というわけで、今回は真姫ちゃんの誕生日回です!
イミワカンナイっ!←
「天、起きて」
「ん・・・?」
身体を優しく揺すられ、ゆっくりと目を開ける。
顔立ちの整った赤髪の美女が、俺の顔を覗き込んでいた。
「着いたわよ」
「えっ、もう?早くない?」
「アンタが爆睡してたからでしょ」
呆れている美女。
「東京駅から新幹線に乗って三時間半・・・よくもまぁそんなに爆睡出来たものね」
「アハハ、ゴメンゴメン」
苦笑しながら謝る俺。
「こういう乗り物に乗ると、つい眠くなっちゃうっていうか・・・大好きな人が隣にいてくれたから、尚更安心して眠れたよ。ありがとね」
「な、何よそれ!?イミワカンナイっ!」
頬を赤く染め、恥ずかしそうに髪の毛先をくるくる弄る美女。
昔と違ってずいぶん髪が長くなったけど、この癖はずっと変わらないなぁ・・・
「・・・ハハッ」
「わ、笑うんじゃないわよ!?」
「あぁ、ゴメン。やっぱり俺の彼女は可愛いなぁって」
「っ・・・も、もう知らないっ!」
顔を真っ赤にして、ぷいっとそっぽを向いてしまう美女。
やれやれ・・・
「さて、行こうか。終点だし、早く降りないと迷惑かけちゃうよ?」
「アンタが爆睡してたせいで遅くなったんでしょうが!」
「アハハ、確かに」
俺は笑いながらそう言うと、美女の手を優しく握った。
「起こしてくれてありがとう・・・真姫」
「っ・・・全く、世話の焼ける彼氏なんだから・・・」
手を握り返してくる美女・・・西木野真姫。
伝説のスクールアイドルグループ・μ'sの一員である彼女は・・・
現在、俺の恋人になっているのであった。
*****
「わぁ・・・!」
目の前の光景に、驚いている真姫。
「辺り一面、桜だらけじゃない・・・!」
「凄いでしょ?」
笑みを浮かべる俺。
俺達は今、青森県弘前市の弘前公園へとやって来ていた。
『弘前の桜』といえばかなり有名だが、真姫はまだ一度も見たことが無かったらしい。
そこで今回、二人で弘前まで旅行に来たのだ。
「『桜なんてどこで見たって一緒でしょ』とか言ってたどこかの誰かさん、今どんな気持ち?ねぇどんな気持ち?」
「う、うるさいわね!いいでしょ別に!」
「『三時間半も新幹線に乗るの!?イミワカンナイ!』とか言ってたどこかの誰かさん、今どんな気持ち?ねぇどんな気持ち?」
「あぁもう、私が悪かったわよ!ごめんなさい!」
「よろしい」
しっかり謝罪の言葉が聞けたので、この辺にしておいてあげよう。
「この公園広いから、お花見ポイントがたくさんあるんだよ。ゆっくり見て回ろう?」
「えぇ・・・あんまり歩きたくないんだけど・・・」
「じゃあおんぶしてあげようか?」
「それはそれで嫌なんだけど!?こんな人が多いところで恥ずかしいでしょうが!」
「ワガママだなぁ・・・ほら、行こう?」
真姫の手を握って歩く。
このワガママお姫様は、俺が引っ張ってあげないと動かないから困るんだよなぁ・・・
「ちょ、ちょっと・・・!」
そう言いながらも、手を握り返してついてくる真姫。
どうやら、最初から手を握られるのを待っていたらしい。
ホント素直じゃないんだから・・・
「それにしても、真姫と旅行に来るなんて久しぶりだよね・・・いつ以来だっけ?」
「そうねぇ・・・天が大学四年生の時以来だから、三年ぶりってところかしら?」
「おっ、よく覚えてるね」
「た、たまたまよっ!」
顔を赤くする真姫。
俺の高校卒業を機に付き合い始めた俺達は、今年で交際七周年を迎えていた。
俺も今年で二十五歳になるし、真姫は・・・
「遂に三十路か・・・おめでとう、真姫」
「三十路って言われた後に祝福されても嬉しくないんだけど!?」
真姫のツッコミ。
真姫は今日、四月十九日でめでたく三十歳になった。
今回の旅行は、真姫の誕生日お祝い旅行でもあるのだ。
「ふんっ!どうせもう若くないわよっ!」
「拗ねないの。年齢なんて気にならないくらい、真姫は綺麗だよ」
真姫の手を強く握る。
「それに三十歳なんてまだまだ若いでしょ。『若くない』なんて言わないの」
