絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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今さらですが、そろそろ鬼滅の刃を読もうかと思ってます(まだ読んでない人)


お世話になった人には頭が上がらないものである。

 「・・・懐かしいな」

 

 廊下を歩きながら、小さく独り言を呟く。

 

 俺は今、音ノ木坂学院へとやって来ていた。

 

 こうやって高等部の校舎を歩いていると、あの頃のことを思い出すな・・・

 

 

 

 

 

 『今日も練習に行くにゃー!』

 

 『ちょ、凛ちゃん!?走ったら危ないよ!?』

 

 『花陽!?アンタも走るんじゃないわよ!?』

 

 『全く、困った一年生達ですね・・・』

 

 『フフッ、元気があって良いんじゃないかな?』

 

 『元気なのは良いのだけれど、廊下は走らないでほしいわね・・・』

 

 『全く、子供なんだから・・・』

 

 『まぁまぁ、放課後で人も少ないし大丈夫やない?』

 

 

 

 

 

 練習場所の屋上へと向かう皆の後ろ姿を、今でも鮮明に思い出せる。

 

 そして・・・

 

 

 

 

 

 『ほら天くん!早く行こう!』

 

 

 

 

 

 笑顔で俺の手を引く、サイドテールの少女。今頃何してるのかなぁ・・・

 

 そんなことを考えながら歩いていると、目的地である部屋の前へと着いた。

 

 一つ息を吐き、ドアをノックする。

 

 「どうぞ~」

 

 「失礼します」

 

 返事が返ってきたので、ドアを開けて中に入る。

 

 すると・・・

 

 「天くううううううううううんっ!」

 

 「むぐっ!?」

 

 一瞬にして視界が塞がれ、顔が柔らかい感触に包まれた。

 

 「会いたかったわー!寂しくて死んじゃうかと思ったわよ!」

 

 「ふぉふぉふぉふふぁふぃふぇふふぁふぁふぁふぁふぁ(どこのウサギですか貴女は)」

 

 「あんっ♡そんなところで喋っちゃダメっ♡」

 

 「ふぉふぇふぃふぉふふぃふぉふぉ?(俺にどうしろと?)」

 

 「んあっ♡フフッ、ゴメンなさい♪」

 

 ようやく解放され、俺を抱き締めていた女性の姿を確認できた。

 

 ベージュ色の長い髪、独特なサイドテール・・・ことりちゃんによく似た美女である。

 

 「お久しぶりです、南理事長」

 

 「むぅ・・・その呼び方は嫌!」

 

 「子供ですか貴女は」

 

 「嫌なものは嫌なのっ!名前で呼んでっ!」

 

 「はいはい、分かりましたよ・・・」

 

 俺は溜め息をつくと、女性に一礼した。

 

 「お久しぶりです・・・ひなさん」

 

 「えぇ、久しぶり」

 

 笑う女性・・・南ひなさん。

 

 ことりちゃんのお母さんであり、音ノ木坂学院の理事長である。

 

 俺に浦の星のテスト生の話を持ちかけてきた張本人だ。

 

 「天くんったら、全然連絡くれないんだもの。心配してたのよ?」

 

 「いや、定期的に連絡してましたよね?浦の星でのことを報告する為に」

 

 「一ヶ月に一度だけじゃない!本当なら毎日ほしいわよ!」

 

 「何を彼女みたいなこと言ってるんですか」

 

 「そ、そんな・・・彼女だなんて・・・キャッ♡」

 

 「照れないで下さい。あと、もう少し自分の歳を考えて下さい」

 

 ことりちゃんが今年で二十二歳だから、恐らく四十~五十歳のはずなんだけど・・・

 

 二十代~三十代にしか見えないのが恐ろしい。

 

 スタイルも良いし、ことりちゃんと並んでも親子ではなく姉妹に見えてしまうほどだ。

 

 「フフッ、まぁ彼女の座はことりに譲るわ」

 

 「自分の娘を何だと思ってるんですか」

 

 「ゆくゆくはことりが天くんのお嫁さんになって、私は天くんのお義母さんになるの!まさに完璧な将来設計ね!」

 

 「俺とことりちゃんの気持ちが無視されている件について」

 

 「あら、ことりじゃ不満かしら?」

 

 「まさか。俺は幸せですけど、ことりちゃんにも相手を選ぶ権利があるでしょうに」

 

 「まだ気付いてないのね・・・まぁ天くんらしいけど」

 

 ひなさんは何故か溜め息をつくと、柔らかい笑みを俺に向けるのだった。

 

 「それはさておき・・・お帰りなさい、天くん。浦の星での話、たっぷり聞かせてもらえるかしら?」

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「そう・・・色々あったのね」

 

 「えぇ、まぁ」

 

