主なきノラネコたちの家   作:もちごめさん

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20/3/21 本文を修正しました。


五話

 たかが一晩眠ったところで、それを忘れることなどできるはずがなかったのだ。

 

 ボクの口をついて出てきかけたその言葉は、忘却するにはあまりに重大で、そして致命的だった。だからこそ、ボクは夢の中でさえその言葉を一言一句まで意識せざるを得なかった。

 

 あの時、クロカの存在を腕いっぱいに掻き抱いた時、ボクの口は『おいしそうな匂いがする』と言いかけた。ボクの無意識は、クロカのことをおいしそうな餌だと認識していたのだ。

 

 直前になるまで、ボクはそれに気付かなかった。

 

 確かに、ボクの『キメラアント』の嗅覚が悪魔のクロカをおいしそうだと感じることは、悍ましいが理解できる。栄養価が高く、しかも魔力という『力』に溢れる悪魔は、『キメラアント』にとって最高の食料だ。『女王』に強い『王』を産んでもらうためにも、自ら捕食するためにも、その習性から言えばそれはこれっぽっちもおかしくはない。

 しかし、ボクはボクが普通の『キメラアント』でないことを自覚していた。何よりも心に於いて、異なる。理性は、自分が悪魔であれば見境なしに殺し、喰らい啜るような、『キメラアント』という名のクロカの敵ではないと、そう確認をしたのだ。だからクロカの身体が治るまでは彼女を守ると、妥協もできた。

 だが、気付かなかった。気付いていなかった。気付かないほど、その認識に違和感を覚えなかった。以前食べた悪魔のにおいとクロカのそれを比較することがどういう意味なのか、わかっていなかったからこそ、ボクは理解したのだ。

 

 クロカを餌と捉えることは、ボクの理性にとってわざわざ意識することもないくらい、極々当たり前のことだった。

 

 ボクの精神は『キメラアント』でない。そしてクロカのそれと同じでもない。彼女を外敵から守るためだと理屈を捻り出し、自分を納得させたその裏に、まともでないボクの本性は隠れていた。

 

 なら、クロカを助けたいと願ったあの時のボクは何なのだろう。ボクは本当に、クロカのためを思っているのだろうか。

 

 瀕死のクロカを見つけたあの時、クロカが邪気に呑まれたあの時、クロカが悪魔共と出くわしてしまったあの時、本当は心のどこかで舌なめずりをしていたのではないだろうか。クロカを助けたいと思ったあの時のボクは偽物だったのだろうか。

 

 何故ボクはこうも異常なのだろう。身体も心も、すべてに於いてボクはクロカと相容れなかった。

 

 こんなこと、気付きたくなかった。

 

 ボクは紛れもなく、心身ともにバケモノであったのだ。

 

 そのことに、悲しみを感じる。無念さを感じる。怒りを感じる。しかしその一方で、何故心を揺らしているのかわからないと首を捻る自分も確かに存在している。

 複雑に絡み合ったこの感情の名前がわからない。その先が理解できない。そんな自分が恐ろしくてしょうがなかった。

 

 考えれば考えるほど、自分とクロカの間にある違いを意識してしまう。どんどん距離が離れていくような気がして、だからボクは寝床を逃げ出したのだ。

 

 逃げ出して、行き着いた先が生まれ故郷たる『巣』であった理由はあまりよくわかっていない。ここにもう生者がいないことは何度も確かめたというのに、ボクは今更何を求めているのだろう。

 

 ここは『巣』の大広間。最も多くの死骸が散乱している場所で、そのほとんどが当時のまま腐り溶けている。気分が悪くなるほど濃密なその腐敗臭を肺いっぱいに吸うと不快感に咳き込んで、訳もわからぬ感覚がボクの気を逆なでしていた。

 

 ただ、忘れてしまいたかった。

 

 自分にはどうすることもできない、煩わしいこの感情。心臓に爪を立てて引っ掻き回されているような、その感覚を解決しないことにはクロカと会えるはずもない。このわだかまりを抱えたままで、ボクはクロカに何を言えばいいのだろう。

 だからせめて、嘘でも笑えるようになるまでは帰るわけにはいかなかった。クロカの顔を見るわけにはいかなかった。

 

 なのに――

 

「――どうして」

 

 こんなところに来てしまうんだ。

 

「クロカ……」

 

 未だ断裂した肉が癒えておらず、長時間の歩行などできないはずなのに、なぜかクロカはそこに立っていた。脚を震わせ、開いた傷から血を滲ませて、土壁を支えに呆然と、ボクに無色の視線を注いでいた。

 

 どうやってここまで来たのか。身体は大丈夫なのか。かけるべき言葉はいくらでも思いついた。クロカを前にしても頭はやけに冴えわたっていて、言葉だけなら何も知らなかった頃の自分を演じることができるはずだった。

