絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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だんだん暑くなってきちゃいましたね・・・

忌々しい・・・(゜言゜)


頑張っても上手くいかないこともある。

 「ダイヤ、ちゃん・・・?」

 

 呆然としている千歌。

 

 これ以上皆を混乱させるのは良くないということで、果南と鞠莉が皆を集めて事情を説明したのだった。

 

 「皆ともう少し距離を近づけたいってことだと思うけど・・・」

 

 「ここまで空回りするとはねぇ・・・」

 

 溜め息をつく果南と鞠莉。

 

 一方、皆はホッとした様子だった。

 

 「あの笑顔は、怒ってたわけじゃなかったずらね・・・」

 

 「フフッ・・・ダイヤさん、何か可愛いかも」

 

 「ホントにね。言ってくれれば良いのに」

 

 「でしょ?だから小学校の頃から、私達以外はなかなか気付かなくてさぁ」

 

 苦笑する果南。

 

 「真面目でちゃんとしてて、頭が良くてお嬢様で・・・頼れる存在ではあるけど、皆にとっては雲の上の存在だったんだよね」

 

 「だからダイヤもそう振る舞って、どんどん皆と距離をとっていったの。本当は凄く寂しがりやなのにね」

 

 肩をすくめる果南と鞠莉。

 

 なるほどねぇ・・・

 

 「・・・他人とは思えないわ」

 

 「天くん?何か言った?」

 

 「何でもないよ」

 

 首を傾げるルビィにそう返事をすると、俺は立ち上がった。

 

 「あれ?どこ行くの?」

 

 「ダイヤさんのところ。そろそろ希ちゃんと交代しようかなって」

 

 上手くいかないことに落ち込んでしまったダイヤさんを、希ちゃんが気分転換させる為に連れ出したのだ。

 

 希ちゃんのことだから、ダイヤさんを立ち直らせる為のお膳立てはしてくれていることだろう。

 

 後は俺の役目である。

 

 「少し放っておいた方が良いんじゃないかな」

 

 そんなことを言う果南。

 

 「これはダイヤの問題だし、私達がでしゃばり過ぎるのも良くないっていうか・・・」

 

 「マリーもそう思うわ。ダイヤが自分で動かなきゃ、意味が無いんじゃないかしら」

 

 果南の言葉に頷く鞠莉。

 

 二人なりにダイヤさんの為を思い、良かれと思って言ってるんだろうけど・・・

 

 「二人とも、ダイヤさんの悩みを軽く見過ぎてるんじゃない?」

 

 「「え・・・?」」

 

 ポカンとする二人。

 

 「ど、どういうこと・・・?」

 

 「そりゃ自分で動けるなら、その方が良いだろうけどさ・・・それが出来なくて困ってるから、ダイヤさんは二人に相談したんじゃないの?」

 

 「それは・・・」

 

 言葉に詰まる鞠莉。

 

 俺は尚も言葉を続けた。

 

 「人と距離を縮めるって、そんなに簡単なことじゃないよ。そういうのが苦手っていう人からしたら、尚更大変なことだと思う。それが簡単に出来たらダイヤさんだって苦労しないし、二人に相談することも無かったんじゃないかな」

 

 ダイヤさんからすると、きっと二人に相談することさえ勇気が必要だっただろう。

 

 人に弱味を見せたがらず、人に甘えることが苦手な人・・・それがダイヤさんなのだから。

 

 それにも関わらず・・・

 

 「ダイヤさんの悩みを『大したことじゃない』の一言で片付けて、『とにかく距離を縮めろ』としか言わない・・・どうやったらそれが出来るか悩むダイヤさんを見ていながら、一緒に悩んであげることもしない・・・それでも本当に親友なの?」

 

 「「っ・・・」」

 

 俺の言葉に、気まずそうな表情を浮かべる二人。

 

 今頃になって、『ちょっとマズかったかな・・・?』とでも思い始めているんだろう。

 

 「二人とも、ダイヤさんとは長い付き合いなんでしょ?その二人が、真剣に相談に乗ってくれないなんて・・・流石にダイヤさんが可哀想過ぎるよ」

 

