というわけで、μ'sメンバーでは初となる番外編を書いてみました!
それではいってみよー!
「天、起きて下さい。朝ですよ」
穏やかな声が聞こえるのと同時に、優しく身体を揺すられる。
ゆっくりと目を開くと、そこには・・・
「おはようございます、天」
柔らかく微笑む海未ちゃんがいた。
エプロンを着けているところを見ると、朝ご飯を作ってくれていたのだろう。
俺はそんな海未ちゃんに微笑み返すと・・・
再び目を閉じた。
「ちょっと!?何でまた寝ようとするんですか!?」
「んー、眠い・・・あと五年寝かせて・・・」
「どれだけ寝る気なんですか!?いいから起きなさいっ!」
力ずくで布団を剥ぎ取られた。
三月の半ばとはいえ、朝は相変わらず冷える。
布団という防具を取られた俺は、寒さで身体を震わせた。
「全く・・・ウチの鬼嫁は今日も鬼畜だなぁ・・・」
「誰が鬼嫁ですかっ!寝坊しそうな夫を助けようとする、優しい妻じゃないですかっ!」
「・・・ハッ」
「鼻で笑うの止めてもらえます!?」
人の布団を奪っておいて優しい妻だなんて・・・片腹痛いわ。
「仕方ない・・・鬼嫁がうるさいから起きるか・・・」
「何で上から目線なんですかっ!」
ギャーギャー騒がしい海未ちゃんを無視し、ベッドから起き上がる。
あっ・・・
「そうだ・・・海未ちゃん」
「ふんっ!鬼嫁に何か用ですか?」
完全にへそを曲げてしまった海未ちゃん。
やれやれ・・・
「誕生日おめでとう。大好きだよ」
「っ!?」
ボンッと顔が赤くなる海未ちゃん。
相変わらず耐性が無いなぁ・・・
「そ、そういうことをサラッと言わないで下さい!恥ずかしいですから!」
「愛してるよ、海未ちゃん」
「・・・うぅ」
耳まで真っ赤な海未ちゃん。
俺の嫁は、今日も最高に可愛いのだった。
*****
「忘れ物はありませんか?ハンカチとティッシュは持ちましたか?」
「俺は子供か」
呆れる俺。
仕事に向かう俺を、海未ちゃんが玄関まで見送りに来てくれていた。
「心配しなくても、忘れ物なんかしないって」
「そう言ってお弁当を忘れていった日のことを、私はずっと覚えてますからね」
「その節は大変ご迷惑をおかけしました」
あの時は、海未ちゃんがわざわざ職場に来て届けてくれたっけなぁ・・・
「あれからというもの、俺は職場で羨望の眼差しを向けられるようになったよ」
「え、どうしてですか?」
「『あんな綺麗な嫁さんがいて羨ましい』って。皆海未ちゃんに見惚れてたもん」
「そ、そんな・・・恥ずかしいです・・・」
困りながらも、頬を赤く染める海未ちゃん。
振り返ってみると、大学時代もそうだったなぁ・・・
海未ちゃんが俺の通う大学まで迎えに来てくれた時、『あんな綺麗な彼女がいて羨ましい』ってよく言われたもんなぁ・・・
「・・・ハハッ」
「天?どうしたんですか?」
「海未ちゃんはずっと、俺の自慢でいてくれてるんだなぁって・・・ありがとね」
「な、何ですか急に・・・」
照れたように俯く海未ちゃん。
「・・・今日は早く帰って来て下さいね。待ってますから」
「うん、なるべく早く帰るよ」
愛する嫁の誕生日だし、早く帰ってきてお祝いしてあげたいもんな・・・
「じゃあ行ってくるね、海未ちゃん」
「あっ・・・」
声を上げる海未ちゃん。
