『次は彼方ちゃんの番で〜す♪』って自分の口を指差す絵が可愛すぎて・・・
サイドエピソードを何度見返したことか・・・
『口を開けろ〜♪』って可愛すぎか(´・ω・`)
翌日・・・
「到着っと」
梨子が借りているスタジオへとやって来た俺。
昨日は梨子のおかげで絵里姉と向き合えたので、そのお礼を言おうと思ってやって来たのだ。
奈々さんに連絡したら、スタジオで私物の片付けをしてるって言ってたけど・・・
「失礼しま~す」
「えっ、天くん!?」
俺を見て驚く梨子。
両手に大量の本を抱えていた。
「おはよう、梨子」
「ど、どうして天くんがここに!?」
何故か慌てている梨子。
どうしたんだろう?
「いや、梨子に会いに来たんだけど・・・片付け手伝おうか?」
「そ、それは大丈夫・・・きゃあっ!?」
「梨子!?」
よろめいて倒れる梨子。
抱えていた本が床に散らばる。
「うぅ、いったぁ・・・」
「大丈夫!?」
「な、何とか・・・」
痛そうにお尻を擦る梨子。
そんな梨子を心配して駆け寄った俺だったが、ふと床に散らばる本に目をやると・・・
『カベドン!~色々なシチュエーションでのカベドン~』
『カベクイ!~これでオチない人はいない~』
「・・・梨子ってこういうの好きなんだね」
「み、見ないでえええええっ!?」
素早く本を拾い集め、慌てて隠す梨子。
「ち、違うの!ちょっと興味本位っていうか!」
「『【速報】梨子の意外な趣味が発覚』」
「止めてええええええええええっ!?」
Aqoursにグループラインを送ろうとする俺を、必死に止める梨子なのだった。
*****
「うぅ・・・下着を見られた時より恥ずかしいわ・・・」
「じゃあここで下着を見せてもらおうか」
「何が『じゃあ』なの!?嫌に決まってるでしょ!?」
梨子のツッコミ。
スタジオを出た俺達は、絵里姉と亜里姉のところに向かっていた。
「それは残念。ピンクの下着が見たかったのに」
「ちょ、何で今日の下着の色を知ってるのよ!?」
「かまをかけたら見事に引っかかった人がこちら」
「この変態いいいいいっ!」
顔を真っ赤にして攻撃してくる梨子。
危ないなぁ・・・
「アハハ、相変わらず梨子は面白いね」
「私はちっとも面白くありませんっ!」
ぷいっとそっぽを向く梨子。
アララ、怒っちゃった・・・
「ゴメンゴメン。ってか、まだ梨子に言いたいこと言えてなかったわ」
「言いたいこと・・・?」
「うん・・・ありがとね、梨子」
改めてお礼を言う俺。
「梨子のおかげで、絵里姉と向き合えたよ。まだ仲直り出来たわけじゃないけど、久しぶりに会話も出来たし・・・ホント、ありがとう」
「お、お礼なんて止めてよ・・・」
少し恥ずかしそうに笑う梨子。
「でもまぁ・・・天くんの力になれたなら、良かったわ。いつも助けてもらってる分、私も天くんの力になりたいって思ってるから」
笑顔でそう言ってくれる梨子に、不覚にもドキッとしてしまった。
こういう時の笑顔、ホント反則だわ・・・
「ん?どうしたの?」
「な、何でもないよ」
慌てて誤魔化す俺。
「それよりほら、着いたよ」
目の前のマンションを指差す俺。
それを見た梨子の表情が、緊張で強張る。
「ほ、本当に私もお邪魔していいの・・・?」
「え、今さら?」
「だって天くんの実家でしょ!?しかもμ'sの絢瀬絵里さんがいるなんて・・・あぁ、何か急に心臓が痛くなってきた・・・」
「いや、そこまで緊張しなくても・・・」
呆れる俺。
大袈裟だなぁ・・・
「ほら、行こう」
「ちょ、天くん!?」
梨子の手を引っ張り、マンションの中へと入っていく。
部屋の前でインターホンを押すと、すぐに亜里姉が出てきた。
「天ああああああああああっ!」
