絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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善子ちゃん、誕生日おめでとう!

またしても0時投稿出来なかった・・・

まぁ何とか誕生日には間に合ったぜ(´・ω・`)

それではいってみよー!


【津島善子】一番の味方

 「善子ちゃん、遅いずらねぇ・・・」

 

 教室の時計を眺め、心配そうな表情を浮かべる花丸。

 

 朝のホームルームがあと三分で始まるというのに、善子は登校していなかった。

 

 「善子ちゃん、今日誕生日だもんね・・・早くお祝いしてあげたいなぁ・・・」

 

 呟くルビィ。

 

 そう、本日七月十三日は善子の誕生日なのだ。

 

 善子を祝福すべく、俺と花丸とルビィは少し前からプレゼント等の準備を進めていた。

 

 「でも珍しいよね。善子って厨二病の割にクソがつくほど真面目だから、いつも早めに登校してきてるのに」

 

 「褒めてるのか貶してるのか分からないずら」

 

 呆れている花丸。

 

 「でも、確かに珍しいずらね・・・いつも通りの運の悪さで、登校中に事故に遭ったのかもしれないずら」

 

 「花丸ちゃん、サラッと縁起でも無いこと言うの止めよう?」

 

 「誕生日が命日になるとは・・・合掌」

 

 「天くんまで何てこと言うの!?」

 

 ルビィのツッコミ。

 

 その時、朝のホームルーム開始を告げるチャイムが鳴った。

 

 「は~い、席について下さいね~」

 

 「必殺!“マシュマロ星”!」

 

 「ぎゃあっ!?」

 

 教室に入って来た麻衣先生に、パチンコでマシュマロを飛ばす。

 

 チッ、外したか・・・

 

 「ちょ、天くん!?いきなり何するの!?」

 

 「大した理由はありません。麻衣先生を始末したいだけです」

 

 「まさかの処刑宣告!?私が何をしたって言うの!?」

 

 「いえ、このままだと善子が遅刻扱いになりそうなので」

 

 「あぁ、善子ちゃんなら今日は欠席よ?風邪を引いちゃったんですって」

 

 「そっちかああああああああああっ!?」

 

 「誕生日に風邪を引いちゃうなんて・・・」

 

 「相変わらず不運過ぎるずら・・・」

 

 頭を抱える俺・ルビィ・花丸なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《善子視点》

 

 「ゴホッ・・・ゴホッ・・・」

 

 ベッドに横たわりながら、咳き込む私。

 

 「うぅ・・・不幸だわ・・・」

 

 まさか風邪を引いてしまうなんて・・・

 

 しかも誕生日に・・・

 

 「くっ、無理してでも学校に行くべきだったかしら・・・」

 

 本当は体調不良を隠して登校しようとしたのだが、お母さんにバレて首に一撃を食らい気絶。

 

 目が覚めたらベッドの中だったのである。

 

 あんな簡単に人を気絶させるなんて、我が母親ながら恐ろしいわね・・・

 

 「・・・寂しいなぁ」

 

 思わず本音が漏れる。

 

 本当なら、Aqoursの皆やクラスメイト達が祝福してくれただろうに・・・

 

 それに・・・

 

 「・・・天」

 

 思い浮かぶのは、いつもこんな私の味方でいてくれる人の顔・・・

 

 いつも私を支えてくれる人の顔だった。

 

 「・・・会いたいなぁ」

 

 体調が悪いせいか、いつになく気弱になってしまっている自分がいる。

 

 全く、情けないわね私・・・

 

 「とりあえず寝ないと・・・早く風邪を治さなくちゃ」

 

 「そうそう、睡眠は大事だからね」

 

 「分かってるわよ。でも眠れそうにないのよね・・・」

 

 「ちょっと待ってて。今クロロホルム持って来る」

 

 「物騒すぎるわ!何考えてん・・・のよ・・・」

 

 勢いよく振り返った私は、思わず固まってしまった。

 

 そこにいたのは・・・

 

 「お邪魔してま~す」

 

 笑顔で立っている天だった。

 

 「そ、天あああああっ!?」

 

 「おはよう、善子」

 

 「あ、おはよう・・・じゃなくて!何でアンタがここにいんのよ!?」

 

 「お見舞いに来たんだよ。これ、果物の詰め合わせね」

 

 「あっ、ありがとう・・・じゃなくて!学校はどうしたのよ!?」

 

 「『ルフィの兄』った」

 

 「普通に『サボ』ったって言いなさいよ!?」

 

 「あぁ、ゴメンゴメン・・・これだと『エース』ったにもなっちゃうよね」

 

 「謝るとこが違うわ!」

 

 「大丈夫だって。麻衣先生にはちゃんと『サボります』って言ってきたから」

 

 「どこが大丈夫なの!?」

 

 「だって麻衣先生が『了解!後は私が何とかしておくわ!』って言ってたし」

 

 「バカなのあの人!?」

 

 思わず頭を抱えてしまう。

 

