やはり俺が“とある本丸鎮守府”の審神者兼提督で戦車道までやるとか多忙過ぎるだろう 作:BREAKERZ
河嶋《全校生徒に告ぐ、体育館に集合せよ、体育館に集合せよ・・・》
西住と武部と五十鈴が保健室に行って少しして、河嶋先輩からの放送が流れ、全校生徒は体育館へと集まり、ステージの前では風紀委員の生徒が壁を作るように列び、その後ろから生徒会の三人が現れた。俺と清光と安定は西住の様子が見えるように近くに座る。ストーカーではないからな断じて。
安定「八さん、会長が遂に始めるみたいだよ」
清光「これから大変だね」
八幡「ま、ウチの生徒会が何かやるのはこの学園の生徒なら最早慣れっこなモノだからな」
そして生徒会の巻き起こす面倒事に漏れなく巻き込まれるのはいつも俺達なんだよな。なんでさ・・・。
河嶋「静かに! それではこれから必修選択科目のオリエンテーションを開始する」
河嶋先輩が告げると、体育館の明かりが消えて、生徒会の三人の後ろのスクリーンにプロモーション映像が映し出される。
【戦車道入門】と力強く達筆で書かれた画面が映され、アナウンスが流れる。
アナウンス《戦車道。それは、伝統的文化であり、世界中で女子の嗜みとして受け継がれてきました》
アナウンスを聞きながらチラッと西住のいる方を見ると、西住が項垂れていた。残念ながら西住、生徒会はお前を逃がすつもりは無いようだ。
アナウンス《伝説の有る、淑やかで慎ましく、そして凛々しい婦女子を育成する事を目指した、武芸でも有ります》
清光「(ボソボソ)“伝説”って、“淑やかで慎ましくて凛々しい婦女子”なんて、俺達は毎日のように見てるよ」
安定「(ボソボソ)“大和”さんとか“扶桑”さんとか“鳳翔”さんとか“間宮”さんとか“翔鶴”さんとか“千歳”さんとか、その手の女の人達は良く見ているからね」
八幡「(ボソボソ)別に戦車道でそんな大和撫子な乙女が生まれるとは思えんが・・・」
むしろ好戦的な漢のような乙女、“漢女”が生まれるのでは? “天龍”とか“木曾”みたいな・・・。チラッと見ると西住は更に項垂れ、武部は注目し、五十鈴は目を輝かせている。おい西住よ、お友達が生徒会の策略に取り込まれそうになってるぞ。
アナウンス《戦車道を学ぶ事は、女子としての道を“極める”事でもあります。鉄のように熱く強く、無限機動のようにカタカタと愛らしい、そして大砲のように情熱的で必殺命中!》
ドオオオオオオオオオンンっ!!
映像の中の戦車が大砲を放ち、体育館にいる生徒の大半がそれに驚いていた。艦娘達の演習を間近で見ている俺達には派手なBGMに聞こえる。まぁ俺は戦車の砲撃音も嫌いではないが・・・・。
アナウンス《戦車道を学べば、必ずや良き妻、良き母、良き職業婦人になれることでしょ。健康的で、優しく逞しい貴方は、多くの男性に好意をもって受け入れられる筈です》
戦車乗ってりゃ良妻賢母になれんのかよ? 周りを見ると男子生徒達は戦車を見ている奴から、欠伸をしている奴や寝ている奴がチラホラ見れるな。まぁ戦車道は女子の嗜みだから男子にはあまり興味が湧かないよな、本来は男の乗り物なのに。西住の奴、聞こえないフリをしようとしてるし、武部なんて顔を赤らめて食い入るように見てやがる。
清光「(ボソボソ)俺はどうせなら一緒にお洒落を楽しんだり、髪飾りとかを可愛くデコったりして楽しめる、明るい子が好きだけどなぁ」
安定「(ボソボソ)僕は一緒に戦闘を楽しめる好戦的な女の子が好きだから、戦車道をやる女の子は悪くないと思うよ」
八幡「(ボソボソ)お前ら良かったな、ストライクな女の子と恋仲になれて」
とっとと爆裂しやがれ・・・・!
