絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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本日3月1日は、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会・上原歩夢ちゃんの誕生日!

そんなわけで今回は、歩夢ちゃんの誕生日回をお送りします!

ちなみにこの回の天は歩夢ちゃんや侑ちゃんと幼馴染で、歩夢ちゃんと付き合っています。

学年は高校3年生で、歩夢ちゃん・侑ちゃん・愛ちゃん・せつ菜ちゃんと同級生です。

本来の3年生組である果林ちゃん・彼方ちゃん・エマちゃんは卒業して、現在は大学1年生という設定になっていますのでご了承下さい。

それではいってみよー!


【上原歩夢】夢に向かって歩く

 「うわあああああんっ!天先輩いいいいいっ!」

 

 「天さん・・・ひっぐ・・・ご卒業、おめでとうございます・・・ぐすっ・・・!」

 

 「かすみ、しずく・・・ありがとう」

 

 泣いているかすみとしずくを、苦笑しながらそっと抱き寄せる。

 

 今日は俺達三年生にとって、最後の登校日・・・

 

 虹ヶ咲学園高等部の、卒業式当日だった。

 

 「天さん、卒業おめでとう。璃奈ちゃんボード『ニッコリ』」

 

 笑っている表情のボードを出す璃奈。

 

 いつもと変わらないように見えるが、俺は気付いていた。

 

 ボードの脇から見える璃奈の頬を、涙が伝っていることに。

 

 「・・・ありがとう、璃奈」

 

 あえて指摘はせず、璃奈の頭を優しく撫でる俺。

 

 「卒業しても、図々しく遊びに来るから。この人達みたいに」

 

 「天!?どういう意味よ!?」

 

 「アハハ、天くんは手厳しいなぁ」

 

 抗議の声を上げる果林さんと、苦笑しているエマさん。

 

 去年卒業したこの人達は、『卒業しましたよね?』と疑問に思うほど頻繁に遊びに来ていた。

 

 今日も俺達の卒業式ということで、こうして来てくれている。

 

 「でも天くん、嬉しそうにしてくれるじゃ~ん♪」

 

 「誰も『嬉しくない』とは言ってないでしょ」

 

 「照れちゃって~♪このこの~♪」

 

 抱きついてくる彼方さん。

 

 相変わらず距離が近いなぁ・・・

 

 「そういえば、愛とかせつ菜はどうしたのよ?」

 

 「愛は運動部の後輩達に挨拶してくるそうです。せつ菜も生徒会の後輩達に呼ばれてるみたいで、栞子と一緒に生徒会室に行きましたよ」

 

 「あら、モテモテじゃない。どこかの誰かさんと違って」

 

 ニヤニヤしている果林さん。

 

 やれやれ・・・

 

 「俺だってモテモテでしょう。こんなに寂しがってくれる可愛い後輩達と、卒業してるのにこうして来てくれる美人な先輩達がいるんですから」

 

 「っ・・・よ、よくそんな恥ずかしいことを言えるわね・・・」

 

 「えっ、照れてます?自称クールビューティーな果林さん、照れてます?」

 

 「う、うるさいっ!っていうか、自称した覚えないからっ!」

 

 「果林ちゃん、天くんをからかうのは止めておきなよ。果林ちゃんじゃ敵わないよ」

 

 「うぅ、エマぁ・・・」

 

 「二人の絡みも相変わらずだね~」

 

 先輩達と戯れていると、涙を拭ったしずくがキョロキョロと辺りを見回した。

 

 「ところで、歩夢さんと侑さんはどちらですか?」

 

 「私ならここにいるよ?」

 

 「うわっ!?」

 

 俺の背後からひょっこり現れた侑を見て、ビックリするしずく。

 

 「おぉ、侑。歩夢はどうした?」

 

 「中庭で桜を見てるよ」

 

 侑はそう言うと、ニッコリ笑った。

 

 「・・・行ってあげて。歩夢は天を待ってるはずだから」

 

 「・・・了解」

 

 ホント、良い幼馴染を持ったよ・・・

 

 「じゃ、ちょっと行って来るわ。後で合流するから、皆で卒業パーティーやろう」

 

 「オッケー!」

 

 「彼方ちゃん、腕によりをかけてご馳走作っちゃうよ~♪」

 

 「かすみんもコッペパンたくさん用意しますね!」

 

 「私もスイスの郷土料理でも作ろうかなぁ」

 

 「飾りつけは任せて。璃奈ちゃんボード『むんっ』」

 

 「私も手伝うよ、璃奈さん」

 

 「あんまり遅くなるんじゃないわよ?」

 

 「分かってますよ、果林母さん」

 

 「誰が母さんよ!?」

 

 「分かってますよ、果林婆さん」

 

