いやぁ…あれはヤバい。
絵は綺麗だし、ストーリーには引き込まれるし…
何より演奏シーンが圧巻すぎて鳥肌が立ちました。
またアニメ見たいなぁ…
「じゃあ曜さんと俺で、ドアと窓を拭いていきましょうか」
「ヨーソロー!」
「千歌さんは棚拭きを、梨子さんは床拭きをお願いします」
「オッケー!」
「分かったわ」
体育館の中にある一つの部屋を、手分けしながら掃除している俺達。
ファーストライブで会場を満員にしたことで、小原理事長は約束通りスクールアイドル部の設立を承認してくれた。それと同時に部室として与えられたのが、今俺達が掃除しているこの部屋なのだが・・・
長い間使われていなかったらしく、完全な物置部屋と化していたのだ。まずは掃除しないと使えないということで、こうしてせっせと掃除しているというわけである。
「あの腐れ成金理事長・・・ホント覚えてろよ・・・」
「アハハ・・・」
恨み言を呟く俺に、曜さんが苦笑していた。
ライブの時に発電機のセットを手伝ってくれたとはいえ、お礼なんて言うべきじゃなかったな・・・
「曜さん、デ●ノート持ってません?小原理事長の名前を書き込みたいんですけど」
「持ってるわけないじゃん!?何ちょっと物騒なこと言ってるの!?」
「じゃあちょっとリュ●ク探してきて下さいよ。多分リンゴで釣れると思うんで」
「死神を魚みたいに釣れるわけないでしょ!?っていうか、そもそもデスノ●トに触れなきゃ見えないよねぇ!?」
「曜さんならいけますって。ヨーソローパワーで」
「ヨーソローパワーって何!?」
そんな会話をしているうちに、部室内の掃除を終えることが出来た。部室にあった荷物の整理も済ませてあるので、後は机や椅子等を再び配置するだけだ。
「千歌さん、ホワイトボードお願いします」
「はーい!」
廊下に出してあったホワイトボードを引っ張ってくる千歌さん。と、何やら首を傾げている。
「このホワイトボード、何か書いてあるよ?」
「ホワイトボードに名前を書かれた人間は死ぬって?」
「まだデス●ートのネタを引きずるの!?」
千歌さんのツッコミを受けつつ、ホワイトボードに視線を向ける。確かにホワイトボードいっぱいに、消えかかった文字で何かが書かれていた。
これは・・・
「ひょっとして・・・曲の歌詞?」
「そうみたいね」
俺の肩越しにホワイトボードを覗きこんだ梨子さんが頷く。
「でも、こんな歌詞の曲知らないわね・・・」
「私も知らないなぁ・・・ひょっとして、オリジナルの曲だったりして」
「誰かが作詞してたってこと?」
「そうかもしれないわね」
梨子さん達が話している中、俺はホワイトボードに書かれていた文字を見つめていた。
この筆跡には見覚えがある。もし本当にあの人が書いたものだとしたら、色々と疑問に思っていたことにも説明がつくな・・・
「天くん?どうしたの?」
「いえ、何でもないです」
梨子の問いに笑って返す俺。
あくまでも推測でしかないし、俺が踏み込み過ぎるのも良くないだろうな・・・
「千歌さん、ホワイトボードも拭いちゃって下さい」
「え、文字が消えちゃうけど良いの?」
「えぇ。このままじゃ使えないですし、汚れも目立ちますからね」
「了解!」
千歌さんがホワイトボードを拭いていき、文字が完全に消えてしまう。
まぁ、今はこれで良いかな・・・
「じゃあ梨子さんと俺で、机と椅子を運びましょうか」
「えぇ、そうしましょう」
「曜さん、運んできた机と椅子の表面を拭いてもらって良いですか?」
「お任せあれ!」
「あ、じゃあついでに●スノートも・・・」
「それは任せないで!?」
悲鳴を上げる曜さんなのだった。
*****
「失礼しまーす」
段ボール箱を抱え、図書室へとやってきた俺達。受付に花丸が座っていた。
「あれ?天くん?」
「お、花丸じゃん。今日は当番の日?」
「ずら」
頷く花丸。と、俺の後ろから千歌さんがひょっこり顔を覗かせる。
「おぉ、花丸ちゃん!」
「こんにちは」
「そしてルビィちゃん!」
「ぴぎゃあっ!?」
受付の側に置いてある送風機の陰に、しゃがんで隠れていたルビィちゃんを千歌さんが発見する。恐らく花丸と話している時に俺達がやって来たから、咄嗟に隠れようとしたんだろうけど・・・
ルビィちゃん、そのしゃがみ方はあまりよろしくないと思う。スカートの中がバッチリ見えてるから。パンツ丸見えだから。
「・・・天くん?」
「そんな目で見ないで下さい。今のは不可抗力です」
