ダイヤさん推しの方々、大変申し訳ありません・・・
翌日・・・
『ハァイ♪伊豆のビーチから登場した待望のニューカマー、ヨハネよ。皆で一緒に・・・堕天しない?』
『『『『『しない?』』』』』
「・・・やってしまった」
落ち込んでいる梨子さん。
『とりあえずやってみよう』という千歌さんの号令により、堕天使アイドルっぽい感じでPR動画を撮影したのだが・・・
「何というか・・・よっちゃん以外似合ってませんね、このキャラ」
「そう?結構カッコ良くない?」
ウキウキしている千歌さん。
撮影した動画は既にネットにアップしており、俺達は部室でその反響を確かめているところだった。
「えーっと、Aqoursの順位は・・・953位です」
「嘘!?」
「ホントに!?」
慌ててパソコンに群がる皆。一気に上がったな・・・
「コメントもたくさん来てますね。『ルビィちゃんと一緒に堕天する!』、『ルビィちゃん最高!』、『ルビィちゃんのミニスカートがとても良いです!』、『ルビィちゃんの笑顔が素敵すぎる!』、『ルビィちゃん、ハァハァ・・・』」
「いやぁ、そんなぁ・・・」
照れているルビィ。こうしてみると、ルビィの人気が凄いな・・・
最後のコメントは通報して良いと思うけど。
「まぁ確かに、このPR動画を見たらこうなるよなぁ・・・」
俺はもう一つの動画を再生する。そこには・・・
『ヨハネ様のリトルデーモン四号、黒澤ルビィです・・・一番小さい悪魔だけど・・・可愛がってね?』
モジモジしながらポーズを決める、衣装に身を包んだルビィの姿があった。
「・・・・・」
「そ、天くん?何で無言でルビィの頭を撫でてるの?」
「いや、何かもう可愛すぎて・・・俺の妹にならない?」
「同い年だよねぇ!?」
ヤバいわこの子、破壊力抜群だわ。ハートをズッキュンされたわ。
一方千歌さんは、ランキングが上がったことにテンションが上がっていた。
「凄いじゃん!堕天使アイドルいけるよ!」
「フッ・・・堕天使ヨハネの力をもってすれば、これくらい造作も無いこと・・・」
「オイそこの堕天使、普通の高校生になりたい願望はどこへいった?」
「ハッ!?」
正気に戻るよっちゃん。全く・・・
「だから言ったでしょう。ランキングは上がるって」
「うん、メッチャ上がったね!」
「そしてこうも言ったはずです。それは一時的なものだと」
千歌さんに釘を刺しておく。
「このまま本格的に堕天使アイドルでやっていくのかは、よく考えた方が良いですよ。昨日も言いましたけど、目先のことだけ考えて動くと後々痛い目を見ますからね」
「天くん・・・ルビィちゃんを撫でながら言われても、説得力が無いんだけど」
「・・・やめられない、とまらない」
「か●ぱえびせん!?」
髪がサラサラで、撫でていてとても心地良い。
これはヤバい・・・あっ。
「ヤバいといえば・・・そろそろかな」
「何が?」
首を傾げるルビィ。その時、校内放送が流れた。
『スクールアイドル部!今すぐ生徒会室に来なさい!』
ダイヤさんの怒声が流れる。皆冷や汗ダラダラだった。
「えーっと・・・天くん?」
「PR動画、ダイヤさんもチェックしたみたいですね。正統派アイドルを好むダイヤさんからすれば、堕天使アイドルは邪道・・・まぁ怒るでしょうね」
「それを先に言ってよ!?雷が落ちるの確定じゃん!?」
「千歌さんのアホ毛を避雷針代わりに使えません?」
「無理だよ!?」
頭を抱える千歌さんなのだった。
*****
「Oh!Pretty bomber head!」
「これのどこがプリティですの!?こういうものは破廉恥というのですわ!」
PR動画を見て歓声を上げる小原理事長に対し、完全に激怒しているダイヤさん。
案の定、俺達は生徒会室でダイヤさんに説教されていた。
「いやぁ、そういう衣装というか・・・」
「キャラというか・・・」
「ああん!?」
「「ヒィッ!?」」
言い訳をする千歌さんと曜さんだったが、ダイヤさんに睨まれて悲鳴を上げる。
だからよく考えろって言ったのに・・・
「ルビィにこんな格好をさせて注目を浴びようなどと・・・!」
「ごめんなさい、お姉ちゃん・・・」
「・・・まぁ良いですわ」
あ、ルビィが謝ったら怒りが収まった。やっぱりこの人シスコンなのね。
「とにかく『キャラが立ってない』とか『個性が無いと人気が出ない』とか、そういう狙いでこんなことをするのはいただけませんわ」
「良いぞー、ダイヤさん。もっと言ってやれー」
「天くん!?どっちの味方なの!?」
「黒澤ダイヤ先生ですが?」