 「しばき倒すわよ!?」

 

 「冗談ですって。行ってきます」

 

 俺は苦笑しながらそう言うと、中庭へ向かうのだった。

 

 もう一人の幼馴染・・・愛しの彼女に会いに行く為に。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「凄いなぁ・・・」

 

 感嘆の声を上げる俺。

 

 中庭はたくさんの桜が咲き誇っており、美しい光景が広がっていた。

 

 そしてひらひらと桜の花びらが舞い落ちる中に佇む、可憐な美少女・・・

 

 「っ・・・」

 

 あまりにも絵になるその姿に、俺は思わず見惚れてしまった。

 

 桜を見つめていた彼女だったが、視線に気付いたのか俺の方を振り向く。

 

 「あっ、天くん!」

 

 歩夢がニッコリ笑い、こちらへ歩み寄ってくる。

 

 「もう、来てたなら声かけてよ」

 

 「あぁ、ゴメン・・・ちょっと見惚れてて」

 

 「フフッ、分かるよ・・・綺麗だよね、桜」

 

 再び桜を見上げる歩夢。

 

 見惚れていたのは桜じゃなくて・・・と言うのは、何だか恥ずかしかったので言わないでおいた。

 

 「・・・卒業なんだね、私達」

 

 少し寂しそうな歩夢。

 

 「何だか、あっという間だったなぁ・・・」

 

 「思い返してみると、なかなか濃い高校生活だったよね」

 

 「アハハ、確かに」

 

 幼馴染三人で同じ高校に入って、侑がスクールアイドルにハマって、俺も歩夢も巻き込まれて・・・

 

 スクールアイドル同好会に入って、皆に出会って、一緒に頑張って・・・

 

 本当にあっという間だった気がする。

 

 「・・・歩夢はさ、いつも一生懸命だったよね」

 

 「えっ、そうかな?」

 

 「うん。いつも一生懸命で、いつも真剣で・・・凄いなって思ってた」

 

 出来ないことは出来るまでやろうとするし、こっちが止めないといつまでも練習してるし・・・

 

 歩夢の性格は分かってるつもりだったけど、スクールアイドルとしての上原歩夢は俺の想像以上だった。

 

 「歩夢は昔から、真っ直ぐで一途だったもんなぁ・・・幼稚園の頃『大きくなったら、天くんのお嫁さんになる!』って宣言してから、全くブレなかったもんね」

 

 「うぅ・・・思い返してみると、ちょっと恥ずかしいかも・・・」

 

 頬が赤くなる歩夢。

 

 今さら恥ずかしがるのか・・・

 

 「小学生の時、クラスの男子達に『お前アイツのこと好きなんだろー!』ってからかわれたけど・・・歩夢が当たり前みたいな顔して『うん、そうだよ?』って首を傾げるもんだから、男子達も『お、おう・・・』ってなってたよね」

 

 「だ、だって本当に好きだったし・・・」

 

 「中学の時も、『バカップルがきたぞ!ヒューヒュー!』って囃し立てられたりしたけど・・・『えへへ、ありがとう♪』って照れ臭そうにお礼を言うもんだから、周りも『あ、うん・・・』ってなってたし」

 

 「て、てっきり祝福されてるんだと思って・・・」

 

 「高校に入ってからも・・・」

 

 「もう止めてえええええっ!?」

 

 真っ赤な顔を両手で覆う歩夢。

 

 可愛すぎかオイ。

 

 「・・・まぁ、俺は嬉しかったけど」

 

 そっと歩夢の腰に手を回す。

 

 「いつも俺のことを好きでいてくれて、本当にありがとう・・・俺も好きだよ、歩夢」

 

 「天くん・・・」

 

 甘えるように、俺に寄りかかってくる歩夢。

 

 歩夢は本当に、俺の自慢の彼女だ。

 

 俺なんかには勿体無いくらいの、本当に素敵な子だと思う。

 

 だからこそ俺は、歩夢を幸せにしたいと強く思うのだ。

 

 「来月から大学生活が始まるけど、頑張って勉強するから。それでしっかり就職して、お金を稼げるようになるから。そしたら、ちゃんと歩夢に言うよ・・・『俺のお嫁さんになって下さい』って」

 

 「っ・・・」

 

 「その時、歩夢の気持ちが変わってなかったら・・・その先の人生を、俺と一緒に歩んでほしい。だから、少し待っててくれると嬉しいな」

 

 「・・・うん、待ってる」

 

 涙を拭う歩夢。

 

 「っていうか、私の気持ちは変わらないよ?」

 

 「いや、分かんないじゃん?大学で超が付くほどのイケメンに出会うとか・・・」

 

 「フフッ、分かってないのは天くんだよ」

 

 クスクス笑う歩夢。

 