 黙り込んでしまう二人。

 

 俺はそんな二人に背を向けた。

 

 「・・・じゃ、ちょっとダイヤさんのところに行ってくる。すぐに合流するから、引き続き仕事よろしくね」

 

 「・・・了解。ダイヤさんのこと、任せたよ」

 

 「勿論」

 

 千歌の言葉に頷き、歩き出す俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《ダイヤ視点》

 

 「ハァ・・・」

 

 「ダイヤちゃん、元気出して」

 

 溜め息をつく私に、優しい言葉をかけて下さる希さん。

 

 私達は外のベンチに座り、風に吹かれながら海を眺めていたのでした。

 

 「そんなに気に病まなくても大丈夫。ダイヤちゃんの気持ちは、きっと皆に届くから」

 

 「・・・そうでしょうか」

 

 肩を落とす私。

 

 私なりに頑張ったつもりですが、こうも上手くいかないとは・・・

 

 「・・・ツケを払う時がきた、ということでしょうね」

 

 「え・・・?」

 

 「これまで人と向き合うことから逃げてきた・・・そのツケが回ってきたのですわ」

 

 そう、この結果は必然・・・上手くいくはずがなかったのです。

 

 「私は幼い頃から、周りの方達から『しっかり者のお嬢様』として見られてきました。ありがたいことに、頼られることは多かったのですが・・・気軽に親しく話しかけて下さる方は、果南さんや鞠莉さんしかいませんでした」

 

 「ダイヤちゃん・・・」

 

 「ですがそれは、私にとっても好都合でした・・・何せ私は大の人見知りで、人付き合いというものが苦手だったのですから」

 

 だからこそ、私は周りの方達のイメージ通りに振る舞い続けました・・・

 

 関わり合うことを避ける為に・・・

 

 「でも、果南ちゃんやマリチとは仲良しだよね?」

 

 「果南さんは幼馴染ですし、鞠莉さんはああいう性格なのでグイグイ来られて・・・私にとって友人と呼べる存在は、あの二人だけですわ」

 

 私にとっての友人は、あの二人だけで良い・・・

 

 そんな考えもあったからこそ、私は他の方達と向き合うことを避けてきたのです。

 

 「そんな私が、距離を縮められるはずがありませんわ。これまでそこから逃げてきたというのに・・・」

 

 うなだれる私。

 

 すると・・・

 

 「フフッ・・・なるほど」

 

 クスクス笑う希さん。

 

 どうしたのでしょうか・・・?

 

 「天くんの言ってたこと、今ならよく分かる」

 

 「・・・何の話ですの?」

 

 「天くんにAqoursの皆の話を聞いた時、言ってたんよ。『ダイヤさんは絵里姉にそっくりなんだよ』って」

 

 そういえば、前に私も言われたような・・・

 

 そんなに似ているのでしょうか・・・?

 

 「周りから『しっかり者で近寄りがたい』って思われてるところも、本当は寂しがりやなところも・・・ホント、エリチそっくりやね」

 

 私の頭を撫でる希さん。

 

 「ウチも最初は大変やったよ?エリチが心を開いてくれるまでに、どれだけ時間がかかったことか・・・」

 

 「そ、そうだったのですか・・・?」

 

 「ダイヤちゃんも、果南ちゃんやマリチに心を開くのに時間かかったんやない?」

 

 「・・・言われてみれば」

 

 確かに心を開くまでに、少し時間がかかったような・・・

 

 まぁ二人とも遠慮なく来るので、心を開かされたと言った方が正しい気もしますが・・・

 

 「二人とも気が強そうに見えて、実はとっても怖がりなんだよね。だからこそ人を信じるのに時間がかかるし、簡単には心を開かない・・・そんなところもそっくりやね」

 

 苦笑する希さん。

 

 「だからこそ天くんは、ダイヤちゃんを気にかけるんやと思うよ?」

 

 「私に絵里さんを重ねているから、ですか?」

 

