メッチャ良い曲ですよね。
センターの果南ちゃんも勿論良いんですけど、個人的には善子ちゃんのソロパートが好きです。
特に『思い~出は~、ポケットの~なか~♪』の部分が好き。
あの優しい歌声がたまらなく好き。
善子ちゃん、そしてあいきゃん最高。
ライブ当日。
雲ひとつない青空が広がり、まさに絶好のライブ日和・・・
「天くん、現実を見よう?凄い雨降ってるから。雲ひとつない青空じゃなくて、雨雲しかない灰色の空が広がってるから」
「人の心を読むの止めて下さい」
紫髪の女の子・・・いつきさんのツッコミに、俺は大きな溜め息をついた。
確かに予報では、週末の天気は良くないと言ってはいたが・・・ここまで酷いとは思わなかった。
「いつきさん、ちょっと『雨止めえええええっ!』って叫んでもらって良いですか?」
「いや、それで止むとは思えないんだけど・・・」
「物は試しです。三、二、一・・・はいっ!」
「あ、雨止めぇ!」
「声が小さい!もう一度!」
「雨止めーっ!」
「もっと!もっと熱くなれよ!」
「雨止えええええっ!」
「・・・まぁ、止むわけないですよね」
「急に冷静にならないでくれる!?もの凄く恥ずかしいんだけど!?」
両手で顔を覆って恥ずかしがるいつきさん。やはりミラクルは起こせなかったようだ。
「おーい、天くーん」
茶髪をサイドテールにくくった女子・・・よしみさんがこちらへ歩いてくる。
「照明と音響の準備は完了・・・って、何でいつきは耳まで真っ赤になってるの?」
「そっとしておいてあげて下さい。羞恥心に悶えてるところなんです」
「誰のせいだと思ってるの!?」
いつきさんの抗議はスルーして、俺はよしみさんへと視線を向けた。
「ありがとうございます。千歌さん達の様子はどうですか?」
「今は振り付けのチェックをしてるけど・・・やっぱり緊張してるみたい。いつもより表情が硬いもん」
「初ライブだもんね・・・大丈夫かな、千歌達・・・」
心配そうなよしみさんといつきさん。ここはマネージャーの出番かな・・・
「・・・さて、いきますか」
*****
《梨子視点》
「本当にこんなに短くて大丈夫なの・・・?」
本番用の衣装に身を包んだ私は、鏡の前で顔を引き攣らせていた。
ピンク色の可愛らしい衣装ではあるんだけど、スカートが短い。いつもより太ももが露わになっていて、凄く恥ずかしい。
「大丈夫!ステージに出ちゃえば忘れるよ!」
水色の衣装に身を包んだ曜ちゃんが、そう言ってニッコリ笑う。
いや、忘れちゃいけないと思う。晒しちゃいけないものを晒しそうだもの。
「大丈夫だよ、梨子ちゃん。もう天くんには見られてるじゃん」
「そういう問題じゃないわよねぇ!?っていうか思い出させないで!?」
オレンジ色・・・もといみかん色の衣装に身を包んだ千歌ちゃんの言葉に、火が出そうなくらい顔が熱くなる。
あの時のことを思い出しただけで、とてつもなく恥ずかしいわ・・・
「っていうか、あれは千歌ちゃんのせいでしょ!?天くんの目の前でスカート捲ったりするから!」
「アハハ、ゴメンゴメン」
苦笑しながら謝る千歌ちゃんに、思わず溜め息をついてしまう。全くもう・・・
「あ、そろそろ時間だね」
曜ちゃんが時計を見て呟く。
その瞬間、空気が張り詰めたような気がした。これからステージに立って、歌って踊る・・・そう考えるだけで緊張してしまった。
そして何より、お客さんは来てくれているのか・・・もし満員に出来なければ、その時はAqoursを解散しなくてはいけない決まりになっている。
「・・・嫌だよね」
消え入りそうな声で呟く千歌ちゃん。
「初めてのライブで解散なんて・・・そんなの嫌だよね」
「千歌ちゃん・・・」
心配そうな表情の曜ちゃん。
スクールアイドルを始めて間もないけれど、私にとってAqoursは大切な場所になりつつあった。
失いたくない、解散なんてしたくない・・・そう思えば思うほど、ステージに立つ勇気が無くなっていくのを感じた。
「・・・怖いね」
「・・・うん」
足が震えている。こんな状態で、良いパフォーマンスなんて出来るわけ・・・
『できる~!できる~!キミならできる~!』
「「「!?」」」
急に音楽が聴こえてきた。何この曲・・・
『僕は~本気だ!キミは本気か!?』
私達が呆気にとられていると、天くんがスマホを手に持って現れた。え、まさか・・・
『できる~!できる~!キミなr・・・』
「ピッ・・・あ、もしもし?よっちゃん?」
「着信音だったのそれ!?」
思わずツッコミを入れてしまう。
今思い出したけど、それ松●修造さんの曲じゃない!元気応援SONGじゃない!
