主なきノラネコたちの家   作:もちごめさん

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グロい描写とエグい描写が七割増しなので注意。

あと誤字報告…というかサイト様の仕様を教えてくださってありがとうございます。これで太文字デカ文字動く文字なんか使ってる人はすごいなーと思う。


十五話

 十数匹の散乱した悪魔の死体から香る、むせかえりそうなほど濃い血のにおい。どんよりとした夜の空気を完全に呑み込んだこの惨状だけでもたまらないが、今はそれすら添え物だった。

 

 それほどに印象強く芳ばしい芳香を発する赤黒い肉塊にうっとり視線を注ぎながら、陶酔の只中にあるボクは我知らずに、知った事実を呟いていた。

 

「にゃるほど、クーデターね。それで殺しに来たんだ。……迷惑だにゃあ、ボクたち巻き込まれただけじゃん」

 

 緩んだきり戻らない頬に手を置いてため息を吐く。呼吸の拍子に嗅覚が刺激され、思考が綻ぶが、それでも言葉の反芻と共に襲撃の理由を把握した。つまりやはり、ボクたちは悪魔の事情に巻き込まれただけなのだ。

 

 反体制派の悪魔たちが、人間と協定を結ぶ今日を機に反攻の狼煙を上げた、ということ。これを巻き込まれたと言わずに何と言おう。会場となっている城にも当然攻勢をかけているらしく、ならばボクたちだけでなく、そこに出席する人間全員もが被害者だ。そっちが協定を持ちかけたというのにこの仕打ちはいったい何だと、悪魔共への責任追及が今から楽しみでしかたない。

 

 これで城の人間が皆殺しにされたりすればさらに愉快なことになっただろうが、しかしそこまでの大事は残念ながら望み薄だ。というより、そもそもこのクーデター自体が到底成功しないだろう。忌々しいサーゼクスを含めた四匹の魔王共と、ネテロや曹操の手で食い止められるに決まっている。

 この六人だけでも、まとめて殺すにはコカビエルがウン百人は必要だ。サーゼクスとセラフォルー以外の魔王を知らないボクの甘い概算でこれだというのに、聞けばそこに注いだという反体制派の戦力は、初代魔王の血統であるという三匹の悪魔だけであるらしいのだ。

 他に雑魚悪魔の集団も連れているが、それは恐らく城の警備と中の戦える連中とで拮抗している。助力にはならないだろう。だから正真正銘三匹のみの力で六人を倒さなければならないわけなのだが、しかしどう考えても無謀だ。座を奪われた血統が現魔王よりも強いとは思えないし、捨て身の自爆特攻にしても、当の血統故に考え難い。

 

 正直、いったい何の勝算があって攻めたのかと不思議になるほどの戦力差だ。三匹のみという情報が真実でないのか、それとも勝てる自信とその根拠があるという可能性もないわけではないが、しかしやはり、論じるまでもなくそれらは自信過剰の思い込みか、あるいは勘違いであるのだろう。

 

 なにせその、相手の戦力を見積もる眼が、目が明いたばかりの赤子並みであることはもう証明されている。ボクを、アスタロトなる血だけの純血悪魔とその眷属のみで殺せると、本気で思った程度の連中なのだ。

 

 そんな連中が率いる組織、『禍の団(カオス・ブリゲード)』の『旧魔王派』なる、今の悪魔を取り巻く情勢を全く理解していないような雑兵でクーデターを為せるはずもないし、それによる被害も、さして大きなものにはなり得ないだろう。だから賠償やら何やらを要求するにしても、現魔王共は困り顔などしない。

 そして同時に、クロカにも差し向けられたという刺客も、同じく警戒する必要はないのだ。

 

「そこはまあ、改めて安心だよね。オマエが知っててよかったよ」

 

 そんな事実と理由を認識して、ボクは眼前の肉塊、頭蓋を開いて露出させたアスタロトの脳味噌(・・・・・・・・・)に語りかけていた。

 

「……だよね?」

 

 両手に持った串でぐちゅりと刺激を与えてやると、投げ出した手足を痙攣させながら、かくかくした動作で眼前の脳味噌が縦に振られる。拍子にブレた串がどこかを切り裂いたのか、何かの汁が噴出し、襟足まで滴った。

 おかげでさらに芳香が強まったことには一周回ってもはや気付かず、ボクはアスタロトの脳味噌へさらなる問いを投げかけた。

 

「それでオマエ、なんでそんなクーデターに協力してるの?現魔王の血筋だって言ってたけど、その魔王を殺しちゃったら権力も何もなくなるだけじゃん」

 