 「ねぇ天くん、私の名前は?」

 

 「いや、名前って・・・歩夢でしょ?」

 

 「そう、『夢』に向かって『歩』く・・・それで『歩夢』だよ」

 

 微笑む歩夢。

 

 「『天くんのお嫁さんになる』っていう私の夢は、昔からずっと変わらないよ。その夢に向かって、私はここまで歩いてきたんだもん。私の歩みは、今さら止まらないんだから」

 

 「・・・ズルいなぁ」

 

 思わず歩夢を抱き締める。

 

 こういうことをサラッと言える俺の彼女は、本当に良い女だと思う。

 

 これ以上惚れると、歩夢依存症になりそう・・・

 

 「天くん・・・」

 

 「歩夢・・・」

 

 目を閉じる歩夢。

 

 俺はそんな歩夢に顔を近付け・・・唇を重ね合わせた。

 

 唇から伝わってくる歩夢の温もりが、愛おしくて仕方ない。

 

 「っ・・・フフッ、学校でしちゃったね」

 

 「アハハ・・・しかも中庭でね」

 

 こんな開けた場所、誰に見られてもおかしくないよな・・・

 

 「わぉ、大胆・・・!」

 

 「はわわわわ・・・!」

 

 「ちょ、せっつー!?しっかりして!?」

 

 案の定、見られていたようだ。

 

 感心している侑、顔を真っ赤にして悶えるせつ菜、慌てている愛の姿が目に映った。

 

 「侑ちゃん!?愛ちゃんとせつ菜ちゃんも!?いつの間に!?」

 

 「二人を見かけて声を掛けようとしたんだけど、何か良い雰囲気だったから声を掛け辛くて・・・ゴメン」

 

 「お、お二人が・・・キ、キキキキキスして・・・!」

 

 「はいはい、せつ菜ちゃんしっかり」

 

 謝る愛に、せつ菜を介抱する侑。

 

 うん、何かゴメン・・・

 

 「っていうか、愛とせつ菜の挨拶は済んだの?」

 

 「は、はい・・・さっき終わったところです」

 

 「じゃあ、皆に合流しようか。卒業パーティーの準備してくれてるだろうし」

 

 「よっしゃー!愛さんお腹ペコペコだよー!」

 

 「私もー!」

 

 「どんな料理が出るのか楽しみですね!」

 

 わいわい盛り上がる三人。

 

 あっ、そうだ・・・

 

 「侑、愛、せつ菜」

 

 「ん?どうしたん天っち?」

 

 首を傾げる愛。

 

 俺は三人の顔を見渡し、笑みを浮かべた。

 

 「卒業おめでとう。皆が同級生で、同好会の仲間で・・・本当に良かった。これからも付き合いは続いていくだろうから、今後もよろしく」

 

 俺の言葉に、三人はキョトンとした後・・・涙腺が崩壊した。

 

 「ぢょっどおおおおおっ!泣がぜないでよおおおおおっ!」

 

 「侑!?」

 

 「天っぢいいいいいっ!ウヂらはズッ友だよおおおおおっ!」

 

 「天ざああああんっ!大好ぎでずうううううっ!」

 

 「愛とせつ菜も落ち着いてくんない!?」

 

 「ちょっと皆!?私の旦那さんに抱きつくの止めてくれる!?」

 

 「歩夢は嫉妬してる場合じゃないから!っていうかまだ結婚してないから!」

 

 何とか皆を落ち着かせる。

 

 やれやれ、コイツらときたら・・・

 

 「ぐすっ・・・ねぇ、ちょっと青春っぽいことやらない?」

 

 涙を拭った侑が、卒業証書の入った筒を突き出す。

 

 あっ、なるほど・・・

 

 「よし、やろうか!」

 

 「実は私、こういうの憧れてたんです!」

 

 「愛さん全力出しちゃうよー!」

 

 「フフッ、無くさない程度にしてね?」

 

 五人で円形に並び、それぞれの筒を突き出す俺達。

 

 そして・・・

 

 

 

 

 

 「せーのっ!」

 

 

 

 

 

 「「「「「卒業、おめでとー!」」」」」

 

 

 

 

 

 大きく響く俺達の声。

 

 五本の筒が、桜の花びらと共に宙を舞うのだった。




どうも〜、ムッティだぴょん♪

・・・おえっ(吐き気)

さてさて、今回は歩夢ちゃんの誕生日回でした!

まぁ最後は歩夢ちゃんより、卒業がメインになってしまいましたが(´・ω・`)

3月1日って、やっぱり卒業式のイメージが強かったので。

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます(`・ω・´)ゞ

そして4日は花丸ちゃんの誕生日!

もう誕生日回は書き終わっているので、ちゃんと4日に投稿します。

お楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!
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