「はいはい、おはよう亜里姉」
抱きついてくる亜里姉を受け止める。
朝からテンション高いなぁ・・・
「あっ、おはよう梨子ちゃん!昨日は焼肉に付き合ってくれてありがとね!」
「い、いえ!こちらこそ!」
「梨子から聞いたけど、にこちゃんも呼んだんだって?俺も会いたかったんだけど」
「にこさんも会いたがってたよ。帰る前に連絡してみたら?」
「・・・いつまで玄関先で話してるのよ」
呆れたような声が響く。
亜里姉の後ろに、絵里姉が立っていた。
「ちょ、お姉ちゃん!?寝てなきゃダメだって!?」
「大丈夫よ。昨日より少し体調も良くなったし、問題無いわ」
絵里姉はそう言うと、俺に視線を向けた。
「・・・昨日はゴメンなさい。見苦しい姿を見せたわね」
「絵里姉の見苦しい姿なんて、昨日どころか何度も見てきてるわ」
「いつも見苦しいみたいな言い方止めなさいよ!?」
絵里姉のツッコミ。
亜里姉がクスクス笑っている。
「とりあえず上がって。今お茶出すから」
「「亜里姉(亜里沙)は絶対キッチンには立たせません」」
「まさかのハモり!?」
ショックを受ける亜里姉なのだった。
*****
《梨子視点》
「改めまして、絢瀬絵里です。いつも天がお世話になってます」
「さ、桜内梨子ですっ!よろしくお願いしますっ!」
慌てて自己紹介する私。
私と絵里さんは今、絢瀬家のリビングで向かい合って座っていた。
天くんは『私だってお茶くらい淹れられるもんっ!』とキッチンへ向かった亜里沙さんを心配して、様子を見に行っているところだ。
「そんなに緊張しないで。私まで緊張してきちゃうわ」
苦笑する絵里さん。
長くて綺麗な金色の髪、透き通るように白い肌、吸い込まれそうな碧い瞳、美しすぎる顔立ち・・・
今まで私が出会ってきた人達の中でも、一・二を争うほどの美女だ。
この人が伝説のスクールアイドルグループ・μ'sのメンバーの一人、絢瀬絵里さんなのね・・・
「あ、あの・・・身体の方は大丈夫なんですか?」
「えぇ、大丈夫よ。まだ本調子とは言えないけれど、だいぶ良くなったわ」
微笑む絵里さん。
「昨日までは、起きてるのが辛くて寝込んでたんだけど・・・今朝起きたら予想以上に回復してたの。自分でもビックリしてるわ」
「それって、もしかして天くんの影響が・・・?」
「・・・そうかもしれないわね」
溜め息をつく絵里さん。
「久しぶりに天に会って、天の手料理を食べて、みっともないくらい泣いて・・・それで回復するなんて、本当に単純な姉よね」
「・・・少し分かるような気がします」
ポツリと呟く私。
「天くんって、人を元気にする力があるっていうか・・・私も落ち込んだり悩んだりした時、何度も救われましたから」
「・・・フフッ」
私の言葉を聞き、絵里さんが笑みを零した。
「それを聞いて安心したわ。どうやらウチの弟は、Aqoursでも愛されてるみたいね」
「あ、愛っ・・・!?」
カァッと顔が熱くなっていくのを感じる。
「そ、そんな・・・私が天くんを『愛してる』だなんて・・・!」
「いえ、そんなことは一言も言っていないのだけれど」
「で、でも・・・確かに天くんのことは好きっていうか・・・!」
「聞いてもいないのにぶっちゃけたわね」
「不束者ですがよろしくお願いします、お義姉さん!」
「落ち着きなさい」
「あたっ!?」
頭にチョップをお見舞いされる。
うぅ、痛い・・・
「とりあえず、貴女が天に惚れてるってことは分かったわ」
「えぇっ!?何で分かったんですか!?」
「今すぐ頭のネジを探して来なさい。多分その辺に落ちてるから」
呆れている絵里さん。
「全く、あの子はまた女の子をオトして・・・まぁ、それだけ天が愛されてるってことなんだろうけど」
