絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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やっぱりのぞえりは至高( ̄ー ̄)

・・・と、『A song for You! You? You!!』のMVを見返して思うムッティなのであった。


昔は昔、今は今である。

 「なるほど、学校説明会への応募人数が0だったのね・・・」

 

 「そうなのよ・・・」

 

 憂鬱そうな表情の鞠莉。

 

 帰りの電車の中、俺は今回皆が東京に来た理由について話を聞いていた。

 

 どうやら九月に学校説明会を開くことにしたみたいなのだが、応募人数がまさかの0だったらしい。

 

 予備予選を突破し、その時の動画の再生回数が伸びていたにも関わらずこの結果・・・

 

 まぁショックを受けるのも無理は無いだろう。

 

 「それで東京に来て、μ'sとの違いを探そうとしたと・・・」

 

 「そういうこと。でもμ'sの何が凄いのか、私達とどこが違うのか・・・ハッキリとは分からなかったかな」

 

 肩をすくめる果南さん。

 

 どうやら、思うような答えは得られなかったらしい。

 

 「Saint Snowの二人は、何か言ってました?」

 

 「『勝つしかない』ってさ。『勝って追いついて、同じ景色を見るしかない』って・・・そう言ってたよ」

 

 「果南さん、あの子達バカ?」

 

 「何その理亞ちゃんそっくりな発言!?辛辣すぎない!?」

 

 「え、アイツそんなこと言ったんですか?腹立つわぁ・・・後でSaint Snowの動画のコメント欄を炎上させておきますね」

 

 「止めて!?天なら本当にやりそうで怖いんだけど!?」

 

 必死に止めてくる果南さん。

 

 チッ、鹿角理亞め・・・覚えてろよ・・・

 

 「ハァ・・・どうやらSaint Snowは、完全にA-RISEファンみたいですね・・・」

 

 「そういえば、A-RISEに憧れてスクールアイドルを始めたって言ってたよ」

 

 「やっぱりですか・・・道理で当時のツバサちゃんにそっくりだと思いましたよ。あのブロッコリー嫌い女」

 

 「呼び方が酷い!?」

 

 果南さんのツッコミ。

 

 鹿角理亞も気に食わないが、鹿角聖良はもっと気に食わない。

 

 それは恐らく、俺が彼女を当時のツバサちゃんと重ねているからなんだろうな・・・

 

 「俺あの当時、ツバサちゃんのこと嫌いだったんですよね。あの自信満々な態度が傲岸不遜に見えるし、余裕綽々っていう感じが鼻につくし、無駄におでこが広いし・・・」

 

 「最後のは別に良くない!?」

 

 「『坊主憎けりゃおでこまで憎い』って言うでしょ」

 

 「『おでこ』じゃなくて『袈裟』だよねぇ!?」

 

 「まぁそんなわけで、本当に気に食わなかったんですよね。ツバサちゃんだけじゃなくて、英玲奈ちゃんのこともですけど」

 

 「あれ?優木あんじゅさんは?」

 

 「おっぱいが大きいので許しました」

 

 「判断基準そこ!?」

 

 まぁそれは冗談で、あんじゅちゃんのことも最初は気に食わなかった。

 

 ただあんじゅちゃんは大らかな性格だし、柔らかい雰囲気もあって三人の中で一番早く和解出来たのだ。

 

 「当時のA-RISEは、とにかく勝つことに拘っていたというか・・・『自分達なら勝てて当然だ』って思ってるような感じだったんですよ。それが他のスクールアイドル達を見下してるように見えて、俺はどうしても好きになれなかったんですよね」

 

 「へぇ・・・でも今は仲が良いんでしょ?よく仲良くなれたね?」

 

 「μ'sに負けてから、A-RISEも少し考え方が変わったみたいですよ。それに俺も、A-RISEのことを誤解してましたし」

 

 毎日のハードな練習に、ライブによって得た多くの経験、スクールアイドルの先駆者としての自負・・・

 

 決して他のスクールアイドルを見下していたわけではなく、『負けない』と思えるだけのものを積み重ねてきたという自覚があってこそのあの態度だった・・・

 