何故か恥ずかしそうにもじもじしている。
「その・・・『ちゃん』は・・・」
「ん?何?」
「な、何でもありません!行ってらっしゃい!」
慌てて笑顔で手を振る海未ちゃんに、何となく違和感を覚える俺なのだった。
*****
《海未視点》
「ハァ・・・」
「ちょっと、何で今日の主役がそんなにテンション低いのよ」
溜め息をつく私に、真姫が呆れています。
今日は私の誕生日ということで、真姫とことりがランチに誘ってくれたのです。
「いえ、少し悩みがありまして・・・」
「悩み?もしかして、天くんと上手くいってないの?」
「そんなことありません!」
ことりの質問に、思わず大きな声を上げてしまう私。
「私達はラブラブです!毎日イチャイチャしてます!」
「そんな全力で惚気ないでくれる?胸焼けしそうなんだけど」
「アハハ・・・まぁ新婚だもんね」
苦い顔をする真姫に、苦笑することり。
私と天が結婚したのは昨年のこと・・・天が二十二歳、私が二十八歳の時でした。
天の大学卒業と同時に籍を入れ、私達は晴れて夫婦となったのです。
もうすぐ結婚して一年が経ちますが、私達の仲の良さに変わりはありません。
ですが・・・
「・・・一つだけ、どうしても気になることがあるんです」
「・・・話してみなさいよ。力になれるかもしれないし」
私を気遣った真姫が、悩みを話すよう促します。
私は意を決して口を開きました。
「その、天が・・・」
「天が・・・?」
「私のことを・・・」
「海未ちゃんのことを・・・?」
「・・・呼び捨てにしてくれないんです」
「ことり、帰りましょうか」
「そうだね、真姫ちゃん」
「待って下さい!?」
席を立とうとする二人を、慌てて引き止める私。
「どうして急に帰ろうとするんですか!?」
「惚気るなって言ったでしょうが。こっちは胸焼けで食事どころじゃないのよ」
「惚気てなかったじゃないですか!?」
「今のが惚気じゃないって思ってるなら、海未ちゃんの頭はおかしいんじゃないかな」
「ことり!?辛辣過ぎません!?」
あのことりまで毒を吐くなんて・・・!
「私は真剣に悩んでるんです!二人とも真面目に聞いて下さい!」
「真面目にって言われてもねぇ・・・」
呆れている真姫。
「大体、天は昔から私達のことをちゃん付けで呼んでるじゃない。何で今さらそんなことで悩んでるのよ?」
「私は天の妻になったんですよ!?呼び捨てにしてくれても良いじゃないですか!」
「いや、私に言われても・・・」
「っていうかそもそも、何で付き合い始めた時に言わなかったの?」
「そ、それは・・・」
ことりの問いかけに、口ごもってしまう私。
私と天がお付き合いを始めたのは、天が高校を卒業してすぐのことでした。
根気強く天へのアプローチを続けた私は、遂に天に振り向いてもらうことに成功。
真姫やことりを始めとした、手強いライバル達との勝負を制することが出来たのです。
当時は幸せ過ぎて、呼び名のことなんて気にしてもいませんでしたっけ・・・
「と、とにかくっ!どうしたら天に呼び捨てにしてもらえるでしょうか!?」
「天に直接言う。以上」
「右に同じ」
「それが出来たら苦労してないんですよおおおおおおおおおおっ!?」
テーブルに突っ伏す私。
人の苦労も知らないで・・・!