梨子さんが冷たい目でこっちを見ていた。理不尽や・・・
「不可抗力といえば、梨子さんの時も・・・」
「今すぐ記憶から消しなさい」
「アッハイ」
女帝・桜内梨子、ここに爆誕。俺は梨子さんには逆らえそうにないな・・・
「あ、これ部室にあったんだけど・・・図書室の本じゃないかな?」
段ボール箱を受付の机に置く曜さん。部室の荷物を整理していた時に見付けたので、ここまで持ってきたのだ。
花丸が手に取ってチェックする。
「あぁ、多分そうです。わざわざありがとうございまs・・・」
「スクールアイドル部へようこそ!」
「ずら!?」
「ぴぎぃっ!?」
強引に割り込んできた千歌さんが、花丸とルビィちゃんの手を握る。
「正式に設立されたし、絶対悪いようにはしないから!二人が歌ったら絶対キラキラする!間違いない!」
「アンタの対応が間違いだわ」
「あたっ!?」
千歌さんの頭を容赦なく引っ叩く。ホントにこの人は・・・
「その辺にしておかないと、マジでしばきますよ?」
「もうしばかれてるんですけど!?男の子が女の子を引っ叩くってどうなの!?」
「男女平等です」
「こういう場面で使う言葉じゃないと思うよ!?」
「とにかく、強引な勧誘はダメです。二人とも戸惑ってるでしょう」
「す、すみません・・・マル、そういうの苦手っていうか・・・」
「ル、ルビィも・・・」
恐縮しながら断る二人。千歌さんは残念そうに苦笑していた。
「アハハ、そっかぁ・・・ゴメンね、つい・・・」
「あっ、いえ・・・」
どこか複雑そうな表情をしているルビィちゃん。そんなルビィちゃんを、花丸が心配そうに見つめている。
あれ、もしかしてルビィちゃん・・・
「千歌ちゃん、そろそろ帰ろう?」
「あ、うん。そうだね」
曜さんに声をかけられ、千歌さんが頷く。
今日は部室の掃除に時間を費やしてしまったので、練習は休みにしようということになったのだ。
「あ、千歌さん達は先に帰って下さい」
「あれ?天くん帰らないの?」
「えぇ。せっかくなので、ちょっと調べ物をしてから帰ります」
「了解。じゃあまた明日!花丸ちゃんとルビィちゃんもまたね!」
三人が図書室を出て行く。さて・・・
「ルビィちゃん、俺の勘違いだったら申し訳ないんだけど・・・ひょっとして、スクールアイドルやりたいんじゃない?」
「っ・・・!」
息を呑むルビィちゃん。
「ど、どうして・・・」
「千歌さんの誘いを断った時の表情が・・・よく似てたから」
「似てたって・・・誰に?」
「俺の知り合い。その子は自分に自信が無くて、本当はやりたいのに『やりたい!』って言えなくて・・・凄く悩んでたんだよね」
「・・・まるでルビィちゃんずらね」
苦笑する花丸。
「天くんはこう言ってるけど・・・ルビィちゃんはどう思ってるずら?」
「・・・やってみたい気持ちはある」
俯くルビィちゃん。
「でも・・・お姉ちゃん、スクールアイドルが嫌いになっちゃったから。多分、反対されると思う」
「ダイヤさんか・・・嫌いになっちゃったってことは、元々は好きだったの?」
「うん。お姉ちゃん、昔はスクールアイドルが大好きで・・・一緒にμ'sのマネして、歌ったりしてたんだ。でも高校に入ってしばらく経った頃から、スクールアイドルが嫌いになっちゃったみたいで・・・」
「嫌いに、ねぇ・・・」
ダイヤさんが今でもスクールアイドル好きなのは間違いない。でも千歌さんをはじめ、スクールアイドルをやりたいと言った人達に頑なな態度をとってきたのも事実だ。
その原因は、恐らく・・・
「・・・本当はね、ルビィも嫌いにならなきゃいけないんだよ。スクールアイドル」
悲しそうに言うルビィちゃん。
「お姉ちゃんが嫌いっていうものを、好きなままじゃいけないんだけど・・・」
「・・・嫌いになれないんでしょ?ルビィちゃん、スクールアイドル好きだもんね」
「・・・うん」
ルビィちゃんは俺の問いに頷くと、花丸の方を見た。
「花丸ちゃんは興味無いの?スクールアイドル」
「マル!?無い無い!運動苦手だし、オラとか言っちゃうし・・・」
「・・・そっか。じゃあルビィも平気」
力なく笑うルビィちゃんを、悲しそうな表情で見つめる花丸なのだった。
どうも~、ムッティです。
今回からアニメ一期の第四話へと入っていきます。
ここからはなまるびぃの二人の登場が多くなる…はず(笑)
相変わらず不定期の投稿にはなりますが、これからもこの作品をよろしくお願い致します。
それではまた次回!以上、ムッティでした!