「今日も雨かぁ・・・」
窓の外を見ながら、溜め息をつく俺。
先日梅雨入りしてからというもの、しばらく雨の日が続いていた。
雨が降っていると屋上が使えない為、Aqoursの練習も休みとなる。
そんなわけで今日も練習は中止となり、こうして早めに帰宅したのだが・・・
「暇だなぁ・・・」
正直やることも無いし、何より身体を動かしたい気分だった。
しかしこうして雨が降っていては、外で遊ぶことも出来ない。
さて、どうしよう・・・
「とりあえず、勉強でもするかな・・・」
「天は真面目ねー。まるでダイヤみたい」
「いや、ダイヤさんほどじゃ・・・ん?」
自然にそう返してしまってから、ふと声がした方を振り向くと・・・
「チャオ♪」
いつの間にか、鞠莉が俺の隣でにこやかに手を振っていた。
「ピッ・・・もしもし、警察ですか?」
「ちょっと!?何で通報してるの!?」
「自宅に不法侵入者がいます。住居侵入罪で捕まえて下さい」
「ゴメンって!?勝手に入ったのは謝るから!」
「金髪の独特な髪型が特徴的で、恐らく『ONE P●ECE』のMr.3をリスペクトしているものと思われます」
「いや違うから!それでこんな髪型にしてるわけじゃないから!」
「あと、おっぱいがやたら大きいです。いやらしく強調して見せつけてくるので、公然猥褻罪でも捕まえて下さい」
「別に強調はしてないわよ!?逆にセクハラで訴えても良い!?」
「おぉ、まさか鞠莉が果南みたいなセリフを言うとは・・・歩くセクハラのくせに」
「酷い!?」
ショックを受ける鞠莉。
まぁ冗談はさておき・・・
「鍵は閉めてたはずなんだけど、どうやって入ったの?」
「この家の所有権は小原家にあるのよ?合鍵くらい持ってるわ」
「俺のプライバシーはどこへ行ったの?」
「緊急事態でもないかぎり使うことはないから、安心してちょうだい」
「緊急事態でもないのに使った人に言われても、安心出来ないんだけど」
「マリーは特別だから」
「特別な変態?」
「変態は余計よ!?」
鞠莉のツッコミ。
やれやれ、鞠莉にも困ったもんだ・・・
「それで?何かあったん?」
「雨で暇だから遊びに来ちゃった♪」
「鞠莉大好き」
「キャッ♡天ってば大胆♡」
思わず鞠莉に抱きつく。
流石は俺の幼馴染、思いは一つだったらしい。
「外で身体を動かすことも出来ないし、退屈よねぇ」
「それな」
頭を撫でてもらいながら、鞠莉の言葉に頷く俺。
ホント、この退屈な時間をどうしたものか・・・
「そこで提案なんだけど、今からマリーの家に遊びに来ない?」
「鞠莉の家に?」
「えぇ、とっておきの遊び場があるのよ。ついでに泊まっていってちょうだい」
「天使・・・いや、女神か・・・」
「フフッ、結婚したい?」
「あ、結構です」
「何でよ!?そこは『結婚しよ』っていう場面でしょうが!」
「俺はラ●ナーじゃないし、鞠莉はク●スタじゃないでしょ」
「同じ金髪だもん!あと、クリ●タじゃなくてヒス●リアだから!」
「同じ金髪だから何だよっていう話なんだけど・・・あとそれはネタバレになりかねないから、あんまり訂正しないで」
俺は苦笑しながらツッコミを入れると、頬を膨らませて拗ねている鞠莉の頭を撫でた。
「まぁ、鞠莉みたいな人と結婚出来たら良いな・・・とは思うけどね」
「っ・・・」
顔を赤くする鞠莉なのだった。
*****
「シャイニーッ!」
「うおっ!?」
鞠莉のスマッシュが決まり、ピンポン球が俺のラケットの先を通り過ぎる。
俺と鞠莉は今、卓球で勝負していた。
「強いね、鞠莉」
「Of course!体育の授業じゃ、マリーの相手になるのは果南かダイヤくらいよ!」
「果南はともかく、ダイヤさんも?」
「ダイヤはああ見えて、結構運動神経良いのよ?テニスや卓球みたいなラケットを使うスポーツなら、マリーや果南よりダイヤの方が上なんじゃないかしら」
「マジでか」
ダイヤさんの意外な一面を知ったな・・・
「意外って言えば、ここも意外なんだよなぁ・・・」
周りを見回す俺。
俺と鞠莉がいるのは、まるで体育館のような仕様の場所だった。
ホテルオハラの地下にある場所で、小原家専用のスペースらしい。