 

 しかし、彼女が僅かでもこちらに近づくそぶりを見せれば、そんなものはすぐに吹き飛んだ。

 

「それ以上、こっちへ来るな……ッ!」

 

 ひとりでに口をついた言葉は恐怖に震えていた。それを耳にしてクロカの動きも止まる。

 

 ボクはいつの間にか、自分がクロカを直視できなくなっていることに気が付いた。

 もしクロカがボクの正体に気付いていたら。その眼から口から身体から、ボクに対する拒絶を発していたら。その感情は怒りか恐怖か、どちらにせよ、ボクは視線を彼女の足元に下げざるを得なかった。できれば耳も塞いでしまいたいほどの恐怖が、ボクの視線を押し下げていた。

 

 ばしゃり

 

 突然、崩れ落ちるようにしてクロカが地面に座り込んだ。脱力した身体に置いて行かれ、宙を舞った着物の端が腐った血だまりの上に落ち、赤黒く変色する。

 

 その拍子に、ボクはクロカの顔を見てしまった。その表情はボクが危惧した感情を宿してはいなかった。彼女は怒っても恐れてもいない。

 

 それをすべて通り越したところにある絶望で、クロカの心は染まっていた。

 

「……ふふ」

 

 今すぐにでも逃げ出したいのに、できない。ボクの目にクロカの顔が焼き付いていて、彼女が顔を伏せて小さく呟こうとも眼を離すことができなかった。

 

「ふふ、ふは、あはははは!!」

 

 クロカが嗤っている。

 

「あはははははは!っひひ、ひふふふふ」

 

 こらえきれないと言わんばかりに、腹を押さえ、脚をばたつかせ、手で地面をバンバン叩く。腐った血が跳ね飛んで自分の身を汚してしまうことも厭わずに、まるでそれ以外考えられないかのように無防備に、クロカは異様なほど楽しそうに嗤っていた。

 

 それが絶望による諦念だと、この時のボクは気付いていなかった。

 

「ピトーってさ、ずるいわよね」

 

 半分嗤ったまま、クロカが言った。

 

「だって一人で何でもできちゃうんだもの」

 

 顔を上げたクロカはボクを見ていない。確かに視線は合っているのに、ボクはそう感じた。

 

「私は駄目なのよ。いつまでたっても」

 

 クロカの腕がゆっくりと持ち上がる。

 

 唇が弧を描いた。

 

「だからさ、今度は私が捨てるの。別にいいでしょ?――ねえ」

 

 瞬間、ボクの頬を何かがすさまじい速度で掠めていった。

 

 背後で轟音。土壁に穴が開き、日の光が広間の明度を少し上げた。吹き込んでくる外の風が砂塵を巻き上げてボクの背を撫でる。視界の端でなびく自身の髪の毛を眼にするまで、ボクは何が起こったのかわからなかった。

 

「クロ、カ、なんで」

 

 そんな眼――

 

 言葉を待たず、またしても何かが、いや、光弾が、反対側の頬を掠めて壁を貫いた。

 

 指の先ほどの大きさの弾だった。サイズは小さく、しかも速い。辛うじて目では追えたがはっきりとは見えず、ボクは二度目でようやくそれを認めた。

 

 その攻撃がクロカより放たれたのは、見間違いではなかったのだ。

 

 信じられず、現実味のないまま唖然とクロカを見つめていると、その背後で何やら不思議な模様、恐らく魔法陣がすらすらと宙に描かれ始めていた。それより感じる膨大な『力』の奔流に僅かなりとも正気に戻り、次に聞こえた平坦なクロカの声で、思考の栓は完全に掻き消えた。

 

「私の前から消えて」

 

 クロカが腕を薙いだ。同時にボクの本能がけたたましく警鐘を鳴らし、それに従ってボクはその場を飛び退った。

 

 一拍の後、すさまじいまでの『力』がそこに突き刺さった。『気』と魔力と、恐らく妖力が入り混じった『力』が渦を巻き、一秒前までボクがいた空間を滅茶苦茶にかき回している。見た目は小さな竜巻のようだが、その威力。悪魔共が放った特大の火弾よりも破壊力は上だった。いかなボクでも、受ければダメージは避けられなかっただろう。

 

 それは間違いなく、ボクの命に届きうる攻撃だった。それ故にクロカの殺意を明確に感じてしまい、ボクはますます血の気が引いた。竜巻が消えても恐怖は消えることなく、『力』を使えないはずの彼女に対する疑問も思考も吹き飛んで、唯々感情のままにボクの口は動いた。

 

「や、やめて……やめてよクロカ――」

 

 しかしクロカは取り合わない。手の中に集わせた、青い火の玉のような『力』の塊を興味なさげに弄っていた。

 

「……あの元バカマスター殺した時も、こんな感じだったのよね」

 

