やはり俺が“とある本丸鎮守府”の審神者兼提督で戦車道までやるとか多忙過ぎるだろう 作:BREAKERZ
“戦車を洗車する”、なんて下らない駄洒落を考えながら、戦車道マネージャーに任命された俺達は、人数が少ないBチーム(バレー部)を清光が、Cチーム(歴女チーム)を安定が、そして1人で洗車している小山先輩のEチーム(生徒会)は俺が、この分担で戦車を洗っていた。
小山「比企谷くんゴメンね、会長も桃ちゃんも手伝ってくれないから・・・・」
八幡「別に気にすること無いですよ、これも一応マネージャーとしての仕事ですから」
俺はなるべく小山先輩を視界に入れないようにする。
何故ならば今の小山先輩は、“白いビキニの水着姿”だからだ! 前から制服越しでもスタイル良いとは思っていたが、まさかここまでの破壊力とは! 白い布に包まれた瑞々しい二つの高級メロンは、男ならば軽蔑されようがその瞳に焼き付け、脳内フィルターに永久保存したくなる魔性の魅力を放っている! 普段から刺激の強い格好をした長門や陸奥、小山先輩以上の魔性の魅力を放つ双乳を持った愛宕と高雄、露出の激しい格好ならば武蔵や島風や潜水艦組で慣れていなければ、俺も虜になっていただろうな。恐ろしや、平常心、平常心・・・。
角谷「あぁ比企谷ちゃん、こっちはもう良いから他のみんなの方を手伝ってきて~」
八幡「へいへい・・・」
小山「会長も桃ちゃんも、少しは手伝って下さいよ~!」
小山先輩の不憫な声を背に俺は他のチームの方へ向かう。少し残念とは思ってないぞ。
佐々木「加藤先輩、ここはこんな感じですか?」
清光「う~ん、もう少し磨いた方が良いかもね」
左門佐「くらえ山本! 水攻めじゃ!」
安定「ちょっと、門佐ちゃんやめてよ♪」
清光も安定もなんやかんやで他のチームと仲良くしているな。
梓「あっ、比企谷先輩!」
八幡「1年生チーム、どんな案配だ?」
あゆみ「折角加藤先輩にお洒落してもらった爪が台無しですよ~!」
八幡「そうか、まぁ気にするな。清光にまたデコってもらえ」
あや「良いんですか?!」
八幡「清光は自分も他人もデコるのが好きだからな。むしろ喜ぶと思うぞ」
1年生ズ『分かりました!』
八幡「それじゃ頑張ってくれ」
1年生ズ『は~~い!』
さて西住達の方は・・・。
???「比企谷さ~~~~~~ん・・・!」
八幡「うおっ!『妖怪 濡れ女』っ!?」
み・沙・優「「「プッ!」」」
八幡「西住、なんだあれ?」
みほ「フフフフ、華さんだよ」
華「比企谷さん酷いです、いきなり妖怪だなんて~・・・!」
恐い恐い! 濡れた髪が身体に張り付いて迫力有りすぎだわ!
八幡「五十鈴はなんでこんな事になってんだ?」
優花里「はい! 武部殿が遊び半分で水を掛けたらこうなったであります!」
八幡「お前は一体何をしてるんだ?」
沙織「ちょっとしたお遊びだよぉ」
コイツらは少し目を離すとすぐ脱線するな。なんて事が有ったが流石は西住、戦車や中の機材の洗い方が一つ一つ丁寧で、Ⅳ号も段々キレイになっていった。
角谷「比企谷ちゃ~ん、タブレット(審神者用と提督用の二つ)が鳴ってるよ~」
八幡「っ!」
シュバッ!(二つのタブレットを持っている会長に向かって飛び上がる)
ガッ!(タブレットを回収する)
シュタッ!(会長と河嶋の後ろにヒラリと着地する)
大洗戦車道一同『おおぉ~~~~!!』
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ・・・!