その無駄に広いスペースの中心に卓球台を広げ、俺達は卓球を楽しんでいるのだった。
「まさか地下にこんな場所があったとは・・・」
「普段はスタッフのレクリエーションなんかで使ってるわ。スタッフ同士の交流を深めてもらう為に、定期的にスポーツ大会を開いたりしてるのよ」
「何その楽しそうなイベント」
「賞金や景品も出るから、スタッフ達は本気で熱いバトルを繰り広げてるわね」
「・・・俺、鞠莉のお父さんの会社に就職しようかな」
「マリーと結婚すれば就職は勿論、次期社長候補になれるけど?」
「あ、結構です」
「だから何でよ!?」
「隙あり!」
「あぁっ!?」
俺のサーブが決まる。
よし、点を取り返したぜ。
「ちょ、今のずるくない!?」
「鞠莉に比べたらずるくないわ」
「What!?マリーのどこがずるいって言うの!?」
「そんな胸元の緩い服を着て、谷間をガッツリ見せて誘惑してくるなんて・・・鞠莉にスポーツマンとしての心は無いのか!」
「誘惑してないしスポーツマンでもないんだけど!?っていうかどこ見てんのよ!?」
「うわ、そのネタ懐かしい・・・分かる人いるかな?」
「青木さ●かのネタをやったわけじゃないから!」
鞠莉のツッコミが止まらない。
やれやれ・・・
「かかってこいや、アメリカかぶれ。そんな独特なサイドテール、ことりちゃんだけで十分なんだよ」
「あっ、ことりの髪型も独特だとは思ってるのね・・・」
「良いんだよ独特でも。ことりちゃんはどんな髪型でも可愛いんだから」
「坊主でも?」
「週刊誌に写真を撮られて坊主にしたアイドルの話は止めなさい!」
「そんな具体的なこと一言も言ってないわよ!?」
そういえば、つい最近グループを卒業したんだよな・・・
本当にお疲れ様でした。
「そんなわけで鞠莉、俺に負けたら坊主ね」
「どんなわけよ!?嫌に決まってるでしょ!?」
「じゃあ坊主以外で、俺が指定した髪型にしてもらおうか」
「・・・まぁ良いわ。髪を切ったりするのは無しよ?」
「そんなことするわけないじゃん。何言ってんの?」
「さっき坊主にしろって言ったのを忘れたの!?」
ツッコミを入れつつ、サーブを打ってくる鞠莉。
フッ、甘いな・・・
「坊主の呼吸、壱の型・・・」
「何で坊主じゃない人が坊主の呼吸使ってるの!?」
「“終完分瞬”!」
「漢字が違うだけで読み方は一緒でしょうが!」
ツッコミも虚しく、鞠莉のラケットが空を切る。
よし、一点追加。
「さぁ、センテンスなスプリングを始めようか」
「それは別の人の事件よねぇ!?」
ツッコミが止まらない鞠莉なのだった。
*****
《鞠莉視点》
「はい、出来た」
「相変わらず手慣れてるわねぇ」
思わず感心してしまう私。
私達は今、ホテルオハラの最上階にある私の部屋へとやって来ていた。
勝負に勝った天が、私を好きな髪型にする為だ。
その髪型というのは・・・
「ポニーテール・・・本当に絵里のことが好きなのね」
「否定はしないけど、シスコンみたいな言い方止めてくんない?」
「実際シスコンじゃない」
「髪は女の命・・・そして今、鞠莉の髪は俺が握っている・・・」
「すいませんでした!」
全力で謝る私。
危なかったわ・・・
「絵里姉で見慣れてるっていうのもあるけど、ポニーテール好きなんだよね。女の子がポニーテールにしてると、可愛いなって思うもん」
「あら、じゃあ果南のことも?」
「勿論。まぁ果南は普段からポニーテールだから、逆に他の髪型も見てみたいけどね。髪を下ろしてる姿を見た時は、ちょっとドキッとしちゃったよ」
「ふぅん・・・今度髪を下ろしてみようかしら・・・」
「ん?何か言った?」
「何でもありまセーン」
はぐらかす私。
全く、天ってば鈍感なんだから・・・
「でも鞠莉、ポニーテール似合ってるよ。凄く可愛いと思う」
「っ・・・そ、そうかしら・・・?」
「うん、たまにはこういう髪型にしてみても良いんじゃないかな?」
「そ、天がそう言うなら・・・」。
もう、何でそういうことはサラッと言えるのよ・・・
聞いてるこっちが恥ずかしいじゃない・・・
とっても嬉しいけど。
「・・・ハハッ」
「天?」
「あぁ、ゴメンゴメン。ちょっと思い出しちゃって」
急に笑い出す天。
どうしたのかしら?