 呟くように言うと、クロカは手を傾けた。『力』の塊が手の中から零れ落ち、青い尾を引いて地面に落ちる。

 

 すると、そこを起点にして地面が燃え上がった。波紋のように燃え広がる青い炎は心が追い付く前に足元まで到達し、ボクの体表を這って登り始める。気が付けば辺り一面を青い炎が覆っていて、その異様な光景にボクは一瞬だけうろたえた。

 

 だが、すぐに気付く。大して熱くないのだ。文字通り、炎が体表を覆っている状態。肉体の表面に膜があって、それが燃えているような、そんな不可思議な炎だった。

 ごくわずかだが倦怠感を感じるところを見るに、ダメージを与えることが目的ではなく、体力の消耗を狙った攻撃のようだが、しかし、ただ覆っているだけならばそれを消すのは簡単だ。肉体から『気』を放出して吹き消せばいい。

 

 斯くして炎は腰に到達する前に霧散した。地にうねる青の揺らめきも消え、削れた体力も雀の涙ほど。まったくもって影響はない。

 

 目くらましにもならないような攻撃を、クロカは何故選択したのか。わからずにいると、クロカが苦笑と共にひらひらと手を振った。

 

「それね、魔力を燃料にして燃え続けるのよ。だからそれしか知らないような悪魔には絶対消せない。死ぬまで窯焼きにされちゃうの。

 ……ふふ、ああ、面白かったなぁ。あのバカ、それに気付かず消そうとして魔力をバンバンぶつけるもんだから、ほんの十分で全身炭になって死んで、その死に顔が面白いのなんのって……なのに」

 

 クロカの手が腐った血だまりを叩く。笑みは完全に消え去り、その眼はどんどん怒りの感情を増していた。

 

「なのに白音は気に入らなかったみたいでね、気付いたら私のことをバケモノを見るみたいな眼で見てた。私は……あんたを助けに来たっていうのに。せっかく、助けてやろうって思ったのに……」

 

 クロカが血に濡れた右手を振り上げると同時に、ボクは走り出した。

 

「なんで……なんでなのよ!!なんであんたにそんなふうに見られなくちゃならない!!」

 

 魔法陣が光り輝き、クロカの頭上に無数の光弾が現れる。彼女が手を地面に叩きつけると、それは弾幕と化してボクめがけて襲い掛かった。

 

「私がバケモノ!?冗談じゃない!!バケモノなのはあのクズ野郎よ!!バカでクズで、自分の名声を高めることしか頭にない!!あいつは私たちのことを使える道具程度にしか思ってないのに!!人を簡単に裏切って、その命を奪うことに良心の呵責も覚えないような、あいつこそバケモノじゃない!!それを差し置いて、どうして私がバケモノなのよ!!」

 

 光弾の群れが、逃げるボクを追うように降り注ぐ。穿たれた地面から鳴り響く甲高い炸裂音に耳を貫かれながらも、ボクにはクロカの激情に塗れた悲鳴が、はっきりと聞こえていた。

 

「私のおかげで今まで生きてこれたくせに。食べ物を探すのも、住処を見つけるのも、あんたを守るのも、全部私にやらせたくせに!!あんたなんて私がいなかったら、とっくの昔に死んでたくせに!!」

 

 クロカの言う、『モトバカマスター』と『シロネ』なる人物に対する怒りの賜物か、魔法陣から感じる『力』がさらに強まった。比例して、光弾もまた威力を増す。一度でも回避し損ねれば足が止まり、たちまちボクは弾幕の中に囚われるだろう。

 

「その結果がこれ!?実の姉を、命の恩人をバケモノ扱い!?白音は、あいつはもう忘れてるんだ!!私がバケモノになった理由なんて興味がない。だからあんな恩知らずなまねができるのよ!!」

 

 クロカがギリと歯を食いしばる。

 

「私だけだった!!あの子を、白音を大切な家族だと思ってたのは!!あいつにとって私は、ただの給仕か召使でしかなくて……だから、あんなに簡単に、私を捨てられたんだ……ッ!!」

 

 血を吐くような悲鳴だった。クロカの頬から水滴が滴り落ちて、彼女はそれを拭おうともせず、唇を引き結んで手のひらを掲げた。

 

「母さんだってそうだ!!私は父さんがいなくたって幸せだったのに、あの人はそのことばっかりで、結局、私たちを置いて消えちゃった。自分がいなくなった後、私たちがどうなるかなんて考えてなかったんだ!どうでもよかったんだ!!」

 

 激しさを増す弾幕に気を取られているうちに、クロカは溜めを終えていた。掲げた手を引き絞り、『力』をほの暗い光線に変えて打ち放った。

 