「それは間違いありません」
頷く私。
「私を含め、Aqoursのメンバー全員が天くんを大切に想っています。天くんがいなかったら、今の私達は・・・Aqoursは無かったでしょうから」
「・・・μ'sと同じね」
絵里さんはそう言って笑うと、真剣な表情で私を見た。
「これからも天のことを、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる絵里さんを見て、私は何だか複雑な気持ちになってしまった。
今の絵里さんの様子を見ていれば、絵里さんの天くんへの愛情が痛いほど伝わってくる。
それなのに・・・
「・・・どうして、天くんと喧嘩してしまったんですか?」
呟く私。
「・・・絵里さんは、天くんの内浦行きに反対していたんですよね?それなのにどうして、鞠莉さんに天くんのことをお願いしたんですか?今だって私に頭を下げてまで、天くんのことをお願いして・・・どうしてですか?」
「そう・・・鞠莉は全て話したのね・・・」
物憂げに窓の外を眺める絵里さん。
「一言で言うのなら・・・罪滅ぼし、かしら」
「罪滅ぼし・・・?」
「えぇ。あの子を縛り付けてしまったことに対しての、ね」
溜め息をつく絵里さん。
「私達の両親はロシアに住んでいて、私は天や亜里沙と三人で暮らしてきたわ。一番上の姉として、あの子達の面倒を見る・・・それが私の責任だと思ってた。まぁ実際は、あの子達に助けられることの方が多かったけどね」
苦笑する絵里さん。
「私にとって、天と亜里沙はかけがえのない存在なの。両親が側にいない今、私にとっての家族はあの子達だけ・・・心から愛しているわ。あの子達がいない生活なんて、私にはどうしても考えられなかった」
「絵里さん・・・」
「だから天が『内浦へ行く』って言った時、私は必死で反対したわ。『高校生で一人暮らしなんて早い』とか、『将来を考えたら行くべきじゃない』とか色々言ったけれど・・・そんなのはただの建前だった」
絵里さんはそう言うと、自嘲気味に笑った。
「本当はただ、私が天と離れたくなかっただけ・・・そんな自分勝手な理由で、私はあの子の進もうとした道を全面否定したの。我ながら最低の姉だと思うわ」
「そ、そんなことは・・・」
「いいえ、私が間違っていたのよ」
キッパリと言い切る絵里さん。
「後になって、激しい自己嫌悪に陥ったわ。どうして私は、天を応援してあげることが出来なかったんだろうって」
俯く絵里さんに、私は何も言葉をかけてあげられなかった。
絵里さんは、ずっと後悔していたのね・・・
「その後すぐ、私達が喧嘩したことを聞きつけた南理事長から連絡があってね。浦の星の新理事長が、『どうしても天に来てほしい』って言ってるっていう話を聞いたの。それで私は、どうしても話が聞きたくて『新理事長に会わせてほしい』ってお願いしたのだけれど・・・まさか鞠莉のことだとは思わなかったわ」
「ですよねぇ・・・」
思わず苦笑してしまう私。
何かもう慣れちゃったけど、普通に考えて現役女子高生理事長っておかしいわよね。
労働基準法とかどうなってるのかしら・・・
「実際に鞠莉と会って、鞠莉の願いを知った私は・・・チャンスだと思った」
「チャンス・・・?」
「えぇ。鞠莉にお願いすれば、天の進みたい道に進ませてあげることが出来る。それと同時に・・・μ'sからも解放してあげられる」
唇を噛む絵里さん。
「知っているのでしょう?天がμ'sのマネージャーだったことも、μ'sが解散してからスクールアイドルに関わらなくなったことも」
「え、えぇ・・・」
