絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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LiSAさんの『紅蓮華』ってカッコいいですよね。

あっ、LiSAさんといえば・・・

LiSAさん、鈴木達央さん、ご結婚おめでとうございます!(今さら)


弱っている時は優しさが身に染みるものである。

 《絵里視点》 

 

 「どうして私の言うことが聞けないのッ!」

 

 怒鳴る私。

 

 私と天はリビングで、天の進路について激しく口論していた。

 

 「この家を出て一人暮らし!?そんなの認められるわけないでしょうがッ!」

 

 「絵里姉の許可なんか要らないんだよッ!」

 

 怒鳴り返してくる天。

 

 いつも温厚でマイペースな天にしては、とても珍しい光景だ。

 

 「親からの許可が出てるのに、姉から許可をもらう必要なんて無いだろッ!」

 

 私達の両親は、仕事の都合でロシアに住んでいる。

 

 両親は天の一人暮らしにOKを出したらしく、私は焦っていた。

 

 「理事長に持ち掛けられたからって、静岡の高校に行かなくても良いじゃないッ!せめて家から通える範囲で・・・」

 

 「もう決めたことなんだよッ!」

 

 声を荒げる天。

 

 「自分の道は自分で決めるッ!絵里姉みたいに自分の気持ちを押し殺して、使命感だけで生きていくなんて嫌なんだよッ!」

 

 「っ・・・」

 

 その一言は、私の心に深く突き刺さった。

 

 色々と思い当たる節があったのだ。

 

 「・・・絵里姉は、μ'sで何を学んだんだよ」

 

 私を睨みつける天。

 

 「絵里姉が生徒会長として、音ノ木坂の廃校を阻止しようとしてた時・・・何で理事長がそれを止めてたのか、あの時分かったんじゃないのかよ」

 

 それは私が、自分を犠牲にしようとしてたから・・・

 

 でも、それでも私は・・・!

 

 「これじゃあ、五年前と何も変わらない。そんなこと、絵里姉だって分かって・・・」

 

 乾いた音がリビングに響いた。

 

 気付けば私は、天の頬を引っ叩いていた。

 

 「分かったようなこと言わないでッ!天に私の何が分かるのよッ!」

 

 違う、こんなことが言いたいんじゃない・・・!

 

 私はただ・・・!

 

 「・・・分かりたくないよ。今の絵里姉の気持ちなんて」

 

 頬を押さえた天は、そのまま私に背を向けて歩いていく。

 

 待って天、行かないで・・・お願いだから、私を・・・

 

 私を置いていかないで・・・!

 

 

 

 

 

 「嫌あああああっ!?」

 

 「うわっ!?」

 

 飛び起きる私。どうやら夢を見ていたようだ。

 

 「ビックリしたぁ・・・急にどうしたの?」

 

 聞き慣れた声がする。

 

 天が私を見て、心配そうな表情を浮かべて・・・

 

 えっ、天?

 

 「な、何で天がここに・・・?」

 

 「・・・寝ぼけてるの?」

 

 呆れている天を見て、段々と記憶が甦ってくる。

 

 そうだ、天が急に帰って来て・・・泣きながら怒った私を、ソファまで運んでくれて・・・

 

 私はそのまま、泣き疲れて寝てしまったのね・・・

 

 「ちょうど今起こそうと思ったんだよ。夕飯出来たけど、食べられる?」

 

 「・・・少しだけなら」

 

 そう言って立ち上がる。

 

 少し足元がふらついたところを、天が優しく支えてくれた。

 

 「ほら、肩貸すから」

 

 「平気だってば」

 

 「体調が悪い時まで強がらないの」

 

 天は半ば強引に私に肩を貸すと、そのまま椅子に座らせてくれた。

 

 テーブルの上には、蓋をされた鍋が置いてある。

 

 「冷蔵庫の中に、ちゃんとした食材があまり無かったんだよね・・・亜里姉にちゃんと言っておかないと」

 

 溜め息をつきつつ、鍋の蓋を開ける天。

 

 そこには、美味しそうな雑炊が入っていた。

 

 「栄養が取れて、なおかつ身体に優しい料理といったらこれかなって」

 

 苦笑しつつ、お皿に雑炊を取り分けてくれる天。

 

 天の手料理を食べるのなんて、ずいぶん久しぶりね・・・

 

 前は毎日食べていたのに・・・

 

 「はい、召し上がれ」

 

 「・・・いただきます」

 

 スプーンで雑炊をすくい、一口食べる。

 

 雑炊の旨味が、口の中に広がると共に・・・何だかとても懐かしい味がした。

 

 「どう?美味しい?」

 

 「・・・天の味がする」

 

 「いや、どんな味・・・絵里姉?」

 

 気が付くと、私の目からは涙が流れていた。

 

 久しぶりに天の手料理を食べて、懐かしくなってしまったからかもしれない。

 

 「え、ちょ・・・何で泣いてるの?」

 

 「な、泣いてないわよっ!」

 

 慌てて目元を拭う。

 

 それでも、涙が溢れて止まらなかった。

 

 「何で・・・何で涙が・・・」

 

 「・・・もう良いから」

 

 涙を拭い続ける私の手を、天がそっと握った。

 

 「・・・泣きたい時くらい泣きなよ。ただでさえ絵里姉は、そういうの我慢しちゃうんだから」

 

 「天・・・」

 

 泣きながら天を見る私。

 

 天は微笑むと、私を優しく抱き締めて・・・耳元で囁いた。

 

 「『全部受け止めてあげるから、今は思いっきり泣きなさい』」

 

 「っ・・・」

 

 その言葉を聞き、私の頭の中であの時の光景がフラッシュバックした。

 