 真正面から向かってくる光線に対し、ボクはすぐ回避という選択肢を捨てる。同時に【黒子舞想(テレプシコーラ)】を発動。『気』の制御をそれに任せ、光線がまさに目と鼻の先まで近づいたその瞬間、ボクは『気』で固めた腕でその側面を打ち払った。

 腕が光線に飲み込まれ、ガード越しにも鈍い痛みを感じる。しかし光線は確かに軌道を変えた。『力』の帯が胴体を逸れて飛んでゆき、余波が身体を殴りつける。そしてボクは、その勢いを利用してほぼ直角に吹き飛んだ。

 

 一瞬の後、挟み撃ちのように背後から無数の光弾が飛んできて、光線に呑まれ消滅した。

 ほんの数瞬でも離脱が遅ければ、あの間にはボクがいただろう。吹き飛ばされ宙を浮くボクはその光景をちらと見、【黒子舞想(テレプシコーラ)】によってすぐさま体勢を取り戻した。四肢で地を踏みしめ、慣性でガリガリ地面を削りながら着地する。

 

 光線は、バチバチと放電のような余韻を残して消えていた。厄介なあの光弾も残弾は残っていないようで、とうのクロカは光線を放った体勢のまま、肩で息をしていた。荒い息遣いがはっきりと聞こえ、その肌には玉のような汗が浮いている。彼女は明らかに疲弊していた。

 当然と言えばそうだが、やはり本調子ではなかったのだろう。無理を押した結果、クロカより感じる『力』はだいぶ落ち着いていた。

 

 攻撃は止み、次を打ち放つ様子はない。この瞬間、ボクの行動を縛るものはなく、そして彼女は無防備だった。

 

 ボクは詰まった息を吐き、【黒子舞想(テレプシコーラ)】を解除すると、ゆっくりと身を起こした。

 

「……どうせ皆、私のことなんて、何とも思ってないのよ」

 

 舞い上がった砂塵のもやが段々と晴れ行く中、ボクはじっとクロカを見つめていた。息も絶え絶えといったふうに上下する彼女の胸元に、ぽつりと汗の雫が流れ落ちる。

 

「当たり前よね、家族だろうが何だろうが、他人であることに違いないんだから。みーんな、自分が大事。自分さえよければ、他はどうでもいいの。関係ないんだもの」

 

 天井を仰ぎ、擦れた声でクロカが笑う。その声色は、疲弊していることを差し引いても、今までにないくらいひどく乾いたものに思えた。

 明らかに毛色が違うと、そこまで気付かなければ、ボクにはわからなかったのだ。

 

 この時ようやく、ボクはクロカが抱く諦念に気が付いた。

 

 今のクロカを形作っているのは、怒りと絶望と、そしてこの諦念だ。それらの根源であろう彼女の母親と、妹だという『シロネ』との間に何があったのか。話から想像するほかないが、恐らく互いの間に何か行き違いがあったのだろう。クロカの言葉を借りるなら『見捨てられた』だ。

 

 母親。産みの親。つまりボクにとっての『女王』だろうか。妹は……あったことはないが『護衛軍』が近いか。ともかく、彼女らにとってはただの離別が、クロカにはそうではなかったと、そういうことだ。父親や『モトバカマスター』をきっかけにそれが表面化し、クロカにとって『見捨てられた』と感じるような結末をもたらしたのだろう。だからクロカは行き場のないその激情をボクに向けてぶつけざるを得なかった、のかもしれない。

 

 だがしかし、その心情はやはり理解できない。

 

 もしボクが『女王』や『護衛軍』の仲間に不要だと見捨てられたとして、それに怒りや絶望や諦念なんて感情を覚えるだろうか。

 

 悲しいとは、もしかしたら思うかもしれない。しかし、それだけだ。

 

 『女王』や『護衛軍』にどう思われようとも関係ない。『護衛軍』たるボクは、『王』の役にさえ立てればその他はどうでもいいのだ。それが『王』のためになるのなら、喜んで自死だってしてみせる。

 怒りも絶望も諦念も、クロカのような表情をすることは、恐らくないだろう。

 

 だからボクには、母親と妹に拒絶された程度でこれほど心を乱してしまうクロカのことが理解できない。『家族』なるものに対してクロカが抱いている感情を、想像することができない。

 

 彼女の悲鳴に、ボクは何もすることができなかった。

 クロカの心の闇を見たところで、結局ボクはこうなのだ。

 

 唇を噛みしめる。苦しむクロカを前にして何もできない自分が悔しくてたまらない。クロカを理解できない自分に怒りさえ覚えた。

 

 だから

 

 やっぱりバケモノなのはボクだった。クロカの激情を理解できないくせに、それをもたらした母親と妹に対する憎悪のような感情ばかりがあったから。

 

 その対象にボクが含まれているなど、思ってもいなかった。

 

「……ピトーは違うって、信じてたのに」

 

「……え?」

 

