『デート・ア・ライブ』の主題歌といえば、やっぱりsweet ARMSさんですよね。
「え、ルビィちゃんとやらはダイヤさんの妹なの!?」
「う、うん・・・」
小さく頷くルビイちゃんとやら。
学校も終わり、俺はずら丸やルビィちゃんとやらと帰りのバスに乗っていた。
「マジか・・・苗字が黒澤で名前も宝石繋がりだから、凄い偶然だなと思ったら・・・」
「何で天くんはそこで気付かないずら・・・」
呆れているずら丸。
「黒澤家は旧網元の家系で、この辺りで一番の名家ずら」
「あぁ、道理で・・・」
それなら、ダイヤさんのあの立ち居振る舞いも納得だな・・・
「それよりマルは、善子ちゃんが心配ずら」
「あぁ、大丈夫かなあの子・・・」
あの後、自称・堕天使は帰ってこなかった。恐らく戻り辛かったんだろうけど・・・
唖然としていたクラスの皆も、結構心配していた。
「明日あの子が来たら、ちゃんと話したいな。俺も仲良くなりたいし」
「天くん・・・ありがとうずら。きっと善子ちゃんも喜ぶずら」
笑みを浮かべるずら丸。
そんな話をしているうちに、俺が降りる予定のバス停に到着した。俺は席を立つと、ずら丸とルビィちゃんとやらに手を振る。
「じゃあ二人とも、また明日」
「また明日ずら」
ずら丸が手を振り返してくれる中、ルビィちゃんとやらは恐る恐る小さく頭を下げていた。
俺が苦笑しながらバスを降りようとすると・・・
「っ・・・あ、あのっ!」
ルビィちゃんとやらが声を上げた。驚いて振り向くと、ルビィちゃんとやらが顔を真っ赤にしていた。
「ま・・・また明日・・・」
小さく手を振ってくれる。どうやら、ずいぶん勇気を出してくれたみたいだ。
「うん、また明日ね」
笑顔で手を振り返す。恥ずかしそうに小さく笑うルビィちゃんとやらなのだった。
*****
「・・・で、何してんですか貴女達は」
「面目ない・・・」
「ごめんなさい・・・」
呆れた視線を向ける俺の前では、高海先輩と赤紫色のロングヘアの女の子がずぶ濡れで凍えていた。
いやぁ、ビックリしたよね。ルビィちゃんとやらにほっこりしながらバスを降りて歩いてたら、すぐ側の海で凄い悲鳴と凄い水音がするんだもん。急いで駆けつけてみたら、高海先輩とこの女の子がプカプカ海に浮いてるし・・・
しかも高海先輩はともかく、この女の子はスクール水着を着ている。エロいな・・・
じゃなくて、どう見ても自分から海に入ろうとしていた感じだ。
「まだ四月ですよ?沖縄じゃないんですから、そりゃあ寒さで凍えますって」
「反省してます・・・」
うなだれる女の子。呆れて溜め息をついていると、ふと女の子の近くに置いてある制服が目に入った。
これって・・・
「・・・ひょっとして、音ノ木坂の生徒さんですか?」
「えっ・・・」
驚いたような表情の女の子。
「どうしてそれを・・・」
「それ、音ノ木坂の制服ですよね?タイの色が青ってことは、一年生ですか?」
「・・・今月から二年生。音ノ木坂は先月いっぱいで転校して、二年生に上がる今月からこの近くの高校に転入することになってて」
「ねぇねぇ、音ノ木坂ってどこの学校?」
俺の制服の袖を引っ張ってくる高海先輩。えっ・・・
「高海先輩、スクールアイドルやろうとしてるのに知らないんですか?」
「え?スクールアイドルと関係ある学校なの?」
「超有名なスクールアイドルが在籍していた、東京の高校ですよ」
「えぇっ!?東京!?」
「そこに驚くんですか?」
ダメだ、この人の判断基準が分からん。まぁそれは置いとくとして・・・
「どうして海に入ろうとしてたんですか?」
「・・・海の音が聞きたくて」
「デジタル配信されてるんで、ダウンロードして聴いて下さい」
「それ多分『海の声』よね?」
「桐●健太さんのファンなんですね、分かります」