アナウンス《さぁ!皆さんも是非、戦車道を学び、心身ともに健やかで美しい女性になりましょう!》
最後に【来たれ乙女達!】と又もや達筆で書かれた画面が映し出され、やっとプロモーション映像は終了した。するとステージで小さな爆発が起きて、会場が少しどよめく、派手過ぎだろうが。煙が晴れると生徒会三人衆が再び壇上に立つ。
沙織「はぁ~~~・・・///」
華「素敵ね・・・///」
みほ「・・・・・あっ・・・あぁっ・・・!」
武部は恍惚なため息を吐き、五十鈴は頬を赤らめ、西住は漸く顔をあげると、すっかりその気になっている友人二人に戸惑う。
八・清・安「「「(不憫な・・・)」」」
哀れみの目で見る俺達だが、壇上の河嶋先輩が演説をはじめる。
河嶋「実は、数年後に戦車道の世界大会が、日本で開催される事になった。その為、文科省から全国の高校大学に、戦車道に力を入れるよう要請があったのだ」
角谷「んで! ウチの学校も戦車道を復活させるからねぇ。あ、男子の皆は関係無い態度を取っちゃダメだよ~、何人かの男子生徒には戦車道の『マネージャー』をやってもらうからね~♪」(チラリ)
会長が一瞬チラリと俺達を見据えた。あぁ、『マネージャー』って俺達なのね・・・。
角谷「選択すると色々特典を与えちゃおうと思うんだ、副会長」
小山「成績優秀者には、『食堂の食券100枚』、『遅刻見逃し200日』、さらに『通常授業の三倍の単位』をあげます!」
『おお~~~~っ!!』
なるほど特典で部員を釣る作戦か、まぁ『食券』に『遅刻見逃し』に『三倍の単位』ともなれば、参加者はかなりの数が期待できるな。
安定「(ボソボソ)随分と思いきったね・・・」
清光「(ボソボソ)それだけ、あの会長達も必死って事でしょ」
八幡「・・・・・・・・」
角谷「と言う訳でよろしく~♪」
会長の一言で集会はこれにて解散となった。
ー八幡sideー
河嶋「断られただとぉーーーーーーーーっ!!??」
集会が解散された後、俺と清光と安定は生徒会室に行って西住の勧誘失敗を報告すると、予想通り河嶋先輩の怒号が響いた。あぁマジうるさい・・・・。
河嶋「貴様らはぁっ! 男が三人も揃って、人一人を勧誘する事すらできんのかぁっ!?」
清光「そんな事言われても、本人がやりたくないって感じなのに無理矢理やらせても戦力にはならないでしょう?」
安定「西住さん自身がやる気にならないとどうにもならないよ」
河嶋「貴様らはやる気があるというのかっ!? 西住が加入しなければ!」
角谷「カーシマ、少し黙って~」
河嶋「か、会長・・・」
再び怒鳴りそうになる河嶋先輩を会長が静めた。流石だ、あの先輩に任すと進む話も進まなくなるからな。そして会長は俺を見据える・・・ヤダ怖い、河嶋先輩よりも俺は会長の方が百倍恐い・・・。
角谷「比企谷ちゃん、西住ちゃんが入らないとウチは全国大会を勝ち抜ける?」
八幡「百%の確率で一回戦で惨敗して敗退ですね。身の程知らず共が一昨日来やがれですよ」
小山「そこまで言うの比企谷くん!?」
八幡「当然でしょ。ウチの学校には戦車道経験者ゼロ、戦術戦略を考え指揮する指揮官もいない。それ以前に大前提として戦車も無い。負ける要素の三段突きですよ」
河嶋「だから西住をこちらに引き入れろと言ったんだろうがっっ!!」
八幡「清光の言っていた通り、西住本人が戦車道をやる気概が無いなら入れても無駄ですよ。やる気の無い人間を引き入れたとしても、こう言ってはなんですが“邪魔”にしかなりません」