「何で出来ないのよ?理由でもあるの?」
「今さら『呼び捨てにしてほしい』ってお願いするのが恥ずかしいんですよ!長い付き合いなんですからそれくらい察して下さい!」
「私は察してたけど、『くだらないなぁ』って思ったからスルーしてたの」
「今日のことりはどうしてそんなに毒舌なんですか!?」
「海未ちゃんがうじうじしてるからだよ」
溜め息をつくことり。
「海未ちゃん・・・何かを得ようとするなら、それと同等の代価が必要なんだよ?」
「ことり、貴女最近『鋼の●金術師』読みました?」
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
「やっぱり読んでますよねぇ!?」
「とにかくっ!天くんに呼び捨てにしてほしいなら、恥ずかしさなんて我慢しなきゃ。自分の気持ちは、ちゃんと言葉にした方が良いよ」
寂しそうに笑うことり。
「・・・私は結局、天くんに自分の気持ちを伝えられなかったから」
「ことり・・・」
「天くんと海未ちゃんが結ばれたことは、本当に嬉しく思ってるよ。でも・・・自分の気持ちを伝えられなかったことについては、今でも後悔してる。どんな結果になっても、ちゃんと伝えておけば良かったって」
ことりはそう言うと、私を見つめてきました。
「だから海未ちゃんも、後悔だけはしないようにね。『後』で『悔』やんだって、もう遅いんだから」
「すみません、ことり・・・貴女の気持ちも考えずに・・・」
「謝らないの」
私の手を握ることり。
「罪悪感を感じてる暇があるなら、天くんと結ばれた幸せを噛み締めてほしい・・・あの時もそう言ったでしょ?」
そうでした・・・・
天と結ばれた日、謝る私にことりはそう言ってくれましたね・・・
「全く・・・ずいぶん話が大げさになっちゃったじゃない」
苦笑する真姫。
「海未もいつまでもうじうじしてないで、天にハッキリ言いなさい。あの子はちゃんと受け止めてくれるわよ」
「真姫・・・」
「っていうか、私も天に呼び捨てにされたいわね・・・お願いしてみようかしら?」
「あっ、じゃあ私もお願いしようかな。それぐらいなら許される気がする」
「私を差し置いて許すわけないでしょうがああああああああああっ!?」
全力でツッコミを入れる私なのでした。
*****
「そっか、真姫ちゃんもことりちゃんも元気にしてるんだね」
「えぇ、相変わらずでした」
夕食後、ソファに並んで座って談笑する俺と海未ちゃん。
今日は早く帰って来られたので、夕食は俺が作った。
いつも海未ちゃんに任せちゃってるし、こういう時ぐらいは俺がやらないとな。
「絵里姉とは定期的に会うけど、他の皆とは結婚式以来会ってないもんなぁ・・・会いたいなぁ・・・」
「むぅ・・・」
俺がそう言うと、海未ちゃんが不機嫌そうな顔で俺に抱き付いてくる。
「私だけでは不満ですか?」
「アララ、嫉妬しちゃって・・・このこの~」
「頬をつつかないで下さい!」
怒った顔も可愛い俺の嫁。
「アハハ、海未ちゃんは可愛いなぁ」
「・・・下さい」
「え?」
「・・・呼んで下さい」
「何て?」
「『海未』って呼んで下さいっ!」
顔を真っ赤にして叫ぶ海未ちゃん。
きゅ、急にどうした・・・?
「えーっと・・・呼び捨てにしてほしい、ってこと?」
俺が問いかけると、恥ずかしそうにコクリと頷く海未ちゃん。
「い、今さらなお願いなのは分かっていますが・・・何と言うか、その・・・」
言い淀む海未ちゃん。やがて意を決したように口を開く。
「恐らく私は・・・特別感が欲しいんです。『天の妻は私なんだ』と思える、そんな特別感が・・・欲張りだとは分かっています。それでも、私は・・・」
「・・・海未ちゃん」
海未ちゃんを抱き寄せる俺。
恥ずかしがり屋の海未ちゃんのことだから、きっと勇気を振り絞ってくれたんだろう。
それなら、ここから先は俺の番だ。
「・・・俺さ、凄く嬉しかったんだよね。初めて海未ちゃんのことを、『海未ちゃん』って呼べた時が」
昔を思い出す俺。
男性と話すことに慣れていなかった海未ちゃんは、最初は俺ともあまり話してはくれなかった。
俺も最初は『園田さん』と呼んでいたし、少しずつ話せるようになってからも『海未さん』と呼んでいた。
