4月はもう少し頑張りたい(´・ω・`)
「亜里姉、今日は希ちゃんの家に泊まるってさ。梨子も一緒みたい」
「あの子は本当に自由ねぇ・・・」
呆れている絵里姉。
絵里姉の強い希望で、俺は今晩この家に泊まることになっていた。
それを希ちゃんに伝える為に電話したところ、何と亜里姉と梨子が一緒だったのだ。
亜里姉は俺達の仲直りをとても喜んでくれたのだが、『今日は家に帰らない』と言い出した。
亜里姉曰く、『寂しい思いをさせた分、今日は天がお姉ちゃんを甘やかしなさい』とのことだった。
それを聞いた希ちゃんの提案で、二人は希ちゃんの家に泊まることになったのだった。
「ところで絵里姉・・・そろそろ離れてくんない?」
「嫌よ」
俺の腕にギュっとしがみつく絵里姉。
さっきからずっとこんな感じなんだよなぁ・・・
「いや、そろそろお風呂に入りたいんだけど・・・」
「じゃあ一緒に入るわ」
「それは止めて下さい。俺の理性が飛びます」
今だって絵里姉の柔らかい胸が腕に押し付けられて、ちょっと危ない感じなのに・・・
「あら、私は構わないわよ?」
「いや、俺が構うんだけど。俺達姉弟なんだけど」
「姉弟の前に、女と男じゃない」
「ちょ、ホント止めて。そうやって俺の理性を崩そうとしないで」
「フフッ、相変わらず天は可愛いわね」
悪戯っぽく笑う絵里姉。
くっ、人を弄びやがって・・・
「でも相変わらず、理性が強いわねぇ・・・天に惚れている女の子達は、攻略に難航しそうだわ」
「いや、そんな奇特な人達いないでしょ。俺モテないし」
「・・・無自覚って恐ろしいわね」
溜め息をつく絵里姉。
何かもの凄く心外なことを言われている気がする。
「それより絵里姉、本当に体調は大丈夫なの?」
「えぇ、だいぶ良くなったわ。これなら仕事にも復帰出来そうよ」
そう言って笑う絵里姉だったが、どこか乗り気では無さそうだった。
仕事、あんまり上手くいってないみたいだしな・・・
「ねぇ、絵里姉・・・仕事、辞めたら?」
「っ・・・」
「今の絵里姉には休息が必要だよ。ここで一度立ち止まって、リフレッシュした方が良いと思うな」
「そ、そんなこと言ったって・・・仕事を辞めたらお金が・・・」
「生活費は毎月送られてきてるでしょ?今は親に甘えても良いんじゃない?」
俯く絵里姉。
俺はそっと絵里姉の手を握った。
「これから絵里姉がどうしていきたいのか、よく考えた方が良いと思う。絵里姉の人生なんだもん。一度立ち止まって、ゆっくりして・・・それから今後を考えたって、バチは当たらないんじゃないかな。今まで一生懸命頑張ってきたんだから」
「天・・・」
「内浦にも遊びに来てよ。Aqoursの皆も、絵里姉に会えたら喜ぶだろうし・・・特にダイヤさんなんて、感激のあまり気絶するんじゃないかな」
「・・・フフッ、何よそれ」
クスクス笑う絵里姉。
「・・・少し考えてみるわ。ありがとう、天」
俺に寄りかかってくる絵里姉。
「ホント、貴方には助けられてばかりね・・・五年前もそうだったけど」
「絵里姉は石頭だから。誰かが言ってあげないとね」
「天だって石頭でしょうが!同類よ同類!」
「絵里姉と一緒にしないでくれる!?俺は絵里姉ほど石頭じゃないから!」
「十分すぎるほど石頭でしょうが!」
ギャーギャー言い合う俺と絵里姉だったが、やがてお互い顔を見合わせ吹き出した。
「フフッ・・・こんなやりとりも久しぶりね」
「そうだねぇ・・・」
笑っている絵里姉が無性に愛おしくなり、思わずギュっと抱き締めてしまう。
「あら、相変わらず天は甘えん坊ね」
「・・・姉に甘えるのは、弟の特権だから」
「フフッ・・・じゃあそんな弟を甘やかすのは、姉の特権ね」
抱き締め返してくれる絵里姉。
変わらない温もりに、心が安らぐ俺なのだった。
*****
《梨子視点》
「やれやれ、ようやく仲直りしましたね」
「フフッ、一安心やね」
そう言って笑い合う亜里沙さんと、紫髪の女性・・・東條希さん。
亜里沙さんに連れられて外へ出た私は、仕事帰りの希さんと遭遇。
そのまま希さんの家へと連れて行かれ、夕飯をご馳走になっていた。
そこへ天くんから希さんへ電話があり、絵里さんと仲直りしたことが分かったのだ。
「亜里沙さん、本当に家に帰らなくて良いんですか?」
「うん。せっかく仲直りしたんだし、積もる話も色々あると思うから。それに・・・」
「それに?」
「今頃お姉ちゃん、天にベッタリだと思うんだよね。二人っきりにしておいた方が、気兼ねなく甘えられるかなって」
「それは間違いないやろうね」
頷く希さん。
「エリチは超がつくほどのブラコンやから。喧嘩してた四ヶ月分、たっぷり天くんに甘えてるんやない?」
「そ、そうなんですか?私の中の絵里さんのイメージって、もっとこうクールビューティーみたいな感じなんですけど・・・」
「「それは絶対に無い」」
「断言!?そしてまさかのハモり!?」
「お姉ちゃんって仕事は出来るけど、プライベートではポンコツなところあるから。あとメチャクチャ甘えん坊だから」
「せやね。あと暗いところが苦手で、涙目で抱きついてきたりとか」
「そうそう。見た目は大人、頭脳は子供みたいな?」
「コ●ンくんの逆バージョン!?」
絵里さん、暴露されてますよ!
