絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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3月15日は海未ちゃんの誕生日!

というわけで、μ'sメンバーでは初となる番外編を書いてみました!

それではいってみよー!


【園田海未】特別な貴方へ・・・

 「天、起きて下さい。朝ですよ」

 

 穏やかな声が聞こえるのと同時に、優しく身体を揺すられる。

 

 ゆっくりと目を開くと、そこには・・・

 

 「おはようございます、天」

 

 柔らかく微笑む海未ちゃんがいた。

 

 エプロンを着けているところを見ると、朝ご飯を作ってくれていたのだろう。

 

 俺はそんな海未ちゃんに微笑み返すと・・・

 

 再び目を閉じた。

 

 「ちょっと!?何でまた寝ようとするんですか!?」

 

 「んー、眠い・・・あと五年寝かせて・・・」

 

 「どれだけ寝る気なんですか!?いいから起きなさいっ!」

 

 力ずくで布団を剥ぎ取られた。

 

 三月の半ばとはいえ、朝は相変わらず冷える。

 

 布団という防具を取られた俺は、寒さで身体を震わせた。

 

 「全く・・・ウチの鬼嫁は今日も鬼畜だなぁ・・・」

 

 「誰が鬼嫁ですかっ!寝坊しそうな夫を助けようとする、優しい妻じゃないですかっ!」

 

 「・・・ハッ」

 

 「鼻で笑うの止めてもらえます!?」

 

 人の布団を奪っておいて優しい妻だなんて・・・片腹痛いわ。

 

 「仕方ない・・・鬼嫁がうるさいから起きるか・・・」

 

 「何で上から目線なんですかっ!」

 

 ギャーギャー騒がしい海未ちゃんを無視し、ベッドから起き上がる。

 

 あっ・・・

 

 「そうだ・・・海未ちゃん」

 

 「ふんっ!鬼嫁に何か用ですか?」

 

 完全にへそを曲げてしまった海未ちゃん。

 

 やれやれ・・・

 

 「誕生日おめでとう。大好きだよ」

 

 「っ!?」

 

 ボンッと顔が赤くなる海未ちゃん。

 

 相変わらず耐性が無いなぁ・・・

 

 「そ、そういうことをサラッと言わないで下さい!恥ずかしいですから!」

 

 「愛してるよ、海未ちゃん」

 

 「・・・うぅ」

 

 耳まで真っ赤な海未ちゃん。

 

 俺の嫁は、今日も最高に可愛いのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「忘れ物はありませんか?ハンカチとティッシュは持ちましたか?」

 

 「俺は子供か」

 

 呆れる俺。

 

 仕事に向かう俺を、海未ちゃんが玄関まで見送りに来てくれていた。

 

 「心配しなくても、忘れ物なんかしないって」

 

 「そう言ってお弁当を忘れていった日のことを、私はずっと覚えてますからね」

 

 「その節は大変ご迷惑をおかけしました」

 

 あの時は、海未ちゃんがわざわざ職場に来て届けてくれたっけなぁ・・・

 

 「あれからというもの、俺は職場で羨望の眼差しを向けられるようになったよ」

 

 「え、どうしてですか?」

 

 「『あんな綺麗な嫁さんがいて羨ましい』って。皆海未ちゃんに見惚れてたもん」

 

 「そ、そんな・・・恥ずかしいです・・・」

 

 困りながらも、頬を赤く染める海未ちゃん。

 

 振り返ってみると、大学時代もそうだったなぁ・・・

 

 海未ちゃんが俺の通う大学まで迎えに来てくれた時、『あんな綺麗な彼女がいて羨ましい』ってよく言われたもんなぁ・・・

 

 「・・・ハハッ」

 

 「天?どうしたんですか?」

 

 「海未ちゃんはずっと、俺の自慢でいてくれてるんだなぁって・・・ありがとね」

 

 「な、何ですか急に・・・」

 

 照れたように俯く海未ちゃん。

 

 「・・・今日は早く帰って来て下さいね。待ってますから」

 

 「うん、なるべく早く帰るよ」

 

 愛する嫁の誕生日だし、早く帰ってきてお祝いしてあげたいもんな・・・

 

 「じゃあ行ってくるね、海未ちゃん」

 

 「あっ・・・」

 

 声を上げる海未ちゃん。

 

 何故か恥ずかしそうにもじもじしている。

 

 「その・・・『ちゃん』は・・・」

 

 「ん?何?」

 