会長からタブレットを回収した俺は後ろの西住達の拍手に気にも止めず、タブレットを操作する。
八幡「・・・・・・・・・・・・会長、少し外れます」
角谷「うんいいよ~~」
会長から許可を貰った俺は、二つのタブレットとスマホを持ってその場を少し離れた。
みほ「あの会長、八幡くんは?」
角谷「あぁ、マネージャーとして色々頼んであるから、多分それ関連だと思うから気にしないで~、みんなは洗車を続けて~」
清光「さぁさ、みんな気にせず続けよう!」
安定「戦車を洗車しちゃおうね!」
角谷「お、山本ちゃんウマイね~座布団1枚!」
安定「へへ~! 光栄の至り~!」
小山「(ボソボソ)“仕事”の連絡かな?」
河嶋「(ボソボソ)おそらくな」
それから十数分後、長谷部からの連絡(兼定達遠征組の帰還報告)と、長門からの連絡(ただの書類内容の確認連絡)を終えた俺は再び洗車活動に参加し、夕暮れには洗車を終えた。
河嶋「よし良いだろう。後の整備は“自動車部”の部員に今晩中にやらせる。それでは、本日は解散!」
ワイワイ、ガヤガヤ・・・
清光「あ~ぁ、早くシャワー浴びて帰りたい」
安定「八さん、今日はもう帰る?」
八幡「・・・清、安、今日は寄るところが有るからもう少し付き合え」
清・安「「了解」」
学校のシャワー室で身体を洗い、制服に着替えた俺達はそのまま『せんしゃ倶楽部』と言う模型店に来ていた。
清光「模型店って事は・・・」
安定「また陸奥守さんに、“蒸気船の模型を買ってきてくれ”って頼まれたの?」
八幡「あぁさっきの長谷部からの連絡で一緒に居たようでな。ついでに頼まれたんだよ」
『打刀 陸奥守吉行』、新しい物が大好きな坂本龍馬の愛刀、土佐弁を喋り、刀の他に拳銃を扱う特異の刀剣男士。明朗活発な性格は前の主の影響。新しい物が好きな癖に蒸気船にはこだわりを持ったヤツ。
安定「また陸奥さんに壊されたのかな?」
清光「あぁ見えて陸奥さんって、結構ヤキモチ焼きだよね~」
そうあれは今年の春先ーーーーーーーー。
陸奥守【まっちょくれ陸奥! 何も壊さんでも!】
陸奥【ウフフフフフ、もう吉行ったら♪ 私と言う者(戦艦)が有りながらこんな蒸気船に浮気するだなんて・・・】
陸奥守【う、浮気じゃと!? 話をきいちょくれ! わしのこれは、あれじゃ! “海が好き!”とか、“山が好き!”っと言った“LIKE”の方じゃ! わしの“LOVE”は陸奥だけじゃ! わしは陸奥一筋じゃ!!】
陸奥【(テレテレ)あら嬉しいわ♪ 私も吉行(&提督と姉さん)に“LOVE”を抱いているわよ】
陸奥守【ほうじゃろ、ほうじゃろ・・・!】
陸奥【(テレテレ)じゃソレに免じて・・・】
陸奥守【うんうん・・・!】
陸奥【二、三隻で許して上げる】(真顔になる)
ガシャンッ!×3
陸奥守【ンノォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!】
なんて事が有ったからな、それで陸奥守は陸奥を警戒して『万屋』で買う事を諦めて俺が買って行く事になった。
八幡「全く陸奥守のヤツも懲りねぇな」
清光「ま、それが陸奥守の良いところと思おうよ」
安定「あ、八さん、これじゃないかな?」
店内で模型売り場の棚から、陸奥守に頼まれた模型を見つけた。本来この店は戦車専門店だから船の模型とかは限られたスペースにしかないから探しやすい。俺達は会計を済ませ、さぁ帰ろうとしていると。
沙織「戦車ってどれも同じに見える・・・」
優花里「全然違いますぅ! 全然違うんですぅ!」
八・清・安「「「っ!?」」」
なんか聞き覚えのある声にビクッとなり、そちらに顔を向けると・・・。
優花里「どの子もみんな、個性と言うか特徴があって、動かす人によっても変わりますし!」
華「華道と同じなんですね」
沙織「うんうん、女の子だってみんなそれぞれの良さがあるしね! 目指せ、モテ道!」
みほ「話が噛み合ってるような、ないような・・・」
混ざる訳ではないが、戦艦も刀剣もみんな同じようで違うものな・・・ってか、なんで西住達がここにいるんだよ!