 教師のくせに何考えてるのよ・・・

 

 「ゴホッ!ゴホッ!」

 

 「ほらほら、無理しないの」

 

 「誰のせいよ!?」

 

 天はツッコミをスルーし、私の身体を支えてベッドに寝かせてくれた。

 

 「・・・私なら大丈夫だから、早く帰りなさい。風邪がうつるわよ」

 

 「善子は相変わらず優しいよね」

 

 笑いながら私の頭を撫でる天。

 

 「心配してくれてありがと。俺が善子の側にいたいだけだから、気にしないで」

 

 「っ・・・」

 

 顔が赤くなるのを感じる。

 

 何でそういうセリフをサラッと言えるのよ・・・

 

 「あと善恵さんから、『ちょっと出掛けてくるから善子の看病よろしく!』って言われてるんだよね」

 

 「何してんのあの人!?」

 

 恐らく天がお見舞いに来たから、『二人きりにしてあげなくちゃ♪』とか余計な気を回したんだろう。

 

 こんな無防備な状態の娘を、同い年の男と二人きりにするなんて・・・

 

 「そういうわけだから、何かあったら遠慮なく言ってね」

 

 そんなことを欠片も意識してなさそうな天に、少しムッとしてしまう。

 

 「・・・じゃあ、お願いしようかしら」

 

 天に意識させるべく、私はあることをお願いするのだった。

 

 「少し汗かいちゃったから・・・私の身体、拭いてくれない?」

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「い、良いわよ・・・」

 

 善子に後ろを向いているように言われた俺は、その言葉で再び善子の方を振り向く。

 

 上半身裸になった善子が、ベッドにうつ伏せになって寝ていた。

 

 「・・・露出狂二号の誕生か」

 

 「誰が露出狂よ!?」

 

 「同級生の男子の前で上半身裸になってる時点で、何も言い返せないでしょ」

 

 「うぐっ・・・」

 

 言葉に詰まる善子。

 

 やれやれ・・・

 

 「それじゃ、身体拭いてくね」

 

 「お、お願いします・・・」

 

 耳まで真っ赤になっている善子をよそに、お湯に浸したタオルを絞る。

 

 っていうか、普通に横乳とか見えてるんだけど・・・

 

 善子は巨乳ではないけど、そこそこのモノを持ってるんだよなぁ・・・

 

 そんなことを思いつつ、タオルで善子の背中を拭いていく。

 

 「んっ・・・」

 

 くすぐったそうな声を上げる善子。

 

 善子の背中は白くて綺麗で、とてもスベスベしていた。

 

 自分のことを堕天使とか言ってても、やっぱり女の子なんだなぁ・・・

 

 「どう?かゆいところとか無い?」

 

 「大丈夫・・・思ったより気持ち良いわ、コレ・・・」

 

 脱力している善子。

 

 ゆっくり丁寧に拭いていき、やがて背中全体を拭き終わった。

 

 「終わったよ。次は前を拭くから仰向けになってね」

 

 「オッケー・・・ってアホかっ!何ナチュラルに誘導してんのよ!?」

 

 「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

 

 「どこの錬金術師よ!?」

 

 ツッコミを入れながら、ガバッと身体を起こす善子。

 

 あっ・・・

 

 「ん?どうしたの?何で急に固まって・・・」

 

 そこまで言いかけたところで、善子も気付いたようだ。

 

 何も隠されてない善子の胸が、俺の目の前に曝け出されているということに。

 

 「っ・・・キャアアアアアアアアアアッ!?」

 

 善子の悲鳴が響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「よしよし、恥ずかしかったね」

 

 「誰のせいよ!?」

 

 「善子のせいでしょ」

 

 「うぅ・・・」

 

 俺に頭を撫でられつつ、布団にくるまって涙目になっている善子。

 

 俺に胸を見られたことが、相当恥ずかしかったらしい。

 

 「とりあえず言っておくね・・・ごちそう様でした」

 

 「何が!?」

 

 「まさか目の前で生乳を見られるとは・・・ありがたや・・・」

 

 「拝まないでくれる!?」

 

 「そこそこのモノをお持ちですね」

 

 「そこそこって何よ!?褒められてるの!?貶されてるの!?」

 

 「大きさなんて関係ないんだよ。大事なのは美しさなんだから」

 

 「おっぱい星人に言われても欠片も説得力ないわっ!」

 

 ゼェゼェ喘いでいる善子。

 

 ちょっとツッコミさせ過ぎたかな・・・

 

 「はいはい、とりあえず落ち着こうね」

 

 善子の背中を優しく擦る。

 

 「それだけ元気なら、風邪なんてすぐ治るって。善子がいないとつまんないし、早く元気になってね」

 

 「・・・うん」

 

 コクリと頷く善子。

 

 「ねぇ、天・・・何で学校をサボってまで、私のお見舞いに来てくれたの?」

 

 「・・・『私にそこまでの価値があるのか』って?」

 

 「っ・・・」

 

 どうやら自分に自信が無いところは変わっていないらしい。

 