「・・・ふん」
あっ、ちょっと機嫌直った・・・
頬が赤く染まっているのが良い証拠だ。
「ほら、ここの景色見てみなよ。凄いから」
「えっ?」
川にかかる橋の上で立ち止まる俺達。
向こうまでずっと続く川の両脇は、たくさんの桜の木で彩られていた。
さらに川の水面には、鏡のようにクッキリと桜が映っており・・・
とても美しい眺めだった。
「うわぁ・・・!」
感嘆の声を上げる真姫。
どうやら喜んでもらえたようだ。
「でも、本番はこれからなんだよね」
「本番?」
首を傾げる真姫。
この景色もとても素晴らしいのだが、お楽しみはこれからなのだ。
「弘前公園の桜って、夜になるとライトアップされるんだよ。それが本当に綺麗でさぁ・・・また夜になったら来よう。きっとビックリすると思うよ」
「そ、そうなの?それは見てみたいわね・・・」
興味を示す真姫。
あの景色は絶景だし、是非とも真姫に見てもらいたい。
そして・・・
「・・・上手くいくと良いな」
「天?何か言った?」
「何でもないよ」
笑って誤魔化す俺なのだった。
*****
「うぅ、寒い・・・」
身体を震わせる真姫。
俺達は一度旅館へ行きチェックインを済ませ、再び弘前公園を訪れていた。
もう四月とはいえ、日が沈んで夜になればだいぶ冷える。
本州最北端に位置する青森県ともなれば尚更だ。
「大丈夫?」
「まぁ何とか・・・それに・・・」
そう言って、俺の腕に抱きついてくる真姫。
「・・・これで少しは温かくなるから」
「・・・それなら良いけど」
真姫にくっつかれて、内心ドキッとしてしまう。
こうやってさりげなく甘えてくるの、ホントズルいよなぁ・・・
「天?どうしたの?」
「な、何でもない・・・」
ドキドキしつつ、真姫と二人で歩き始める。
辺りは多くの人々で賑わっており、皆それぞれ夜桜を楽しんでいた。
「本当に綺麗ね・・・」
感嘆の声を上げる真姫。
辺り一面に咲いた桜はライトアップされ、昼に見たものとはまた一味違う光景がそこにあった。
ホント、凄いよなぁ・・・
「あっ、真姫。あれ見てみなよ」
「え?」
俺が指差した先には少し開けた場所があり、そこも多くの桜の木が立っていた。
その中の二本の桜の木の枝が、ハート型を描くように組み合わさっている。
そこだけくっきりとハートの形に見えるのだ。
「えっ、凄くない!?何あれ!?」
「有名な花見スポットみたい。せっかくだし、アレをバックに写真撮ろうよ」
「ヴェエッ!?は、恥ずかしいからちょっと・・・」
「すみません、シャッター押してもらって良いですか?」
「えぇ、良いですよ」
「人の話聞きなさいよ!?」
真姫のツッコミをスルーし、手を引いてこちらへ引き寄せる。
シャッターを押してくれるという女性は、俺達の様子を微笑ましそうに眺めていた。
「フフッ、カップルさんですか?」
「えぇ、もう七年の付き合いになります」
「そうなんですか?素敵ですね」
ニッコリ笑う女性。
ダークブラウンのロングヘアをお嬢様結びにして、赤いリボンで纏めている。
よく見るとメッチャ美人じゃん・・・
「・・・天?」
「大丈夫、俺は真姫一筋だから」
「まだ何も言ってないんだけど・・・」
呆れている真姫。
女性はクスクス笑うと、俺が渡したスマホを構えた。
「それじゃあ撮りますね。お二人とも、思いっきりくっついちゃって下さい」
「はーい」
「ちょ、ちょっと!?」
思いっきり真姫を抱き寄せる。
真姫は動揺しながらも、諦めたのかすんなり俺に身を委ねてくれた。
「それではいきます。はい、チーズ!」
掛け声と共に、パシャッという音がする。
女性が笑顔で俺にスマホを差し出してきた。
「はい、オッケーです。我ながら上手に撮れたと思いますよ」
「ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ。それでは私はこれで・・・全く、かすみさんと璃奈さんったらどこに行っちゃったんだろう?」
一礼して去っていく女性。
最後に何か呟いてたけど、何だったんだろう?
