丁稚雀《マスター》リライスの繁盛記   作:ゆっくりいんⅡ

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 流行(イベント)に乗っかった形を勢いと思い付きで書きます。山ナシ谷ナシオチなしのギャグです、生暖かい目でご覧ください。
 目標は一日一回投稿です(無理じゃないかなあという顔)
ちなみに、イベントは昨日から始めました。ホント異聞帯長いし強い敵多すぎ……


マスター「慰安旅行とか言ってたけど、やっぱりトラブルあるじゃん。何? 私どっかの眼鏡な小学生みたいに、トラブルを引き起こす体質なの?」(やさぐれた瞳)

※注意
・主人公のぐだ子ことリライス(♀)、若干キャラ崩壊?
・現在開催中イベントのネタバレがあるかもしれません
 


第一話 まさかこんな姿になろうとは……

 彼岸と此岸の狭間にあるお宿、閻魔亭。カルデア一行は形成されたこの特異点に、令シフトのテストも兼ねて正月の慰安旅行に訪れている。

 時間は宿屋に到着し、各人がそれぞれの部屋に案内された頃。マシュと二人のんびりしていたところに三人娘(人外ズ)が入ってきて、のんべんだらりとしているところから始まる。

「あ~、久々に本気で慰安って感じがする~……」

 人類最後のマスターと呼ばれる少女、リライス。人理を修復したと思ったら癖の強すぎる特異点に殺されかけまくったり、救った世界が異聞帯に滅ぼされて絶賛侵蝕中という「何このハードモード、何で死なないの私?」と、最近やさぐれがちである。

 が、ここに来てようやくまともな休暇が取れるとのことで、だらけながらも死に掛けた目に活力が戻ってきている。これには出来る後輩、マシュ・キリエライトも安堵の表情。

「お疲れ様です、先輩。ここ最近は異聞帯の攻略で余裕がなかったですからね……あ、お茶を入れましょうか?」

「おねがーい。マシュが淹れるお茶は何でも美味しいから~」

「ささ、マスター。待っている間はどうぞ私の隣に」

「あーダメだって清姫、この暖かさはダメになるー……」

「ふふ、マスターが寒くないよう、私(の温度を)ちょうどよく暖めておきました」

「……そーいや蛇って変温動物ですからねえ。妙なところで芸達者ですねあなた」

 心地良さそうに体重を預けてくっつくマスターと、幸せそうに受け止めている清姫を見て、対面の玉藻の前は呆れと関心を混ぜた目で二人を見ている。イチャイチャなら他所でやってくれません? と顔に書いてあるが、たれマスターと恋愛至上の清姫に通じるはずがない。

「ぬくい……多分乙女が見せちゃいけない顔してる私ー」

「ああ、たれてるマスターの顔……好き!!(いつもの)」

「何でもありなんですね、分かります」

 そんな感じでイチャイチャぐだぐだしていると、閻魔亭の女将である見た目はロリ、しかしてここにいる女性サーヴァント三人の料理の師匠である女性、紅閻魔がちょこちょこと擬音がつきそうな足取りで入ってくる。

「失礼するでち。皆さん、寛いで……いらっしゃるようでちね」

「あ、女将さん。本当にありがとうございまーす。お陰様でのんびりさせてもらってまーす」

「見れば分かるでち。まあ、気に入っていただけたようならなによりでち。でもリライス様、そのままだと綺麗なおべべが皺になるでちよ?」

 余計なお世話かもでちが、と言いつつ、乱れた服装を直してくれる。完全に世話焼き女房状態である。

 それからマシュが戻ってきて、人理修復や異聞帯について興味津々な女将に話しつつ過ごす。こんなに穏やかなのはいつ以来だろう、と遠い目になるリライスを見て、気付いた後輩とヤンデレは思わず泣きそうになる。

「しかし、これでトラブルを警戒してしまう悲しい私の性」

「大丈夫ですよ先輩、ここはシオンさんが『修正しなくてもいい特異点』と言っていましたし。早々事件は起きないでしょう」

「んーまあそうだよ」

「大変だチュン! 大変だチュン女将! 『カルデアの者』を名乗る人たちが、裏でお供え物の食べ物を食い荒らしているチュン!」

「な、なんでちと!?」

「「「「「……」」」」」

 従業員の雀と女将が焦る中、押し黙るカルデア女子メンツ。沈黙を破ったのは、マシュの見事としか言いようがない土下座だった。

「すいません先輩、ほんっとうに申し訳ないです……! 私が、フラグを立てるようなことを言うから……!」

「頭上げて、間違いなくマシュのせいじゃないから……ああ、また面倒事の予感がバリバリする」

「お労しや……旦那様《マスター》をこんな顔にした原因、速やかに焼き滅ぼさねば」

「清姫、気持ちはありがたいけど多分ゴルドルフ所長達だからね? 普通に味方だからね?」

 気の毒そうに見ている残り二人の視線も合わせて、地味に精神ダメージが蓄積していっている人類最後のマスター。休暇ってなんだっけ(白目)

「……っと、呆けてる場合じゃなし。雀さん、その人達は今どこに?」

「へ? う、裏の奉納殿ですチュン」

 死にそうなのからキリッとしたマスターの顔になったリライス(後ろで清姫が「好き!!」と言っているが、いつも通りなので全員スルー)に、(多分)戸惑った表情で場所を指刺すと、

「よし、ちょうど窓だね。マシュ、『弾いて!』」

「了解ですマスター! マシュっと!」

 指示を受けて即座に盾を構えたマシュが、シールドバッシュでマスターを外に弾き出す!!