 μ'sの解散が決まったあの日・・・駅のホームで皆が泣き始める中、天は堪えるように唇を噛んでいた。

 

 そんな天を私は抱き締めて、今の言葉を天に言ったのだ。

 

 それを聞いた天は嗚咽を漏らし、私の胸で号泣した。

 

 そんな天を抱き締めながら、私も涙を流し続けて・・・

 

 「うっ・・・うぅっ・・・うああああああああああっ!」

 

 もう堪えきれなかった。

 

 私の涙腺は崩壊し、止めどなく涙が流れ出す。

 

 そんな私を、天は優しく抱き締めてくれていた。

 

 「天っ!天ぁっ!」

 

 「はいはい」

 

 頭を撫でてくれる天。

 

 「俺はちゃんとここにいるから、安心して」

 

 「うぅっ・・・ぐすっ・・・ひっぐ・・・」

 

 泣きじゃくる私。

 

 これじゃ、どっちが年上か分からないわね・・・

 

 「全く・・・昔から甘えん坊だね、絵里姉は」

 

 苦笑しながらも、優しく背中を擦ってくれる天なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「・・・そんなことがあったんやね」

 

 神妙な顔で俺の話を聞く希ちゃん。

 

 希ちゃんの家に戻って来た俺は、帰って来た希ちゃんに先程までのことを話していた。

 

 「良かったん?エリチの側にいてあげなくて」

 

 「今日はもう遅いし、亜里姉が側にいてくれてるから」

 

 あの後絵里姉は、泣き疲れたのか再び眠ってしまった。

 

 ベッドまで運んであげたところで亜里姉が帰って来た為、後のことは亜里姉に任せたのだ。

 

 「明日内浦に帰る前に、また顔を出しに行くよ。一晩経てば、絵里姉も落ち着いてるだろうから」

 

 「そうしてあげて。エリチもきっと喜ぶだろうから」

 

 そんな話をしていると、俺のスマホに着信が入った。

 

 相手は・・・千歌さん?

 

 「ピッ・・・おかけになった電話番号は、現在使われておりません」

 

 『えっ、天くんの番号変わってる・・・って騙されるかあああああっ!』

 

 「チッ、いけると思ったのに」

 

 『まさかの舌打ち!?』

 

 千歌さんのツッコミ。

 

 夜なのに元気だなぁ・・・

 

 「どうしたんですか千歌さん?用件を五文字で簡潔に説明して下さい」

 

 『無理だよ!?五文字で何を説明出来るの!?』

 

 「千歌、危篤」

 

 『いや確かに五文字だけども!勝手に人を危篤にしないでくれる!?』

 

 「まぁ冗談はさておき・・・どうしたんですか?」

 

 千歌さんに尋ねる俺。

 

 何かあったのかな・・・?

 

 『実は私達、明後日東京に行こうと思って』

 

 「東京に?ずいぶん急ですね?」

 

 『・・・見つけたいんだ』

 

 いつになく真剣な声の千歌さん。

 

 『μ'sと私達のどこが違うのか、μ'sがどうして音ノ木坂を救えたのか、何が凄かったのか・・・それをこの目で見て、皆で考えたいの』

 

 「・・・なるほど」

 

 どうやら千歌さんなりに、色々と考えて決断したらしい。

 

 それなら・・・

 

 「良いんじゃないですか。俺達は明日帰る予定でしたけど、一日延ばしますよ」

 

 『ゴメンね、急にこんなこと言い出して・・・』

 

 「今に始まったことじゃないでしょ」

 

 『うぐっ・・・』

 

 言葉に詰まる千歌さん。

 

 どうやら自覚はあるらしい。

 

 「・・・リーダーが決めたことですから。付き合いますよ」

 

 『天くん・・・』

 

 「とりあえず、詳しく決まったらまた連絡下さい」

 

 『うん!ありがとう!』

 

 電話が切れる。

 

 ホントに急なんだから・・・

 

 「今の電話、もしかしてAqoursのリーダーから?」

 

 「うん。明後日東京に来るんだってさ」

 

 希ちゃんの質問に、肩をすくめて答える俺。

 

 「全く・・・あの人には振り回されっぱなしだよ」

 

 「・・・フフッ」

 

 クスクス笑う希ちゃん。

 

 どうしたんだろう?

 

 「今の天くんの対応、まるで穂乃果ちゃんを相手にしてるみたいやったね」

 

 「・・・何か似てるんだよね、あの二人って」

 

 苦笑する俺。

 

 「穂乃果ちゃんも千歌さんも、周りを巻き込んで行動するっていうか」

 

 「あぁ、あの感じか」

 

 納得する希ちゃん。

 

 「でも最終的に、巻き込まれた方も惹き付けられるっていうか・・・それだけ魅力がある人ってことやね」

 

 「・・・そうなんだろうね」

 

 人を惹き付けるカリスマ性・・・

 

 それを持っている二人は、リーダーとしての資質があるんだろう。

 

 「やれやれ・・・騒がしくなりそうだなぁ」

 

 苦笑しながら呟く俺なのだった。




どうも〜、ムッティです。

ボードを外した璃奈ちゃん可愛くないですか(唐突)

スクスタでボードOFF機能が出来たので、ボードOFFでライブをやってみたのですが・・・

メッチャ可愛いんですけど(゜ロ゜)

アニメだとどうなるのかなぁ・・・



さてさて、絵里ちゃんは精神的にだいぶ参ってしまっている模様・・・

果たして天はどうするのか・・・

そしていよいよ千歌ちゃん達が東京に来ることになりました!

ようやく出番がやって来ます(笑)

梨子ちゃんばかり目立っていたので、そろそろ他のメンバーも目立たせないと・・・

ヒロインレースはまだ分かりませんよ!

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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