 聴覚は生きているから、問いは聞こえはしただろう。しかしその答えを引き出す脳の機能は既に死んでいる、というか壊してしまったし、待っていても答えは出ない。

 だからそのための串だ。医術書の知識と経験に従って脳味噌をいじくり、直接脳味噌に命令を下して無理矢理答えを引きずり出す。【人形修理者(ドクターブライス)】の強化のための修行と趣味とが合わさった結果編み出された、能力ではなく技術。

 それで情報をしゃべらせて、もうすぐ二桁になる。串が太いせいで大分損傷が激しくなってきた脳味噌に、近付きつつある限界を見つめながら、ボクはまた串を動かし、むわっと溢れるにおいを嗅ぎつつそれを答えさせた。

 

「彼が、あっ、シャルバ・ベルゼブブが、言って、あっ、くれた」

 

 少し前の傲慢が全く存在しない平淡な声色で、ノイズを混ぜながらアスタロトは言う。

 

「協力すれば、あっ、アーシアや、聖女たちを手に入れるために、手を貸してくれる。それに、もしこのまま人間との協定が成立すれば、あっ、聖女を堕として眷属にすることが難しくなる。今の眷属たちも騙して堕とした元聖女、あっ、の、人間たちだから、それも、あっ、あっ、問題になるかもしれない。だから、協力することにした」

 

「聖女?聖女って、教会にいるアレ?」

 

「そう。教会で手厚く守られ育てられる、あっ、清らかな乙女」

 

 ぐちゃぐちゃ脳味噌をかき混ぜられながら、感情を排してひたすら淡々とした調子で答え続けていたその台詞に、その時微かに欲が混じった。ある意味それは答えた『理由』の証明で、思わず一瞬赤龍帝を思い出してしまったボクは、一際深く串を突き刺してしまう。

 

 おかげで一音、一際甲高い奇声が鳴り響く。帽子を貫き耳が痛くなるほどだったが、においの中ではそんな不快感は些事だった。構わずまた汁を噴かせ、促した。

 

「特に、あっ、アーシアは、素晴らしかった。まさに純真無垢な彼女をこの手で汚したいと、信じていた教会を追放され、堕ちた彼女を、あっ、もう一度堕としてあげたいと、初めて姿を見た時からずっと考えていた。教会の、あっ、女が見せるその時の表情が、僕はたまらなく好きなんだ」

 

「……ふぅん、変わってるにゃ」

 

「あっ、けれど、僕にとっては至上の――」

 

 と、何やら続いてしまいそうな気配はさすがに余計で、ボクはまた別の部分に串で穴をあけた。

 途端に電源が切れたように静かになるアスタロト。そこからさらに脳味噌に刺激を与えてやるとその身体がびくりと激しく反応し、まるで早回ししているかのような速さで痙攣を始めた。指が好き勝手に蠢き、口から零れたのだろうあぶくが血濡れの腹の上を伝う。それから再び急に停止し、欲が切り落とされた続きが、やはり何でもなかったかのような調子で紡がれた。

 

 どちらかといえば、知りたかったのはコイツの性癖ではなく、こっちだ。

 

「それにシャルバは、あっ、『力』をくれた。アガレスもサイラオーグも、足下にすら及ばないほどの『力』。それがあれば、もう、あっ、アーシアの時のように慎重を期して後手に回り、結果リアス・グレモリーに横から掻っ攫われて予定をご破算にせずに済む。あっ、『力』があれば、はるかに容易く聖女たちを手に入れることができる」

 

「で、その『力』っていうのは、なに?」

 

 脳味噌をえぐる途中で、ふと気付いたことだった。他と比べてやけに強い魔力のにおいが、どうやら他とは違うこと。顔を近づけ嗅いだそれには、うっすらと悪魔ではない類の気配が見えていた。

 

 実際は大したことがないアスタロトの能力を、その『力』が強烈に押し上げているのだ。その正体を、ボクは知りたい。

 

 なにせ恐らく、それこそが最もおいしそう(・・・・・)だから。

 

「『力』。あっ、それは……」

 

 ガクガク震えながら、アスタロトは短く答えた。

 

「オーフィスの、『蛇』」

 

「ッ!……へえ、オーフィスって、あの『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』のこと?思ってたよりずっとでっかい名前が出て来たにゃ」

 

 さすがに驚かざるを得ない。ヴァーリとあの変態赤龍帝に宿る二天龍すら越える、最強のドラゴンとまで称される龍神の一角だ。強い『力』だとは思っていたが、まさかそれほどの大物由来であるとは思っていなかった。

 

 もしそれが城を攻めている三匹にも与えられているというのなら、少しだけ評価を上方修正する必要があるだろう。が、しかしだとしても不足に変わりはない。それほどに隔たりが大きいのだ。だからこそ、そんなマヌケの集団に大物が協力しているという事実が、アスタロトの性癖以上に謎だった。