清光「(ヒソヒソ)そりゃ戦車道やってるんだから来たんじゃない?」
安定「(ヒソヒソ)どうするの八さん?」
八幡「ここは見つからないようにコッソリと・・・」
みほ「あれ? 比企谷くん達?」
とか言ってる内に西住に見つかりました、はいお約束ですよね。
沙織「あれ?本当だ! 三人ともどうしたの?」
華「皆さんも戦車を見に来たのですか?」
安定「あぁ、その僕達は・・・・!」
言い淀んでいた安定は本売り場で“ある雑誌”を持って見せた。
安定「これ! この『特集! 本丸鎮守府』を買いに来たんだよ!」
安定の手には本丸鎮守府の鎮守府の部分だけデカデカと表紙を飾った雑誌を見せた。
優花里「うわ~それ私も欲しかったんですよ! 艦娘さん達の事も載ってますしね!」
秋山が安定から本を借りてパラパラとページを捲った。
沙織「本丸鎮守府ってさ、私達のいる学園艦を護衛してくれる艦娘さん達の本拠地なんだよね?」
華「艦娘さんなら遠くで見た事がありましたが、私達の学園艦の護衛に付いてくれているのは可愛らしい女の子でしたね」
優花里「はい! 確か駆逐艦が4隻で、『三日月』、『弥生』、『文月』、『皐月』ですね!」
みほ「黒森峰だと空母の『赤城』、『加賀』、巡洋艦の『鈴谷』、『熊野』だったよ」
優花里「艦隊って6隻で任務に入るのに、何故4隻なのでしょうか?」
八幡「学園艦が世に出た当時、まだ深海凄艦が要るかもしれないと懸念され、秋山の言うとおり6隻で護衛をしていたが、“深海凄艦がいなくなった”と囁かれるようになってしまった現代では、艦娘達を6隻も使うのは“物質と資材の無駄だ”って言われるようになって、数を減らして4隻になり、大洗のような小さい学園艦には小回りが効く駆逐艦が、黒森峰のような大型には艦載機が使える空母や速さのある巡洋艦が護衛に付くようになったんだよ」
優花里「そうなのですか! 比企谷殿は博識ですね!」
安定「(ボソボソ)八さん・・・・!」
おっと、思わず喋っちまった気を付けよ。
優花里「それにしても本丸鎮守府の提督は取材に応じない謎の多い人物と呼ばれているのですが、きっと、鍛えられた“屈強でマッチョな軍人”さんなのですね!」
沙織「えぇ~“ミステリアスなイケメン”だと良いなぁ」
華「もしや“経験豊富な老軍人”かもしれませんね」
みほ「一体どんな人なんだろうね・・・」
八幡「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
清&安「「ククククククククっ!(必死に笑いを堪えている)」」
こんな人ですが何か?ってツッコミたいのを堪える俺に気付かず、秋山はとある艦娘のページを開く。
優花里「やはり艦娘では『戦艦 長門』ですね! 凛々しい佇まいに提督の秘書艦を任される程の艦娘なんですよ! 凄いです!」
清光(良く兼さんと喧嘩するけど・・・・)
安定(カワイイ動物大好きだけど・・・・)
八幡(最近では幼い駆逐艦達だけではなく、今剣達のような幼い短刀組にメッチャ甘い、ロリコン&シャタコン属性も持った艦娘だけどな・・・・)
みほ「私は、赤城さんかな? 黒森峰にいた頃から護衛してくれているし、沈着冷静な凄い人って感じがしていたよ・・・・」
清光(訓練の時は結構スポ根系だけどね・・・・)
安定(物凄い大食い女子だけど・・・・)
八幡(良くつまみ食いしては“歌仙”に怒られている“底なしのハングリークリーチャー”だがな・・・・)
ー本丸鎮守府・食堂ー
歌仙「赤城くん! またつまみ食いなんかして! つまみ食いは雅じゃないぞ!」
赤城「(モグモグ)だって、歌仙さんや燭台切さんや鳳翔や間宮さんの手料理スゴく美味しいですからついこの手が・・・・!」
歌仙「そう言ってくれるのは嬉しいが、限度を守ってくれ! 加賀くんも協力しないでくれ!」
加賀「(ムグムグムグムグムグムグ)」
ー八幡sideー
なんか流れ的に俺らも一緒になってしまい、秋山は戦車のシミュレーションゲームをやり、武部と五十鈴と清光と安定も眺めていた。
優花里「よっ! はっ!」
華「アクティブで楽しそうです」
沙織「でも顔はケガしたくないな・・・・」
清光「そうだね、皆女の子なんだから、ケガとかしたら大変だよね」
安定「嫁入り前で傷物になっちゃうよ」
華「それは意味が違うのでは?」
優花里「大丈夫です! 試合では実弾も使いますけど、十分安全に配慮されてますから!」