 不意に聞こえた自分の名前に、思わず呆けた。

 クロカの眼が暗くボクを見つめていることに気が付いて、頭がすっと冷える。

 

 クロカが顔を伏せ、低く笑った。

 

「まっさらなあなただったら、きっと皆みたいにならないだろうって……今思えば、なんでそう簡単に思い込めたのかしらね。家族にすらわからないことを、ほんの数日前に出会ったあなたが理解できるはずないのに」

 

 ――ドクン

 

 ボクの心臓が大きく跳ねた。

 

 いや、鼓動したのは心臓ではない。もっと根幹の、もっと重要な何かだと、その時ボクは直感した。

 

 クロカの言葉のどこかが、ボクの中の何かを刺激した。

 

 干からびそうなほど喉が渇いて、声を出そうにも胸のあたりのしこりが邪魔をする。魚みたいに口だけがパクパクと、呼吸すらもできない。

 名もわからない何かが、激しく感応している。今にも檻を破ってしまいそうな苛烈さを秘めて、ボクの心臓を叩いていた。

 

「……ッ!」

 

 その脈動の正体を探る間もなく、ボクの意識は表層に引き戻される。

 突如としてボクの周りを囲むように出現する魔法陣。気付いた時にはもう遅く、四方を密閉するように透明な結界の壁がボクを閉じ込めた。

 

「ピトーも、あいつらと同じ。いつか私は見捨てられる。私は……悪くないのに……なんで皆、わかってくれないの……?」

 

 クロカの身に『力』が満ち始めていた。彼女の言葉に思考を奪われていたボクはそれを感じてようやく現状を悟り、反射的に結界へ裏拳を振るった。

 

 いつぞやの『盾』もかくやといった硬度の障壁にひびが入り、切り返しのストレートで砕け散る。それと同時にクロカも準備を終えていて、ゆっくりと顔を上げながらいつかの『力』の竜巻を構えていた。飛び散る結界の破片を通してそれを目にしたボクは、耐えきれずに強く自分の胸元を掴んだ。

 

「もう、あんな思いはしたくない……もう一度、あれに侵されるくらいなら、それなら……」

 

 目からぼろぼろと大粒の涙を零すクロカに心拍数が右肩上がりで上がって、胸が焼けるように熱かった。彼女のその涙声のようにボクの中の何かが揺れていて、眼を離すことができない。

 

 クロカの顔を見れば見るだけ息が苦しくなる。逃げたいのに、逃げられない。わけがわからない。感情が、頭が、嵐のように荒れ狂っている。

 

 喘ぐボクに、彼女は歪に笑った。

 

「それならいっそ、ピトーが私を殺してよ」

 

 その声を耳にした瞬間、感情も何もかもまとめて、ボクの中で脈動する何かが、爆ぜた。

 

「……ふざ、けるな」

 

 眼に捉えたクロカの『力』が、風に吹き消されるようにして唐突に消えた。同時に彼女の表情が凍り付き、ボクを睨むように凝視していたその眼の色が一変した。

 

 無意識だろうか、既に壁に背を付けているというのになお後ずさろうとして身を縮ませる彼女には、さっきまでの狂気が欠片たりとも見当たらず、『力』と一緒に抜け落ちてしまったかのようだった。

 

「『私を殺して』、だっけ?」

 

 一歩踏み出すと、なぜか地面が軋みだし、次の瞬間ひび割れた。ひとりでに言葉を重ねる自分の声を聞きながら、ボクは心の中で首を捻る。『気』を込めて踏み抜かねばこうはならないだろう。

 

 不思議に思い眼を凝らしてよく見ても、そこにあるのは見慣れた自身の『気』だけだった。クロカにとっては毒である禍々しい『気』を大量に纏う自分の身体が見えるのみだ。

 

 ほどなくして自身の『気』が爆発的に増大していることに気付くと、そんなことなど意に介さずクロカに歩み寄ったボク自身が、眼下で怯える彼女の肩を掴み、ぐいと引き上げた。

 

「そのためにクロカはボクを攻撃したの?ボクを、キミと戦わせるために?」

 

 クロカは何も言わず、身を震わせるばかりだった。怯えた眼をしたまま、身体を無理矢理持ち上げられたことに抵抗も抗議もせずされるがままであること、それこそがボクの疑問が真実であることの証拠だった。

 

 殺されるために戦う。ボクには決して思いつけない理由だ。やっぱりそうなのかと、自分とクロカの価値観の差にボクは心の中で嘆息する。

 

 しかし、なぜだろう。ボクは理解できないことに悲しみを抱いたが、その一方で喉を震わす言葉にはまったく別の感情が宿っていた。

 

 どうしてボクはこんなに怒っている?

