絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

25 / 173
梅雨ってホントに憂鬱・・・

暑い上に雨とか最悪すぎる・・・


自分を変えるというのは簡単ではない。

 「な、何がどうなっているずら・・・」

 

 「ぴぎぃ・・・」

 

 唖然としている花丸とルビィ。

 

 その視線の先では、よっちゃんがクラスメイト達とにこやかに会話していた。

 

 「善子ちゃん、キャラが全然違うずら・・・」

 

 「堕天使ヨハネは封印して、優雅な女子高生でいくらしいよ。『あの時みたいな過ちは犯さないわ!』って意気込んでたけど」

 

 「確かに似合ってるよね。津島さん美人だし」

 

 そんなことを言うルビィ。

 

 確かによっちゃんは美人だし、何も知らない人なら違和感も無くあのよっちゃんを受け入れるだろうな。

 

 「でも善子ちゃんの中で堕天使ヨハネは、自分の一部として昇華されてるはずずら。それを完全に封印できるとは思えないずら」

 

 「俺もそう思うんだよね・・・」

 

 そんな俺達の会話をよそに、よっちゃん達は楽しそうに談笑を続けていた。

 

 「ねぇねぇ、津島さんって趣味とか無いの?」

 

 「し、趣味・・・?」

 

 あ、よっちゃんが詰まった。ここで堕天使関連のことを口には出来ない・・・

 

 さて、どうする?

 

 「う、占いをちょっと・・・」

 

 「ホント!?」

 

 「すごーい!」

 

 色めきたつクラスメイト達。よっちゃん、占いなんて出来たのね・・・

 

 「私占ってくれる!?」

 

 「私も私も!」

 

 「良いよ!」

 

 笑顔で答えるよっちゃん。皆が盛り上がってくれたのが嬉しかったらしい。

 

 「今占ってあげるね!」

 

 よっちゃんはそう言うと・・・おもむろに黒い衣装に身を包み、魔法陣のようなものが書かれた布を床に広げ始めた。

 

 えっ・・・

 

 「これで良し!」

 

 シニヨンに黒い羽を刺し、蝋燭を取り出してクラスメイトに差し出すよっちゃん。

 

 「はい、火をつけてくれる?」

 

 「へっ?あ、うん・・・」

 

 よっちゃんから渡されたチャッカマンで、蝋燭に火をつけるクラスメイト。

 

 学校に何を持ってきてんのよっちゃん・・・

 

 「天界と魔界に蔓延る遍く精霊、煉獄に堕ちたる眷属達に告げます。ルシファー、アスモデウスの洗礼者・・・堕天使ヨハネと共に、堕天の時が来たのです!」

 

 「・・・どこが占い?」

 

 思わずツッコミを入れてしまう俺。よっちゃんは正気に戻ったのか、大量の冷や汗をかいていた。

 

 あーあ・・・

 

 「ピ・・・ピ~ンチッ!?」

 

 教室から逃走していく堕天使・・・あれ、何かデジャヴだわ。

 

 「皆さ~ん、席に着いて・・・って津島さん!やっと登校してきてくれたんですね!」

 

 「うわああああああああああんっ!」

 

 教室に入ってこようとした赤城先生を押し退け、ダッシュで逃げて行くよっちゃん。

 

 「ちょ、津島さん!?どこへ行くんですか!?」

 

 「赤城先生、ストップ」

 

 追いかけようとする赤城先生の肩を掴む俺。

 

 「絢瀬くん!?何があったんですか!?」

 

 「何も無いですよ。自爆テロがあっただけです」

 

 「重大事件が発生してるじゃないですか!?怪しげな黒い布と火のついた蝋燭があるのは何でですか!?」

 

 「犯人の遺品です。花丸、蝋燭の火消して」

 

 「了解ずら」

 

 蝋燭の火を吹き消す花丸。さて・・・

 

 「とりあえず犯人を捕まえてくるんで、先生はそれを使って占いでもやってて下さい」

 

 「占い!?これで占い!?」

 

 ツッコミを連発している赤城先生をスルーして、よっちゃんを捕獲すべく教室を飛び出した俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「どうして止めてくれなかったのよおおおおおっ!?」

 

 部室の机の下で体育座りをしながら、両手で顔を覆っているよっちゃん。

 