 お茶を飲みながら頷く俺。

 

 俺は内浦での生活について、ひなさんに一通りのことを話し終えていた。

 

 「それにしても、奈々ったら事情を話しちゃって・・・」

 

 「むしろ何で隠してたんですか貴女は」

 

 「その方が面白そうだったんだも~ん♪」

 

 「歳を考えろオバさん」

 

 「辛辣!?」

 

 ショックを受けるひなさん。

 

 全く、この人ときたら・・・

 

 「っていうか、ひなさんと奈々さんってどういう関係なんですか?」

 

 「学生時代の先輩と後輩よ。卒業してからも交流があってね」

 

 肩をすくめるひなさん。

 

 「だから奈々の娘さんが音ノ木坂に入ってきた時は、私も嬉しかったんだけど・・・彼女には、ずいぶん苦しい思いをさせてしまったみたいね。奈々から話を聞くまで、私は気付くことが出来なかったわ」

 

 「・・・そういうのを表に出さずに、抱え込んじゃう人ですからね」

 

 きっと梨子は周りに気を遣って、元気に振る舞っていたんだろう。

 

 周りの人に頼ることもなく、一人でもがき苦しんでいたんだろうな・・・

 

 「だからこそ、天くんには感謝してるわ。彼女を救ってくれたんだもの」

 

 「いや、救ったなんて大げさな・・・」

 

 「あら、奈々はそう言ってたわよ?ピアノコンクールが上手くいったのも、天くんのおかげだって感謝してたもの」

 

 「梨子の努力の賜物ですよ。俺は何もしてませんから」

 

 「相変わらず謙虚ねぇ・・・まぁ、そういうことにしておきましょうか」

 

 苦笑するひなさん。

 

 「内浦でも楽しくやってるみたいで、安心したわ。絵里ちゃんとも仲直り出来たみたいだし、本当に良かった」

 

 「ご心配をおかけしてすみません」

 

 「良いのよ。喧嘩の原因を作ってしまったのは、他でもない私なんだから・・・本当にごめんなさいね」

 

 謝るひなさん。

 

 そんなひなさんに、俺は聞いてみたいことがあった。

 

 「そもそも、どうしてひなさんは俺をテスト生に推薦したんですか?他にも良い生徒はいたでしょうに」

 

 「・・・天くんが一番適任だと思ったのよ」

 

 窓の外を眺めるひなさん。

 

 「μ'sの皆を繋ぎ、支え、音ノ木坂の廃校阻止に尽力してくれた天くんなら・・・同じように廃校の危機に直面している浦の星の、力になってくれるんじゃないかって。そう思って、鞠莉ちゃんに天くんを推薦したの。まさか幼馴染とは思わなかったけどね」

 

 「ひなさんと鞠莉はどういう関係なんですか?鞠莉は小原家のコネクションだって言ってましたけど」

 

 「鞠莉ちゃんのお父さんとウチの旦那って、昔からの友人なのよ。私が音ノ木坂の理事長だっていうことを知った鞠莉ちゃんが、お父さんを通じてコンタクトをとってきてね。それ以来、色々とアドバイスを求められるようになったの」

 

 「・・・相変わらず凄い行動力だな」

 

 そうやって自分から積極的に行動を起こせるのが、鞠莉の凄いところだと思う。

 

 流石は経営者の娘といったところか・・・

 

 「でも、天くんをテスト生に推薦して正解だったわ」

 

 笑みを浮かべるひなさん。

 

 「Aqoursのことは、私もチェックさせてもらってるけど・・・皆本当に活き活きしてる。きっと良いマネージャーがいてくれるからね」

 

 「さぁ、どうでしょうね?」

 

 肩をすくめる俺。

 

 「果たして俺は、彼女達にとって良いマネージャーなのかどうか・・・」

 

 「フフッ、それなら本人達に聞いてみると良いわ。私には答えが分かる気がするけどね」

 

 ひなさんはそう言うと、柔らかく微笑んだ。

 

 「彼女達の力になってあげて。それはきっと、天くんにしか出来ないことだから」

 

 「・・・仰せのままに」

 

 俺の返事に、満足そうに笑うひなさんなのだった。




どうも〜、ムッティです。

今回はことりちゃんママが登場しましたね。

娘の名前が『ことり』なので、『ひな』という名前にしてみました。

漢字にしようか迷いましたが、娘が平仮名なのでそのまま平仮名にしました。

っていうか・・・若すぎません?(今さら)

しかもことりちゃんそっくりだし・・・

ホントμ'sやAqoursメンバーのママ達って、若くて綺麗ですよねー。

『ママライブ!』と『ママライブ!サンシャイン!!』やらないかな←

それではまた次回!以上、ムッティでした!
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