そんな秋山達から離れた位置にいる西住と俺。
八幡「西住、お前はやらないのか?」
みほ「うん・・・・まだちょっと・・・・」
フム、まだ去年の事を完全に消化できてないか。すると後ろに吊るされたテレビのニュースから気になる単語が出た。
キャスター《次は戦車道の話題です。高校生大会で昨年MVPに選ばれて、国際強化選手となった“西住まほ”選手にインタビューしてみました》
西住と少し似た感じの目付きの鋭い女子が映し出された。
八幡「おい西住、あの人って」
みほ「うん、私の“お姉ちゃん”・・・・」
やっぱり、“学園艦の護衛の打ち合わせ”で何度か顔を合わせた事が合ったが・・・・。
インタビュアー《戦車道の勝利の秘訣とは何ですか?》
まほ《諦めない事。そして、どんな状況でも、逃げ出さない事ですね》
みほ「っ!」
カメラ目線で放った姉の言葉。西住本人からすれば、“逃げ出した事を責められた気分”だろうな。
別に俺は“逃げる事”は否定しない。不利な状況や状態で任務を行えば自分だけではなく周りの皆も危険に晒す事になるからな、時には“勇気ある撤退”も行うべきだと思う。
みほ「・・・・・・・・・・・・・・」
みほ以外『・・・・・・・・・・・・・・・・』
顔を俯かせる西住。俺はゲームを終えた武部達と清光達と顔を見合わせる。
沙織「そうだ! これからみほの部屋遊びに行っても良い!?」
みほ「えっ?!」
華「私もお邪魔したいです」
みほ「あっ・・・・うん////」
能天気な恋愛脳<スウィーツ>だと思っていたが、以外に武部や人の気持ちや場の空気を読むムードメーカーの素質があるな。
優花里「(おずおず)あのぅ~・・・」
華「秋山さんもどうですか?」
優花里「あっ! ありがとうございます!」
みほ「比企谷くん、加藤くん、山本くんもどうかな?」
はいやっぱり俺らも巻き込まれると思っていたが、そうは問屋が卸さない。
八幡「あのな西住、女子の部屋に男子を簡単に入れるだなんて無用心(ドスッ!×2)ゲフッ!」
逃げようとする俺の腹部に清光と安定の肘鉄がお見舞いされた、地味に痛い・・・!
清光「(ボソボソ)ちょっと八さん! 何トンズラかまそうとしてるのさ!」
安定「(ボソボソ)こんな機会見逃すなんて小町ちゃんに知られたら一生“ゴミぃちゃん”だよ!」
お前らな、主に対して肘鉄は酷いぞ・・・! ん? スマホを入れたポケットから着信の振動が。見てみると、『着信 長門』と表示されていた。清光と安定も俺の横から見て頷き合う。
八幡「悪い西住、電話が来たから少し外れる」
みほ「えっ、うん・・・」
マジメな顔になった俺に面食らった西住達を清光と安定に任せ、俺は長門から電話に出て少し会話をした後に戻った。
八幡「済まない西住、ちょっと用事が出来た。俺達はこれで失礼する」
みほ「う、うん、気にしないで。また明日」
八幡「あぁ、また明日。清、安、行くぞ」
清&安「「うん」」
俺達は西住達に軽く会釈して『せんしゃ倶楽部』を後にした。
ーみほsideー
みほ「・・・・・・・・」
沙織「なんて言うかさ、比企谷達って私達に隠し事してると思わない?」
華「えぇ以前から比企谷さんと加藤さんと山本さんには友人以上の何かを感じます」
優花里「西住殿?」
みほ「(比企谷くん達、何を隠しているのかな?)」
西住達は八幡達と自分たちとの間に有る“壁”の存在に懸念を抱いていた。
ー本丸鎮守府・食堂ー
最近ウチの食堂で集合が入るのが多くなった今日この頃、学校から帰った俺は刀剣男士達と艦娘達を集めた。
八幡「あぁ、刀剣男士の皆に伝えておく事が有る・・・」
刀剣男士達(清光&安定除く)『???』
八幡「明日、戦車道の教官が来るのだが、お前達刀剣男士を、“見学者”として来て良いと許可を貰ってきた!」
今剣「(挙手する)あるじさま! それってぼくたちがあるじさまのがっこうにいってよいってことですか?!」
八幡「あぁ、そういうこった」
刀剣男士(若い衆)『・・・・・・・・・・・』
八幡&刀剣(大人組)『・・・・・・・・・・・』
艦娘達『・・・・・・・・・・・』
俺と清光と安定と、刀剣男士の大人組と艦娘達が衝撃に備えて耳を塞ぐ。
刀剣男士(若い衆)『ィやったあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!』
びりびりびりびりびりびり!!