妹さんとお仲間にメッチャ暴露されてますよ!
「まぁ、そこがエリチの可愛いところなんやけどね」
微笑む希さん。
「今頃エリチ、天くんにべったりくっついてるだろうし・・・一緒にお風呂とか入ってるかもしれないね」
「いや、流石にそれは無いんじゃ・・・」
「え、ウチは昨日一緒に入ったよ?」
「えぇっ!?」
「お互い身体を隅々まで洗いっこして・・・キャッ♡」
「なっ、ななな何ですって!?」
「フフッ、冗談♪」
面白そうに笑う希さん。
「梨子ちゃん、分かりやすく動揺してたねぇ・・・よっぽど天くんが好きなんやね」
「ちょ、えっ!?何で分かるんですか!?」
「凛ちゃん・花陽ちゃん・にこっちから報告は受けてるよ」
「まさかの情報筒抜け!?」
あ、あの人達・・・!
「やれやれ、天くんも罪な男やねぇ・・・」
「えぇ、我が弟ながら恐ろしいですよ・・・」
溜め息をつく希さんと亜里沙さん。
「・・・まぁ、惚れちゃう気持ちは分かるかな。多分梨子ちゃんも、天くんに救われたクチやろ?」
「え、えぇ・・・まぁ色々と・・・」
「やっぱり」
苦笑する希さん。
「天くんってホント、色んな人に手を差し伸べてくれるから・・・あれは本当にズルいなって、ウチも思うよ」
「ひょっとして、希さんも天くんに・・・?」
「まぁね」
天井を見上げる希さん。
「最初はエリチの弟ってことで、ウチにとっても弟みたいな存在だったんだけど・・・μ'sとして一緒に活動するようになって、たくさん支えてもらって・・・いつの間にかウチの中で、弟っていう感覚じゃなくなってて。そんな時に手を差し伸べられたら・・・分かるやろ?」
頬を赤く染め、照れ臭そうに笑う希さん。
えっ・・・
「もしかして希さん、天くんのことが・・・!?」
「フフッ、どうやろうね?」
笑ってはぐらかす希さん。
「梨子ちゃんが本当に天くんに惚れてるなら、積極的に天くんの心を掴みに行った方が良いと思うよ?そうじゃないと、隙を突いて横から掻っ攫っていこうとする子がいるかもしれないし・・・ウチみたいに、ね♪」
「くっ、油断大敵ってことですか・・・!」
「希さん、梨子ちゃんを煽らないであげて下さいよ」
呆れている亜里沙さん。
「あと、簡単に天を渡すつもりはありませんからね」
「まさかの亜里沙さんもブラコン!?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「そして否定もしない!?」
「だってブラコンだもん」
「清々しいほど断言しましたね!?」
お、恐るべし絢瀬姉妹・・・!
絵里さんも亜里沙さんも敵だっていうの・・・!?
「まぁ、天が選んだ相手なら文句は無いけどね」
苦笑する亜里沙さん。
「あの子の人を見る目は確かだから。あの天が選んだ人ってことは、それほどの魅力がある人ってことだろうし」
「じゃあもしウチが選ばれたら、亜里沙ちゃんのこと『お義姉さん』って呼ぶね♪」
「違和感しか無いので却下です」
「酷い!?」
「でも天っておっぱい星人だから、希さんを選ぶ可能性はありそうですよね・・・」
「おっぱいが理由で選ばれたくないんやけど!?」
「・・・希さんはここで消しておくべきかしら」
「何か梨子ちゃんが物騒なこと言ってる!?」
「私だってB80あるのよおおおおおおおおおおっ!」
「サラッと自分のサイズ暴露した!?落ち着いて梨子ちゃん!?」
希さんに宥められる私なのだった。
どうも〜、ムッティです。
3月も終わり、4月に突入しましたね。
段々と暖かくなっていき、やがて夏を迎えるのかと思うと・・・
今から憂鬱です(´・ω・`)
夏なんて滅んでしまえ(゜言゜)
まぁそれはさておき、皆さん体調は大丈夫ですか?
相変わらずコロナが猛威をふるっているので、身体には十分お気を付け下さい。
自分も体調に気を付けながら、出来るだけこの作品を更新出来るよう頑張ります。
今月は曜ちゃんと真姫ちゃんの誕生日回も投稿する予定ですので、お楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!