このフレーズを聴く度に鞠莉ちゃんとダイヤさんが思い浮かんで、自分が『ラブライブ!サンシャイン!!』にハマっていることを実感します。
「・・・つまり設立の許可どころか、申請すらしていないにも関わらず勧誘活動を行なっていたと」
「いやぁ・・・皆勧誘してたんで、ついでというか焦ったというか・・・」
生徒会室にて、黒澤生徒会長の説教を受けている高海先輩。
ちなみに渡辺先輩は手伝っていただけということで、早々にお咎め無しが決まった。
「そして部員は貴女一人だけ・・・部の申請には、最低でも五人必要ということは知っていますわよね?」
「だから勧誘してたんじゃないですか~♪」
高海先輩の答えにイラッとしたのか、バンッと机を叩く会長。
「・・・いったぁ」
と思ったら、叩いた手を痛そうに擦っていた。え、ドジっ子?
「・・・ぷっ」
「笑える立場ですの!?」
「ひぃ!?すいません!」
噴き出した高海先輩だったが、会長に怒られて慌てて謝る。
「とにかく、スクールアイドル部の設立は認められませんわ」
「・・・そうですか。じゃあ、五人集めてまた来ます」
一礼して去ろうとする高海先輩。その背中に、会長が非情な言葉を投げかけた。
「それは別に構いませんけど・・・例えそれでも承認は致しかねますがね」
「なっ!?どうしてですか!?」
慌てて会長に詰め寄る高海先輩。会長は冷たい目で高海先輩を見ていた。
「私が生徒会長でいるかぎり・・・スクールアイドル部は認めないからです!」
「ええええええええええっ!?」
悲鳴を上げる高海先輩。
「そ、そんな横暴な!?」
「落ち着いて千歌ちゃん!?」
尚も会長に詰め寄ろうとする高海先輩を、後ろにいた渡辺先輩が必死に止める。
「とりあえず一回戻ろう!失礼しました!」
「ちょ、離して曜ちゃん!?」
渡辺先輩は慌てて一礼すると、暴れる高海先輩を引きずって生徒会室を後にした。
「・・・入学初日から見苦しい姿をお見せして、申し訳ありません」
「大丈夫ですよ」
苦笑しながら答える俺。
「何だか少し・・・懐かしい光景でしたから」
「懐かしい?」
「いえ、こっちの話です」
俺は会長に向き直り、改めて一礼する。
「改めまして、絢瀬天です。これからお世話になります」
「いえいえ、こちらこそ」
優しい笑みを浮かべる会長。
「さて・・・今さら確認するまでもないことですが、絢瀬さんはこの学校で唯一の男子生徒ということになります」
会長が説明を始める。
「最初に念を押しておきますが、不純な行動は絶対に許しません。それを肝に銘じておくように」
「分かりました」
要はセクハラとかするなってことか・・・まぁするつもりも無いので問題無い。
え?自称・堕天使?堕天使は人間じゃないし、セクハラにならないから。
「・・・まぁ、誰かと交際するのは絢瀬さんの自由ですので。校内で破廉恥な行動をしないかぎり、私が何か言うことはありませんわ。ですが学生という立場上、節度を持った交際をしていただかないと困りますわね」
どうやら会長は、結構お堅い人物のようだ。
ひょっとして、名家の令嬢とかなのではないだろうか・・・
「まぁそこは気を付けていただくとして・・・とりあえず絢瀬さんには、生徒会に所属していただくことになります。そこで生徒会の仕事をしてもらいつつ、学校に慣れていただきたいのです。勿論、私も全力でサポートさせていただきますので」
「心強いです」
これは偽らざる本音だった。男子生徒が一人しかいない環境で、生徒会長のサポートがあるのは正直嬉しい。
「とまぁ、説明することと言ったらこれぐらいなのですが・・・絢瀬さんの方から何か質問等はありますか?」
「そうですねぇ・・・」
今のところ、これといって気になることもない。強いて言うなら・・・
「質問というか・・・お願いでも良いですか?」
「何でしょう?」
「出来たらで良いんですけど・・・苗字じゃなくて、名前で呼んでいただきたいなと」
「はい?」
首を傾げる会長。そりゃそういう反応するよね・・・
「いえ、大した理由は無いんです。今までずっと周りから、名前で呼ばれることが多かったので・・・これから生徒会でお世話になるわけですし、出来ればそうしていただけると嬉しいかなぁって」
本当に大した理由じゃないよな、コレ。そんなことを思っていると・・・
「・・・フフッ」
会長が急に笑い出す。あれ、何かおかしいこと言ったかな・・・
「あぁ、ごめんなさい。恐る恐るといった感じでしたので、何をお願いされるのかと思ったら・・・そんなことで良いんですの?」
会長はひとしきり笑うと、立ち上がって手を差し出してきた。
「これからよろしくお願いしますわね・・・天さん」
ニッコリと笑う会長。どうやら、思ったほどお堅い人では無かったらしい。
俺は差し出された手を握った。
「よろしくお願いします、会長」
「ダイヤ、で結構ですわ」
「え?」
思わず驚いてしまう。まさか会長からそんなことを言われるとは・・・
「あら、私だけ名前で呼ばせるつもりですの?」
悪戯っぽく笑う会長。こんな表情もする人なんだな・・・
「・・・まさか。よろしくお願いします、ダイヤさん」
「よろしい」
満足気な笑みを浮かべるダイヤさんなのだった。
*****
「・・・落ち着かないなぁ」
自分の席に座り、溜め息をつく俺。その原因は・・・
「「「「「じ~っ・・・」」」」」
クラスの女子達からの視線だった。
ダイヤさんとの話が終わった後、入学式に出席したのだが・・・唯一の男子生徒ということで、その時点で周りからの注目を集めていた。
そして入学式終了後、教室に移動してもこうして好奇の視線に晒されている。ある程度予想はしていたが、これは想像以上に気まずい。
どうしたものかと頭を悩ませていると・・・
「これ、食べるずら?」
「あ、どうも・・・」
左の席の女の子が、美味しそうな飴を差し出してくれる。俺はお礼を言いながらそれを受け取って・・・
ずら?