うぉ~鼓膜に響く・・・・!
厚「大将! 俺達みんなで行って良いのか?!」
乱「ねぇねぇ主さま! 戦車道の子達ってどんな子達なのっ!? 可愛いのっ!?」
秋田「主様! 本物の戦車って大きいんですか?!」
岩融「なぁ主! 戦車ってのは強いのか?!」
日本号「戦車の戦いを見ながら一杯飲むぞ!」
次郎太刀「呑め呑めぇっ!!」
あぁたくっコイツらは・・・・!
長谷部「静かにせんかっ! まだ主の話は終わってないのだぞ!!」
長門「全員落ち着けーーーーーーっ!!」
長谷部と長門の怒号が響き、他の艦娘達も刀剣達を押さえた。
~十分後~
さて、刀剣達も落ち着いた事で話を続ける。
八幡「先ずは厚、刀剣達はそんなに大勢で行くことはないぞ」
厚「えぇっ?! 何でだよ大将・・・!」
八幡「この本丸も刀剣男士が増えたが、内番の仕事やその手伝いだけじゃなくて、掃除に草むしり、庭の手入れに皿洗いや洗濯物畳みやら、やることが一杯あるし、政府から出陣要請が来たときに備えて留守番が必要だろう?」
安定「あまり僕達刀剣男士が大洗の子達と接触するのは不味いしね」
清光「何しろ戦車道のチームの中に、幕末時代と戦国時代の歴史マニアがいるからね、俺達の事を察してしまうかもしれないし」
八幡「それに今回はあくまで教官が来て練習するだけだから、大勢で行く事もない。今回はそうだな・・・」
俺は少し悩むと、指を三本立てる。
八幡「生徒である清光と安定を抜いて、今回は三振りで良いだろう」
刀剣『えぇええええええええええっ!!』
八幡「ええじゃねぇよ、言っただろう今回はあくまで身内でやる練習だから、わざわざお前達が全員で行く事無いんだよ」
渋々となる若い刀剣男子達を宥めるのに苦労するよ。
小町「所でさお兄ちゃん、艦娘の皆さんはどうするの?」
小町が艦娘達に変わって聞いてくるが。
八幡「残念ながら艦娘達は見学できねぇよ」
安定「こんな特集号が組まれているんじゃね・・・」
安定が取り出したのは鎮守府の光景がデカデカと張られ、『特集! 本丸鎮守府』と大きく書かれた雑誌を見せた。
長門「あっ、それは・・・!」
陸奥「この間取材に来た人達のね・・・」
大淀「確かに、その雑誌には私達の名前や顔写真からインタビューまで載ってますしね・・・」
小町「と言う事はお兄ちゃんの事も?」
長門「いえ、その日提督は学校でしたし、学生である提督を雑誌に載せる訳にはいきませんからね。それで本丸鎮守府の提督は正体不明の“謎の提督”と呼ばれるようになったのです・・・」
お陰で本丸鎮守府提督は、“マッチョ”とか“イケメン”とか“経験豊富な老軍人”とかと囁かれるようになっちまったけどな・・・!
八幡「と言う訳で、残念ながら艦娘達は戦車道の見学を諦めて貰う!」
艦娘のほぼ大半『ブー!ブー!ブー!ブー!ブー!ブー!』
艦娘達のほぼ大半がブーイングを出すが、こればかりは仕方ない。何とか刀剣男子達士が宥めて抑える。
八幡「さて、明日の見学者なのだが、希望者は・・・・」
ものすごい勢いで手を上げる刀剣男士達に呆れながら肩を下ろすが、こうなる事は予想済みだ。
八幡「それじゃクジ引きで決めるぞ、当たった三振りが明日の見学者、一回だけだぞ。取り替えも変更も無しだからな!」
そして一振りずつクジを引いて、当たらなくて落胆するもの、地団駄を踏むもの、肩を下げるもの、残念と苦笑いを浮かべるもの、興味無しのものと十人十色だったが、三振りの刀剣男子達も前に出て、八幡に○が付いたクジをを見せた。
「「「・・・・・・・・」」」
八幡「お前達か、まぁ大丈夫だろう。それじゃ先ずやってもらう事は、俺の呼び方だ」
刀&艦『???』
八幡「良いか、俺は大洗では“ごく普通の目が腐った男子高校生”で通っているんだ」
清光&安定「「目が腐った高校生は、“ごく普通”じゃないでしょう」」
五月蝿い打刀二振りの言葉を華麗に無視する。
八幡「兎に角な、そんな平凡な俺を“主”だの、“主様”だのと呼ばれて、変な勘繰りされたらこれからの俺の学園生活にも支障をきたしかねない」
あの生徒会と言うよりも会長に目を付けられた時点で支障出まくりのような気がするが・・・・。
小町「まぁ普通に考えたら、お兄ちゃんみたいなヒネくれた屁理屈屋のボッチが、美男子&美少年揃いの刀剣男士の皆さんに“主様”なんて呼ばれてたら、何か弱味を握ってそう言わせているとしか思えないよね~」
マイエンジェルシスター・小町は何故こうも俺に辛辣なんだ? やべお兄ちゃん泣きそう・・・・!