 それを知ってからはA-RISEへの印象も変わったし、三人と話をすることも増えて自然と仲良くなっていったのだ。

 

 「まぁSaint Snowに関しては、誤解してるとは思えませんけどね。ラブライブへの本気度は認めますけど、自惚れてるとしか思えません」

 

 「手厳しいねぇ・・・まぁ私も、Saint Snowの二人みたいには思えないけどさ」

 

 苦笑する果南さん。

 

 「何かあの二人、一年の頃の私みたいなんだよね。勝つことしか考えてなくて、グイグイ前に進もうとして・・・そのせいで、鞠莉に怪我させちゃってさ・・・」

 

 「果南・・・」

 

 表情を歪める鞠莉。やれやれ・・・

 

 「果南さん・・・おっぱい揉んで良いですか?」

 

 「嘘でしょ!?この流れで唐突なセクハラ発言!?」

 

 「さっき希ちゃんに揉まれてたし、俺も良いかなって」

 

 「良いわけあるかっ!」

 

 「そうよ天!果南のおっぱいは私のものなのよ!?」

 

 「鞠莉!?何言ってんの!?」

 

 「おっぱいなら私のを揉みなさい!好きにして良いから!」

 

 「マジで?じゃあ早速・・・」

 

 「ダメに決まってるでしょ!?」

 

 果南さんに止められてしまう。

 

 あぁ、二つのメロンが・・・

 

 「とまぁ、1%の冗談はさておき・・・」

 

 「99%は本気だったの!?」

 

 「人の話を聞きなさい」

 

 「むぐっ!?」

 

 目の前に座る果南さんの両頬を、両手でガシッと挟みこむ。

 

 「いつまでも過去の失敗を引きずってウジウジしないの。後悔したって過去はやり直せないし、自分の失敗した事実が消えることはないんですから」

 

 「天・・・」

 

 「それに果南さんが自分を責めることを、鞠莉は望んでないですよ。本当に鞠莉のことを想うなら、鞠莉に申し訳ないっていう気持ちがあるのなら・・・今の鞠莉を大切にしてあげて下さい」

 

 「鞠莉を、大切に・・・」

 

 「簡単な話じゃないですか・・・おっぱい揉ませれば良いんですから」

 

 「結局そこに辿り着くの!?」

 

 「あっ、何か足の古傷が痛んできたわ・・・果南のおっぱい揉んだら治るかも・・・」

 

 「嘘つけえええええっ!?」

 

 「何か俺も足が痛いな・・・果南さんのおっぱい揉んだら治るかも・・・」

 

 「天は関係ないよねぇ!?っていうか、二人ともおっぱい揉みたいだけでしょうが!」

 

 「「Of course!」」

 

 「英語でハモった!?」

 

 果南さんの怒涛のツッコミ。

 

 段々ツッコミのレベルが上がってる気がするな・・・

 

 「アハハ、やっぱり果南さんはそうじゃないと。俺は元気な果南さんが好きですよ」

 

 「っ・・・もう、サラッと恥ずかしいこと言うんだから・・・」

 

 「フフッ、それが天デース♪」

 

 「鞠莉、最近果南さん以上のハグ魔になってない?」

 

 笑いながら俺に抱きつく鞠莉の頭を、苦笑しながら優しく撫でる。

 

 本当に、昔と変わらず甘えん坊なんだから・・・

 

 「ねぇ天、前から言おうと思ってたんだけど・・・私も呼び捨てにしてくれない?」

 

 「え・・・?」

 

 「鞠莉のことは呼び捨てでタメ口なのに、私のことはさん付けで敬語じゃん?それがちょっと違和感あるっていうか・・・私も呼び捨てとタメ口の方が良いな」

 

 「・・・良いんですか?」

 

 「勿論」

 

 頷く果南さん。

 

 本人にこう言われたら、断るのも野暮だよな・・・

 

 「・・・分かった。よろしく、果南」

 

 「っ・・・まだちょっと恥ずかしいけど、悪くないかも・・・」

 