 「な、何でもありません!行ってらっしゃい!」

 

 慌てて笑顔で手を振る海未ちゃんに、何となく違和感を覚える俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《海未視点》

 

 「ハァ・・・」

 

 「ちょっと、何で今日の主役がそんなにテンション低いのよ」

 

 溜め息をつく私に、真姫が呆れています。

 

 今日は私の誕生日ということで、真姫とことりがランチに誘ってくれたのです。

 

 「いえ、少し悩みがありまして・・・」

 

 「悩み?もしかして、天くんと上手くいってないの?」

 

 「そんなことありません!」

 

 ことりの質問に、思わず大きな声を上げてしまう私。

 

 「私達はラブラブです!毎日イチャイチャしてます!」

 

 「そんな全力で惚気ないでくれる?胸焼けしそうなんだけど」

 

 「アハハ・・・まぁ新婚だもんね」

 

 苦い顔をする真姫に、苦笑することり。

 

 私と天が結婚したのは昨年のこと・・・天が二十二歳、私が二十八歳の時でした。

 

 天の大学卒業と同時に籍を入れ、私達は晴れて夫婦となったのです。

 

 もうすぐ結婚して一年が経ちますが、私達の仲の良さに変わりはありません。

 

 ですが・・・

 

 「・・・一つだけ、どうしても気になることがあるんです」

 

 「・・・話してみなさいよ。力になれるかもしれないし」

 

 私を気遣った真姫が、悩みを話すよう促します。

 

 私は意を決して口を開きました。

 

 「その、天が・・・」

 

 「天が・・・?」

 

 「私のことを・・・」

 

 「海未ちゃんのことを・・・?」

 

 「・・・呼び捨てにしてくれないんです」

 

 「ことり、帰りましょうか」

 

 「そうだね、真姫ちゃん」

 

 「待って下さい!?」

 

 席を立とうとする二人を、慌てて引き止める私。

 

 「どうして急に帰ろうとするんですか!?」

 

 「惚気るなって言ったでしょうが。こっちは胸焼けで食事どころじゃないのよ」

 

 「惚気てなかったじゃないですか!?」

 

 「今のが惚気じゃないって思ってるなら、海未ちゃんの頭はおかしいんじゃないかな」

 

 「ことり!?辛辣過ぎません!?」

 

 あのことりまで毒を吐くなんて・・・!

 

 「私は真剣に悩んでるんです!二人とも真面目に聞いて下さい!」

 

 「真面目にって言われてもねぇ・・・」

 

 呆れている真姫。

 

 「大体、天は昔から私達のことをちゃん付けで呼んでるじゃない。何で今さらそんなことで悩んでるのよ?」

 

 「私は天の妻になったんですよ!?呼び捨てにしてくれても良いじゃないですか!」

 

 「いや、私に言われても・・・」

 

 「っていうかそもそも、何で付き合い始めた時に言わなかったの?」

 

 「そ、それは・・・」

 

 ことりの問いかけに、口ごもってしまう私。

 

 私と天がお付き合いを始めたのは、天が高校を卒業してすぐのことでした。

 

 根気強く天へのアプローチを続けた私は、遂に天に振り向いてもらうことに成功。

 

 真姫やことりを始めとした、手強いライバル達との勝負を制することが出来たのです。

 

 当時は幸せ過ぎて、呼び名のことなんて気にしてもいませんでしたっけ・・・

 

 「と、とにかくっ!どうしたら天に呼び捨てにしてもらえるでしょうか!?」

 

 「天に直接言う。以上」

 

 「右に同じ」

 

 「それが出来たら苦労してないんですよおおおおおおおおおおっ!?」

 

 テーブルに突っ伏す私。

 

 人の苦労も知らないで・・・!

 

 「何で出来ないのよ?理由でもあるの?」

 

 「今さら『呼び捨てにしてほしい』ってお願いするのが恥ずかしいんですよ!長い付き合いなんですからそれくらい察して下さい!」

 

 「私は察してたけど、『くだらないなぁ』って思ったからスルーしてたの」

 

 「今日のことりはどうしてそんなに毒舌なんですか!?」

 

 「海未ちゃんがうじうじしてるからだよ」

 

 溜め息をつくことり。

 

 「海未ちゃん・・・何かを得ようとするなら、それと同等の代価が必要なんだよ?」

 

 「ことり、貴女最近『鋼の●金術師』読みました?」

 

 「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

 

 「やっぱり読んでますよねぇ!?」

 

