めるな。
八幡(ん? あのシャーマンの近くにあるのは、“通信傍受機”か? 正々堂々と試合に挑むサンダースに似つかわしくない物が置かれていると言う事は・・・・?)
???「どうしてよタカシ~! どうして私の気持ちに気づいてくれないのよ~!」
なんか近くで山伏とのデートをすっぽかされて、やけ酒を飲んで泥酔している足柄のような声が聞こえたが・・・・。
安定「八さん、アソコ、アソコ・・・・」
安定が指差す方を見ると、赤みかかった茶髪に小さなツインテールにした少女がシャーマンの近くで泣きじゃくっている少女がいた。
???「タカシ~~~!」
サンダース付属の戦車道チームのパンツァージャケットを着た少女がいた。確か彼女はサンダースの『アリサ』だったけ? 本名なのかニックネームなのか分からんな。
アリサ「・・・・ハッ!」
八・清・安「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」
アリサさんはようやく俺達の存在に気づいたのか、唖然として俺達を見つめて、俺達もなんとも言えない顔でアリサさんを見ていた。見てはならないモノを見たしまった気分・・・・。
アリサ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
八・清・安「「「・・・・・・・・・・・・・」」」
お互いに無言のまま動かないでいた。どうすんだよこの空気・・・・。
アリサ「・・・・し・・・・」
八・清・安「「「“し”・・・・??」」」
アリサ「し、侵入者!? 不審人物! 不法侵入者!!」
アリサさんが慌ててがなりたてた、まぁ女子校に男性がいたら当然こんな反応だわな。
???「何をしているんだいアリサ?」
すると戦車道格納庫に、灰色のボーイッシュなベリーショートのイケメンフェイスの女子が現れアリサさんの隣に付いた。何だ? この天龍と木曾のようなおっぱいの付いたイケメン系女子は?
アリサ「ナ、“ナオミ”! 不法侵入者よ! 今すぐ隊長に連絡して!」
ナオミ「落ち着きなよアリサ、彼らの胸に『来客』のネームプレートが刺してあるだろう?」
『ナオミ』、そうか彼女がサンダースの名砲手のナオミか、実力的には高校生戦車道でかなり名前が通っている女子だな。
アリサ「ホントだ。でも何でウチの戦車格納庫に来ているのよ?」
八幡「あぁ、それはその・・・・」
不味いな、「貴女達の戦車の偵察に来たんです♪」なんて言える訳無いし、清光も安定もどうしょうかと困り顔だ。何も言わない俺達にアリサさんとナオミさんが訝しそうに見つめている。
八幡「じ、実は・・・・」
???「ウワオォッ!! 八幡ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
ドスン! ボニュン!
八幡「うおぉっ!?」
背中から陽気な声が響くのと同時に何かが背中に突撃した衝撃と、とてつもなく柔らかく弾力に溢れた優しい感触が背中に当たっていた。
八幡「ケ、“ケイ”さん?」
ケイ「YES! ひっさしぶりね八幡! 中々こっちに来てくれないから寂しかったわ!!」
俺の背中に突撃してきたのは、ウェーブがかかった金髪ロングに、パンツァージャケットの下のタンクトップから見える深い谷間と、これぞアメリカンドリームと言わんばかりのメリハリが効いたナイスバディをした陽的な明るい美女(一応日本人)、『サンダース大学付属高校戦車道隊長 ケイ』さんだ。太陽のように明るさとポジティブな雰囲気でメンバーをまとめる隊長だ(一応日本人)。
八幡「お久しぶりですねケイさん。相変わらず元気(&ナイスな感触)ですね・・・・」
ケイ「まぁね! 清光も安定も久しぶり!」
相も変わらず狙っているのか、天然なのか、俺の背中にもたれながらも、そのナイスなバストを押しつけながら清光と安定にも挨拶するケイさん。あの、嬉しい感触だけど離れてくれませんかね?
清光「久しぶりケイさん♪(やれやれ、小町ちゃんのお義姉さん候補のご登場だ)」
安定「また会えて嬉しいですよ(八さん、あんまりデレデレしないでね)」
目線で何か言っている。清光の言葉の意味は解らんから兎も角。安定よ、甘く見るなよ。ケイさんのボディアタックでデレデレするならとっくに金剛のスキンシップで骨抜きになっとるわ。
アリサ・ナオミ「「(ポカーン・・・・・・・・)」」
おっと目の前にいた二人が突然の展開に目を白黒にして呆気にとられていた。
八幡「ケイさん。チームメイトの二人が唖然としてますよ」
ケイ「OH! そうだった。アリサ、ナオミ、紹介するわね。こちらの二人は加藤清光に山本安定。そしてこちらの彼は、私のボーイフレンドの比企谷八幡よ♪」
オイ! 何か爆弾発言が来たぞ!
アリサ「えっ? ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!! こんなゾンビ映画に出てきそうな腐った目の男が! た、隊長のボーイフレンドーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!???」
ナオミ「(口笛)ヒュ~~♪♪」
ナオミさんは冷やかすように口笛を吹き、アリサさんは失礼な事を叫んで両膝を付いて項垂れた。
アリサ「そ、そんな・・・・そりゃ隊長は確かに美人だし、胸も大きいし、本当に日本人か?(一応日本人だけど)って思うくらいスタイルも抜群に良いし、性格も良好だし、ファンも多いけどナオミと同じ女の子のファンばかりで男の影なんて全く無いと思っていたのに・・・・! ただでさえ色々恵まれていているのにさらに彼氏までいるなんて、どんだけリア充なのよ・・・・!!」
何か、色々と現隊長に対してコンプレックスがあるようだな未来のサンダース隊長は。何か親近感湧くわ。
八幡「あの、アリサさんで良いですか? 言っとくけど、ケイさんが言っている“ボーイフレンド”って言うのは“男友達”と言う意味でのボーイフレンドなんすよ」
アリサ「えっ? そうなの?」
ナオミ「それは少し残念だね。隊長の恋人がどんな人なのか興味有ったのに」
嘘は言っていない、ボーイフレンドは直訳すると男友達って意味だから間違ってはいない筈だ。
ケイ「(ボソボソ)私は両方の意味を込めてボーイフレンドって言ったんだけどな~」
清光「(ボソボソ)すみませんケイさん、ウチの八さんは人の好意に本当に鈍感でして・・・・」
安定「(ボソボソ)年齢=恋人いない歴が影響してるんです・・・・」
オイコラ、何か凄く失礼だぞお前ら。
ケイ「ノープログレムよ! “的”が攻略の難しい難攻不落な強敵の方が、私って燃えるから!」
あのケイさん、“的”ってなんですか? “的”って?? 何か得たいの知れない寒気がするんですけど??