 

「クロカこそッ!!理解できてないじゃないか!!ボクが、ボクがどんな思いでここに立ってると……ッ!!出会ってからずっと、いつもいつもボクはキミを守ってきたじゃないか!!なのになんで、どうしてボクがクロカを殺せると思える!?できるわけがないだろう!!」

 

 自分でも驚くくらいの大声が出た。

 喉も頭も胴も、燃えるように熱い。感極まってクロカの肩を握り潰してしまうんじゃないかと心配になるくらい、ボクの身体は全身で怒りを発していた。

 

 それを至近距離かつ真正面から浴びせられるクロカが感じている圧はいかほどなものか。哀れなくらい怯えている彼女に申し訳なさを感じつつ、それでも怒りが優先される自分を、ボクは他人事のように眺めていた。

 

(ボクは……どうしたんだろう?)

 

 ほんの少し前まではボクの方がクロカに怯えていたはずなのに、いつの間にか立場が正反対になっている。

 どこに向いているのかさえ分からぬ怒りが、ボクの内に渦巻いていた。いくら思考を回してもその矛先は見つからず、感情だけが荒れ狂う。

 

 これもボクがバケモノであるからかと考えても、それは違うと即断された。根拠のない、それでいて絶対に正しいと思えるほどの強力な確信に否定され、ボクの内心は困惑するばかりだった。 

 

「でも、取引だからでしょ……?」

 

 意を決したようにクロカが呟き、じりじりと手を伸ばしてボクの腕を掴んだ。

 

 その手の確かな熱を感じた瞬間、ボクの中の困惑が膨れ上がった。怒りがわずかに気圧されて、ボクは無意識に一歩後ずさった。

 

「何が――」

 

「最初に交わした約束が邪魔だって言うなら、ほら、私の口から聞きたい?もうあなたを満足させられるような話は何もない。私の知識切れよ!あなたが私の世話を焼いたって、対価はもう出てこないの!ね?心置きなく殺せるでしょ?」

 

 口だけ笑いながら、クロカは言い連ねる。鬼気迫ったその様子にまた一歩後退するボクを、クロカのもう一方の手が追った。

 

「違う……!ボクは、ボクはそんな考えでクロカを助けてなんて――」

 

「でも!だとしても!!私は悪魔なのよ!?」

 

 思いがけぬ力でクロカが腕を引き、大きくなったその眼には、怒りと恐怖が入り混じった名状しがたい表情をしたボクの顔が映っていた。

 

「あなたの仲間を、『女王』を殺したやつと同じ、あなたの敵じゃない!!種族ごと殺したいくらい、憎いんじゃないの!?」

 

「ボクは……違う、そんなことない……!アレとクロカを同一に思ったことなんて、一度もない!!ありえない!!」

 

「嘘よ!!それこそありえないわ!!私は悪魔よ!!あのバカと同じ、ピトーの知ってる畜生と同じ、ただの悪魔なの!!ピトーは私を殺したいほど憎んでいるのよ!!」

 

「違う、そんなんじゃない!!違う違う違う違う!!」

 

 怒ったかと思えばクロカの一言で怯え、しまいには『違う』以外の言葉が出てこない。

 

 何が、ボクをこうさせているのだろう。

 

 クロカのこと以上に自分がわからない。感情に頭の隅っこへ追いやられた理性では、その答えを見つけられるはずがなかった。いや、そうでなくともボクにはわからないだろう。ボクとクロカはあまりにも違い、そして遠いのだ。

 

 それでもボクは、無意味とわかっていても、思考に問いを投げかけることをやめられない。

 

 どうしても知りたい。知らねばならない。

 

 いつまでたってもそんな強迫観念が消えないのは、ボクにそれが見つけられないからだ。だからボクは今日に至るまでずっと『何故』を言い続けた。その答えに繋がる何かを知りたくて、わざわざクロカに対価を求めた。

 いつまでたってもクロカを理解することはできないけれど、だからこそ諦められない。ボクは熱に頭を侵されながらも、それだけは諦めることができなかった。

 

 ボクは思考を回す。名前もわからぬ感情に燃やされる理性では碌に考えることもできないが、それでも知りたいから動く。ほとんどの権利を感情に奪われているけれど、脳味噌はその隙間を潜り抜け、順繰りに過去を回想し始めていた。

 

 クロカの瞳に映る自身の表情、強く震えた自分の中の何か、打ち放たれた光弾に見た己の想い。

 

 一つ一つ確かめるように思い返し、この不可思議な感情を列挙していく。

 

 思い出す。この感情が芽生えたのは、いったい何時だ?

