絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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絶賛『鬼滅の刃』にハマってます。

こんなに面白い作品なのに、何で今まで読んでこなかったんだろう(´・ω・`)

あともう少しで原作が読み終わるので、そしたらアニメを観ようと思います。


目の前に僕らの道がある。

 電車を降りて駅を出た俺は、窓から見えた砂浜へとやって来ていた。

 

 そこにはまだ、あの女性が佇んでいた。

 

 オレンジブラウンのロングヘアを風に靡かせ、夕陽に染まった海を眺めている。

 

 やっぱり・・・

 

 「・・・懐かしいよね、この場所」

 

 「っ!?」

 

 ビクッとしてこちらを振り返る女性。

 

 その表情が驚愕に染まる。

 

 「えぇっ!?天くん!?」

 

 「久しぶり・・・穂乃果ちゃん」

 

 そう、この女性こそ高坂穂乃果ちゃん・・・μ'sのリーダーである。

 

 「な、何でここにいるの!?」

 

 「実はここ何日か、東京に戻ってたんだよ。今日内浦に帰るんだけど、途中で穂乃果ちゃんを見かけたから挨拶しとこうと思って」

 

 「東京に戻ってたの!?」

 

 「うん。穂乃果ちゃん以外の皆と会ってたよ」

 

 「ずるいよ!?前もって言ってくれれば、私だって東京に残ってたのに!」

 

 「アハハ、ゴメンゴメン。それにしても・・・生きてたんだね」

 

 「何その驚いた顔!?そりゃ生きてるよ!?」

 

 「いや、一人で旅行に行ったっていうからさぁ・・・もう帰って来ないと思ってたよ」

 

 「何で!?私そんなに信用されて無いの!?」

 

 「五年前、ニューヨーク、迷子」

 

 「その節は大変申し訳ございませんでしたあああああっ!」

 

 全力で土下座する穂乃果ちゃん。

 

 いやぁ、あの時は大変だったなぁ・・・

 

 「ん?天くん、今『皆と会ってた』って・・・ひょっとして、絵里ちゃんも?」

 

 「あぁ、うん・・・無事に仲直り出来たよ」

 

 「ホントに!?良かったぁ!」

 

 ホッとした様子の穂乃果ちゃん。

 

 俺と絵里姉が喧嘩した時、誰よりも心配してくれてたもんな・・・

 

 「色々心配かけちゃってゴメンね」

 

 「ううん、仲直り出来たなら良いの」

 

 そう言って微笑む穂乃果ちゃん。

 

 この五年の成長に加え、サイドテールにしていた髪を下ろした穂乃果ちゃんは・・・グッと大人っぽくなっていた。

 

 微笑んだ表情がとても綺麗で、思わずドキッとしてしまう。

 

 「天くん?どうしたの?」

 

 「いや、何と言うか・・・成長したね、穂乃果ちゃん」

 

 「年下に言われるセリフじゃなくない!?」

 

 穂乃果ちゃんのツッコミ。

 

 いや、まぁそうなんだけども。

 

 「ところで穂乃果ちゃん・・・どうしてここに?」

 

 「帰る途中で、何となくここの景色を見たくなって・・・寄り道しちゃった」

 

 苦笑しつつ、再び海へと視線を向ける穂乃果ちゃん。

 

 俺達にとって、ここは忘れられない場所だった。

 

 何故なら・・・

 

 「・・・μ'sの解散を決めた場所、だもんね」

 

 「・・・うん」

 

 五年前、μ'sは岐路に立たされていた。

 

 絵里姉・希ちゃん・にこちゃんの卒業を機に解散するのか、それとも残りのメンバーで続けていくのか・・・

 

 三年生三人は、次の年も学校に残る俺達に選択を委ねてくれた。

 

 穂乃果ちゃん・ことりちゃん・海未ちゃん・真姫ちゃん・凛ちゃん・花陽ちゃんは熟考し、全員が同じ答えを出した。

 

 すなわち、『μ'sを解散する』という答えを・・・

 

 「あの時、天くんは一切口を出さなかったよね。天くんもμ'sのメンバーなんだし、天くんの答えも聞きたかったのに」

 

 「俺の答えなら、あの時言ったでしょ」

 

 溜め息をつく俺。

 

 「『俺は皆の意見に従う』って。こういうのは、実際にステージに立つ皆の気持ちが尊重されるべきだと思ったから」

 

 「・・・正直な話、天くんはどうしたかったの??μ'sを続けたかった?」

 

 「いや、それを今言っても・・・」

 

 「知りたいの。お願い」

 