 あの後すぐによっちゃんを捕獲したものの、本人が教室に戻ることを頑なに拒否。

 

 仕方ないので保健室で預かってもらい、昼休みによっちゃんの気分転換を兼ねて部室に連れてきたのだった。

 

 「いやぁ、あんな物を持ってきてるとは思わなくて・・・」

 

 「私は中学の時まで、『自分は堕天使だ』と思ってた重度の中二病患者よ!?舐めんじゃないわよ!」

 

 「何で偉そうにしてるずら・・・」

 

 呆れている花丸。っていうか、重度の中二病患者っていう自覚はあるのね・・・

 

 「つまり、中学の頃の癖が抜け切ってないってこと?」

 

 「・・・そういうこと」

 

 ルビィの問いに頷くよっちゃん。

 

 「分かってるの、自分が堕天使のはずなんてないって・・・そもそもそんなもんいないんだし・・・」

 

 「だったらどうしてあんな物学校に持って来たの?」

 

 机の上に置かれた蝋燭や黒い布を見る梨子さん。

 

 「それはまぁ、ヨハネのアイデンティティみたいなもので・・・あれが無かったら、私は私でいられないっていうか・・・ハッ!?」

 

 ヨハネ化しかけたところで、ハッと我に返るよっちゃん。

 

 堕天使ヨハネは、本当によっちゃんの一部として昇華されているらしい。

 

 「・・・何か心が複雑な状態にあるということは、よく分かった気がするわ」

 

 溜め息をつく梨子さん。難儀だなぁ・・・

 

 「だね。実際今でも、ネットで占いやってるみたいだし」

 

 曜さんがパソコンを操作し、ある動画を再生する。

 

 そこに映っていたのは、堕天使の衣装に身を包んだよっちゃんだった。

 

 『フフッ、またヨハネと堕天しましょ・・・?』

 

 「うわあああああっ!?」

 

 慌ててパソコンを閉じるよっちゃん。あの無駄に凝った衣装は、これに使う為の物だったのね・・・

 

 「とにかくっ!私は普通の高校生になりたいのっ!」

 

 「普通になる理由は何があるんでしょうか?堕天使じゃダメなんでしょうか?」

 

 「蓮●かっ!『2位じゃダメなんでしょうか?』みたいに言わないでくれる!?」

 

 「んー、じゃあ俺のことを『お兄様』って呼んでみたら?」

 

 「それ『魔●科高校の劣等生』でしょうが!」

 

 「いや、妹の方だから優等生でしょ」

 

 「どっちでも良いわ!そもそもあの兄妹のどこが普通の高校生なのよ!?」

 

 「自分のことを『堕天使ヨハネ』とか名乗らないところだよ」

 

 「うわあああああん!?」

 

 机に突っ伏すよっちゃん。やれやれ・・・

 

 「そんなに普通の高校生になりたいの?」

 

 「なりたいに決まってるでしょ!?」

 

 涙目でずいっと俺に顔を近付けてくるよっちゃん。

 

 「天ぁ・・・何とかしてよぉ・・・!」

 

 「はいはい、泣かないの」

 

 よっちゃんの頬に手を当て、目元の涙を親指で優しく拭う。

 

 よっちゃんを普通の高校生にねぇ・・・

 

 「・・・可愛い」

 

 「え・・・?」

 

 ボソッと呟く声が聞こえる。振り向くと、千歌さんがパソコンに映し出されたよっちゃんをマジマジと見つめていた。

 

 「千歌さん・・・?」

 

 「これだ・・・これだよっ・・・!」

 

 千歌さんは勢いよく立ち上がると、よっちゃんの手を力強く握った。

 

 「津島善子ちゃん・・・いや、堕天使ヨハネちゃん!」

 

 目をキラキラ輝かせている千歌さん。あっ、これは・・・

 

 「スクールアイドル、やりませんか!?」

 

 「・・・え?」

 

 「・・・言うと思った」

 

 訳が分からないといった表情のよっちゃん。その隣で溜め息をつく俺なのだった。




どうも~、ムッティです。

今回はちょっと短めでした。

果たしてよっちゃんは普通の高校生になれるのか・・・

個人的には●舫さんの有名な言葉を出せたので満足です(笑)

それではまた次回!以上、ムッティでした!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。