 照れたようにはにかむ果南。

 

 そんな様子を見て、鞠莉が膨れっ面になっていた。

 

 「もうっ!果南まで呼び捨てにするなんてっ!」

 

 「ほれほれ~♪」

 

 「あ~ん♡」

 

 「・・・鞠莉が完全に転がされてる」

 

 呆れている果南。

 

 幼馴染がチョロすぎる件について。

 

 「アハハ、まぁそれはさておき・・・皆よく寝てるねぇ」

 

 スヤスヤ眠る他のメンバー達を見て、思わず苦笑してしまう。

 

 壁にもたれかかって眠るダイヤさんと、その肩にもたれかかって眠るルビィ。

 

 その二人の対面の席では、花丸と善子が寄り添い合って眠っていた。

 

 別の席では曜と梨子が、こちらも寄り添い合って眠っている。

 

 そしてその対面の席に座る千歌さんも・・・

 

 「あ、千歌さんは起きてるみたい・・・」

 

 「ホントだ・・・難しい顔して窓の外眺めてるね・・・」

 

 「何か考え事かしら?」

 

 ひそひそと話し合う俺達。

 

 現に千歌さんは真剣な表情をしており、窓の外を眺めながら物思いに耽っているようだった。

 

 「・・・多分、まだ考えてるんじゃないかな。μ'sとAqoursの違いを」

 

 「最後にヒントもらってたもんね・・・っていうか、天は答えを知ってるの?」

 

 「勿論。これでも両方のグループのマネージャーだからね」

 

 笑う俺。

 

 「とはいえ、自分達で気付かないと意味が無いから。教えるつもりはないよ」

 

 「むぅ、天のケチ!」

 

 「鞠莉だって内浦の魅力について、千歌さん達に教えなかったでしょ」

 

 「そ、それは千歌っちが断ったから!」

 

 そんなやり取りをしているうちに、電車が次の駅に止まった。

 

 この駅って・・・

 

 「・・・懐かしいな」

 

 独り言を呟く。

 

 思い出すのは五年前・・・μ'sが解散を決めた、あの日のことだ。

 

 あの日、この駅のプラットホームで俺達は・・・

 

 

 

 

 

 『全部受け止めてあげるから、今は思いっきり泣きなさい』

 

 

 

 

 

 「っ・・・」

 

 絵里姉の言葉を思い出し、涙ぐみそうになってしまう。

 

 感傷的な気分から何とか抜け出そうと、窓の外に目をやった時だった。

 

 「っ!?」

 

 窓の外に広がっている、夕陽色に染まった海・・・

 

 その海の砂浜に、一人の女性が佇んでいるのが見えた。

 

 遠目に見えるだけだし、海を眺めているので後姿しか見えない。

 

 それでも、俺には確信があった。

 

 あの人は・・・

 

 「天?」

 

 俺の様子に気付いたのか、首を傾げている果南。

 

 俺は勢いよく立ち上がると、急いで電車のドアへと向かった。

 

 「ちょ、天!?」

 

 「どうしたの!?」

 

 「えっ、天くん!?」

 

 果南と鞠莉の声に気付いたのか、千歌さんがこちらを見て驚いている。

 

 眠っていた他の皆も起き出したようだ。

 

 「ゴメンっ!俺はちょっと寄り道して帰るからっ!皆は先に帰っててっ!」

 

 それだけ言い残して電車を降りた俺は、プラットホームを全力で駆けるのだった。




どうも〜、ムッティです。

私はアンチSaint Snowではありません(唐突)

いや、今のところSaint Snowがだいぶ不遇な扱いを受けているので・・・

いずれ天とはちゃんと和解させます。

そしてサラッと天に呼び捨て&タメ口を要求する果南ちゃん(゜ロ゜)

これで残りは、千歌ちゃんとダイヤさんの二人ですか・・・

いずれは皆呼び捨て&タメ口にするつもりですが、どのタイミングになるかはお楽しみということで(・ω・)ノ

さてさて、最後に天が見た女性とは一体・・・

次回をお楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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