 真っ直ぐな目で俺を見つめる穂乃果ちゃん。

 

 これは言い逃れ出来ないな・・・

 

 「・・・考えてなかった、っていうのが正直なところかな」

 

 「え・・・?」

 

 意味が分からない、といった様子の穂乃果ちゃん。

 

 「ど、どういうこと・・・?」

 

 「自分がどうしたいのかを考える前に・・・分かっちゃったから」

 

 海を眺める俺。

 

 「きっと皆は・・・解散を選ぶだろうなって」

 

 「っ!?」

 

 息を呑む穂乃果ちゃん。

 

 「『誰か一人でも欠けたら、それはもうμ'sじゃない』・・・きっと皆、そう言うんだろうなって」

 

 「ど、どうして・・・」

 

 「これでもマネージャーだから。それぐらい分かるよ」

 

 苦笑する俺。

 

 「それに・・・俺もそう思ったから。だからあの時、何も言わなかったんだよ」

 

 それと同時に、心に決めたことがある。

 

 μ'sが解散するというなら・・・俺はもう、スクールアイドルのマネージャーはやらない。

 

 最後までμ'sの・・・皆のマネージャーでいよう。

 

 あの時、自分の中でそう決めたのだ。

 

 「・・・そのはずだったんだけどなぁ」

 

 鞠莉に脅されてAqoursのマネージャーをやることになり、今は自分の意思でAqoursのマネージャーになっている。

 

 五年前の俺が聞いたら、何と言うことやら・・・

 

 「穂乃果ちゃん・・・人生っていうのは、何が起きるか分からないものなんだよ」

 

 「急にどうしたの!?」

 

 「人生を舐めてそうな穂乃果ちゃんに、教えてあげようと思って」

 

 「舐めてないよ!?天くんは私を何だと思ってるの!?」

 

 「アホの子」

 

 「『天●の子』みたいな言い方しないでくれる!?」

 

 「冗談だって。アホ乃果ちゃん」

 

 「喧嘩売ってる!?」

 

 「お~い!天く~ん!」

 

 ギャーギャー騒いでいる穂乃果ちゃんを宥めていると、千歌さんがこちらへ向かって走ってきた。

 

 他の皆も後ろに続いている。

 

 「えっ、何してんの?」

 

 「こっちのセリフだわっ!」

 

 善子のツッコミ。

 

 「何で急に電車を降りたのよ!?ビックリするでしょうが!」

 

 「そうずら!善子ちゃんは半泣きだったずら!」

 

 「『天、どこ行っちゃったのかなぁ・・・』って涙目で心配してたんだよ!?」

 

 「ずらまルビィ!?余計なことは言うの止めなさいよ!?」

 

 「アハハ、ゴメンゴメン」

 

 苦笑しながら善子の頭を撫でる。

 

 「もう、善子ってば可愛いんだから」

 

 「か、可愛いとか言うなぁっ!」

 

 「そうよ天!そういうのはマリーに言いなさい!」

 

 「おっぱい揉んで良いなら言うわ」

 

 「OK!好きなだけ揉みしだきなさい!」

 

 「だからダメだってば!?」

 

 「ぶっぶー!ですわ!」

 

 果南とダイヤさんに止められてしまう。

 

 チッ・・・

 

 「全く、天くんってホントにエッチだよね・・・」

 

 「露出狂に言われたくないわ」

 

 「ちょ、まだそれ引きずるの!?違うって言ってるでしょうが!」

 

 「朝の学校で水色の下着を晒してたくせに」

 

 「止めてええええええええええっ!?」

 

 「あぁっ!?曜ちゃんが海に飛び込もうとしてる!?」

 

 「落ち着いて曜ちゃん!?」

 

 必死に曜を止める梨子と千歌さん。

 

 「やれやれ、騒がしい人達だなぁ」

 

 「「「「「「「「「天(くん)(さん)のせいでしょうが!」」」」」」」」」

 

 「アハハ、皆仲良しだねぇ」

 

 楽しそうに笑っている穂乃果ちゃん。

 

 そんな穂乃果ちゃんを見て、千歌さんがピシッと固まってしまう。

 

 「も、もしかして・・・高坂穂乃果さん!?」

 

 「そうだよ!初めまして!」

 

 「「「「「「「「えぇっ!?」」」」」」」」

 

 驚いている皆。

 

 いやいやいや・・・

 

 「気付いてなかったの?」

 

 「だ、だって雰囲気が違うからっ!」

 

 「ま、まさかでしたわ・・・!」

 

 緊張で震えているルビィとダイヤさん。

 

 まぁ確かに、五年前の姿しか知らないんじゃ無理もないか・・・

 