角谷「イヤ~、比企谷ちゃんも結構容赦ないね~」
八幡「俺も一応“部隊を指揮する立場の人間”ですから、こう言う事はシビアに考えないといけませんからね」
角谷「んじゃさ、比企谷ちゃんならどうする?」
俺の回答を楽しむように聞いてくる会長、この人も結構食えない人だよなぁ・・・。
八幡「ま、西住の友人となった武部と五十鈴は戦車道に興味を抱いたようですし、現状では明日の西住の行動次第としか言い様が有りませんね」
河嶋「それで西住が断ったらどうする!?」
八幡「そんときは生徒会に連れて来ますんで、今度は会長達が直々に勧誘の説得をしてください。俺達はこれで失礼します」
小山「ま、待って比企谷くん!」
河嶋「待て比企谷! 貴様そんな無責任な!!」
河嶋先輩が俺に掴みかかろうとしたが、俺に伸ばされた手は安定に掴まれ、更に俺を庇うように清光も立ち塞がる。
清光「(ギロンッ!)」
安定「(ギランっ!)」
河嶋「ひぃいっ!!」
清光と安定が敵を見るような鋭い視線で河嶋先輩を睨むと、先輩は直ぐに手を引っ込めて小山先輩に抱きつき怯える。まぁ相手は『壬生の狼』と異名を轟かせた新撰組 沖田総司の愛刀コンビ。河嶋先輩とじゃ『ニホンオオカミ2匹とチワワ』くらいの差はあるわな。
八幡「清光、安定・・・・」
清・安「「わかってるよ、八さん」」(スゥッ)
殺気を引っ込めた清光と安定を連れて俺は生徒会を出ていった。
ー生徒会メンバーsideー
角谷「イヤ~普段は大人しいし明るい良い子達だけど、流石は“鎮守府提督の護衛役”、加藤ちゃんも山本ちゃんも凄い迫力だったね~」
小山「でも会長、比企谷くん達を無理して戦車道のマネージャーにする事も無いと思いますよ。只でさえ比企谷くんは多忙なのに・・・」
びくびくと震えている河嶋を宥める小山。
角谷「まぁね、でも比企谷ちゃんはあぁ見えて他の学園艦の人達とも交流があるし、以外と観察眼もある上に結構俯瞰的かつ冷静に状況を見る目も持ってるし、めんどくさがり屋だけどちゃんと仕事はするし付き合いも良いからさ、西住ちゃんの良い“相談役”になってくれると思うんだよね~」
生徒会室の窓から、走り去る八幡と清光と安定を眺めながら、角谷杏子は意味深な笑みを浮かべていた。
ー八幡sideー
俺達は生徒会室を出て教室で西住を見かけると、かなり沈んだ顔をしていた。どうやらこっちも予想通り武部と五十鈴が戦車道に興味を持ち「一緒にやろう」と誘われたが、どうすれば良いか迷っているようだな。これが人間関係で一番面倒臭いところなんだよな。周りの人間は当人の気持ちを考えずに「楽しそうだから一緒にやろうよ」と誘われ、それを断ると「アイツ空気読めないよな」とか「つまんねぇヤツ」とか、友達面していた奴らは簡単に手のひら返しをしてハブられる。ホント面倒だよ。帰ろうと鞄に教科書を詰めようとすると『審神者用のタブレット』の画面が起動し、“ある文字”が表示された。
【要請連絡】
“政府からの要請”が表示され、俺は直ぐに取り出して読み上げる。俺の様子に気づいた清光と安定も気を引き締める。
清・安「「八さん」」
八幡「清、安、行くぞ」
清光と安定を連れて、俺達は大急ぎで学校を出ようとする。廊下で園先輩が「廊下を走らない!」と注意されたがそれどころではない、途中『仲の良さそうな一年生集団』と『妙なコスプレをした四人』とすれ違ったり、『バレーボールのユニフォームを着た四人』から「凄い脚力だ!」「あの三人、是非我がバレー部に!」等と聞こえたが知ったことじゃない。俺達は学校を出て家に向かう途中、俺は走りながらスマホで本丸にいる長谷部に連絡を入れた。