 「それもあるけど・・・エリチがそういう性格のせいで苦労するところを、天くんは見てきてるから。だからダイヤちゃんがなるべく苦労しないように、出来る限り力になってあげたい・・・そう思ってるんじゃないかな」

 

 柔らかく微笑む希さん。

 

 天さんの考えを、そこまで読むことが出来るなんて・・・

 

 「・・・天さんのこと、よく理解されているのですね」

 

 「勿論。天くんのこと、大好きやもん」

 

 笑顔で言い切る希さん。

 

 「ダイヤちゃんだって、天くんのこと好きやろ?」

 

 「す、すすすす好きって・・・そ、そそそそそんな・・・!?」

 

 「じゃあ嫌いなん?」

 

 「嫌いなはずありませんわ!」

 

 「ほら、好きやん」

 

 ニヤニヤしている希さん。

 

 うぅ、やりづらいですわ・・・

 

 「す、好きと言っても・・・こ、恋では無いというか・・・!」

 

 「ふ~ん?」

 

 「た、大切な方ではあるのですが・・・!」

 

 「へ~?」

 

 「あ、あくまでも仲間として・・・!」

 

 「ほ~?」

 

 「ニヤニヤするの止めていただけます!?」

 

 明らかに楽しんでいる希さん。

 

 全く、この人ときたら・・・!

 

 「フフッ、ダイヤちゃんは面白いなぁ♪」

 

 「私で遊ばないで下さい!」

 

 「アハハ、ゴメンゴメン」

 

 希さんは苦笑しながら謝ると、ベンチから立ち上がりました。

 

 「さて、ダイヤちゃんの元気が少し出たところで・・・ウチの役目は終わりやね」

 

 「え・・・?」

 

 「もうすぐ天くんがここに来るから、後は天くんと話してな」

 

 「何故分かるのですか!?」

 

 「スピリチュアルパワーのおかげや」

 

 「希さんが仰ると冗談に聞こえないのですが!?」

 

 「アハハ、ダイヤちゃんは本当に面白いなぁ♪」

 

 クスクス笑う希さん。

 

 どうにも調子が狂いますわ・・・

 

 「今のダイヤちゃんの気持ち、そのまま素直に話したらええよ。天くんなら、きっと受け止めてくれるから」

 

 「希さん・・・」

 

 「じゃ、皆のところに行ってるね」

 

 そう言って私に背を向ける希さん。

 

 そんな希さんの背中に、私は大声で叫びました。

 

 「あのっ・・・ありがとうございます!」

 

 こちらを振り向かず、手をひらひらと振り去っていく希さんなのでした。




どうも〜、ムッティです。

さて、まずは謝罪から・・・

今回のお話ですが、果南ちゃんと鞠莉ちゃんが天から責められる描写がありましたね。

不愉快に思われた方がいましたら、大変申し訳ありません。

そもそも何故このような描写になったのかと言いますと、アニメでこのお話を見た際の個人的な感想に理由がありまして・・・

『果南ちゃんも鞠莉ちゃんも、もう少しダイヤさんと一緒に悩んであげても良いんじゃないかな』と・・・

ダイヤさんらしからぬ悩みにクスッとなるのは良いとしても、ちょっと面白がり過ぎてるように感じまして・・・

もう少し親身になってと言いますか、真面目に相談に乗ってあげても良いんじゃないかなと・・・

そんな思いもあったので、今回こういった描写にさせていただきました。

勿論果南ちゃんや鞠莉ちゃんが、ダイヤさんのことを大切に思っているのは理解しているつもりです。

あくまであのお話を見た上での個人的な感想なので、果南ちゃんや鞠莉ちゃんへのアンチ的な感情があるわけでもありません。

そこは誤解しないでいただきたいのですが、誰かが責められる描写というのは不快に思われる方もいらっしゃるかもしれませんので・・・

改めまして、大変申し訳ございませんでした。

さてさて、次回は天とダイヤさんの会話になります。

果たしてどうなるのか・・・

それではまた次回!以上、ムッティでした!
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