 μ'sの中で一番見た目が変わってるの、穂乃果ちゃんだもんなぁ・・・

 

 「・・・この子達がAqoursなんだね」

 

 微笑む穂乃果ちゃん。

 

 「何だか凄くキラキラしてる・・・天くんが惹かれるのも、分かる気がするよ」

 

 「・・・そうでしょ?」

 

 微笑み返す俺。

 

 「最高の仲間達だって・・・そう思ってるよ」

 

 「・・・そっか」

 

 穂乃果ちゃんはそう言って笑うと、真っ直ぐに俺の目を見つめてきた。

 

 「ねぇ、天くん・・・今の天くんは、μ'sの十人目?それとも、Aqoursの十人目?」

 

 試すような穂乃果ちゃんの問いかけ。

 

 他の皆が心配そうに俺を見ているが・・・

 

 「そんなの・・・両方に決まってるでしょ」

 

 俺の答えは決まっていた。

 

 「俺はこれからもずっと、μ'sの一員だよ。それと同時に、Aqoursの一員でもある。μ'sの皆のことも、Aqoursの皆のことも・・・俺は十人目として、全力で支えるよ」

 

 「それで良し!」

 

 穂乃果ちゃんは満足気な笑みを浮かべると、皆のことを見回した。

 

 「スクールアイドル、全力で楽しんでね!応援してるから!」

 

 「「「「「「「「「は、はいっ!」」」」」」」」」

 

 緊張した面持ちで返事をする皆。

 

 その反応に穂乃果ちゃんはクスクス笑うと、心を落ち着かせるかのように深呼吸をした。

 

 そして・・・

 

 「だって~可能性~感じたんだ~♪そうだ~スス~メ~♪」

 

 「っ・・・」

 

 この歌って・・・

 

 「後悔~したくない~目の前に~♪」

 

 「・・・僕らの~道がある~♪」

 

 穂乃果ちゃんに続き、最後の歌詞を口ずさむ。

 

 『ススメ→トゥモロウ』か・・・

 

 「天くんは天くんの進みたい道を、全力で駆け抜けたら良いよ」

 

 笑みを浮かべ、拳を突き出す穂乃果ちゃん。

 

 「私はそれを、全力で応援してるから」

 

 「ありがとう」

 

 穂乃果ちゃんと拳を合わせる俺。

 

 「・・・頑張ってね、マネージャー」

 

 「・・・頑張るよ、リーダー」

 

 それだけ言葉を交わし、穂乃果ちゃんはその場を去って行った。

 

 全く、こういう時だけカッコ良いんだから・・・

 

 「素敵な歌声だったずら・・・」

 

 「えぇ、本当に・・・」

 

 うっとりしている花丸と梨子。

 

 「あれがμ'sのリーダー・・・」

 

 「何と言うか、オーラがあったね・・・」

 

 呆然としている曜と果南。

 

 「・・・どうしてあの人がリーダーなのか、分かる気がするわ」

 

 「・・・綺羅ツバサもそうだったけど、カリスマ性を感じるわね」

 

 感嘆の声を上げる善子と鞠莉。

 

 「ほ、穂乃果さんに会えるなんて・・・!」

 

 「我が生涯に、一片の悔い無し・・・!」

 

 感極まっているルビィとダイヤさん。

 

 そんな中千歌さんは、去っていく穂乃果ちゃんの背中を真剣に見つめていた。

 

 「・・・良かったんですか?色々聞きたいこともあったでしょうに」

 

 「・・・良いんだよ」

 

 静かに答える千歌さん。

 

 「それに、何となく分かったから・・・μ'sの、何が凄かったのか」

 

 吹っ切れたような表情の千歌さん。

 

 「多分、比べたらダメなんだよ。追いかけちゃダメなんだよ。μ'sも、ラブライブも、輝きも・・・」

 

 「・・・私もそう思う」

 

 静かに頷く梨子。

 

 「μ'sの人達に会って、当時の話を聞かせてもらって・・・それで思ったの。一番になりたいとか、誰かに勝ちたいとか・・・μ'sって、そうじゃなかったんじゃないかなって」

 

 「・・・うん」

 

 微笑む千歌さん。

 

 「μ'sの凄いところって・・・何も無いところを、何も無い場所を、思いっきり走ったことだと思う。皆の夢を叶える為に、自由に真っ直ぐに・・・だから飛べたんだ!」

 

 千歌さんはそう言うと、俺達の方を振り向いた。

 

 「μ'sみたいに輝くってことは、μ'sの背中を追いかけることじゃない・・・自由に走るってことなんじゃないかな。全身全霊、何にも囚われずに、自分達の気持ちに従って!」