でも、ある時・・・
「海未ちゃん、自分から言ってくれたよね。『私のことも、皆と同じようにちゃん付けで呼んで下さい』って。そう言われた時、本当に嬉しかったんだ。海未ちゃんから認められたような気がして」
「天・・・」
「それからは、もっともっと距離が縮まって・・・今はこうして、海未ちゃんと夫婦になれた。だから俺にとって、海未ちゃんに対してのちゃん付けは・・・他の誰よりも特別なものだったんだよ」
海未ちゃんを抱き締める腕に力を込める。
「話したことなかったけど、キチンと伝えておけば良かったね・・・ゴメン」
「そ、天は悪くありませんっ!元はと言えば私が・・・」
「・・・『海未』」
「っ・・・」
初めて呼び捨てにしてみる。
俺にとって特別な、愛する人の名前を・・・
「『特別感が欲しい』かぁ・・・初めて会った時は、まさかそんなことを言われる日が来るなんて思わなかったよ」
「あ、あの時のことは忘れて下さい!」
「無理。嫁との出会いを忘れるなんて有り得ない」
「うぅ・・・」
涙目の海未。
こういう恥ずかしがり屋なところも可愛いなぁ・・・
「・・・いつもありがとう、海未」
感謝の言葉を伝える俺。
「これからも・・・俺と一緒に歩んでくれる?」
「っ・・・勿論です。いつまでも天と共にあります」
涙を浮かべ微笑む海未。
やがてどちらからともなく顔が近付き・・・唇を重ねる俺達なのだった。
*****
《海未視点》
「・・・ん」
ふと目が覚めてしまいました。
ゆっくりと目を開けると、窓の外がほんの少し明るくなっています。
早朝でしょうか・・・
「すぅ・・・すぅ・・・」
隣を見ると、天が安らかに寝息を立てて眠っていました。
お互いの気持ちを再確認した私達は、良い雰囲気になってそのまま・・・
「っ・・・」
一気に顔が熱くなります。
何も身に着けていない身体を隠すように、慌てて布団を被り直しました。
うぅ、恥ずかしいです・・・
「んぅ・・・海未・・・」
「っ!?」
天の手が私の背中に回り、抱き寄せられてしまいました。
服を着ていない分、ダイレクトに天を感じてしまいます。
うぅ、顔から火が出そうなほど恥ずかしいです・・・
「すぅ・・・すぅ・・・」
どうやら天は眠ったままのようです。
私の名前を呼んだということは、私の夢を見てくれているのでしょうか?
もしそうなら・・・
「フフッ・・・愛されてますね、私」
そう思うと、どうしようもないくらいの嬉しさがこみ上げてきます。
好きな人に想われるというのは、やはり幸せなことですね・・・
「・・・天」
天の背中に手を回す私。
昨日天は、私に『ちゃん付けで呼んで欲しい』と言われたことが嬉しかったと言ってくれましたが・・・それは私もだったんです。
周りの皆がちゃん付けで呼ばれる中、私はずっとさん付けで・・・それがどうしようもなくモヤモヤして。
だから初めて天が『海未ちゃん』って呼んでくれた時、本当に嬉しかったんです。
今思えば、あのモヤモヤは嫉妬で・・・あの時から私は、天のことが好きだったんでしょうね・・・
「本当に・・・ありがとうございます」
私を選んでくれて、特別だと言ってくれて・・・
今、私は本当に幸せです。
「・・・愛してます、天」
天の胸に顔を埋め、天の温もりに包まれながら・・・再び眠りにつく私なのでした。
どうも〜、海未ちゃんのソロ曲『勇気のReason』が大好きなムッティです。
良い曲ですよねぇ・・・まぁそれはさておき。
海未ちゃん、お誕生日おめでとう!
今回は海未ちゃんの誕生日回ということで、天と海未ちゃんが結婚した設定にしてみました。
嫁が海未ちゃんとか羨ましすぎる(´・ω・`)
来月はAqoursの曜ちゃんとμ'sの真姫ちゃんが誕生日を迎えるので、また誕生日回を書きたいと思います。
っていうか、本編を全然更新できなくてすみません(汗)
最近ちょっと忙しくて、花丸ちゃんと海未ちゃんの誕生日回を書くのが精一杯でした(涙)
少しずつ執筆はしてますので、近く投稿する予定です。
お楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!