 

 とはいえその談からオーフィス本人がこのクーデターの場に出ている様子はない故に、どうでもいい。警戒しておくに越したことはないが、しかし今はそんなことよりも(・・・・・・・・)、だ。

 

 この、尋常でなく食欲をそそるにおいの正体が悪魔ではなかったという、それだけで今は十分だ。

 

 なぜならもう、次々口に湧き出て来るこの唾に、忌避の必要がなくなったから。

 

 それにたぶん、もう我慢の必要もない。

 アスタロトの頭を覗く度に徐々に持ち上がる口角の、その最後ピース。確信を得るために、ボクは逸る気持ちを抑えて脳味噌の皺を貫いた。

 

「ボクとウタが城の近くまで出て来てるって、誰から聞いたの?」

 

「……だれ、から……あっ、聞いた、だれ……」

 

 シロネ以外の誰にも言っていないし、聞かれていない。尾行されるようなヘマもしていない。クロカにすら黙っていたのだ。情報を知らなければ、わざわざハンゾーまで捕まえて、ボクたちを目当てに森を行進したりはしないだろう。

 

 だから可能性は一つ、パーティーを抜け出し森庭に来るようシロネに告げた屋敷の廊下で、誰かがボクに悟られずに会話を盗み聞いたのだ。そしてそれができるだけの能力を持つ者、当時屋敷にいたという条件を加えれば、心当たりは一人だけ。

 

「名前は、あっ、知らない。グレモリー邸に送り込んだ、スパイからの情報だと、あっ、聞いている」

 

 それは、曹操以外に考えられない。能力と条件と、動機を持つのは奴だけだ。

 

 屋敷にうじゃうじゃ蔓延る使用人悪魔の存在にボクが気付かないはずはないし、何かしらの装置での盗聴も、仮にも貴族で且つ魔王を輩出した名家である以上、まずありえない。少なくとも、何の重要性もない廊下には仕掛けない。当主やそれの眷属ならば可能性はあるが、こちらは動機が存在せず、あったとしても、そうであればボクを殺すのにアスタロトのような雑魚を送り込んだりはしないだろう。

 

 故の消去法。実際ボクはタンニーンの背に乗ってきた奴の気配に気付けなかったし、シロネに話した朝方には、確かにまだ屋敷から出てはいなかった。

 

 それに動機も、奴には京都での前科がある。それにもしかしたら、ヴァンパイアの一件も同じ流れの内なのかもしれない。騒ぎに乗じて裏で暗躍するのは、もはや奴の十八番と言っても過言でないだろう。だから今回も、今度は悪魔社会に対して何か企んでいるのだ。アスタロトにボクたちの行動を教えたのは、だから何かの目的があっての一環に違いない。

 

 その『何か』も、暗躍の目的だって何も想像できないのに、ボクはそう思い込んだ。口角の上がりきった視界には、もう獲物(アスタロト)しか映っていない。

 

 だから確信を得てしまったボクは、次の瞬間、用済みの首を引きちぎった。

 

 ――身を縛り付けていた鎖の一つが壊れたような、奇妙な解放感だった。

 

 途端噴水のように噴出する血と爆発するにおいに、ボクはまずそれを感じた。赤色の瀑布がマントを汚し、生暖かく染み込んでくるその感覚ですら、全く不快にならない。気にならないほど、口が解けていた。

 

 歓喜の形に唇を歪めたまま、ボクは提げ持った首をひっくり返す。切るでなく引きちぎったために荒い切断面からは脊髄が飛び出し、垂れ下がる筋線維と血管からは、未だぼたぼたと粘った液体が零れ続けている。そうして血が抜け蒼白になりつつある顔の表情は、やはり間抜けな表情をしていた。

 

 茫洋と目を開いたまま、痴愚のようにだらしなく口を開けて死んでいた。あの絵にかいたような尊大な物言いが、こんな死に顔。見ていると、今度は胴体のほうが自重に負けてどさりと横倒しになった。

 

 そっちに視線を動かし、見下ろして、また嗤う。

 

 死んだ。そう、ボクが殺したのだ。純血の悪魔を。

 

 この時を、ボクはどれほど待ち望んだことだろう。はぐれ悪魔狩りでは到底慰めること叶わない『王』の無念。ボクの憎悪を唯一晴らせるであろう純潔悪魔は、赤髪も筋肉達磨も使用人共も、そしてあの魔王共も、見つけたすべてが殺すことを許されない立場にあった。

 

 ボクはクロカと在るために、我慢するばかりだった。

 

 だが今回は、このアスタロトは違う。れっきとした貴族悪魔であるというコイツを、クーデターに加担した逆賊だと証明する前に殺してしまえば言い訳ができなくなると、今まで邪魔をしてくれていた理性ももう不要。これが曹操の差し金であるのなら、我慢の必要もない(・・・・・・・・)からだ。