八幡「長谷部、聞こえるか?」
長谷部《主、政府からの要請ですか?》
八幡「あぁ、直ぐに今から言う“四振り”に“出陣準備”をするよう通達してくれ」
長谷部《“四振り”、ですか? 後の“二振り”は?》
八幡「清光、安定、学校帰りだが、行けるか?」
清光「全然余裕♪」
安定「最近“出陣”してないから腕がウズウズしているところだよ」
八幡「良し、長谷部。後の二振りは清光と安定だ。二振りの“戦闘服”の準備をしといてくれ。後の“四振り”はーーーーーーーー」
長谷部との連絡を終えた俺達は家に付く。
小町「あ、お兄ちゃんに清光さんに安定さんおかえり~」
家に入ると丁度帰ってきていた小町と鉢合わせする。
八幡「すまん小町、これから清光と安定は“出陣”だ」
小町「えぇ!?」
清光「ごめんね小町ちゃん!」
安定「今急いでいるから!」
小町「あっ、三人共待って!」
小町が俺達の後を追い、俺達は俺の部屋に入り、“向こう側が無い筈の襖”を開け、“本丸鎮守府の審神者の部屋”に到着すると、長谷部と長谷部の肩に乗った“一匹のキツネのような謎生物”が待っていた。
長谷部「おかえりなさいませ、主、小町さま。加州、大和守、主の護衛役ご苦労」
???「おかえりなさいませ、主さま」
八幡「おうただいま、長谷部に“こんのすけ”」
このキツネを二頭身くらいまでデフォルメされたぬいぐるみのような姿をして流暢に“人間の言葉を喋っている謎生物”は、“こんのすけ”。“務めクダギツネ”として『主お世話係』の長谷部と共に俺の仕事のサポートをしてくれているが、もっぱら小町の遊び相手が仕事だ。こんなの生み出すとか日本政府の脅威だわ。
長谷部「二振り共、“戦闘服”の用意は終わっているぞ」
長谷部は衣紋掛けに掛けられた清光と安定の“戦闘服”を見せた。
安定「ありがとう長谷部」
清光「助かるよ」
長谷部「礼は良い、“刀剣男士としての勤め”を果たせ。主、主の衣服も準備しております」
八幡「あぁ、だが俺は上着だけで良い。清光、安定、先に行ってるぞ」
俺はブレザーを脱いで“審神者の衣装”の上着を肩に羽織り、長谷部とこんのすけを両手で抱き持った小町を連れて『時空転移装置<通称時空門>』のある本丸の中庭に行くと、先に待っていた光忠と天龍と、既に集まっていた他の“刀剣男士”達が、“艦娘”とイチャコラしてやがった。
???「(キュッ)“髭切”さま、これで準備は万端ですよ」
???「うん。ありがとう“千歳”」
銀色の髪に凛々しい顔つきの艦娘『千歳型一番艦水上母艦 千歳』が淡い黄色の髪をした刀剣男士『太刀 髭切』の身だしなみを整えていた。
???「“膝丸”、まぁ気を付けなさいよ」
???「当然だ“千代田”、兄者の評判を落とす真似はしない」
薄緑色のアシンメトリーの髪型をした“髭切の弟”である刀剣男士『太刀 膝丸』と、茶色の肩口まで伸びた髪にバンダナをつけた千歳の妹である艦娘『千歳型二番艦水上母艦 千代田』と話をしていた。
髭切「そんなに気張らなくて良いよ。えっと・・・・」
膝丸「名前を覚えてくれ、兄者!」
千歳「髭切さま、膝丸さまです、膝丸さま」
髭切「あぁ、膝丸さまか」
膝丸「兄者! “さま”は付けなくて良いんだ!」
千代田「千歳姉ぇも膝丸に“さま”なんて付けなくて良いじゃない!」