「え、ずら丸!?いつの間に!?」
「今頃気付いたずら!?」
俺の左隣の席に座っていたのは、俺をルビィちゃんとやらの『ばくおんぱ』から守ってくれたずら丸だった。
「同じクラスだったんだ!?」
「そもそも一クラスしかないずら」
「あ、そうだった・・・」
この学校は生徒数が少ないから、各学年一クラスずつしかないんだっけ・・・
「っていうか、マルの名前はいつから『ずら丸』になったずら?」
「いや、何となく思いついたあだ名なんだけど・・・花丸っていうんだっけ?」
「うん、国木田花丸ずら」
「そっか、よろしくずら丸」
「無視ずら!?」
何だろう、何故か『ずら丸』ってしっくりくるんだよね・・・
「あ、俺は絢瀬天。天でいいからね」
「じゃあ『そらまる』で・・・」
「うん、それはダメ」
何かよく分かんないけど、それは誰かと被ってる気がするのでダメだ。
「あれ、ちょっと待って・・・一クラスしかないってことは、ルビィちゃんとやらと自称・堕天使も同じクラス?」
「ルビィちゃんならここにいるずら」
「ぴぎっ!?」
後ろの席を指差すずら丸。そこには、縮こまって涙目で座っているルビィちゃんとやらの姿があった。
「えーっと・・・よろしくね?」
「ぴ、ぴぎぃ・・・」
震えているルビィちゃんとやら。俺、嫌われてるのかな・・・
「げ、元気出すずら!そのうち慣れるずら!」
落ち込む俺を見て、ずら丸が慌てて励ましてくれる。良い奴だな、ずら丸・・・
「あ、ちなみに善子ちゃんならあそこずら!」
ずら丸が指差した方を見ると・・・今朝の痛々しい振る舞いとは打って変わって、優雅に笑みを浮かべて席に座っている自称・堕天使がいた。
「・・・誰?」
「一応善子ちゃんのはず・・・ずら」
なるほど、黙っていれば美少女だな・・・
そんなことを考えていると、先生が教室に入ってきた。
「は~い、席に着いて下さいね~」
のんびりとした口調で呼びかける先生。
「コホンッ。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。このクラスの担任を務めることになりました、赤城麻衣です。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる赤城先生。
「それではまず、皆さんにも自己紹介をしてもらいたいと思います。とりあえず出席番号順で・・・絢瀬くん、お願い出来ますか?」
「え、俺が出席番号一番ですか!?」
何てこった・・・全然気付かなかった・・・
「確かに入学式の列は先頭だったし、教室でも一番端の列の一番前の席だけど・・・まさか一番だったなんて・・・」
「逆に何で気付かなかったずら!?」
ずら丸のツッコミ。いやホント、何で気付かなかったんだろう・・・
席を立ち上がって教壇に立つと、クラス中の視線が俺に突き刺さった。
や、やり辛い・・・
「・・・初めまして、絢瀬天です。この学校で唯一の男子ということで、色々とご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが・・・仲良くしてもらえると嬉しいです。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる。すると・・・
「よろしくずら~!」
ずら丸が笑顔で拍手してくれた。後ろにいるルビィちゃんとやらや、すまし顔をしていた自称・堕天使もおずおずと拍手してくれている。
それをキッカケに、他の皆も笑みを浮かべて拍手してくれた。
「よろしくね~!」
「よっ、唯一の男子!」
あっ、ヤバい泣きそう・・・皆が温かくて泣きそう・・・
「良かったずらね、天くん」
席に戻ると、ずら丸が笑顔で出迎えてくれた。天使や・・・
「・・・ありがとう、ずら丸。ルビィちゃんとやらもありがとね」
「・・・ぴぎっ」
恐る恐る小さく頷くルビィちゃんとやら。
自称・堕天使の方にも口パクで『ありがとう』と伝えると、照れたように顔をふいっと背けてしまった。素直じゃないだけで、本当は良い子なんだろうな・・・
その後も自己紹介は続いていき、ずら丸やルビィちゃんとやらの自己紹介も終わった。
そして・・・
「フッ・・・堕天使ヨハネと契約して、貴女も私のリトルデーモンになってみない?」
自称・堕天使が思いっきりやらかした。クラスの皆が唖然とする中、やらかしたと気付いた自称・堕天使の表情が強張る。
「ピ・・・ピ~ンチッ!?」
教室から逃走していていく自称・堕天使。
「・・・リトルデーモンって何?」
「・・・オラには分からないずら」
「・・・ぴぎぃ」
それを呆然と見送る俺、ずら丸、ルビィちゃんとやらなのだった。
どうも~、ムッティです。
ノリと勢いで書き始めたこの小説ですが、早くもお気に入りに登録してくださった方々がいらっしゃいます。
本当にありがとうございます。
執筆はある程度まで進んでいるので、今後も続けていきたいところです。
とりあえず早くヒロインを決めてイチャつかせたい。
その為に書いていると言っても過言ではないです←
皆さん、これからもこの作品をよろしくお願い致します。
それではまた次回!以上、ムッティでした!