 「とにかくっ!天くんに呼び捨てにしてほしいなら、恥ずかしさなんて我慢しなきゃ。自分の気持ちは、ちゃんと言葉にした方が良いよ」

 

 寂しそうに笑うことり。

 

 「・・・私は結局、天くんに自分の気持ちを伝えられなかったから」

 

 「ことり・・・」

 

 「天くんと海未ちゃんが結ばれたことは、本当に嬉しく思ってるよ。でも・・・自分の気持ちを伝えられなかったことについては、今でも後悔してる。どんな結果になっても、ちゃんと伝えておけば良かったって」

 

 ことりはそう言うと、私を見つめてきました。

 

 「だから海未ちゃんも、後悔だけはしないようにね。『後』で『悔』やんだって、もう遅いんだから」

 

 「すみません、ことり・・・貴女の気持ちも考えずに・・・」

 

 「謝らないの」

 

 私の手を握ることり。

 

 「罪悪感を感じてる暇があるなら、天くんと結ばれた幸せを噛み締めてほしい・・・あの時もそう言ったでしょ?」

 

 そうでした・・・・

 

 天と結ばれた日、謝る私にことりはそう言ってくれましたね・・・

 

 「全く・・・ずいぶん話が大げさになっちゃったじゃない」

 

 苦笑する真姫。

 

 「海未もいつまでもうじうじしてないで、天にハッキリ言いなさい。あの子はちゃんと受け止めてくれるわよ」

 

 「真姫・・・」

 

 「っていうか、私も天に呼び捨てにされたいわね・・・お願いしてみようかしら?」

 

 「あっ、じゃあ私もお願いしようかな。それぐらいなら許される気がする」

 

 「私を差し置いて許すわけないでしょうがああああああああああっ!?」

 

 全力でツッコミを入れる私なのでした。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「そっか、真姫ちゃんもことりちゃんも元気にしてるんだね」

 

 「えぇ、相変わらずでした」

 

 夕食後、ソファに並んで座って談笑する俺と海未ちゃん。

 

 今日は早く帰って来られたので、夕食は俺が作った。

 

 いつも海未ちゃんに任せちゃってるし、こういう時ぐらいは俺がやらないとな。

 

 「絵里姉とは定期的に会うけど、他の皆とは結婚式以来会ってないもんなぁ・・・会いたいなぁ・・・」

 

 「むぅ・・・」

 

 俺がそう言うと、海未ちゃんが不機嫌そうな顔で俺に抱き付いてくる。

 

 「私だけでは不満ですか?」

 

 「アララ、嫉妬しちゃって・・・このこの~」

 

 「頬をつつかないで下さい!」

 

 怒った顔も可愛い俺の嫁。

 

 「アハハ、海未ちゃんは可愛いなぁ」

 

 「・・・下さい」

 

 「え?」

 

 「・・・呼んで下さい」

 

 「何て?」

 

 「『海未』って呼んで下さいっ!」

 

 顔を真っ赤にして叫ぶ海未ちゃん。

 

 きゅ、急にどうした・・・?

 

 「えーっと・・・呼び捨てにしてほしい、ってこと?」

 

 俺が問いかけると、恥ずかしそうにコクリと頷く海未ちゃん。

 

 「い、今さらなお願いなのは分かっていますが・・・何と言うか、その・・・」

 

 言い淀む海未ちゃん。やがて意を決したように口を開く。

 

 「恐らく私は・・・特別感が欲しいんです。『天の妻は私なんだ』と思える、そんな特別感が・・・欲張りだとは分かっています。それでも、私は・・・」

 

 「・・・海未ちゃん」

 

 海未ちゃんを抱き寄せる俺。

 

 恥ずかしがり屋の海未ちゃんのことだから、きっと勇気を振り絞ってくれたんだろう。

 

 それなら、ここから先は俺の番だ。

 

 「・・・俺さ、凄く嬉しかったんだよね。初めて海未ちゃんのことを、『海未ちゃん』って呼べた時が」

 

 昔を思い出す俺。

 

 男性と話すことに慣れていなかった海未ちゃんは、最初は俺ともあまり話してはくれなかった。

 

 俺も最初は『園田さん』と呼んでいたし、少しずつ話せるようになってからも『海未さん』と呼んでいた。

 

 でも、ある時・・・

 

 「海未ちゃん、自分から言ってくれたよね。『私のことも、皆と同じようにちゃん付けで呼んで下さい』って。そう言われた時、本当に嬉しかったんだ。海未ちゃんから認められたような気がして」