 やれやれ・・・

 

 「・・・バーカ」

 

 そっと善子を抱き寄せる。

 

 「そこまでの価値があると思うから、わざわざ学校サボってまで会いに来てるんだよ。少しは察してよ」

 

 「天・・・」

 

 「俺にとっては学校の授業よりも、善子の方が大事なの。まぁこんなこと言うと、麻衣先生に怒られ・・・いや、あの人なら『キャーッ!天くんってば大胆♡』とか言いそう」

 

 「あぁ、言いそうね・・・」

 

 二人揃って苦笑してしまう。

 

 全く、良い担任に恵まれたもんだ・・・

 

 「あっ、そうだ」

 

 俺はあることを思い出し、鞄の中からある物を取り出す。

 

 「はいコレ、誕生日プレゼント」

 

 「えっ・・・用意してくれてたの・・・?」

 

 「当たり前でしょ」

 

 俺が苦笑しながら渡すと、善子がおずおずと受け取った。

 

 「・・・嬉しい」

 

 「いや、まだ開けてもいないじゃん」

 

 「中身がどうとかじゃなくて・・・天からもらえたことが嬉しいの」

 

 善子はそう言うと、いつになく柔らかな微笑みを浮かべた。

 

 「ありがとう、天」

 

 「っ・・・」

 

 いつもとは違う穏やかな笑みに、思わずドキッとしてしまう俺。

 

 善子って、こんな大人っぽい表情もするんだな・・・

 

 「天?顔が赤いけどどうしたの?」

 

 「な、何でもない・・・」

 

 「え、もしかして私の風邪がうつった!?」

 

 「あー・・・そうかもしれない」

 

 「ちょ、だから早く帰りなさいって言ったのに!熱あるんじゃないの!?」

 

 「ちょ、近い近い!?」

 

 おでこをくっつけてくる善子。

 

 どうしよう、ドキドキが止まらない・・・

 

 「あぁ、もうっ!」

 

 「ちょ、天!?何で急に抱きついてくるの!?」

 

 「何でも良いからっ!しばらくこのままでっ!」

 

 これ以上赤くなった顔を見られないよう、力強く善子を抱き締める俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《善子視点》

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 気持ち良さそうに眠っている天。

 

 やれやれ・・・

 

 「何でこの状態で寝ちゃうのかしら・・・」

 

 呆れる私。

 

 今の私は天に抱き締められた状態で、ベッドに横になっていた。

 

 要は二人で同じベッドに寝ている状態だ。

 

 しかも密着状態で。

 

 「・・・まぁ、良いか」

 

 こんな風に思えるのも、相手が天だからだろう。

 

 全く・・・

 

 「ホントに変わった男よね・・・私が惚れた男は」

 

 こんな私を受け入れてくれて、一番の味方になってくれた・・・

 

 そんな誰よりも頼りになる男を、私は好きになってしまったのだ。

 

 「クックックッ、このヨハネの心を奪うなんて・・・いけないリトルデーモンね」

 

 天の頭を優しく撫でる。

 

 目の前の存在が誰よりも愛おしくて、この温もりが何よりも心地良かった。

 

 「全く・・・責任は取ってもらうんだからね」

 

 思い返してみれば、天には恥ずかしい姿をたくさん見られている。

 

 情けないところもたくさん見せたし、さっきは胸まで見られたし・・・

 

 「・・・まぁ、天にだったら良いかな」

 

 そんな風に思えてしまうあたり、いかに天に惚れているかが分かる。

 

 どうやら私は、堕天使以上に天にゾッコンのようだ。

 

 「・・・何か、また眠くなってきちゃった」

 

 瞼が重く感じる。

 

 気持ち良さそうに眠る天に、影響されちゃったのかしら・・・

 

 「ちょうど良い抱き枕もあるし・・・もう一眠りしようかしら」

 

 天の背中に手を回し、抱きつきながら目を閉じる。

 

 「・・・お休みなさい、天」

 

 小さく呟き、意識を手放す。

 

 「・・・大好きよ」

 

 翌日、風邪が治った私は元気に学校に登校した。

 

 私の首からは、銀色のロケットペンダントが下げられていた。

 

 中には写真が入れられるようになっており、そこには・・・

 

 楽しそうに笑い合う、私と天のツーショット写真が入っていたのだった。




どうも〜、ムッティです。

今回は善子ちゃんの誕生日回でした!

書き終えてから気付きましたが、堕天使要素がほぼ無いっていうね・・・

ドンマイ!←

っていうか前回の鞠莉ちゃんの誕生日回から、ちょうど一ヶ月投稿が無いっていうね・・・

すいませんでした(土下座)

いやホント、最近やたら忙しいんですよ(言い訳)

暇な時を見つけて少しずつ書いてるんで、どうか気長にお待ちいただけると幸いです(>_<)

早くにこちゃんの誕生日回も書き始めねば・・・

それではまた次回!以上、ムッティでした!

ギランッ!

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