絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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メッチャ遅くなりましたが、せつ菜ちゃんの誕生日回です。

今回は栞子ちゃんがいない設定となっておりますので、悪しからず・・・

それではいってみよー!


【優木せつ菜】どっちが好き?

 「菜々、書類出来たよ」

 

 「ありがとうございます」

 

 俺から出来上がった書類を受け取る菜々。

 

 放課後、俺達は生徒会室で業務を行なっていた。

 

 よって今の彼女はスクールアイドル・優木せつ菜ではなく、虹ヶ咲学園生徒会長・中川菜々なのである。

 

 「後は何か仕事ある?」

 

 「そうですねぇ・・・」

 

 菜々は少し考え込むと、俺に向かって手招きをした。

 

 「少しこちらへ来ていただいても良いですか?」

 

 「ん?どうした?」

 

 菜々の近くに歩み寄る俺。

 

 その瞬間、菜々の両手が俺の腰をガッチリ掴む。

 

 俺は今、菜々に抱きつかれている状態だった。

 

 「・・・ここ、生徒会室なんだけど」

 

 「・・・良いじゃないですか。今は誰もいないんですし」

 

 俺の腰を抱く手にキュッと力を込める菜々。

 

 俺と菜々が付き合っていることは、スクールアイドル同好会のメンバーしか知らないことだ。

 

 他の生徒会役員達には内緒にしている為、この場でこういうことをするのはあまり良くないのだが・・・

 

 「ダメ、ですか・・・?」

 

 「・・・少しだけなら」

 

 菜々に上目遣いで甘えられると、ダメとは言えなくなってしまう。

 

 この場にかすみでもいたら、『天先輩はせつ菜先輩に甘過ぎです!』とか怒られてしまいそうだ。

 

 まぁ実際、甘やかしているのは間違いないんだけども。

 

 「全く、菜々は甘えん坊だなぁ」

 

 「私だって甘えたいお年頃なんです」

 

 「どんなお年頃だよ」

 

 呆れつつ、菜々の頭を優しく撫でる。

 

 サラサラな髪の感触が心地良かった。

 

 「フフッ・・・天さんに頭撫でられるの、好きだなぁ・・・」

 

 幸せそうに微笑む菜々。

 

 そんな菜々の顔をもっと見ていたくて、菜々の頭を優しく撫で続ける俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「せつ菜、スカーレットストームッ!」

 

 「ぐはぁっ!?」

 

 せつ菜の投げたクッションが、かすみの顔面に直撃する。

 

 生徒会業務を終えた俺達は、そのままスクールアイドル同好会の練習に合流していた。

 

 「かすみさん!?大丈夫ですか!?」

 

 「せつ菜、それかすみやない。屍や」

 

 「誰が屍ですか!」

 

 ガバッと起き上がるかすみ。

 

 あっ、生きてたんだ・・・

 

 「っていうかせつ菜先輩!?いきなり危ないじゃないですか!」

 

 「す、すみません!投げるつもりは無かったんですが、カッコつけてたらつい・・・」

 

 「まぁまぁ、かすみが犠牲になっただけだから良しとしよう」

 

 「天先輩!?全然良しと出来ないんですけど!?」

 

 「かすみに当たったおかげで、後ろで寝てる彼方さんに当たらずに済んで良かったよ」

 

 「天先輩はかすみんと彼方先輩のどっちが大切なんですか!?」

 

 「彼方さん」

 

 「即答!?っていうか彼方先輩は何で寝てるんですか!」

 

 「彼方さんだから」

 

 「・・・納得したくないのに納得です」

 

 「すやぁ・・・」

 

 熟睡している彼方さん。

 

 相変わらず気持ち良さそうに寝てるなぁ・・・

 

 「ほら、練習再開するよ。彼方さんも起きて下さい」

 

 「んぅ・・・」

 

 「あっ、遥ちゃんだ」

 

 「えっ、どこ!?」

 

 「嘘です。ほら、練習やりますよ」

 

 「うぅ・・・嘘つくなんて酷いよ天くん・・・」

 

 落ち込みつつ、寝ていたソファから立ち上がる彼方さん。

 

 やれやれ・・・

 

 「むぅ・・・」

 

 「ん?」

 

 何故かせつ菜が不機嫌そうな表情で俺を見ていた。

 

 「せつ菜?どうした?」

 

 「・・・仲良いですよね。かすみさんや彼方さんと」

 

 「そりゃ同好会の仲間だし」

 

 「しかも『彼方さんが大切』って・・・浮気ですか?」

 