 

 クロカの姿に恐怖を覚えたあの時、自身の性を知ったあの時、クロカを守るために悪魔共と戦ったあの時。

 

 どんどん記憶を遡る。遡るたびにボクの身体が、その根源がぐいぐいと身の内よりボクを押している。理性の先導がない今、その先がびっくりするほど広がって見えた。

 

 まるでボクの身体という殻から別の何かが産まれ出ようとしているような、熱い感覚が刻一刻と強まって、ボクの意識から視覚の情報が薄れていく。

 

 クロカの闇を知った時、クロカの光を知った時。

 

 ボクは何を考えていただろう。

 

 『念』も『気』も知らなかったボクが、どうして【人形修理者(ドクターブライス)】を発現できたのか。瀕死のクロカを見つけた時、ボクは何を感じ、どう思ったのか。

 

 ボクはクロカをどうしたいのか――

 

 白く消えていく視界の中、ボクの眼はその時一際はっきりと、クロカの姿を捉えていた。

 

 ふと、目の前にそれが見えた。

 

 幼子が一人ぼっちで泣いていた。

 

 幼子はクロカだった。わんわんと一人寂しそうに涙を零し、次々溢れるそれを両手で懸命に拭っている。

 

 傍には誰もいない。涙を代わりに拭う者も、慰める者も、そしてボクさえもいない。他に何もない空間でただ一人だけ、クロカは何かを求めて泣いていた。

 

 そんな光景を幻視して、ボクは込み上げる想いを抑えられなかった。

 

 ぎゅう

 

 身体から荒れ狂う激情が抜け落ちて、代わりに顔を出した衝動が、ボクの身体を動かした。

 

 腕がひとりでにクロカの背に回り、その身を力いっぱい抱きしめる。もう一時たりとも離れないと言わんばかりに、ボクの身体はクロカに抱き着いた。

 

「……は……え?」

 

 耳元で呆けたような声がして、数秒後に現状を知り、暴れだす。

 

「や、やめて……!離れてよ!!何のつもりでこんなこと……あんた何がしたいのよ!!」

 

「……わからないよ」

 

 するりとあっけなく、本音が口に出た。

 

「熱くて、痛くて、苦しくて、温かい。この感情が何なのか、ボクにはわからないから」

 

 そうだ。結局ボクはこの胸の疼きの正体を知らない。この先知ることができるのかもわからない。

 

 でも、それでも、丸裸の自分を見て一つだけ、わかったことがある。

 

「クロカのせいだよ」

 

 弱々しいクロカの抵抗が止んだ。

 

「クロカがボクの真ん中にいるから、だからボクはこんなになっちゃうんだ……『殺して』なんて言わないでよ。クロカが死んだら、きっとボクは、すごく悲しい」

 

 いつだってボクの考えの中にはクロカの姿があった。クロカを一目見たあの瞬間から、クロカはボクの中の何かを変えて、そこに居座っている。

 

 そしてそれはたぶん、ボクにとって好ましいことだ。

 

 きっとボクは、クロカなしでは生きられない。それは間違いない事実であり、クロカをおいしそうと感じることと同じくらい、ボクの本心でもあった。

 

「クロカ。ボクはね……バケモノ、なんだ」

 

 堰が、切れた。

 

 クロカの存在を全身で強く感じながら、ボクは声を揺らす。

 

「散らばってる死骸、ここに来るまでにもいっぱい見たと思うけど、あれがボクの正体なんだ。『キメラアント』って言うんだって」

 

 クロカの目にあの異形はどう映っただろう。不安と恐怖は増すばかりだが、ボクは告白をやめられなかった。

 

「悪魔共と戦った後、知ったんだ。あいつらね、実はボクを探してたんだよ。『キメラアント』は狂暴で獰猛だから」

 

 口が重い。けれど、止まらない。

 

「ボクの中には、確かに居るんだ。クロカを餌だって言う、『キメラアント』が」

 

 でも

 

「でも、信じて!ボクはそんなことしたくない!クロカを、失いたくないんだ……!」

 

 恐れにかじかむ手をなんとか解きほぐし、潤むクロカの目を見つめながら肩を掴む。

 

 クロカの心情を知ることが怖い。耐えきれず、目を背けてしまいたいと何度も思ったが、ボクは胸の疼きを以てそれをやり遂げた。

 

 この思いが、願いが、どうしてもクロカに伝わってほしいから。

 

「……ボクが産まれた時には、もう全部死んでたんだ。『兵』も『護衛軍』も『女王』も『王』も、ボクも。

 クロカだけなんだ。クロカがいるからボクは生きようって思えて、クロカがいるからボクはこんなにも楽しくて、満たされて、幸せで……だからボクはキミに嫌われたくないんだ。クロカが、ボクの生きる意味なんだ!」

 

 ボクのバケモノの性は本物だ。けれど、この思いだって間違いなく本物なのだ。

 

「お願いクロカ。もう、逃げないから。キミが嫌がることは絶対しないし、悪魔も、もう食べない。忘れるように努力するから。知るために努力するから。

 ボクはクロカを裏切らないから、だから、どうか――」

 

 身体が震え、視界が歪んだ。

 

