「ハラショー!ここが浦女なんだね!」
目をキラキラ輝かせている亜里姉。
俺と善子は絵里姉と亜里姉を連れ、学校へと戻って来ていた。
今はAqoursの皆と、図書室で休憩中である。
「うぅっ・・・まさかエリーチカのサインをいただける日が来るなんてっ・・・!」
「な、何も泣かなくても・・・」
絵里姉のサインが描かれた色紙を握り締め、号泣しているダイヤさん。
そんなダイヤさんを見て、絵里姉が若干引いていた。
「お姉ちゃん、東京で絵里さんのサインをもらわなかったことを凄く後悔してたんだ。『緊張し過ぎてお願いするのを忘れた』って」
「分かる!私も穂乃果さんのサインもらうの忘れて、あの後凄く後悔したもん!」
ルビィの説明に頷く千歌さん。
二人とも既に絵里姉のサインをもらっており、ダイヤさんと同じく色紙を大事そうに抱えていた。
「天くん、また穂乃果さんや他のμ'sの皆さんに会わせて!お願い!」
「えー、どうしようかなぁ・・・」
「天くん、お願いすルビィ!」
「オッケー、ルビィには会わせてあげるよ」
「やったぁ!」
「ちょっと!?何でルビィちゃんには甘いの!?」
「天使だからです」
「じゃあ女神の志満姉とデートさせてあげるから!」
「今すぐ全員内浦に呼びます」
「落ち着きなさい」
俺の頭に亜里姉のチョップが入った。
「そんなことしたら、迷惑がかかるでしょ?」
「そ、そうだよ天!皆さん忙しいだろうし、来てくれるわけ・・・」
「穂乃果さん達大学生組は夏休み中だから良いとして、にこさんと希さんは社会人なんだから。急に仕事を早退したら、職場の人達に迷惑がかかるでしょ?」
「そっちですか!?来ることを前提に話が進んでません!?」
「え、当たり前でしょ?」
果南のツッコミに、キョトンとした顔で首を傾げる亜里姉。
「あの天が呼んでるんだよ?講義中だろうが仕事中だろうが、飛んで駆けつけるに決まってるじゃない」
「ちょっと亜里沙、何を言ってるのよ」
「あっ、絵里さん・・・良かった、否定してくれr・・・」
「そんなの当たり前のこと、今さら言わなくても良いじゃない」
「まさかの全肯定だったあああああっ!?」
「果南うるさい。さっきから何をそんなにツッコミ入れてんの?」
「天のせいでしょうが!どんだけ愛されてんの!?」
「え、嫉妬してる?」
「違うわ!」
何かよく分からないが、果南がギャーギャー騒いでいた。
発情期ですかコノヤロー。
「っていうか、何で二人が内浦にいるの?」
「天が『遊びに来なよ』って言うから来ちゃった♡」
「お姉ちゃんが『天に会いに行く』って言うから、付き添いで来ちゃった♡」
「キモッ」
「「ちょっと!?」」
絵里姉と亜里姉のダブルツッコミ。
いい歳して♡マークとか・・・雪穂ちゃんが秋穂さんに辛辣だった理由が分かったわ。
「まぁ良いや・・・せっかく元スクールアイドルが二人いることだし、有効に利用させてもらおうかな」
「え、今この子『利用』って言った?実の姉を『利用する』って宣言した?」
「練習再開しましょう。都合の良い手駒が二つ増えたんで」
「今『手駒』って言ったわよねぇ!?さっきから扱いが酷くない!?」
「鞠莉、今すぐ絵里姉と亜里姉の練習着を用意して」
「OK!すぐに家の者に用意させるわ!」
「そこで小原家の力を使わないでくれる!?」
「エリーチカに練習を見てもらえる・・・フフッ・・・フフフッ・・・!」
「何か笑ってる子がいる!?怖いんだけど!?」
「千歌さん、曜、果南、そこの金髪ポニーテール連行して」
「「「アイアイサー!」」」
「ちょ、止め・・・キャアアアアアッ!?」
「ア、アハハ・・・」
連行されていく絵里姉を見て、亜里姉が苦笑している。
「全く、天ってば強引なんだから・・・」
「デスクワーク続きで身体も鈍ってただろうし、たまには運動させないとね」
肩をすくめる俺。
「とはいえ病み上がりだし、無茶させるつもりは無いよ。適度に運動させて、後は見学しててもらうから」
「ちゃんと考えてくれてたんだ?」
「当然でしょ。また倒れられたら困るからね」
溜め息をつく俺。
そんな俺を見て、亜里姉がニヤニヤしている。
「いやぁ、天がお姉ちゃん想いで嬉しいなぁ♪」
「亜里姉はずいぶん元気みたいだし、ハードなメニューでもこなせるよね?」
「えっ」
「花丸、ルビィ、善子、連行よろしく」
「「「アイアイサー!」」」
「いやああああああああああっ!?」
一年生三人組に連行されていく亜里姉。
これで良し、と。
「い、良いの・・・?」
一人残った梨子が、若干引きながらこっちを見ていた。
「良いの良いの。どうせウチに泊まるんだろうし、たっぷりコキ使わないと」
苦笑する俺。
「Aqoursにとっても良い機会でしょ?スクールアイドルの先輩二人に、練習を見てもらえるわけだし」
「それはまぁ、確かに・・・」
「それに・・・久しぶりに見てみたくて。二人のダンスを」
「フフッ・・・何だかんだ言って、天くんもお姉さん達のこと好きよね」
「・・・からかわないでよ」