 

 ボクのことをクロカに次いでよく知っている奴が、悪魔を憎悪する理由を知っている奴が、ボクにけしかけられた悪魔が無傷で戻ると考えるわけがない。ましてや純血悪魔で、尚且つ主たる魔王を捨てた『はぐれ』の如き悪魔であるのだから、むしろ何かが起こることを期待してすらいるだろう。

 

 つまり、殺していいとのお墨付きだ。例えば奴の暗躍の一環でアスタロトの死が必要だとか、恐らくそういった理由。勝手に役者に組み入れられた格好、曹操の計画の内ゆえに、だから潔白の『証明』など、そもそも最初からいらないのだ。

 

 すべて曹操か、その仲間が処理してくれる。でなければ奴の企みに支障が出るから。

 

「だから……死体が食い荒らされていても(・・・・・・・・・・・・・)、オマエならうまく誤魔化せるよね」

 

 ボクの正体だって奴は知っているのだから、喰らうことだって想定しているに決まっている。

 それに実際、ボクはアスタロトではなく、その内の『蛇』を目当てに喰らうのだ。悪魔を食べたくて食べるわけではないのだから、問題ない。悪魔が、食べたいわけではない。

 

 だから、ボクはこのおいしそうな(悪魔の)肉を食べてもいいのだ。

 

 そんな無茶苦茶な理屈で、頭の中が埋め尽くされようとしていた。

 

 悪魔を食べることが普通でないと知った時以来、一度もそんなことはなかったというのに。いつの間にか、そうなっていた。

 

 舌なめずりをしていた心の中の自分が、すでに大口を開けて待っている。ついさっきまでの葛藤すらもう影も形も見当たらず、ボクは内心の衝動に導かれるまま両手でおいしそうな頭を抱え、その剥き出しの脳味噌に顔を近づけた。未だほかほかと温かい空気がにおい立ち、鉄臭さと生臭さが混ざり合う臭気の芳香が、コカビエルの血のみならず、遠い昔に喰らった悪魔の味までもを容易く記憶の封印から引き上げる。味覚に蘇るそれにボクの頭は愚直に反応し、開く口の端から零れるほど唾が湧き、それと一緒に、建前と化した誓いすらも頭の中から流れ落ちた。

 

 理屈も状況も、本能さえも許す中、小さな理性だけではとてもそれらを押し留めることができなかった。その何もかもに、抵抗などできなかった。

 

 抗うだけの気概など、クロカの『家族』でなくなるボクには残されていなかった。

 焼けつくように疼く胃袋と急かしてくる過去の記憶も、正者のいない周囲を見回し受け入れ、そのすべてを曹操のせいにして、ボクはとうとう、大口を開けた。

 

 そして、

 

 食べた。

 

「―――」

 

 においでの陶酔が全くの紛い物に思えるほど、舌に触れたそれは、ボクにとてつもない感動を及ぼした。

 

 全く形容できないが、しかしとにかくすばらしく良い感覚。下から染み込みたちまち全身を巡ったその快感は、つまり『美味』なのだろう。今までずっと欠けていたものが満ち足りたような、そんな充足感に、念入りに咀嚼した脳味噌を呑み込んだボクは、思わずため息と共に興奮の熱を吐き出した。

 

「――おいしい……!」

 

 濃い味とにおいと、法悦。これこそが、ボクに必要だったものだ。

 

 暴かれた本性と、それによる飢餓感が命ずるまま、ボクは続けざまに脳味噌にかぶりついた。その度溢れんばかりに広がる極上が、細胞の隅々にまで染みわたっていく。その感覚が心地よ過ぎて、頭がどうにかなりそうだった。今までの我慢がつまらない意地にさえ思えてくるほど、ボクはこの食事に心の底からの幸福を感じていた。

 

 だから比例して、この五年間への後悔が際立つ。なぜボクはこんなにもおいしいものを食べることを自分で禁じ、代わりに携帯食料やらバーガーやら、悪魔と比べれば残飯同然のものばかりを食事にしていたのだろう。『蛇』を取り込んだアスタロトほどではないにせよ、仕事で殺すはぐれ悪魔だって、少なくとも残飯よりは圧倒的にマシだったろうに。

 なぜ、今まで一度も食べようと思わなかったのか。頭からすっぽり抜け落ちてしまったその理由に首を捻りながら、ボクは長らく感じてこなかった純粋な幸福感に魅了され、欲望のままそれを貪り続けた。

 

 そうして夢中になって欠落を埋め続け、御馳走の残りが腕一本になってしまった頃だった。

 