 

 「自由に・・・!」

 

 「Run and run・・・!」

 

 「自分達で決めて、自分達の足で・・・!」

 

 やる気に満ち溢れている果南・鞠莉・ダイヤさん。

 

 「何かワクワクするずら!」

 

 「フフッ、そうだね!」

 

 「全速前進であります!」

 

 顔を輝かせている花丸・ルビィ・曜。

 

 「自由に走ったらバラバラになっちゃわない?」

 

 「どこに向かって走るの?」

 

 千歌さんに尋ねる善子と梨子。

 

 その問いに、千歌さんは迷わずに答えた。

 

 「私は・・・0を1にしたい。あの時のままで・・・終わりたくない」

 

 「千歌さん・・・」

 

 あの日、俺が千歌さんに言った言葉・・・

 

 あの時の悔しさを、千歌さんは未だに忘れてはいないんだろう。

 

 そしてそれは・・・千歌さんだけじゃない。

 

 「ルビィも!」

 

 「マルもずら!」

 

 「あの時の悔しさ、晴らしてやろうじゃない!」

 

 「えぇ、やりましょう!」

 

 「何か燃えてきた!」

 

 ルビィ、花丸、善子、梨子、曜・・・

 

 千歌さんと共に悔しさを味わったメンバーが、やってやろうと息巻いている。

 

 「これで本当に一つにまとまれそうな気がするね!」

 

 「フフッ、遅すぎですわ♪」

 

 「皆シャイなんだから♡」

 

 果南、ダイヤさん、鞠莉の三年生組も気合い十分だ。

 

 皆の言葉を聞いて笑みを浮かべた千歌さんは、俺へと視線を向けた。

 

 「これが、私達の出した答え・・・どうかな?」

 

 「満点です」

 

 微笑む俺。

 

 「これで『μ'sを追い抜く』とか言ってたら、東京湾に沈めてましたね」

 

 「怖っ!?そんなことするつもりだったの!?」

 

 「いやぁ、そんなことにならなくて良かったぁ・・・チッ」

 

 「舌打ち!?今舌打ちしたよねぇ!?」

 

 ギャーギャー喚く千歌さん。

 

 相変わらずうるさいなぁ・・・

 

 「フフッ、それより天くん・・・さっきの言葉は本当?」

 

 悪い笑みを浮かべながら、俺の腕に抱きついてくる梨子。

 

 「Aqoursの十人目になってくれるって、私には聞こえたんだけど?」

 

 「っ・・・いや、それは・・・」

 

 「マリーの耳にもハッキリ届いたわよ」

 

 ニヤニヤしながら、もう片方の腕に抱きついてくる鞠莉。

 

 「どうなのかしら?天?」

 

 「ぐっ・・・」

 

 言葉に詰まる俺。

 

 他の皆も、ニヤニヤしながら俺のことを見ている。

 

 あぁもう、コイツらときたら・・・!

 

 「何!?俺が十人目になっちゃ悪いの!?」

 

 「フフッ、誰もそんなこと言ってないでしょ?」

 

 優しく俺の頭を撫でてくれる千歌さん。

 

 「ありがとう、天くん・・・ようこそ、Aqoursへ」

 

 「やったあああああっ!」

 

 「天くんがAqoursに入ったあああああっ!」

 

 「ずらあああああっ!」

 

 歓声を上げる曜、ルビィ、花丸。

 

 「全く、はしゃいじゃって・・・ぐすっ」

 

 「あれ?善子ちゃん泣いてる?」

 

 「ヨハネよっ!泣いてないわよゴリラっ!」

 

 「ゴリラじゃないもん!果南だもん!」

 

 「はいはい、落ち着いて下さいな」

 

 「「前髪パッツン堅物ですわ女は黙ってて!」」

 

 「戦争ですわああああああああああっ!」

 

 ギャーギャー言い合っている善子、果南、ダイヤさん。

 

 あの人達何してんだろ・・・

 

 「・・・ありがとう、天」

 

 小さな声で呟く鞠莉。肩がわずかに震えている。

 

 「本当に・・・ありがとう・・・!」

 

 「・・・泣かないの」

 

 鞠莉にギュっと身体を寄せる俺。

 

 多分鞠莉は、今でも自分のしたことを後悔してるんだろうな・・・

 

 「これからも一緒に頑張ろう。ね?」

 

 「っ・・・うん!」

 

 涙を拭い、笑顔を見せる鞠莉。

 

 と、もう片方の腕を抱き締める力が強くなった。

 

 振り向くと、梨子が頬を膨らませてこっちを見ている。

 

 「もうっ!イチャイチャするの禁止っ!」

 

 「いや、何で怒ってんの?」

 

 「フフッ・・・やっぱりそういうことなのね、梨子」

 

 笑みを浮かべる鞠莉。

 

 あれ、何か笑顔が怖いような・・・

 

 「簡単には渡さないわよ・・・?」

 

 「上等・・・!」

 

 あれ、何かバチバチしてる?何で?