長谷部「しかし、それでは加州と大和守は学園で主をどう呼んでいるのだ?」
清光「あぁ“比企谷”とか、“八幡”って呼び捨てにするわけにはいかないし、“比企谷さん”や“八幡さん”じゃ他人行儀だし・・・」
安定「かと言って“比企谷くん”や“八幡くん”じゃ馴れ馴れし過ぎるからね。だから間をとってこう呼んでいるんだ・・・」
清光と安定がすぅ~と息を吸って。
清&安「「八さ~~~~ん♪」」
八幡「なんだよ」
刀艦『っっっ!!!???』
清光と安定の言い放った呼び名に刀剣&艦隊は驚愕する。そして長谷部が清光と安定に迫る。
長谷部「加州! 大和守! 貴様ら主をそんな風に呼んでいるのかっ!!?? なんと羨ましくて! 羨ましい!! 羨ましいぃぃっ!!!」
おお~い、長谷部がなんか変な嫉妬を燃やしているぞ。
光忠「僕だったら、“八ちゃん”って呼ぼうかな?」
鶴丸「それなら俺は“八坊”かぁ?」
獅子王「んじゃ俺は“はっつぁん”って呼ぶぜ!」
鯰尾「僕は“八兄さん”ですね♪ 骨喰はなんて呼ぶ?」
骨喰「“八兄”と呼ぶ・・・・」
八幡「分かってると思うけど、もしそんな呼び名したらお前らは絶対に見学には行かせないからな」
全く変な呼び名を増やすなっての。
夕立「夕立は“八くん”って呼ぶっぽーい! 吹雪ちゃんは?」
吹雪「えぇっ!? いきなり振られても・・・・・・その、“八ちゃん”に・・・」
長門&加賀「「(ギロリっ!)」」
吹雪&夕立「「ヒイィッ!」」
夕立と吹雪まで悪ノリしようとしたが、空かさず長門と加賀にものすごい目付きで睨まれて黙った。ファインプレーだぜ、長門、加賀!
八幡「まぁ“お前たち”に限って変な呼び名はしないと思うが、一応俺の呼び方には気をつけておいてくれ」
三振り「「「(コクン)」」」
さてはて明日がどうなることやら・・・・。
ー本丸鎮守府・提督室ー
八幡「それで調査の方は?」
長門「はい、大淀が纏めてくれていました。こちらです」
今この提督室には俺と秘書艦の長門と陸奥と大淀だけだった。以前から頼んでいた“調査の報告”に目を走らせる。
八幡「野郎、中々周到だな」
陸奥「提督、私達はこのまま“調査”を続ける?」
八幡「あぁそうしてくれ、“もしも”の事態に備えてな」
俺の言葉に長門達は力強く頷いた。
ー翌日ー
清光「八さん急いで!」
安定「遅刻しちゃうよ!」
八幡「分かってるよ。たくっお前らな、朝っぱらから手合わせなんてやってんなよな・・・!」
翌朝、俺は日課の鍛練を終えて朝食を済ませると、道場で清光と安定が手合わせに熱が入り時間を忘れ、遅刻しそうになっていた。
八幡「ん? 西住??」
前を見ると、西住が“黒い長髪の女子”に肩を貸してヨロヨロと登校しているのが見えた。
八幡「何やってんだ西住?」
みほ「あ、比企谷くん達、おはよう・・・・」
???「辛い・・・・」
なんだ??
???「生きているのが辛い・・・・これが夢の中なら、良いのに・・・・」
その気持ち良く分かるぞ。
???「朝は何故来るのだろう・・・・? 来なければ良いのに・・・・!」
本ッッッ当に良く分かるぞ、その気持ち!!