 ようやく薄れ始めた飢えの感覚が焦りを消し、同時に恐れも完全に忘却してぼんやりと幸福に浸るボクは、当然警戒心すら忘れていた。全く筋肉のついていないひょろひょろの腕から肉をこそぎ落とし、口に運ぶことのみに集中していた故に、その羽ばたきの音も、もちろん気配にも、意識が向くことはなかった。

 それを認識したのは、羽ばたきの環境音から言葉としての音が飛び出して、ボクの言語中枢をノックしてからだった。

 

 幸福をぎっしり詰め込んだお腹にまで響く昂然とした低い声が、影と共にボクの後頭部に降り注いだ。

 

「妙な声と気配がしたと思えば……酷い有様だ。おい、そこの……誰だ?貴様は」

 

 あの時のドラゴン、タンニーンだ。台詞の後半でようやく声色に気付く。そして眼が悪いのか何なのか、ボクであると気付いていないらしい彼に、呆けた頭で緩慢に振り返った。

 

「そこで、いったい何を――」

 

 見上げ、眼と眼が合った。その直後、

 

「して――ッッッ!!!」

 

 ドラゴン故にわかりにくいタンニーンの表情が、見間違えようがないほどの恐怖、戦慄を表した。鋭く息を呑んだと思えば大きく羽ばたきボクから距離を取り、その首をいっぱいに反らして引き絞る。

 

 なんだろう、と、ボクは口の中で骨を噛み砕きながら首を傾げた。貪欲と狂暴に揺蕩い、血と死に口角を上げたまま、何の不審にも思い当れないまま、ただ不思議に思った。

 

 だからタンニーンの咢に赤熱の火炎が溢れ、ボクに向けられようとしているさまを眼にしてもそれは変わらず、

 

 放たれた炎が目の前のすべてを覆う頃になって、ようやくボクは我に返った。

 

 そして同時に、今まで呑まれていた自分に絶望する。その理由が正当だろうが屁理屈だろうが、そんなものは関係ない。

 

 悪魔が食べ物である事実を受け入れてしまう(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)という。ボクは最低限の資格さえ、失った。

 

 その事実に気付いた愕然では、もちろん元龍王であるタンニーンの本気はどうにもならない。迫る隕石の如き炎は防御の暇もなく身を襲い、血でぐっしょり濡れたマントを一瞬で燃やし尽くしてその下のジャケットまでもを焼いた。

 

 視界の端で、消し炭となる長方形の紙片が悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

「ゆ、ゆるしてっ、くれ、よ。もう、お、おれは、ぜんぶ――」

 

「許して『くれ』?言葉遣いがないってないわね、やり直し、っと!」

 

 歯をすべて抜かれた切れの悪い声で、震えて命乞いをするリーダーだった(・・・)悪魔の男。その指の爪を、私はニヤリと笑みを作り、躊躇なく剥がしてやった。

 

「ぐぎゃあああぁぁぁッッ!!!」

 

「あはは!あんた大げさすぎよ。爪が一枚剥がれただけじゃない。……まあ、これで四枚目なわけだけど。でも片腕が吹っ飛んだ痛みよりは全然マシでしょ?情けないわねぇ、上位種族の悪魔サマのくせに」

 

 夜の薄闇に投げ捨てる生爪と、それを鼻で笑う私の言葉。つい数十分前までのこいつであれば即座に言い返してきただろうが、今はもう涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で絶望を作るのみだ。料理の鉄串と仙術とで木にはりつけにされた状態で、もはやリーダーとしての威厳も、悪魔の誇りとやらも完全に失っていた。

 

 ここにいるのは、私の拷問に怯え、泣き叫ぶだけの哀れな男だった。

 

「ほら、許してほしいんでしょ?ならどう言えばいいのか、わかるわよね?」

 

「あ、ぎ……ゆ、ゆるして、ください……」

 

 さらに、残忍に見えるよう意識して口角を吊り上げる。

 

「だぁーめ!許してあげなーい」

 

「な……なんで、くださいって、おれ、いったのに」

 

「だってあんた、これの目的忘れちゃってるんだもん。ちゃんと知ってること全部吐いてくれないと、やめてあげるわけにはいかないにゃん」

 

「い、いった!ぜんぶ!おれ、もうぜんぶはなした!ほかには、もうなにも――」

 

「それが本当だって保証はどこにもないわけじゃない?なら、それが得られるまでは続けないと意味ないでしょ。……拷問はまだまだ始まったばっかりだから、楽しんでねぇ」

 

「あ、ああ……や、め゛ッ――」

 

 最後の一枚を、ぶちっと。

 

「あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァッッ!!」

 

 引きちぎって絶叫を聞きながら、ふう、と、私は内心で疲労に息を吐いた。

 