相変わらずのやり取りだな。『源氏の重宝』とされていた髭切と膝丸は、平安時代を生きてきた刀剣男士だ。千年以上の間、妖<アヤカシ>を切ったり、持ち主が名前を改名した事も何度もあったようで、今は試し切りとして罪人を斬首した際、兄は髭まで切ってしまった事から“髭切”、弟は斬首した罪人の両膝まで切ってしまった事から“膝丸”とよばれ、その名で通っている。
髭切自身は名前に頓着が無いので何度も弟である膝丸をわざとなのか天然なのか忘れてしまい、その度に膝丸か千歳か千代田がツッコミを入れている。
???「よっしゃ! “獅子王”様の実力、見せてやるぜ!!」
???「張り切り過ぎてドジ踏まないようにね、“獅子王”♪」
師子王「ドジる訳ねぇだろうが、“鈴谷”!」
鈴谷「そう言うのをフラグって言うんだよ!」
気合いが入っている黄色い髪に黒いモフモフとした謎生物を肩にのせた俺様キャラが出ている刀剣男士『太刀 獅子王』。平安時代の末期に“老人でも扱える細く軽い太刀”のコンセプトで造られた刀だ。本人は背が低いのを気にしているが、おじいさんに優しいおじいちゃんっ子で、妖怪“鵺”を斬り倒した“源頼正”を“ジッチャン”と言っている。「ジッチャンの名に賭けて」なんて名セリフを言うが、何処の名探偵の孫だ。
そしてその獅子王の口喧嘩している薄緑色のセミロングの今時女子高生な雰囲気の艦娘『最上型三番艦重巡洋艦 鈴谷』である。まるで気心の知れた幼馴染み夫婦みたいに痴話喧嘩が絶えない二人だな。
???「それじゃ“武蔵”、行ってくるね」
???「あぁ“蛍丸”。しっかり励めよ」
インテリメガネを掛けて、褐色の肌に露出の激しい格好でグラマラスな肢体を晒すのは『大和型二番艦戦艦 武蔵』。そしてその武蔵と話をしているのは、黒い軍服に軍帽を被り、小さな身体に儚げな雰囲気漂う銀色の短髪に緑色の瞳をした刀剣男士『大太刀 蛍丸』。この二人、容姿が少し似ているのもあり、端から見ると“親子”か“姉弟”に見えるな。しかし、蛍丸はその華奢そうな見た目に反して実は成人男子をも余裕で投げ飛ばす事ができるパワーファイター。以前任務で負傷した武蔵を軽々と“お姫様抱っこ”してドックに運んだ姿は我が本丸鎮守府の語り草である。武蔵本人にとっては恥ずかしい黒歴史のようだがな。
ちなみに蛍丸の刀身には『八幡大菩薩』と彫られている為か、「俺には主さんが側にいてくれているから、どんな戦場に行っても余裕だよ♪」と言ってくれる。見た目もそこらの女の子よりも可愛い美少年だからついドキッとなってしまうので困ったモノだ。
小町「まったく、刀剣男士の皆さんは着々と相方の艦娘さん達と仲良くしているのに、ウチのゴミィちゃんと来たら・・・!」
八幡「小町ちゃん、お願いだからお兄ちゃんをディスらないで・・・」
こんのすけ「主さまも恋人を作れば、小町さまも文句は無いのですよ」
光忠「小町ちゃん、いつかは主を受け入れてくれる女性が現れるのを信じて気長に待とう」
天龍「ま、ウチのひねくれ者の提督を受け入れてくれるなんて、そんじょそこらの女じゃ無理だろうがよ♪」
長谷部「それに、主の奥方になるならば先ずは我々刀剣男子達や艦娘達が納得できる女性でなければなりません」
マイエンジェルとキツネ擬きが辛辣で、光忠がマジでオカン過ぎるし、天龍は随分と失礼な事を言いやがる。そして長谷部よ、お前はいつから『主お世話係』の他に『主の嫁の嫁姑係』も兼任するようになったんだ?