「まさかの先生呼び!?」
「でも、一応順位は上がったし・・・」
曜さんが少し食い下がると、ダイヤさんが溜め息をついた。
「そんなもの一瞬に決まっているでしょう?今のランキングを見てみると良いですわ」
パソコンを差し出すダイヤさん。パソコンを受け取り、サイトを開いてみると・・・
「・・・1526位ですね」
「嘘!?もうそんなに下がったの!?」
「だから言ったでしょう?本気で目指すのならどうすればいいか、もう一度考えることですわね!」
再び怒りがこみ上げてきたのか、口調が強くなるダイヤさん。
「そもそも高校生にもなって『堕天使』だなんて、正気とは思えませんわ!」
「っ・・・」
唇を噛むよっちゃん。マズいな・・・
「ダイヤさん、もうその辺で・・・」
やんわり制止しようとするが、ダイヤさんは止まらなかった。
「あまりにも痛々しいですわ!いい歳して何を考えているんですの!?」
「分かりましたから、少し落ち着いて・・・」
「このような幼稚な振る舞いをするなど、スクールアイドルの恥晒s・・・」
「黙れって言ってんだろうがッ!」
「っ!?」
大声で怒鳴った瞬間、ダイヤさんがビックリして言葉を失った。千歌さん達や小原理事長でさえ驚いていた。
「そ、天さん・・・?」
「・・・生徒会長ともあろうお方が、言って良いことと悪いことの区別もつかないんですか?」
ダイヤさんに冷ややかな視線を向ける俺。
「・・・今回の件は、千歌さんを止められなかった自分に責任があります。それに関しては本当に申し訳ありませんでした」
「そ、天くんのせいじゃないよっ!元はと言えば私がっ!」
「下がってて下さい。邪魔です」
慌てて割り込んでくる千歌さんを睨みつけ、後ろへと下がらせる。
「ですが・・・『堕天使』そのものを否定される謂れはありません。『正気とは思えない』だの『痛々しい』だの『幼稚な振る舞い』だの・・・ずいぶん好き勝手に言ってくれるじゃないですか」
ふつふつと怒りが湧き上がる中、ダイヤさんに怒りの言葉をぶつける。
「おまけにさっき何を言いかけました?『恥晒し』?頑張ってスクールアイドル活動をしている人達に向かって、ずいぶんな言い様ですね?」
「わ、私はただ・・・」
「ただ、何ですか?まさか『貴女達の為を思って』とでも仰るつもりですか?だとしたら余計なお世話ですよ」
「そ、天!少し落ち着いて・・・」
「人を脅すことしか出来ないヤツはすっこんでろ」
間に入ってこようとした小原理事長も黙らせる。俺はダイヤさんに詰め寄った。
「そんなに人を馬鹿にして楽しいんですか?そうやって人を見下すことで、優越感に浸りたいんですか?」
「ち、違いますわ!そんなつもりは・・・」
「アンタにそんなつもりが無くてもッ!こっちはそうとしか受け取れねぇんだよッ!」
「もう止めてッ!」
背中に衝撃を受ける。よっちゃんが俺の背中に抱きついていた。
「もう、いいからっ・・・十分だからっ・・・!」
「っ・・・」
泣いているのか、よっちゃんの身体は震えていた。それを感じ、頭がスーッと冷えていく。
何をやってるんだ、俺は・・・
「・・・ゴメン。もう大丈夫」
身体に回されたよっちゃんの腕を優しく叩く。俺から離れるよっちゃん。
やっぱり泣いてたか・・・
「・・・ありがとう。おかげで頭が冷えたよ」
「・・・柄にも無くブチギレてんじゃないわよ」
目元の涙を拭うよっちゃん。
「でも・・・ありがと」
「・・・もう行こっか」
俺はダイヤさんの方を振り向き、深々と頭を下げた。
「・・・お騒がせして、申し訳ありませんでした」
「天さん・・・」
ダイヤさんは何か言いたそうにしていたが、俺はそれを無視して千歌さん達へと視線を移した。
「千歌さん達も行きましょう。話は終わったみたいですし」
「う、うん・・・」
戸惑いながらも、気遣わしげにダイヤさんの方を見る千歌さん。
俺はよっちゃんの手を引いて、生徒会室を後にするのだった。
どうも~、ムッティです。
前書きでも述べましたが・・・
ダイヤさん推しの方々、大変申し訳ありません・・・
いや、決してアンチではないんです(鞠莉ちゃんも含めて)
ちょっと喧嘩?をさせたかっただけなんです。
ダイヤさんとはこの後すぐ和解する予定ですので、どうかご安心を・・・
鞠莉ちゃんは・・・もう少し後になるかと思います。
ダイヤさん及び鞠莉ちゃん推しの方々、本当に申し訳ございません。
ちゃんと和解する予定ですので、今しばらくお待ちいただけると幸いでございます。
それではまた次回!以上、ムッティでした!