クスクス笑う梨子に対し、気まずくなって顔を逸らす俺なのだった。
*****
「も、もうダメ・・・」
「あ、足が・・・」
ソファに突っ伏し、ピクピク震えている絵里姉と亜里姉。
練習も終わり、俺は二人を連れて家に帰って来ていた。
「・・・これが老いるってことなんだね」
「ちょっと!?お姉ちゃんはともかく、私はまだ二十歳だよ!?」
「『ともかく』って何よ!?私だってまだ二十二だからね!?」
「はいはい、体力の衰えた人達は黙っててね」
「「うぐっ・・・」」
言葉に詰まる二人。
やれやれ・・・
「まぁ、ダンスのキレに関しては健在だったけどね。千歌さん達にとっても良い刺激になっただろうし、良い練習になったんじゃないかな」
「そういえば、そろそろ地区予選が近いんだっけ?突破出来そう?」
「・・・ハッキリ言って、難しいだろうね」
「っ・・・」
俺の冷淡とも取れる発言に、亜里姉が息を呑む。
「ど、どうして・・・」
「一人一人のレベルは、最初の頃と比べたら格段に上がってるよ。過去にスクールアイドル経験のある三年生三人が入ったことで、グループとしての安定感も出てきた。それでも・・・決勝に進むには、まだ足りないかな」
「・・・そうね。私もそう思うわ」
絵里姉が静かに頷く。
「ラブライブも年々レベルが上がって、予備予選から実力のあるグループがひしめいてる状況よ。それを勝ち上がって地区予選に進んでくるグループは、当然かなりのレベルに達しているわ。今のAqoursが、他のレベルが高いグループに勝てるかどうか・・・」
「何しろ三年生が加入したのは、ここ一ヶ月の話だからね。今の体制になってまだ日が浅いし、グループとしてまだまだ熟してはいないから」
勿論、可能性が無いわけじゃない。
素晴らしいパフォーマンスを見せて、決勝に進む可能性だってある。
いつだってAqoursは、奇跡を起こしてきたのだから。
「皆が諦めないかぎり、俺も諦めずに皆を支えるよ。μ'sっていう諦めの悪い人達に感化されたせいで、俺も諦めが悪くなっちゃったから」
「天の諦めが悪いのは元々でしょうが!私達のせいにしないでくれる!?」
「ほら、そもそもリーダーが『諦める』っていうことを知らない人じゃん」
「それは否定出来ないけども!」
「俺の頭が固いのも、絵里姉のせいだからね」
「だから人のせいにしないで!?」
「私から言わせると、二人とも似た者同士だと思うけどなぁ」
「「アンタにだけは言われたくない」」
「何でそこだけハモるの!?」
亜里姉のツッコミ。
ふと三人で顔を見合わせ、思わず吹き出してしまう。
「フフッ・・・何か久しぶりね、この感じ」
「天が内浦に引っ越してから、こういうの無かったもんね」
「いっそ二人とも、内浦に引っ越してくれば?亜里姉が大学辞めれば済む話じゃん」
「軽い感じでとんでもないこと言うの止めてくれる!?辞めないからね!?」
「亜里沙・・・家族より大学を選ぶのね・・・」
「何でお姉ちゃんは本気にしてるの!?」
「【悲報】姉が家族を蔑ろにしている件について」
「炎上しそうな呟き止めて!?」
「アハハ、まぁ冗談はさておき・・・そろそろ寝ようか」
明日も朝から練習だし、早く休んでおかないとな・・・
「ねぇ、久しぶりに川の字に寝ない?」
「賛成!じゃあ真ん中は天ね!」
「いや、一番小さい亜里姉が真ん中で良いんじゃない?」
「くっ・・・身長を抜かしたからってそんな嫌味を・・・」
「・・・ハッ」
「腹立つ!この子腹立つ!」
「はいはい、いいから寝るわよ」
苦笑する絵里姉。
久しぶりに過ごす姉弟三人での時間に、居心地の良さを感じる俺なのだった。
どうも〜、ムッティです。
祝・三船栞子ちゃん虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会加入\(^o^)/
いやぁ、まさか栞子ちゃんが加入するとは・・・
しかも栞子ちゃんのソロ曲、メッチャ良い曲なんですよね。
スクスタでプレイしまくってます。
っていうか、栞子ちゃんのお姉さんの薫子さんメッチャ美人じゃない?
しかも声優は日笠陽子さん・・・
ラブライブあるあるですけど、脇役の声優さんメッチャ豪華ですよね。
流石はラブライブ\(^o^)/
早くニジガクのアニメ見たいなぁ・・・
さてさて、案の定絢瀬姉妹は天の家にお泊まりする模様・・・
絵里ちゃんや亜里沙ちゃんと川の字に寝たいだけの人生だった(´・ω・`)
ちなみに今は、アニメ一期第十三話の内容を書いているのですが・・・
すみません、アニメとはちょっと違う流れになるかと思います。
と言うのも、第十三話はちょっと賛否両論あったお話だったので・・・
自分も否定的なつもりはないんですが、ちょっと『ん?』と思うところもあり・・・
そんなわけで、ちょっと話の流れを変えようかと思います。
まぁ既によいつむトリオの登場を省いたので、『あれ?』と思った方もいらっしゃったのではないでしょうか。
例のくだりは丸々カットしましたので、悪しからず・・・
それではまた次回!以上、ムッティでした!