 「あれ、妬いてます?せつ菜さん、妬いてます?」

 

 「ニヤニヤしながらこっち見ないで下さい!」

 

 膨れっ面でそっぽ向いてしまうせつ菜。

 

 やれやれ・・・

 

 「・・・俺にとっての一番はせつ菜だよ」

 

 「っ・・・」

 

 耳元でそう囁くと、せつ菜の顔がカァッと赤く染まる。

 

 可愛いヤツめ。

 

 「おやおや~?」

 

 背後から彼方さんに抱きつかれる。

 

 「同好会の練習中にイチャイチャするなんて、破廉恥ですな~?」

 

 「なっ・・・だ、誰が破廉恥ですかっ!」

 

 「全く、見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうわ」

 

 呆れた表情を浮かべる果林さん。

 

 「バカップルなのは結構だけど、二人きりの時にやってちょうだい」

 

 「頭がバカな人が何か言ってるんですけど」

 

 「天!?喧嘩売ってるの!?」

 

 「そんなわけないでしょ、バ果林さん」

 

 「そ~ら~っ!」

 

 「せつ菜スカーレットストームッ!」

 

 「ごふっ!?」

 

 せつ菜の投げたクッションが、果林さんの顔面に直撃する。

 

 「私の恋人に手を出すことは許しません!」

 

 「良いぞせつ菜、もっとやっちゃえ!」

 

 「くっ・・・こうなったら、全面戦争よ!」

 

 「遊んでないで練習して下さいいいいいいいいいいっ!」

 

 かすみに怒られる俺達なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《せつ菜視点》

 

 「うぅ、まだ顔が痛いわ・・・」

 

 「ゴ、ゴメンなさい・・・ついやりすぎてしまって・・・」

 

 「良いんだよせつ菜ちゃん、果林ちゃんの自業自得なんだから」

 

 「彼方!?自業自得って何よ!?」

 

 果林さんのツッコミ。

 

 練習を終えた私達は、更衣室で着替えているところでした。

 

 「そういえば、前から気になってたんですけど・・・」

 

 かすみさんが会話に加わってきます。

 

 「天先輩って同好会の時、せつ菜先輩のこと『せつ菜』って呼んでますよね?普段からそうなんですか?」

 

 「いえ、普段は『菜々』って呼ばれてますよ。『優木せつ菜』として活動している時は、『せつ菜』って呼んでくれてるんです」

 

 「・・・何かややこしくないですか?」

 

 「アハハ・・・まぁ『優木せつ菜』の正体は秘密ですから」

 

 苦笑する私。

 

 実際、そこは天さんに申し訳ないと思ってるんですよね・・・

 

 状況に応じて呼び方を変えてもらうなんて・・・

 

 「変わったカップルよね、貴女達」

 

 呆れたように言う果林さん。

 

 「天は『中川菜々』と『優木せつ菜』、どっちを好きになったのかしらね?」

 

 「え・・・?」

 

 「いや、だってキャラが全然違うじゃない?天のタイプはどっちゴフッ!?」

 

 「は~い、余計なこと言わな~い」

 

 彼方さんが果林さんの顔面にクッションを投げつけていました。

 

 「果林ちゃんは人のことを心配する前に、自分の心配をしようね~」

 

 「なっ、何よ自分の心配って!?」

 

 「恋愛経験豊富そうに見えて実はゼロなんだから、悪い男の子に騙されないようにしないといけないよ~」

 

 「彼方あああああっ!」

 

 ギャーギャー騒ぐ果林さん。

 

 私は呆然としつつも、先ほどの果林さんの言葉が頭から離れないのでした。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《せつ菜視点》

 

 「・・・菜・・・つ菜・・・せつ菜!」

 

 「・・・はっ!?」

 

 名前を呼ばれていることに気付いて顔を上げると、隣に座っている天さんが心配そうな表情を浮かべてこちらを見ていました。

 

 「大丈夫?何かボーっとしてるみたいだけど・・・」

 

 「す、すみません!ちょっと考え事をしていて・・・」

 

 他の皆さんは帰宅し、部室には私達二人しかいません。

 

 練習終了後は、最終下校時間まで二人で過ごすのがいつもの流れになっているのです。

 

 「ホントに大丈夫?練習は終わったのに、まだ『せつ菜』スタイルだけど・・・」

 

 いつもは練習が終わると、眼鏡をかけて髪を結んで『中川菜々』に戻るんですが・・・

 

 今日の私は、まだ『優木せつ菜』の格好のままでした。

 