清光「主、準備完了だよ」
安定「いつでも行けるよ」
八幡「おう来たか、清光に安定」
表地が黒で裏地が赤のロングコートに赤い襟巻きを前に流し、ヒールが付いたブーツが特徴的な“戦闘服”を着た“加藤清光”イヤ“加州清光”と、新撰組の証である浅葱色のダンダラ羽織に和装袴姿をし、着物の下に紋付き長手甲を付け、白い襟巻きを後ろに流した“戦闘服”を着た“山本安定”イヤ“大和守安定”が中庭に来た。
光忠「二人共、学校から帰って来たばかりなのに出陣するのかい?」
安定「今日はちょっと込み入った事が有るからね、僕と清光も一緒に行ってとっとと片付けようって事だよ」
天龍「“込み入った事”? 昼間、長谷部とこんのすけ、長門と陸奥と“大淀”が何かバタバタしていたけど、それも関係しているのか?」
清光「まぁね、詳細は主に聞いて。それで主、今回は“どの時代”に行くの?」
俺は“政府からの要請”が送られたタブレットを操作し、読み上げる。
八幡「あぁ、今回の出陣先は、“1221年の墨俣”だ」
膝丸「“承久の乱”だな?」
八幡「そうだ膝丸。後鳥羽上皇が、鎌倉幕府の執権である北条義時を討伐するために起こし、“敗北した戦い”だ」
小町「じゃ“時間遡行軍”の目的は、“後鳥羽上皇を勝たせて北条義時を敗北させる事”なのかな?」
こんのすけ「おそらくそうでしょうね」
小町とこんのすけの予想は当たっているだろう。
八幡「出陣するのは、『打刀 加州清光』、『打刀 大和守安定』、『太刀 獅子王』、『太刀 髭切』、『太刀 膝丸』、『大太刀 蛍丸』の六振り。隊長は、膝丸だ!」
膝丸「なっ?! ちょっと待ってくれ主! 兄者を差し置いて、俺が総領でいいのか?!」
八幡「膝丸。お前と髭切は去年の暮れに顕現して、それから経験もそれなりに積んでいる。髭切も隊長を務めたんだ。お前も隊長を務めてみろ」
膝丸「しかし!」
髭切「イヤイヤ、隊長じゃないからって弟を斬ったりしないって♪」
千歳「髭切さま、洒落になっておりませんよ」
膝丸「あ、兄者・・・!」
千代田「そう言う意味で言ったんじゃないでしょ・・・!」
長谷部「続けるぞ。遡行軍の狙いは幕府軍を攻撃し弱らせて、北条義時を敗北させる事だろう」
光忠「墨俣は何度も行っているけど、なかなか手強い時間遡行軍が現れるからね」
八幡「気をつけて行くように」
那加「あっ! 間に合った!!」
川内「ちょっと待ってくれーーーー!」
八幡「ん? 那珂に川内?」
いざ出陣の時に“学園艦の護衛任務(昼間の部)”から帰投してきた那珂と川内が中庭に慌てて来た。
清光「那珂ちゃん!」
安定「川内!」
八幡「お前ら、任務報告はどうした?」
那加「後でやるよ、それよりも! 清光くん、見送りに来たよ!」
清光「ありがとう那珂ちゃん、帰ったら髪飾りのデコレーションの続きをやろうね♪」
那加「うん♪」
川内「安定! 思いっきり戦ってこい!」
安定「勿論! 久しぶりの殺し合いだからね!」
さて、こちらのカップル達も挨拶を済ませた事だし。
八幡「さぁ、“時空門”を起動させて、出陣だ!」
中庭の中央に置かれた歯車時計を乗せた台座、これが“時空門”だ。台座に付けられた“元号”、“年”、“場所”、“月”、“日”を設定して“転送”のボタンを押すとその時代にタイムスリップする事ができる、審神者である俺の許可が無いと使ってはならないタイムマシーン的な物だ。しかし、この転移装置は片道つまり“行くはできる”が、帰還する為には本丸への帰還用として、懐中時計の形をした“携帯型時代転移装置”を持たせる。
光忠「じゃぁみんな、頑張ってね♪」
小町「しっかりねーーーー!」
長谷部「健闘を祈る」
八幡「清光、安定、蛍丸、髭切、膝丸、獅子王、無事に帰ってこいよ」
出陣メンバー「「「「「「了解!(承知!)(はーい!)(応よ!)」」」」」」
光りに包まれた六振りは『承久三年 墨俣』へと転移していった。
長谷部「主・・・」
八幡「あぁ。長谷部、光忠、手が空いている刀剣男士の皆を食堂に集めてくれ、那珂、川内、天龍、千歳、千代田、鈴谷、武蔵、お前達も今手が空いている艦娘の皆を集めてくれ。話しておく事がある」
長谷・光「「承知しました/分かったよ」」
艦娘『了解』
長谷部と光忠は本丸へ、天龍達は鎮守府の方へ走っていった。
小町「お兄ちゃん、何かあったの?」
八幡「・・・・・・・・・・・・」
事情を知るこんのすけと違って、小町は首を傾げた。
八幡「あぁ、小町・・・もしかしたら俺達の学園艦の存亡に関わる事だ」
小町「えぇ!?」
俺の言葉に小町は驚き、俺はそのまま食堂へと向かった。
次回で西住と八幡達が和解できると良いなぁ~。