 

 「よーし!天くんも正式にAqoursに加入したことだし、円陣組もう!」

 

 声を上げる千歌さん。

 

 俺も梨子と鞠莉の間に入り、円陣に加わる。

 

 そしてそれぞれが手を重ねたところで・・・

 

 「あっ・・・ちょっと良いですか?」

 

 「ん?どうしたの?」

 

 俺の制止に首を傾げる千歌さん。

 

 俺の頭の中には、あるイメージが浮かんでいた。

 

 「指、こうしません?」

 

 右手の親指と人差し指に力を入れ、Lの逆のような形を作る。

 

 「これを皆で繋げば、0の形になるでしょ?そして手を上に上げる時は、人差し指を上にして・・・」

 

 「あっ!?」

 

 「0から1へ!?」

 

 曜と梨子が気付き、驚きの声を上げる。

 

 0から1へ・・・そこへ向かって走ろうとしている俺達にとって、これはピッタリだと思う。

 

 「天くんナイスアイディア!それでいこう!」

 

 笑みを浮かべる千歌さん。

 

 俺達はそれぞれの指を繋ぎ、0の形を作った。

 

 「0から1へ・・・今、全力で輝こう!」

 

 千歌さんが声を張り上げる。

 

 そして・・・

 

 「Aqours~!」

 

 「「「「「「「「「「サ~ンシャイ~ン!」」」」」」」」」」

 

 天高く、皆で人差し指を突き上げる。

 

 

 

 

 

 ここはμ'sが解散することを決めた場所・・・

 

 

 

 

 

 だからこそ、どうしても切ない気持ちになってしまっていた。

 

 

 

 

 

 でも今日、新しい思い出が出来た。

 

 

 

 

 

 俺がAqoursに入った場所・・・

 

 

 

 

 

 皆が一つになれた場所・・・

 

 

 

 

 

 自分達の、進むべき道を決めた場所・・・

 

 

 

 

 

 俺にとって、この場所が特別である理由が増えた。

 

 

 

 

 

 悲しくて寂しい理由だけではなく、前向きな嬉しい理由が・・・

 

 

 

 

 

 「よし、じゃあ帰ろう!内浦に!」

 

 踵を返し、歩き出す千歌さん。

 

 小さいようでいて、皆を引っ張る大きな背中・・・

 

 その背中が、穂乃果ちゃんの影と重なって見えた俺なのだった。




どうも〜、ムッティです。

今回は遂にμ'sのリーダー、高坂穂乃果ちゃんが登場しました!

外見のイメージ的には、映画で登場した『未来の穂乃果ちゃんでは?』と言われていた女性に近い感じです。

あれは本当に未来の穂乃果ちゃんだったのかな?

それと今回の話で、アニメ一期第十二話の内容は終了となります。

いやぁ・・・長かった(´・ω・`)

絵里ちゃんとの仲直りとか色々描いた結果、メッチャ時間かかった・・・

まだ第十三話があるのに・・・

6月に入ったし、希ちゃんと鞠莉ちゃんの誕生日回も描かなきゃ・・・

・・・が、頑張りまゆゆ(震え声)

あ、まゆゆといえば・・・



渡辺麻友さん、長い間お疲れ様でした。

突然の芸能界引退ということでビックリしましたが、体調面で問題があったんですね・・・

これまで突っ走ってきた分、今はお身体を大切になさって下さい。

これからの人生のご多幸をお祈りしています。



という個人的な思いを述べさせていただいたところで・・・

恒例の支援絵紹介のコーナー!

ことりちゃん大好きさんが、新しい支援絵を送って下さいました!

それがこちら!



【挿絵表示】




のぞえりだあああああっ!!!!!

ヤバい!可愛すぎる!

やっぱりのぞえりは至高です( ̄ー ̄)

そして今回、遂にリーダーの穂乃果ちゃんが登場したということで・・・

以前いただきました、こちらの支援絵もご紹介します!




【挿絵表示】




μ'sだよ!全員集合!

いや、これはヤバい!

μ's全員いるとか・・・ヤバい!(語彙力)

ことりちゃん大好きさん、本当にありがとうございました!

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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