「「えええええええ!!?」」

 女将と雀が驚いている中、リライスはスカートを抑えつつ重力に従って落ちていき、

「――旦那様(マスター)、受け止めます!」

 蛇に変化した清姫が、とぐろを巻いて受け止める。

「ん、ありがと清姫。変身、大分早くなったね」

「この姿を恐れないマスターのために、日々研鑽を怠っておりませんので」

「? 何で恐れるの? 寧ろ凄く綺麗な白蛇でしょ?」

「好き!!!!!」(圧倒的愛情)

「はいはいありがと。さて、急ごうか清姫。マシュ、玉藻、巴さん! 先に行ってるよ!」

「すぐに追いつきます先輩!」

「……最近の人間は豪胆なのでちね。牛若丸のような身軽さを思い出させるでち」

「いやいや、マスターが例外中の例外ですからね? あんな人早々いませんよ」

「私は義仲様が平家の兵に放った牛の大群を思い出します……」

 とんだ言われようである。慣れた様子で飛び降りつつマスターを追うマシュも大概だが。

「なーんか嫌な予感がするんだよね……気のせいだといいんだけど」

 一路、奉納殿へ急げや急げ。

 

 

 結論:気のせいじゃないし、間に合いませんでした。

「ちょ、ゴルドルフ所長、それ開けちゃダメなやつです!?」

「うおう何だ!? この声はリライスか!? 驚いた拍子に開けてしまったぞ!!」

「あああ藪蛇だったああ!!」

「マスター、しっかりしてくださいまし!」

 絶望して頭を抱える中、賽銭箱から目も眩むような光が立ち上がり――

 

 

「何がありました!? 清姫さん、先輩、先輩はどこですか!?」

「う、マシュさんですか……マスターなら、私の中に……!? 安珍様、安珍様はどこですか!?」

「落ち着いてください! 後その言い方だと、先輩を食べたように聞こえるんですが!?」

「安珍様は食べてしまいたいくらい愛おしいですが、幾ら私でもそんなことはしません!!」

「微妙に信頼できないですね!?」

 光が収まり、遅れて到着したマシュに問われ、共にいたマスターがおらずパニックになる清姫。若干危ない本音が漏れてるが、(今は)食べていないです。

「いたた……リライス貴様、この私をいきなり突き飛ばすとはどういう了見だ!?」

「あー、眩しかったチュン……仕方ないじゃないですか、条件反射で助けるために突き飛ばし――あれ、所長背が伸びましたチュン?」

「貴様私が気にしていることを堂々と言うな!? 29にもなってそんなもん期待したいけど出来ないわバーカバーカ!