何かキョロキョロ辺りを見回してるし・・・
「写真、どんな感じ?」
「えーっとね・・・おぉ、バッチリじゃん!」
真姫と二人で、撮ってもらった写真を眺める。
背景のハートをバックに、仲睦まじく写る二人の姿がそこにあった。
「その・・・後で私にも送ってね?」
少し恥ずかしそうに頼んでくる真姫に、再びドキッとしてしまう俺なのだった。
*****
「ここって、昼間に来た場所よね?」
「うん、凄く景色の良かった場所だね」
真姫の問いに頷く俺。
俺達は今、昼間にも訪れた川にかかる橋にやって来ていた。
「昼も凄かったけど、夜の景色はまた格別なんだよ。行ってみよう」
「あっ、ちょっと!?」
真姫の手を引いて橋を渡る。
そして橋の中央で立ち止まり、川の方へと視線を向けた。
「格別って、そんなに違うもの・・・なの・・・」
目の前の光景に絶句している真姫。
川沿いに咲く桜の木がライトアップされ、まるで桜そのものが光り輝いているようだった。
そして川の水面には、そんな光り輝く桜が映し出されており・・・
まさに絶景と言って良い、幻想的な風景がそこにはあった。
「・・・凄いでしょ?」
微笑む俺。
「初めてこの景色を見た時、俺本当に感動しちゃってさ。次は絶対真姫と一緒に見に来たいって、そう思ったんだ」
「天・・・」
「この景色を、真姫と一緒に見られて良かった。一緒に来てくれてありがとう」
そう言うと俺は、着ているコートのポケットから小さな箱を取り出した。
それを見た真姫が、驚いたように目を見開く。
「そ、それって・・・!?」
「本当は、もっと早くに渡したかったんだけど・・・七年も待たせちゃってゴメンね」
ゆっくりと箱を開く。
そこに入っていたのは、銀色に光り輝く指輪だった。
「真姫・・・いや、西木野真姫さん。貴女のことが大好きです。俺と結婚して下さい」
「っ・・・」
心臓をバクバクさせながら、真姫からの返事を待っていると・・・
真姫の目から、大粒の涙が溢れ出した。
「・・・バカ」
溢れる涙を拭おうともせず、真姫が微笑む。
「こんな景色をバックにプロポーズなんて・・・カッコつけすぎなのよ。天のくせに」
「いや、『くせに』って酷くない?これでも色々と考えたんだけど・・・」
「考えすぎよ、バカ」
俺の胸に顔を埋める真姫。
「前にも言ったじゃない・・・私が天の頼みを断るわけないでしょ」
「っ・・・それって・・・」
真姫は顔を上げると、嬉しそうに微笑んだ。
「はい・・・喜んで」
「っ・・・」
真姫を抱き締める。
愛おしすぎてどうにかなりそうだった。
「ちょっと、苦しいんだけど・・・」
「あぁゴメン、『西木野真姫を抱き締めたい症候群』の症状が出ちゃって・・・」
「どんな病気!?」
「まぁ治す気は無いんだけどね」
「無いの!?」
「当たり前じゃん。それとも・・・俺に抱き締められるのは嫌?」
「・・・バカ」
「ちょっと、人のこと『バカ』って言い過ぎ」
「照れ隠しよ。それくらい察しなさい」
「理不尽だなぁ・・・」
「その理不尽な女に、アンタは今プロポーズしたのよ」
おかしそうにクスクス笑う真姫。
「私のこと、大好きなんでしょ?」
「うん、大好き」
「・・・相変わらず照れずに言うわね」
真姫は肩をすくめつつ、俺の頬に手を添えた。
「でも・・・私も貴方が大好きよ」
「真姫・・・」
「愛してるわ、天・・・世界の誰よりも、貴方を愛してる」