「え、来てくれたの?よっちゃんマジ善子だわぁ・・・あぁ、はいはい。もうそろそろ始まるから、急いで体育館に来てね・・・うん、じゃあまた後で」
天くんは通話を終えると、私達の方へと視線を向けた。
「あ、お疲れ様です。準備できました?」
「何か色々吹っ飛んじゃったんだけど!?あれ、私達どんな曲歌うんだっけ!?」
「落ち着いて千歌ちゃん!?えーっと、確か・・・『できる~!できる~!キミならできる~!』」
「いやそれ違う曲だから!曜ちゃんこそ落ち着いてよ!?」
色々パニックになっている二人。とりあえず、私が落ち着かないと・・・
「お、梨子さん衣装似合ってますね。やっぱり梨子さんは桜色・・・もといピンク色ですよね。苗字が桜内だけに」
「ああああああああああっ!?」
何であの時と同じようなセリフを言うのっ!?思い出しちゃうでしょうがあああああっ!?
「あぁっ!?梨子ちゃんが耳まで真っ赤になってる!?」
「落ち着いて梨子ちゃん!?『できる~!できる~!キミならできる~!』」
「その曲はもういいから!」
本番前とは思えないほどの騒ぎっぷりだった。そんな私達の様子を見て、天くんが溜め息をつく。
「やれやれ・・・これじゃ本番が思いやられますね」
「「「天くんのせいでしょうが!」」」
三人同時にツッコミを入れる。全くもう・・・
「・・・まぁ、緊張してるよりよっぽど良いですけどね」
天くんが苦笑しながら言う。あれ、そういえば私達・・・
「何か・・・緊張が消えてる?」
「確かに・・・」
ポカンとしている千歌ちゃんと曜ちゃん。
気付いたら私も足の震えが止まっていた。さっきまで不安に押し潰されそうだったのに・・・
一方、天くんは私達の着ている衣装をしげしげと眺めていた。
「やっぱり衣装のクオリティ高いですね・・・流石は曜さん」
「えへへ・・・そうかな?」
「えぇ、メッチャ良いですよこれ。しかも三人とも、本当によく似合ってます」
笑顔でそう言ってくれる天くん。何だか照れくさいけど、ちょっと嬉しい。
「おーい!千歌ー!曜ー!梨子ー!」
私達の名前を呼びながらやってきたのは、明るめの茶髪に白いカチューシャを付けた女の子・・・クラスメイトのむっちゃんだった。
「そろそろ時間だからスタンバイ・・・って、天もいたんだ?」
「今来たところです。むつさんは準備オッケーですか?」
「バッチリだよ!照明は私とよしみに任せな!」
ドンと胸を叩くむっちゃん。と、その後ろからよしみちゃんといつきちゃんも現れた。
「そうそう、大船に乗ったつもりでいてよ!」
「音響は私に任せてね!」
「いつきさん、そう言いながらさっきみたいに叫ばないで下さいね?」
「叫ばないよ!?っていうか、あれは天くんがやらせたんだからね!?」
「ちょっと何言ってるか分からないです」
「何で!?」
天くんといつきちゃんのやり取りに、むっちゃんとよしみちゃんが爆笑していた。それにつられて、私達も思わず笑ってしまう。
「じゃあ三人とも、頑張れ!」
「私達がサポートするから!」
「天くん、指示よろしくね!」
「了解です。よろしくお願いします」
三人が笑顔で手を振って出て行く。頑張れ、か・・・
「・・・頑張ろう」
笑みを浮かべ、両手を握り締める千歌ちゃん。
「応援してくれる人がいるんだもん。全力で頑張らなきゃ!」
その言葉に、曜ちゃんと私も笑みを浮かべる。今まさに、私達の心は一つだった。
「それじゃ、円陣組もう!天くんも!」
「いや、俺マネージャーなんですけど・・・」
「ほらほら、早く!」
曜ちゃんが天くんの腕を引っ張り、曜ちゃんと私の間に立たせた。時計回りに千歌ちゃん、曜ちゃん、天くん、私の並びで円陣を組む。
「えーっと、手を重ねるんだっけ?」
「普通はそうですけど・・・ちょっと変えましょうか」
「変える?」
天くんの言葉に首を傾げていると、天くんが曜ちゃんと私の手を優しく握った。
「そ、天くん!?」
「どうしたの!?」
「・・・手を繋ぐと、お互いの温もりを感じられるじゃないですか」
微笑む天くん。
「お互いの温もりを感じられたら、一人じゃないって思えます。一人じゃないって思えたら・・・少しは安心できるでしょ?」
「天くん・・・」
どうやら、私達が不安がっていたのを分かっていたみたいね・・・
ホント、天くんには敵わないわ・・・
「・・・ナイスアイデアだよ、天くん」
千歌ちゃんも微笑みながら、曜ちゃんと私の手を握る。私達はお互いの手を握り合い、笑みを浮かべた。
「さぁ、行こう!今全力で、輝こう!」
千歌ちゃんが声を張り上げる。私達は、この日の為に決めた掛け声を叫ぶのだった。
「「「「Aqours!サンシャイン!」」」」
どうも~、ムッティです。
相も変わらず投稿が遅くてスミマセン…
そして物語のスピードが遅くてスミマセン…
まだアニメの3話さえ終わっていないというね…
もうちょいサクサク進めるはずだったのに、何故こうなった…
まぁこれからもマイペースに進めていきますので、読んでいただけると幸いです。
それではまた次回!以上、ムッティでした!