清&安「「(ジト目)八さん・・・」」
八幡「(咳払い)んん! それで西住はどうしてそうなった?」
みほ「なんかほうっておけなくて・・・・」
全く本当に世話が焼ける、仕方ない。
八幡「・・・・西住、変われ、俺がソイツを運ぶ」
みほ「(ヨロヨロ)えっ? そんなの悪いよ・・・」
清光「そんな状態で何言ってるのさ?」
安定「ほらほら」
俺が女子生徒を背負い、俺と女子生徒の鞄を清光と安定がそれぞれ持って西住と登校する。
???「ZZZzzzZZZzzzZZZzzzZZZzzz」
おいコイツ人に運ばれておきながら呑気に寝てやがるぞ。なんて図太い神経してやがるんだ・・・! なんて考えていると、校門に付き、こわいこわい風紀委員長がいた。
園「“冷泉麻子”さん! これで連続245日の遅刻よ!」
風紀委員長の声に起きた、どうやら俺が背負っている女子は“冷泉麻子”と言う名前らしい。しかし245日って、コイツは8ヶ月近くも連続で寝坊で遅刻してんのかよ!? ある意味“国行”もビックリするわっ!
麻子「良い寝心地だった・・・」
八幡「そりゃどうも・・・」
こっちは女子と密着できて嬉しい!・・・なんてコイツにはそんな気は残念ながら、まっっっったく抱かなかったけどな・・・! 正直冷泉よりボリュームがある女子に抱きつかれてきた経験があるからな。
園「成績が良いからってこんなに遅刻ばかりして、留年しても知らないよ!」
麻子「・・・・・・・・」
みほ「えっと、大丈夫ですか?」
ヨロヨロと俺の背中から下りた冷泉を気づかう西住。
園「西住さんに比企谷くんに加藤くんに山本くん。もし途中で冷泉さんを見かけても、今度から先に登校するように、それに貴方達3人は冷泉さん程じゃないけど、注意人物扱いだからね!」
俺と清光と安定を見て言う園先輩。そんなに俺達風紀委員に目をつけられる事してないのになぁ・・・。
みほ「・・・・はい」
八・清・安『・・・・は~い』
麻子「・・・・“そど子”」
園「(ジロリ)何か言った?」
麻子「(フイ)別に・・・・」
なんかこの二人、加賀と瑞鶴みたいだな。しかし“そど子”か、“園みどり子”を略したって訳ね、上手い!っと、風紀委員長に睨まれる前に俺達は校舎に向かった。
麻子「悪かったな・・・名前・・・・」
八幡「あん?」
麻子「借りが出来たからな・・・・」
八幡「・・・・2年A組の比企谷八幡」
清光「俺は加藤清光」
安定「僕は山本安定」
みほ「私、西住みほです」
麻子「冷泉麻子だ。この借りはいずれ返す・・・」
聞きようによっては捨て台詞に聞こえる事を言う冷泉は、フラフラと校舎に向かっていった。本当に大丈夫かね?
* * *
戦車倉庫の前で教官を待っていた俺達と西住たち戦車道チームの目の前に、輸送機から降下された10式戦車が教員用駐車場に降りてきて、次いでに学園長のフェラーリにぶつかり横転させ、とどめに横転したフェラーリを轢いてペシャンコにしやがった。なんだ? ウチの学園長に怨みでも有るのか?
安定「(ボソボソ)八さん、今連絡が来たよ」
八幡「(ボソボソ)分かった。清光は出迎えに行ってきてくれ」
清光「(コクン)」
清光がその場を離れると、10式戦車から黒い短髪にした凛々しい雰囲気の20代位のカッコいい系の女性軍人が現れた。
教官「こんにちはー!」
戦車道一同『・・・・・・・・・・・・・・・・』
八幡「まぁ、会長の言うとおりカッコいいな・・・」
安定「うん、確かにカッコいいね・・・」
八・安「「カッコいい“女の人”だわ・・・」」
あまりにもダイナミックな道場をした女性軍人に、一同唖然となっていたが、すぐに整列し、俺と安定はなるべく目立たないように西住達の隣に並ぶ。
沙織「騙された・・・・」
華「でも、素敵そうな方ですよね?」
武部よ、変なセールスとかには気を付けろよ。
河嶋「特別講師の戦車教導隊『蝶野亜美1尉』だ」
蝶野「ヨロシクね! 戦車道ははじめての人が多いと聞いていますが、一緒に頑張りましょう! あれっ?」
蝶野教官は西住に気づいて近づく。
蝶野「西住師範の御嬢様じゃ御座いません?」
みほ「っ!」
蝶野「師範にはお世話になっているんです。御姉様もお元気?」
みほ「あっ・・・・はい」
蝶野教官の言葉に西住は顔を俯かせ、他のメンバーがざわつく。あ~ぁ、西住はあんまり目立ちたく無かったのにな・・・。
蝶野「西住流って言うのはね、戦車道の流派の中でも最も由緒ある流派なの」
沙織「(挙手する)教官! 教官はやっぱりモテるんですか!?」
西住を気遣ってか、モテ道とやらの為か、武部が挙手して質問する。ある意味お前ってブレないのな・・・。
蝶野「えっ・・・モテると言うより、狙った的を外したことは無いわ。撃破率は120%よ!」
戦車道一同『おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーー!!』
イヤ、答えになってねぇからなソレ!