 

 「天・・・」

 

 「それからは、もっともっと距離が縮まって・・・今はこうして、海未ちゃんと夫婦になれた。だから俺にとって、海未ちゃんに対してのちゃん付けは・・・他の誰よりも特別なものだったんだよ」

 

 海未ちゃんを抱き締める腕に力を込める。

 

 「話したことなかったけど、キチンと伝えておけば良かったね・・・ゴメン」

 

 「そ、天は悪くありませんっ!元はと言えば私が・・・」

 

 「・・・『海未』」

 

 「っ・・・」

 

 初めて呼び捨てにしてみる。

 

 俺にとって特別な、愛する人の名前を・・・

 

 「『特別感が欲しい』かぁ・・・初めて会った時は、まさかそんなことを言われる日が来るなんて思わなかったよ」

 

 「あ、あの時のことは忘れて下さい!」

 

 「無理。嫁との出会いを忘れるなんて有り得ない」

 

 「うぅ・・・」

 

 涙目の海未。

 

 こういう恥ずかしがり屋なところも可愛いなぁ・・・

 

 「・・・いつもありがとう、海未」

 

 感謝の言葉を伝える俺。

 

 「これからも・・・俺と一緒に歩んでくれる?」

 

 「っ・・・勿論です。いつまでも天と共にあります」

 

 涙を浮かべ微笑む海未。

 

 やがてどちらからともなく顔が近付き・・・唇を重ねる俺達なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《海未視点》

 

 「・・・ん」

 

 ふと目が覚めてしまいました。

 

 ゆっくりと目を開けると、窓の外がほんの少し明るくなっています。

 

 早朝でしょうか・・・

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 隣を見ると、天が安らかに寝息を立てて眠っていました。

 

 お互いの気持ちを再確認した私達は、良い雰囲気になってそのまま・・・

 

 「っ・・・」

 

 一気に顔が熱くなります。

 

 何も身に着けていない身体を隠すように、慌てて布団を被り直しました。

 

 うぅ、恥ずかしいです・・・

 

 「んぅ・・・海未・・・」

 

 「っ!?」

 

 天の手が私の背中に回り、抱き寄せられてしまいました。

 

 服を着ていない分、ダイレクトに天を感じてしまいます。

 

 うぅ、顔から火が出そうなほど恥ずかしいです・・・

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 どうやら天は眠ったままのようです。

 

 私の名前を呼んだということは、私の夢を見てくれているのでしょうか?

 

 もしそうなら・・・

 

 「フフッ・・・愛されてますね、私」

 

 そう思うと、どうしようもないくらいの嬉しさがこみ上げてきます。

 

 好きな人に想われるというのは、やはり幸せなことですね・・・

 

 「・・・天」

 

 天の背中に手を回す私。

 

 昨日天は、私に『ちゃん付けで呼んで欲しい』と言われたことが嬉しかったと言ってくれましたが・・・それは私もだったんです。

 

 周りの皆がちゃん付けで呼ばれる中、私はずっとさん付けで・・・それがどうしようもなくモヤモヤして。

 

 だから初めて天が『海未ちゃん』って呼んでくれた時、本当に嬉しかったんです。

 

 今思えば、あのモヤモヤは嫉妬で・・・あの時から私は、天のことが好きだったんでしょうね・・・

 

 「本当に・・・ありがとうございます」

 

 私を選んでくれて、特別だと言ってくれて・・・

 

 今、私は本当に幸せです。

 

 「・・・愛してます、天」

 

 天の胸に顔を埋め、天の温もりに包まれながら・・・再び眠りにつく私なのでした。




どうも〜、海未ちゃんのソロ曲『勇気のReason』が大好きなムッティです。

良い曲ですよねぇ・・・まぁそれはさておき。

海未ちゃん、お誕生日おめでとう!

今回は海未ちゃんの誕生日回ということで、天と海未ちゃんが結婚した設定にしてみました。

嫁が海未ちゃんとか羨ましすぎる(´・ω・`)

来月はAqoursの曜ちゃんとμ'sの真姫ちゃんが誕生日を迎えるので、また誕生日回を書きたいと思います。

っていうか、本編を全然更新できなくてすみません(汗)

最近ちょっと忙しくて、花丸ちゃんと海未ちゃんの誕生日回を書くのが精一杯でした(涙)

少しずつ執筆はしてますので、近く投稿する予定です。

お楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!
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