今回は短めですが、よろしくお願いします。
「ずらぁ・・・」
帰りのバスの中で、俺にもたれかかってくる花丸。ちなみにルビィちゃんは用事があったらしく、一足先に帰ってしまった。
「ルビィちゃん、絶対スクールアイドルやりたいずら。間違いないずら」
「まぁそうだろうね」
自分に自信が無いことと、ダイヤさんに反対されるだろうということ・・・この二つが原因で、ルビィちゃんは自分の気持ちに蓋をしてしまっている。
でも・・・
「多分ダイヤさんは・・・反対しないんじゃないかな」
「どうしてそう思うずら?」
「ルビィちゃんが自分で決めたことなら、それを尊重してくれる人だと思うから。あくまでも個人的な考えだけどね」
そう考えると、問題はルビィちゃん自身がどうするか・・・一歩踏み出すことが出来るかどうかだと思う。
でも今のルビィちゃんは、恐らくその選択をしないだろうな・・・
「となると、俺達の選択肢は二つに限られるかな」
「黙って見守るか、背中を押すか・・・ずらね」
「そういうこと」
まぁ、花丸が選ぶとしたら・・・
「勿論、背中を押すずら」
「言うと思ったよ」
笑いあう俺達。
出会ってからそんなに時間は経ってないけど、花丸が友達思いなのはよく知ってる。ここで動かないという選択肢を、花丸が選ぶわけがない。
「でも背中を押すって言っても、強引過ぎるのは良くないよね・・・どうやってルビィちゃんの気持ちを動かすべきか・・・」
「実は一つ、マルに考えがあるずら」
「マジで!?」
まさかもう方法を考えているとは・・・
「天くん・・・マルをスクールアイドル部に入れてほしいずら」
「・・・え?」
唖然としてしまう俺なのだった。
*****
「体験入部?」
首を傾げる千歌さん。
翌日の昼休み・・・俺は二年生の教室に出向き、千歌さん達に事情を説明していた。
「えぇ、花丸とルビィちゃんがやってみたいって」
「体験入部って、要はお試しってことだよね?自分に合ってたら入るし、合わなかったら入らないって感じかな?」
「ですね。二人とも興味はあるみたいで、実際にやってみて判断したいらしいです」
曜さんの問いに頷く俺。
今朝ルビィちゃんにも話したところ、『花丸ちゃんがやるなら』ということでオッケーをもらっている。
「き、奇跡だよ・・・!」
目をキラキラ輝かせる千歌さん。
「これで二人が入ってくれたら・・・!」
「でも昨日、こういうのは苦手って言ってなかったかしら・・・?」
首を傾げる梨子さん。
「それが急にどうして・・・」
「思春期だからです」
「いや、それは別に関係ないんじゃ・・・」
「思春期だからです」
「わ、分かった!分かったから!」
額がくっつくほど梨子さんに顔を近付けて、勢いで無理矢理押し通す。
こういう時、勘の鋭い人って厄介だなぁ・・・
「そういうわけで、今日の放課後は二人が体験入部に来ますから。後のことはよろしくお願いします」
「あれ?天くんは?」
「残念ながら、今日は生徒会なんですよ」
ルビィちゃんのことは花丸に任せて、俺は別の仕事を請け負っている。
さて・・・
「果たしてどうなるかな・・・」
「「「?」」」
俺の呟きに首を傾げる三人なのだった。
*****
「ふぅ・・・今日の仕事はこれで終了ですわ」
「お疲れ様です」
息を吐くダイヤさん。
生徒会の仕事も終わり、後は帰るだけなのだが・・・
「ダイヤさん、この後少し時間ありますか?」
「えぇ、大丈夫ですけれど・・・何か?」
「これからデートしません?」
「デ、デート!?」
ダイヤさんの顔が赤くなる。
「そ、そんな破廉恥な・・・!」
「どんだけ初心なんですか・・・」
ダイヤさんの恋愛経験はゼロということが判明した瞬間だった。
「まぁデートっていうのは冗談で・・・実はダイヤさんにご相談がありまして」
「じょ、冗談って・・・まぁ良いですけれど。それで、相談というのは?」
「ルビィちゃんのことです」
「ルビィの・・・?」
首を傾げるダイヤさん。
「えぇ。ルビィちゃんとは同じクラスっていうこともあって、仲良くさせてもらってるんです」
「ルビィからも、天さんの話は聞いてますわ。あのルビィが男の人と仲良くしてるなんて、私も驚いたのですけれど・・・ハッ!?」
そこで急に息を呑むダイヤさん。
「ま、まさか天さん・・・私の愛する妹に手を出して・・・!?」
「内浦の海に沈みたいんですか?」
「怖いですわよ!?」
このシスコン生徒会長・・・あんな天使みたいな子に手を出せるわけないでしょ。
「とりあえず外に出ましょうか。見てほしいものもありますし」
「見てほしいもの・・・?」
訝しげなダイヤさんに、俺は笑みを向けるのだった。
「えぇ、見てあげて下さい・・・愛する妹の頑張る姿を」
*****
「・・・どういうことですの?」
驚いているダイヤさん。
俺達は今、学校の屋上に来ているのだが・・・
「ワン、ツー、スリー、フォー!」
そこでは今、ルビィちゃんと花丸がダンスの練習をしているところだった。曜さんがカウントをとり、手を叩いている。
「少しズレてるよ!テンポを意識して!」
「はいっ!」
「ずらっ!」
真剣に練習している二人を、俺とダイヤさんは階段の陰から覗いていた。
「何故ルビィがスクールアイドル部に・・・?」
「体験入部ですよ」
説明する俺。
「ルビィちゃん、スクールアイドル好きじゃないですか。それで興味を持ってくれたみたいで、花丸と一緒に体験入部することになったんです」
「ルビィが・・・スクールアイドル・・・」
じっとルビィちゃんを見つめるダイヤさん。その表情は、どこか複雑そうだった。
「・・・反対ですか?」
「え・・・?」
「ルビィちゃんがスクールアイドルをやること・・・ダイヤさんは反対ですか?」
「私は・・・」
俯くダイヤさん。やはりダイヤさんとしては、ルビィちゃんが心配なんだろう。
「とりあえず、もう少し見てあげて下さい。ルビィちゃんの頑張ってる姿を」
ダンスの練習に打ち込むルビィちゃんは、どこか活き活きとした様子だった。スクールアイドルとしての練習が出来ることに、楽しさを覚えているのかもしれない。
そしてもう一人・・・
「花丸ちゃん、良い感じだよ!その調子で頑張って!」
「ずらっ!」
「・・・楽しそうじゃん、花丸」
笑顔で練習する花丸を見て、俺は口元を緩ませるのだった。
どうも~、ムッティです。
前書きでも述べましたが、投稿間隔が空いてしまって申し訳ございません・・・
なかなか執筆が進まなくて・・・
今後も投稿間隔が空いてしまうことがあるかと思いますが、温かい目で見守っていただけると幸いでございます。
ちなみに次の話は明日投稿しますので、お楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!