「どうかボクを、クロカの傍にいさせて」

 

 溢れる涙の熱に耐えかねて、ボクは祈るように目を固くつむり、伏せた。

 

 心の重しを吐き出して、しかしその軽さが酷く頼りない。剥き出しの感情が空気にひりつき、力が抜けていく。

 

 ボクとクロカの脚が役目を放棄したのは、奇しくも同時だった。

 

「わたしで、いいの……?」

 

 二人そろって血濡れの地面に座り込み、クロカの喉から発せられたのは、細い、細い声であった。

 

「わたし、あなたにいっぱい酷いことした……自分のことしか考えずに、あなたを傷つけた、のに……わたしは、ピトーと一緒に居ていいの……?」

 

 目を開けば、涙を流し、ためらいがちにボクに伸ばされるクロカの手があった。

 

 それがすべてだった。

 

 ボクは躊躇いなくクロカを抱きすくめ、喉元までせりあがる熱塊に任せて、笑った。

 

「もう、この先絶対、クロカを一人にしないから」

 

 クロカの手がボクの背を抱きしめる感覚がうれしくて、心地いい。

 

 噛みしめるボクの手は、いつの間にかクロカの頭をなでていた。

 

「こんな気持ちに、ずっと耐えてきたんだね」

 

 まるであの時の幼子のように、しかしどこか温かく、クロカはしばらくの間、声を上げて泣いていた。

 

 

 

 

 

「……さてクロカ、それじゃあそろそろ行こうか。いい加減、鼻が潰れそうにゃ」

 

 目を腫らしたピトーが、反して剽軽な調子でそう言って、笑った。

 

 釣られて私も笑う。その笑みの内側を探るような真似は、もうしなくてよいのだ。改めて実感して、私は心の奥に人肌のぬくもりを感じていた。

 

 何も心配する必要がなく、ピトーが隣にいるために感じる安心感は何物にも代え難いくらいに温かい。干からびていた器が幸福で満ちていて、これが夢だったらと不安に思うほどだった。

 

 きっと今まで、私たちは自分自身を信用していなかったのだ。

 

 私は過去があったから。そしてピトーはなかったから。心の底では自分が相手に受け入れられるはずがないと思い込んで、拒絶されたくないから、表層は自分の闇を盾にした。

 お互いに本心を晒さなかった。だからこんなにもこじれて、そしてすんなりと納得することができたのだ。なにせ私たちは同じ孤独を抱えていたのだから。

 

 私たちはようやく理解者を見つけたのだ。

 

 まだお互い、すべてを知ったとは言えない。けれど、きっと私たちは、これからうまくやっていけるだろう。

 

 負の感情から解放された私は、目をぐいぐいと擦ってから、かすれ声で答えた。

 

「そうね。かなり汚れちゃったし、水浴びもしたいわ」

 

「んー、じゃあまずは水場に行くとして、それからはどうする?」

 

 立ち上がり、伸びをするピトーが少しだけ心配そうに、私の顔を覗いていた。

 

 言わんとすることはすぐにわかった。

 

「……ピトーに任せるわ。このあたりのこと、さっぱりわからないから」

 

 白音とは、まだ会えない。白音と自分に対する恐怖は消えたわけではないのだ。この気持ちにけりを付けない限り、私たちは傷つけ合うしかないだろう。

 

「うん、わかった」

 

 短く言って腰をかがめたピトーの背におぶわれる。くせっ毛に頬を寄せ、私はぼおっと目を伏せた。

 

 自分のすべてを安心して預けられるこのぬくもり。今はただこうしていたかった。

 

「ところでさ」

 

 私はふと、ピトーに尋ねた。

 

「ここの亡骸があなたの種族、『キメラアント』の仲間なんでしょ?この人?たちが亡くなった直後にピトーが産まれたってことは……ピトーって何歳なの?」

 

「えーっと……たぶん三週間くらい?あんまりよくは覚えてないかにゃー」

 

 生後三週間……

 

(ずっと年下、か)

 

 ふふと、小さく笑った私には気付かなかったのだろう。ピトーはしっかりと私を支え、そして頭だけ振り返った。

 

「さ、行こうか」

 

「うん!」

 

 光弾で脆くなった土壁をぶち抜き、私たちは外へ出た。

 

 これからも、悪魔たちの手は私たちに伸びるだろう。どこへ行っても安住の地はないかもしれない。けど、どうにかなるだろう。

 

「私にはピトーがいるから、にゃん」

 

「にゃん?」

 

 赤みがさす頬に言い訳して、私たちは水場を目指し、森の奥深くへと進んでいった。




  反省点
・ため息&深呼吸しすぎ問題
・気付きすぎ問題
・描写がワンパターン問題
・違和感バリバリ台詞回し問題
・その他もろもろ

総評 ぎぶみー文才

あと感想とかもぎぶみー
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