 というかどこに行ったんだ貴様!? 声はすれども姿は見えず……ま、まさかあの箱に閉じ込められたのか!?」

「ボケてるのか本気なのか分からないこと言わないでくださいよ、空腹でお腹の代わりに視力が減ったんですかチュン? 目の前にいるじゃないですかチュン」

「いつも通り所長に対する口の利き方がなってないな貴様!? そしてその舐めた感じの語尾はなん――」

 立ち上がり、あっちこっちキョロキョロしていたゴルドルフが気付く。声が聞こえるのは自分の足元、そこにいたのは――

「なんですかチュン所長、そんな異界の神を見たみたいな顔して」

「貴様……まさか、リライスか?」

「他の何に見えるんですかチュン」

 と言いつつ何言ってんだという感じでこちらをつぶらな瞳で見上げる――オレンジの羽根を持った雀。

「……なあ諸君、あの光のせいで私の目がおかしくなったのか? 目の前に、あの憎たらしい小娘の声で話す雀が見えるのだが」

「え……? 新所長、それはどういう……先輩!? そちらの雀さんが先輩なのですか!?」

「信じ難いですが、間違いありません。私の安珍様センサーが、目の前の雀さんから反応していますので」

「た、確かに私の後輩センサーもそう感じられますが……」

「貴様ら便利だけどおっかないなもの持ってるな!? そんなんで慕われているとはいえ四六時中追っかけられるとか胃に穴が開きそうだぞ!?」

「何事も慣れですチュン所長。というか、マシュも清姫も冗談キツイチュンよ? この麗しの十代を捕まえて雀のようにカワイイなんて――」

 そこでリライスは気付く。起き上がる自分の足が妙に細く、顔に触れようとした手が妙にふわふわしていることに。

「……あー。今度はこういうパターンかチュン。で、所長。何をとち狂ってこんな呪いを掛けてくださりやがったんですチュン?」

「あっさり受け入れるな貴様!? そして雀の癖して目が怖いぞ!?」

「気のせいですチュン。あ、そっちの護衛(笑)のケルト組ですかチュン? 口周りに食べかすがべったり付いてるチュン」

「い、いや、これはだなマスター……」

「……面目次第もない」

 何やら弁解を試みるフィン・マックールと、潔く頭を下げるディルムッド・オディナ。雀に謝罪するという、かなりシュールな姿だが。

「な、何てことをしてくれたでちか……」

 そこに、雀達を引き連れた紅閻魔が到着した。開かれた奉納殿の箱、食い散らかされた料理の山を見て呆然としている。

 そこでやらかした面子を見て険しい顔になり、それに対してゴルドルフ所長が漢気溢れる返事をするのだが、長いのでカットし(「オイふざけるな!」)、女将の話を要約すると、

・奉納殿にある箱には、一年分の『感謝の気持ち』が詰められており、八百万の神々に捧げる予定だった。

・が、箱を開けたことで『感謝の気持ち』がどこかへ行ってしまった。

・やらかしたカルデア組が奉納期限の二週間で『感謝の気持ち』を集めなければ、確実に神罰が下るだろう。

 とのこと。

「……事情は分かった、しかし二週間で一年分のものをどうにかするのか……え、ムリじゃね?」

「そ、それは後で考えましょう新所長! それより、何故先輩がこんな、こんな」

 プルプル震えているマシュが、先輩雀を両掌の上に乗せ、

「こんなカワイイ姿になってしまったんですか!?」

「オイ後輩、ちょっとは心配しろチュン」

「も、勿論心配もしてますよ!」

「清姫、ジャッジチュン」

「嘘は吐いている気配はないです」

「チュン。ならよしチュン。……それで、紅閻魔様。何で私はこんな姿になってるチュン?」

「……多分でちが、見せしめとして神罰が下ったのだと思うでち。『次はお前達だぞ』という、神様からの警告でち。それが一番近くにいたリライスに降りかかったと思うのでち」

「な、なんと可愛らしく恐ろしい……つまり、神罰の内容とは?」

「『雀となって、この旅館から二度と出られない』でちかね……でも安心するでち、そうなったらウチで雇ってあげるでち」

「全然安心できないんだがねえ!? チクショウどうしてこうなった!?」

「寧ろどうしてこうなったのかこちらが聞きたいですチュン」

「あ、いや、それはだな……」

 オッサン言い訳中……

「……はあ。事情は分かりましたチュン。誰にだって失敗はありますし、今回は許しますチュン」

「おお、心が広い……じゃない! 何でそんなに偉そうなんだ貴様!?」

「別にお手伝いしなくてもいいですチュンよ? 私はもう雀になってるから困らないですチュンし」

「いやあリライス君はまさしく救いの女神だなあ! 帰ったら追加のお年玉をあげよう!」

「……嘘ではないみたいです、マスター」

「それ褒められてる気がしないですチュン」

 知り合いのまともな神様なんて、エレちゃんくらいしかいないからね仕方ないね。

「ケルト組もやらかしたとはいえ、所長を守ってくれたのは事実チュン。ここは大目に見ておくチュン」

「おお、流石だマスター! 君の懐の深さはアガルタのようだ!」

「地底世界に突き落とすチュンよ? ああ、ディルムッド」

「は、何でしょうか」

「テメーはダメだ」

「!? な、何故ですかマスター!?」

「真っ先に何の警戒もなく他人の物食い出した奴に慈悲があると思う?」

(せ、先輩の目が怖いです! 雀なのに!)

(雀ってあんな顔できるんですねえ。いや、感心してる場合じゃねーんですけど。語尾消えるくらい怒り心頭ですし)

(そんなマスターも素敵です!)

「令呪を持って命じる」

 

 

 自害せよランサー

 

 

「!!!??」

「……なんて、言わせないでねチュン? さて、あなたはどうするのかチュンディルムッド?」

「み、身を文字通り粉にしてでもやり遂げてみせます!!」

「うんうん、働き者なサーヴァントを持って、私は幸せだチュン」

(誰がどう見ても脅迫じゃないですかヤダー)

「……玉藻や清姫を従えるとかさぞ大変だろうと思ってたでちが、前言撤回でち。ますたーも大概だったでち」

 というわけで、御宿での丁稚奉公が始まります。




後書き
「あちらが人類最悪のマスターなら! こちらは人類最鳥のマスターで対抗するチュン!」
「先輩、喧嘩を売る相手が大きすぎるかと!」
「まずはメッセージで挨拶と感謝の言葉を送り、然る後にフレンド申請だチュン!」
(凄く敬意を払っています――!?)
 
ウチのマスターがすいませんでしたorz
 感想、評価お待ちしてます。モチベに繋がるので!(嘘は吐かないスタイル)
 
おまけ:ここのマシュは小動物が好き。


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