 実のところ、誰かを拷問するのなんて初めてだ。わざわざ痛めつける必要なく情報を引き出せる技能をピトーが持っているからだが、しかし彼女がいない今のような状況ではそれが仇。まだまだ始まったばかりだというのに、既に少々疲れてきた。

 

 表にはまだ出ていないが、正直時間の問題だろう。どこかでちゃんと練習しておくべきだったと、初歩の初歩で躓きかけている自分が不甲斐なく思えてくるが、とはいえせっかく奴の心に積み上げた私への恐怖を、弱音を吐いて台無しにはできない。

 それに、ピトーならもっとうまくできるはずだ。その思いで私は気合を入れ直し、心を奮い立たせると、次いで今度はピトー式拷問の次段階、目玉をやってやるべく、磔で余った鉄串を手に取った。

 

 しかしその手は、痛みの脂汗が滲んだハンゾーがすぐに掴んで止められた。

 

「おい、ウタ。いい加減、終わりにしとけよ」

 

「……まさかあんた、憐れんでるの?こいつじゃないにせよ、やられたんでしょ。傷のことはもう忘れちゃったわけ?」

 

 ムッとして振り向けば、難しそうにしかめられたハンゾーの顔。そもそも拷問なんかは忍者でもある彼の方がずっと慣れているだろうに、なぜそんな顔をして邪魔するのだ。

 

 内心で悪態を付くと、読心でもしたのかと思うほどタイミングよく、ハンゾーは首を振った。

 

「あれであんたらみたいな無差別悪魔嫌いにはならねーよ。人間と同じだ、良い奴もいれば悪い奴もいる。……だが今はそっちの問題じゃねぇ、白音ちゃんはオレたちと違ってこーいうエグいのに慣れてねーんだ。ちょっとは気遣ってやれよ」

 

 視線を移すと、白音は青い顔で胸を押さえながら、慌ててそれを否定した。

 

「い、いえ、私はそういうわけじゃ……とにかく、大丈夫です……。情報を得る必要があるのは、わかっていますから」

 

「こんな下っ端じゃあ、これ以上情報なんて出てこねーよ。……そんなことはウタだってわかってんだ。だからほんとに、無理せず言ってやっていいんだぜ?どーにも白音ちゃんは主張が弱いからな。我慢してばっかじゃこの性悪師匠が調子に乗るばっかりだ」

 

「その師匠が目の前にいるってのに……ハンゾー、あんたもだいぶ生意気になってきたわね。ちゃんと敬わないと『念』の修行つけてあげないわよ」

 

「敬えってーならまず敬えるような態度を取れよ!……はあ、なんやかんや一月以上も顔合わせてんだぜ?それだけあれば、あんたら相手に遠慮しちゃいけねーってことぐらいわかるっての」

 

 話が逸れて実に失礼なことを言い、おまけに開き直ってくるハンゾーに、私は警告の意を込めて一睨みを送ってやる。だというのに懲りずに舌を出すそのアホ面へ鉄串を投擲してから、続けて白音に不敵の余裕を見せつけた。

 

「それで?白音、あんた本音ではどうなわけ?この程度の拷問でビビっちゃった?」

 

 反応して肩を震えさせるその姿は、実際ハンゾーの指摘通り、どう見ても怯えている。気分も悪いようだ。表情に見るまでもなく、わかりきっているその内心。

 

 それは、残念ながら私たちの笑みを深めるだけのものだ。

 

「見るに堪えないんだったら、消えれば?」

 

 半笑いで言ってやった瞬間、白音がびくりと身を震わせ、恐れを以って私を見返した。

 言葉に詰まって漏らした息を無視して、私は続ける。

 

「フェルとの話なら、まあこんな事態だし、私から言っといてあげる。重要な件ならなおさら、この騒動の事後処理が終わった後の方がいいでしょ。あんたのご主人様、リアス・グレモリーのとこでもどこでも行ってらっしゃい」

 

「ウタ、相変わらずお前なぁ……まあ構いやしねーけどよ」

 

 撃った鉄串を指二本で挟んで白刃取りしたハンゾーが、それをくるくる回して弄びながらため息を吐く。呆れの表情であった奴は、しかしすぐに白音へ言った。

 

「でも実際んとこ、そのほうがいいかもな。リアスさんもパーティーに来てるんだから、もしかしたら助けが必要かもしれん。ウタとフェルは必要ない……戦力の意味ではそうだろうし、何言っても無駄だろうし。だから一緒に助太刀に行こうぜ、白音ちゃん。ここで突っ立ってるより、そうしたほうが色々とマシだ」

 

 私もぜひそうして欲しいと思った。負傷塗れのハンゾーが白音を城までエスコートできるかどうかは微妙なところだが、しかし仮に下手を打ったとしても私たちの責にはならない。