蝶野「他に聞きたい事・・・っっっ!!??」
蝶野1尉が俺を見て、目を見開いてギョッとする。何度か軍に出向した時に顔を合わせていた筈だか、まぁ今は提督服を着てないから気付いてなかったようだな。
八幡「・・・・・・・・・・・・」
蝶野「えっ? えっ?? ええぇっ!?」
小山「ち、蝶野教官! この男子生徒達は、ウチの学校の生徒なんです!」
河嶋「そこの腐った目をした男子は戦車道のマネージャーです」
蝶野「・・・・・・・・・・・・・・・・」
戸惑っている蝶野教官に小山先輩と河嶋先輩が慌てて説明したが、蝶野教官は唖然となっていた。
八幡「“はじめまして”、『大洗学園の比企谷八幡』です。男子が戦車道に関わっているなんて奇異だと思いますが、宜しくお願いします」
安定「同じくマネージャーの山本安定です。もう一人はもうすぐ“見学者”を連れてきますから」
蝶野「・・・・・・・・・・・・・・・・」
何とも言えない顔で固くなってしまった教官の姿にいよいよ西住達も不審がりそうになり、小山先輩と河嶋先輩がどう対処するか焦り、会長だけは事態を面白そうにニタニタと笑って眺めてやがる。
清光「八さーーーーーーん! 連れてきたよ!」
八幡「おう、来たか見学者達・・・!」
武部「ちょっと比企谷、見学者って誰を・・・」
一同が清光のいる方に目を向けると、清光の後ろにいる“三人”に視線が集まった。
一人はパッツンの月白色をしたスーパーロングヘアーをした細目の美青年。
一人は薄桃色の髪をカールやウェーブで流したり、後頭部へ結ったりした、左目が青で右目が緑のオッドアイをした憂い顔の美青年。
最後に青い髪を不揃いに結わえ、三白眼をした他の二人の腰くらいの背丈をした小柄な少年。
戦車道一同&蝶野『・・・・・・・・・・・・』
ポーッとしている一同に構わず、俺は“三人”もとい“三振り”を紹介した。
八幡「彼らは清光と安定と同じ剣道道場の門下生の兄弟で、名前は・・・・『左門兄弟』です!」
江雪「(会釈)はじめまして、長男の『左門 江雪』です」
宗三「(会釈)次男の『左門 宗三』と言います。本日はお招き頂きありがとうございます」
小夜「(会釈)三男、『左門 小夜』・・・・」
そう、今回『見学者の権利』を手に入れたのは別名『不幸三兄弟』こと『左文字兄弟』。『太刀 江雪左文字』、『打刀 宗三左文字』、『短刀 小夜左文字』の三振りである。
武部「・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんか無言になった武部が顔を俯かせ、ザッザッと俺に近づき両手で俺の両肩を掴んだ。
武部「・・・・りがとう・・・・!」
八幡「なんだ武部?」
武部「ありがとう比企谷・・・・! 私、貴方が戦車道のマネージャーで良かったって、いま本気でそう思うよ・・・・!!」
顔を上げた武部のその顔には希望に満ち溢れ、その瞳からは一筋の涙が小さく流れていた。
八幡「あぁ、まぁなんだ・・・・そう言ってくれるとありがたい・・・良かったな武部・・・」
武部、お前って本当にブレないのな・・・・。
はい、大洗戦車道チームと初邂逅した刀剣男士は、作者も結構お気に入りの左文字兄弟です。お小夜が可愛い!