「・・・俺も愛してるよ、真姫」
お互いに顔を近づけ、深い口づけを交わす。
ライトアップされた桜の木々が、俺達を祝福するかのように光り輝いているのだった。
*****
《真姫視点》
「すぅ・・・すぅ・・・」
「また爆睡してるし・・・」
隣で眠る天を見ながら、呆れている私。
楽しかった旅行も終わり、今は新幹線に乗って東京へと戻っている途中だ。
「それにしても・・・ホントによく寝るわね」
まぁ確かに、昨日の夜は寝るの遅かったもんね・・・
旅館に戻って祝杯を挙げて、そのまま二人で・・・
「っ・・・」
昨夜の情事を思い出し、思わず顔が赤くなってしまう。
隣の部屋の人に、声とか聞かれてないといいんだけど・・・
「全く・・・あんなに激しくするから・・・」
恨みのこもった目で天を見つめる。
まぁスヤスヤと眠る天の顔を見たら、怒る気も失せてしまうのだけれど。
「・・・フフッ」
ふと自分の左手を見て、自然と笑みが零れる。
薬指には、昨日天からもらった指輪がはめられていた。
天からのプロポーズを思い出し、つい顔が緩んでしまう。
「・・・嬉しかったなぁ」
思えば初めて出会った頃から、天は私に壁を作ることなく接してくれた。
そんな天だから、人付き合いが苦手だった私も心を開くことが出来たんだろう。
おかげでμ'sの皆にも出会えて、かけがえのない仲間や思い出を得られて・・・
今の私があるのは、間違いなく天のおかげだ。
「・・・ありがとね、天」
天の肩に、そっと自分の頭をのせる。
「貴方に出会えて、本当に良かった・・・私は今、凄く幸せよ」
私はこの人の彼女・・・いや、お嫁さんなんだ・・・
そう思うだけでドキドキするし、何とも言えない幸福感に包まれる。
それくらい、私は天にベタ惚れなんだと実感した。
「・・・大好き」
天にもたれかかって体重を預け、天の右手を指輪のはめられた左手でそっと握る。
そのまま目を閉じた私は、幸せを噛み締めながら眠りにつくのだった。
どうも〜、ムッティです。
今回は真姫ちゃんの誕生日回でした!
舞台は青森県弘前市でしたね。
自分も昨年初めて弘前公園を訪れ、桜を見たのですが・・・
凄かった!もう一度言うけど凄かった!
アレは本当に生で見る価値のある風景です。
本当は今年も行くはずだったのに、コロナの影響で行けなくなるっていうね・・・
おのれコロナめ(゜言゜)
来年は行きたいなぁ・・・
ちなみに今回、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会より桜坂しずくちゃんがサラッと登場しております。
しずくちゃんも可愛いんですよねぇ(>_<)
さてさて、ここで恒例の支援絵紹介!
今回もことりちゃん大好きさんから支援絵をいただいたので、ご紹介させていただきます!
【挿絵表示】
すげええええええええええっ!?Σ(゜Д゜)
完全にAqoursじゃん!
Brightest Melodyじゃん!
いやぁ、相変わらず上手いわぁ・・・
ことりちゃん大好きさん、いつもありがとうございます!
さて、次回からは本編に戻ります。
絵里ちゃんと仲直りした天は、東京へとやって来たAqoursの皆と再会・・・
果たしてAqoursは、μ'sとの違いを見つけることが出来るのか・・・
次回をお楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!