 なら、そのほうがいいだろう。ハンゾーの提案は、三票中二票の賛同を得た。残る白音も当然賛同に票を投じ、満場一致で決定する。

 

 と思っていたのだが、白音は全く逆、縦ではなく横に首を振った。

 

「いえ、私は……ここに残ります」

 

「……なんでだ?」

 

 胡乱げなハンゾーの、今度は疑問にまたしても私は賛同を示しつつ、伺うように一瞥をくれた白音に気付かないふりをして言葉を待った。

 

「……ウタさま、とフェルさまが、もしかしたら今後本当に勘違いされてしまうかもしれませんから。その……拷問を、していらっしゃいますし……」

 

「あー……なるほど、そうか。……ほんといい子だなぁ、白音ちゃんは。それに比べて……」

 

「『比べて』、なに?」

 

 凄んでやれば「何でもありませーん」なんていう間抜けな声で返してくるハンゾーにまた鉄串を投げた私は、次なる修行をさらに苛烈なものにしてやる決意を固める。

 

 しかし真に忌々しいのは白音のほうだ。お優しき勘違いを正してやるべく、ため息と共にハンゾーへの威嚇を切り離し、鼻で笑って腕を組んだ。

 

「あんたもそうよ、白音。おべっかなのか何なのか知らないけど、そんなの余計なお世話だわ。大体、クーデターが起きてるこんな状況で、私たちハンターが無辜の悪魔を虐めてるだなんて見る奴なんているわけないし。いたとしたら、それは十中八九敵よ。あるいは頭に脳味噌が入ってないバカか、どっちか」

 

 言って、集まる二人の視線を、なお賑やかな城の方へ促す。

 

「あっちはまだ治められてないみたいね。まあ敵の本隊だろうし、つまり私たちの方と違ってちゃんと戦いになってるわけよ。この悪魔サマがしゃべったことが正しいなら、パーティーに出てる人間はみんな殺害対象。ネテロや曹操がいるとはいえ敵の数が数だし、自衛手段のない普通の人間は殺されちゃっててもおかしくない。……悪魔側が開催したパーティーでそれだけの事件が起きたんだから、まともな神経してるなら、純然たる被害者である人間を責めるなんてできないわ」

 

「それは……」

 

 怯んだみたいに眉を下げ、言葉に詰まる白音。どうやら反論は思いつけないらしく、私は説得成功の安堵を隠して胸を張り、おどおど見上げてくる彼女を見下ろした。

 

 残ってそのお優しさを発揮する理由は消えた。ならもう拷問の鑑賞をしようとは思わないだろう。その忌避でだけでも白音は消えてくれるだろうが、しかし確実に排除するため念を入れ、今の白音が最も大切にしているであろうモノを取り出した。

 

「リアス・グレモリー、あれも、そろそろあんたがいなくて不安になってる頃じゃないかしら」

 

 その名前に、白音は表情を歪めた。

 

 ピトーが白音を呼び出した森庭は、当然城の敷地に含まれる。招待もされていない私たちがそこに踏み入るのは、まあもちろん適法とは言い難く、公になれば問題になることを承知しているであろう白音は、自身がここにいることも含めて、リアス・グレモリーには報告をしていないはずだ。黙ってリアス・グレモリーとその眷属どもの前から消え、そのままここにいる。そんなところにクーデターを企てたテロリスト悪魔が現れれば、彼女らが『もしや』と思うのは火を見るよりも明らかだった。

 

 情愛を是とするグレモリー家の姫君は、猜疑心をこじらせて暴走しかねない。結果、もしかすれば、一際強い三人のほうにまで突っかかっていく可能性もある。

 さすがにそうなると考えるのは妄想の度が過ぎているかもしれないが、可能性だけでも白音には効くだろう。なにせ……命を賭けるほど、今の白音にとって大事な存在の危機なのだから。

 

「……だから、心配ならさっさと行ったほうが――」

 

 僅かに揺らいだ自覚のある不敵の笑みで、背を押した。

 

 その瞬間だった。

 

 ピトーの気配を感じた。

 

 ようやく戻ったのかと、台詞を中断した私の口は、最初に文句の形に動いた。だがそれは声になることも、気付く(・・・)こともなく、絶たれる。振り向き、眼に入った森の眩い(・・)風景が、

 

 視界いっぱい炎の壁になぎ倒された。

 

「――私の後ろにッッ!!!」

 