「小さい頃、こうやって鞠莉の髪をいじったことがあったじゃん」
「そういえばそうね」
「鞠莉ってば『髪は女の命デース!天はマリーの旦那になる男だから、特別に触ることを許可しマース!』とか言っててさ」
「フフッ、覚えてるわ」
私もつい笑ってしまう。
我ながら上から目線なセリフだと思うし、天と結婚する気満々だったなと思う。
「・・・今も変わらないけどね」
「鞠莉?」
「今も変わらないって言ったのよ」
首を傾げる天に、今度ははぐらかさずちゃんと伝える。
「マリーが髪を触らせる男なんて、天しかいないんだから。マリーにとって、天は特別な人・・・唯一無二の存在なの」
真っ直ぐ天を見つめる。
自分の気持ちを、しっかりと伝えられるように。
「大好きよ、天・・・旦那にするなら、嫁になるなら・・・天しか考えられない」
「鞠莉・・・」
呆然としている天。
その時・・・
ゴーン・・・ゴーン・・・
部屋に置いてある時計の鐘の音が鳴り響く。
日付が変わり、六月十三日になったのだ。
つまり今日は・・・
「・・・誕生日おめでとう、鞠莉」
微笑む天。
そう、私の十八歳の誕生日・・・
まさか告白の真っ最中に迎えることになるなんてね・・・
「誕生日プレゼント、渡さないとね」
「・・・じゃあ天をちょうだい」
「アハハ、そうきたか」
天は面白そうに笑うと・・・おもむろに両腕を広げた。
「俺で良ければ・・・喜んで」
「っ!」
勢いよく天の腕の中に飛び込み、天の身体を強く抱き締める。
「あーあ、鞠莉のモノになっちゃった」
「不満なの?」
「まさか」
抱き締め返してくれる天。
「好きな人と一緒になれるんだもん。不満なんか無いよ」
「・・・じゃあ、ちゃんと『好き』って言って」
「・・・好きだよ、鞠莉」
「っ・・・」
耳まで赤くなるのが、自分でもよく分かる。
好きな人に『好き』って言われるだけで、こんなにドキドキするなんて・・・
「ずっと大切にしてね。永久保証の俺だから」
「どこの西野●ナ!?しかもそれ女の子側のセリフじゃないの!?」
「ほら、俺は養ってもらう側の人間だから」
「ヒモになる気満々!?」
思わずツッコミを入れてしまう。
もう、こんな時まで・・・ってあれ?
「天?」
「ん?何?」
「何でこんなに心臓バクバクなの?」
「・・・言わせないでよ」
視線を逸らす天。
抱き合っているからこそ分かる、今の天の状態・・・
もしかして・・・
「天もドキドキしてるの?」
「だから言わせないでってば・・・」
「そっかそっかぁ・・・ふ~ん?」
「な、何そのニヤニヤ顔・・・」
「別に~?可愛いなんて思ってないわよ~?」
「うわ、うざっ・・・」
「ちょっと!?嫁に向かって何てこと言うの!?」
「結婚してないし!まだ嫁じゃないし!」
「ゆくゆくは結婚するんだから良いでしょ!?浮気したら承知しないんだから!」
「するわけないじゃん!?旦那を信じられないの!?」
「じゃあ果南に『おっぱい揉んで良いよ?』って言われたらどうするのよ!?」
「揉む」
「即答!?完全にアウトでしょうが!」
「『揉んで良い』って言うなら揉むのが礼儀でしょうが!」
「どんな礼儀!?だったらマリーのおっぱいを揉んで良いわよ!」
「うわ、痴女かよ」
「礼儀はどこへいったの!?」
ギャーギャー言い合う私達。
全く、天ときたら・・・
でも・・・
「・・・フフッ」
つい笑ってしまった私は、天の胸に顔を埋めた。
「ねぇ、天・・・マリー、今とっても幸せ」
「鞠莉・・・」
「好きな人と想いが通じ合うって、こんなにも幸せなことなんだって・・・今、凄く実感してる」
天を見つめる私。
「マリーの想いに応えてくれて・・・ありがとう」
「・・・こちらこそ」
微笑む天。
「好きになってくれて・・・ありがとう」
やがて私達の顔がゆっくりと近付き・・・そのままゼロになる。
「「っ・・・」」
顔を離した私達だったが、物足りなくて再び唇を重ねる。
何度も何度も・・・
「っ・・・ねぇ、天・・・マリーのおっぱい、本当に揉んで良いのよ・・・?」
「っ・・・本当に理性が崩壊するんだけど・・・」
「えいっ」
「ちょっ・・・あっ・・・!」
「・・・やんっ♡」
そこから先のことは、あまりよく覚えていないけれど・・・
幸せに溺れた夜を過ごしたことだけは、しっかり覚えている私なのだった。
シャイニー☆ムッティです☆
遅くなったけど鞠莉ちゃん、誕生日おめでとう!
今回も間に合わなかったぜ・・・
っていうか、鞠莉ちゃんのソロアルバムのジャケット見ました?
鞠莉ちゃん、美しすぎません?
そしてあいにゃの歌の上手さよ。
ちなみに最近『えとにゃんらん』メッチャ聴いてます。
YouTubeであいにゃが踊ってる動画がアップされてましたけど、もう可愛すぎて・・・
鞠莉ちゃんもあいにゃも大好きです(^^)
さてさて、次回は果林ちゃんの誕生日回かな?
クールビューティー果林先輩を、天にゾッコンな女の子にしてやりたい(願望)
お楽しみに(・ω・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!