「・・・それがずっと気がかりだったの。μ'sのマネージャーという立場に縛られて、スクールアイドルと関わることを避けてるんじゃないかって。だから鞠莉に、天をマネージャーにしてもらうようお願いしたの」
絵里さんは私を見ると、優しく微笑んだ。
「Aqoursのことは、私もチェックさせてもらってるわ。海未や真姫からも話は聞いてるし・・・天が楽しく過ごせているみたいで、私もホッとしているの」
「・・・本当に大事に想われてるんですね。天くんのこと」
「当然じゃない。家族だもの」
笑う絵里さん。
それならどうして・・・
「・・・どうして天くんに言わないんですか?本当は応援してるってことを」
「・・・今さら何て言えば良いのか、分からないのよ」
寂しそうに笑う絵里さん。
「あれだけ反対して、引っ叩いたりしたのに・・・『貴方を応援してる』なんて、そんな都合の良いこと言えないわよ。だから私は、陰ながら天を応援しようって決めたの」
「でも、それじゃ天くんに誤解されたままなんじゃ・・・」
「良いのよそれで」
自分に言い聞かせるように呟く絵里さん。
「たとえ天に嫌われても・・・あの子が元気でいてくれるなら、私はそれで良いの」
そう言って笑う絵里さんの姿に、心が痛くなる私なのだった。
*****
「・・・っていうのが、お姉ちゃんの本音みたいだよ?」
亜里姉に話を振られるも、何も返すことが出来ない俺。
俺達はリビングへと繋がる扉の前で、今の絵里姉と梨子の会話を全て聞いていた。
「・・・あのバカ姉」
声を振り絞って呟く。
どんだけ不器用なんだよ・・・
「ホント、不器用にも程があるよね」
苦笑する亜里姉。
「何でもテキパキとスマートにこなす、仕事の出来るクールな女性。それが周りのお姉ちゃんに対する印象なんだろうけど・・・」
「・・・実は不器用でおっちょこちょいで、強がりのくせに甘えん坊なただの女の子。それが絵里姉の本当の姿なんだよね」
そんなこと、十分過ぎるほど分かってたはずなのに・・・
「バカだな、俺・・・絵里姉のこと言えないわ」
「フフッ、二人揃ってバカなんだから」
亜里姉はそう言って笑うと、俺のことを優しく抱き締めてくれた。
「お互いがお互いのことを想い合っているのに、素直になれなくてすれ違っちゃって。お姉ちゃんは、天に対する本当の気持ちを言わないし・・・天だってお姉ちゃんに、内浦行きを決めた本当の理由を話してないでしょ?」
「っ・・・亜里姉、まさか最初から・・・」
「うん、知ってたよ」
微笑む亜里姉。
「そうなんじゃないかとは思ってたけど、南理事長から話を聞いて確信したよ。そういうことなら、私に相談してほしかったな」
「・・・ゴメン」
「ダメ。謝っても許さない」
俺を抱き締める腕に、キュッと力を込める亜里姉。
「ちゃんとお姉ちゃんと仲直りしてきなさい。そしたら許してあげるから。ね?」
「・・・うん。ありがとう、亜里姉」
亜里姉の優しさが身に染みる俺なのだった。
どうも〜、ムッティです。
前書きでも述べましたが、彼方ちゃんが可愛すぎてヤバいです。
くっ、ニジガクの推しは果林ちゃんで決まったと思ったのに・・・
心が揺れてしまうじゃないか(´・ω・`)
これはμ'sの『のぞえり』みたく、ニジガクは『かなかり』が至高になるのでは・・・
いや、『かりかな』?
まぁいずれにせよ、私はこの二人が大好きです(一人に絞れない浮気者がこちら)
さてさて、本編では遂に絵里ちゃんの気持ちが明らかに・・・
絵里ちゃんの本心を知った天は、果たしてどうするのでしょうか?
そして長らく出番の無い他のAqoursメンバーはいつ登場するのか(笑)
これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!