 真っ暗な夜の森を貫く眩い光線に、反射的に二人に叫ぶ。声にならぬ声で喚く磔状態の悪魔を木から捥ぎ取り、すさまじい勢いで迫る炎の壁の盾にした。

 瞬く間に、喉が焼けるほどの熱気が辺りを包んだ。悪魔の絶叫は一瞬で止み、炎の奔流を受け止める肉はどんどん炭に、そして灰となって消えていく。ボロボロ崩れる有機性の盾から溢れた炎に炙られながら耐え、そしてとうとう破られるその直前、ようやく身を打つ炎は止んだ。

 

 息をつき、横目で背後を見やる。所々の火傷はともかく二人とも生きていることを確認し、私は手で掴んだ嫌な臭いを発する炭の塊を投げ捨てた。

 残った手足は消し飛び、辛うじて目と口だった穴がわかるのみの焼死体。眼にしたのだろう白音が喉を鳴らす音を聞きながら、しかし私は別の意味合いの冷や汗が止まらなかった。

 

 『念』と仙術で全力で強化した肉盾でもこの有様なのだ。周囲にあった草木は軒並み跡形もなく消えているし、私たちの経つ地面以外は溶けて赤熱さえしている。射程の外、余波で火が付いた木々は多く、一帯に溢れる光源で夜が一変し、まるで時間が変わってしまったかのようだった。

 

 そしてそれを為した範囲も威力も、すさまじいの一言に尽きる、このレベルの炎。私自身の身体で受けていればどうなっていただろうと、息を呑んでしまうほどのものだ。

 

 それ私たちに放った何者か、察するにハンゾーとピトーが戦ったという敵が、これほどの攻撃力を持つという事実。適当を言って助けに行かなかった自分を絞め殺してやりたいほどの戦慄を、私は感じた。

 

 しかし、悔いるのは後だ。まずはとにかく敵を片付けてから。『フェル』一人では手に余る相手だろうが、『ウタ』と二人がかりならどうにかなる。

 だから私は、その時、半分溶けた大岩の裏で同じく火炎をやり過ごしたピトーに、大声で言った。

 

「フェル!!平気!!?いつも通り、連携で片付けるわよ!!」

 

 『隠』を使って能力の黒い『念弾』を生み出した。たとえ相手がどれだけ強力だろうが、『凝』ができない限り初見殺しのこの攻撃を防ぐことは難しい。やり慣れた定番の戦法だからこそ、これが最も安全で確実だ。

 

 そう考え、私は叫んだ。戦慄と緊張でいっぱい故に、白音の呟きは思考には入ってこない。

 

「え……フェル(・・・)……?」

 

 火傷の痛みも忘れて呆けるその直後、ピトーがこちらを振り向いた。たぶん彼女は戦闘への集中で私たちの存在に気付いていなかったのだろう。驚愕の表情が張り付く。

 

 同時に、紛れもない恐怖を示して、その三角耳(・・・)が揺れた。

 

 耳だけではない。長い尻尾はピンと天を指し、四本指の手は中途半端に構えられたまま固まっている。着ていたはずのマントは影も形も見当たらないし、剥き出しになっているジャケットとズボンは所々破けて穴が開き、素肌が露になっていた。

 

 そして、気配の印象(・・)。色気たっぷりの気だるげなお姉さんである『フェル』ではなく、ありのままの『ネフェルピトー』だった。

 

 人間のハンターではなく、世間ではとうの昔に死んだはずの、『変異キメラアント』のピトーに戻ってしまっていた。

 

「――ッ!!い、生きて……」

 

 憎き姉の仲間たるその顔はさすがに記憶に残っていたらしく、ほどなく気付いて声を震わせる白音。戦慄の呟きに、ピトーの眼が私を捉えた。

 

 不安と怯えと。そんな感情が読み取れた。

 

「―――ッ!」

 

 ぎゅっと歯を噛む。

 

 ピトーはこの状況を作り出してしまったことを、私たちの人間としての生を終わらせてしまうことに責任を感じているのだろう。だが、彼女に滲んだ青い血が焼けて蒸発しているほどの強敵なのだ。防御し損ねてピトーを『フェル』にするためのパリストンの名刺を守り切れなかったとしても責めることなんてできないし、それを言うなら私だって、ピトーと『フェル』の区別があやふやなために口を滑らせてしまった。

 

 どちらかと言えば、そっちの方が致命傷だ。今は『変異キメラアント』の生存という驚愕に呑まれているが、いずれ疑念は真実まで届いてしまうはずに違いない。

 

 だから、この程度で私がピトーを嫌うことなど、ましてや見捨てることなど、ありえない。

 

 それに私だって――もう白音に、用事なんてない。

 

 どっちを選ぶかなんて決まっている。

 

 私は自分の胸元を、服の下の『ウタ』である証を握り締め、そして、

 

 妖力を以てしてそれを焼き尽くした。




ディオドラ君RIP。正直羨ましいぞ。
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