 「・・・天さんは、『菜々』の方が好きですか?」

 

 「え・・・?」

 

 「それとも・・・『せつ菜』の方が好きですか?」

 

 「はい・・・?」

 

 首を傾げる天さん。

 

 「天さんが好きになったのは、『中川菜々』ですか?『優木せつ菜』ですか?」

 

 頭の中から離れないその疑問を、思わず天さんにぶつけてしまいます。

 

 天さんが好きになってくれた私が、どちらの私なのか分からない・・・

 

 だからこそ『菜々』に戻れず、『せつ菜』のまま葛藤を続けている・・・

 

 どちらが正解なのか、私には分かりませんでした。

 

 天さんはそんな私を見て、一つ溜め息をつくと・・・

 

 「天、スカーレットストームッ!」

 

 「ごふっ!?」

 

 私の顔面にクッションを叩き込んできました。

 

 「ちょ、何するんですか!?」

 

 「『菜々』は眼鏡してるから遠慮しちゃうけど、『せつ菜』なら遠慮なく叩き込めるわ」

 

 「全く嬉しくないんですけど!?」

 

 「あとストレートに甘えてくる『せつ菜』も良いけど、しおらしく甘えてくる『菜々』ってキュンとするんだよなぁ・・・どっちかを選ぶって難しいね」

 

 「真面目に答えてもらえます!?こっちは真面目に聞いてるんですよ!?」

 

 「いや、結構真面目に答えてるんだけど」

 

 呆れたように言う天さん。

 

 「だって俺、『菜々』も『せつ菜』も大好きだし」

 

 「え・・・?」

 

 「そりゃそうでしょ。それぞれ良いところがあるんだし、比べられるものでもないし。どっち『が』好きとかじゃなくて、どっち『も』好きだよ」

 

 当然と言わんばかりの天さんに、私は思わずポカンとしてしまいます。

 

 「そもそもだけど、『中川菜々』と『優木せつ菜』って同一人物じゃん。別人格とかじゃなくて、一人の人間の違う一面同士じゃん。それなら彼氏である俺が、彼女のどっちの一面も好きなのは自然なことじゃない?」

 

 「っ・・・」

 

 「『菜々』と『せつ菜』のどっちが好きって、『優しいところ』と『明るいところ』のどっちが好きって聞いてるようなもんだよ?大好きな彼女なんだから、そりゃどっちも好きに決まってぇっ!?」

 

 喋っている途中の天さんに、思いっきり抱きつく私。

 

 そのまま力のかぎり抱き締めます。

 

 「ちょ、苦しいんだけど・・・」

 

 「・・・天さんはズルいです」

 

 「はい・・・?」

 

 「いつもいつも、甘い言葉で私を誘惑して・・・」

 

 「誰がいつ誘惑したよ!?」

 

 「この人たらし・・・責任取って下さい」

 

 「理不尽!?」

 

 ギャーギャー喚く天さんの胸に、顔を押し付ける私。

 

 顔から火が出そうなほど恥ずかしくて・・・

 

 でも涙が出そうなほど嬉しくて・・・

 

 こんな顔、天さんには見せられません。

 

 「ありがとう、天さん・・・大好き」

 

 「・・・俺も大好きだよ」

 

 優しく抱き締めてくれる天さん。

 

 お互いに見つめ合い、そっと唇を重ね合わせます。

 

 私の全てを受け入れ、『大好き』と言ってくれる人がいる・・・

 

 その幸せを噛み締めながら、天さんの温もりに身を委ねる私なのでした。




どうも〜、ムッティです。

せつ菜ちゃんの誕生日回を、3ヶ月遅れで投稿させていただきました。

遅れてゴメンよ、せつ菜ちゃん(´;ω;`)

っていうか誕生日回書き切れねえええええ!!!!!

善子ちゃん、千歌ちゃん、梨子ちゃん、ルビィちゃん・・・

うん、無理(絶望)

とりあえずニジガクメンバーは最後まで書き切りたい・・・

アニメに出てきてない栞子ちゃん、ランジュちゃん、ミアちゃんはちょっと除外して・・・

あとは璃奈ちゃんと彼方ちゃん、出来れば侑ちゃんも書きたいなぁ(誕生日不明だけど)

とりあえず本編を最優先にして、次にニジガクメンバー優先でいきたいと思います。

Aqoursメンバーの誕生日回を楽しみにして下さっている方々には大変申し訳ありませんが、時間があれば書くという方針でいきたいと思います。

兎にも角にも、本編を進めねば・・・

それではまた次回!以上、ムッティでした!
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