「いや違うから。最後まで話聞いてくれる?」
女の子は一通りツッコミを入れると、ポツポツと語り出した。
「・・・私、ピアノで曲を作ってるの。でも、海の曲のイメージが浮かばなくて・・・」
「それで海に潜って、音を聴こうとしていたと・・・」
コクリと頷く女の子。一方、高海先輩は目を輝かせていた。
「作曲してるの!?凄いね!」
「・・・べ、別に凄いことじゃないけど」
照れたように顔を背ける女の子。この感じ・・・
「・・・似てるな」
「似てる?」
「いえ、こっちの話です」
「ねぇねぇ、誰かスクールアイドル知ってる!?東京だと有名なアイドルたくさんいるでしょ!?」
「・・・スクールアイドルって何?」
「えぇっ!?スクールアイドル知らないの!?」
驚愕のあまり叫ぶ高海先輩。おいおいマジか・・・
「音ノ木坂の生徒なら、絶対に語り継がれているであろうスクールアイドルがいるはずなんですけど・・・」
「私ずっとピアノばかりやってきたから、そういうの疎くて・・・スクールアイドルって有名なの?」
「有名なんてもんじゃないよ!?ドーム大会が開かれるほど超人気なんだよ!?」
興奮しながら語る高海先輩。ポケットからスマホを取り出し、画面を見せる。そこに映っていたのは・・・
音ノ木坂の制服を着て踊る、九人組のスクールアイドルだった。
「何で気付かないんですか、この鈍感オレンジヘッド」
「今何で罵倒されたの私!?」
「高海先輩、その人達の制服を見て気付きません?」
「あ、この制服?可愛いよね~!」
「スマホ壊して良いですか?」
「急に攻撃的になったね!?ホントどうしたの!?」
「この制服、音ノ木坂の・・・」
「・・・あっ」
女の子の指摘に、高海先輩がようやく気付く。
そして女の子の近くに置かれた制服に目をやり、スマホの画面に目をやり、最後に俺を見る。
「えっ、じゃあこの人達って・・・」
「・・・かつて音ノ木坂に在籍していた人達です」
「ええええええええええっ!?」
高海先輩の絶叫。今さらですかそうですか。
「じゃあこの子、この人達と同じ学校にいたってこと!?」
「だから最初からそう言ってるでしょうが」
「ねぇねぇ、どんな人達なの!?」
「い、いや・・・会ったことないけど・・・」
「もう卒業してますよ、その人達」
「えぇ・・・何だぁ・・・」
がっくりうなだれる高海先輩。いやいやいや・・・
「っていうか、何でその人達のことは知ってるのに音ノ木坂は知らないんですか」
「いやぁ、知ったのつい最近でさぁ・・・」
苦笑する高海先輩。その場から立ち上がり、海へと視線を向ける。
「・・・私ね、普通なの。普通星に生まれた普通星人で、どんなに変身しても普通なんだって・・・そう思ってた」
寂しそうに笑う高海先輩。
「それでも何かあるんじゃないかって期待してたんだけど、何もなくて・・・気付いたら高校生になってた」
そこで言葉を切ると、おどけるように『ガオーッ!』とポーズをとる。
「このままじゃ普通星人を通り越して、普通怪獣ちかちーになっちゃうううううっ!?」
「うなじ削ぎましょうか?」
「それ怪獣じゃなくて巨人の駆逐方法だよね!?っていうか駆逐しないでよ!?」
高海先輩はツッコミを入れると、面白そうに笑って空を見上げた。
「そんな風に思ってた時に、出会ったの・・・あの人達に」
目を輝かせる高海先輩。
「動画を見て『何じゃこりゃあああああっ!?』ってなって、気付いたら全部の曲を聴いてた。毎日動画を見て、曲を覚えて・・・そして思ったの。私も仲間と一緒に頑張ってみたい、この人達が目指したところを私も目指したい。私も・・・輝きたい、って」
「それでスクールアイドルを・・・」
気付くと、高海先輩の言葉に引き込まれてしまっていた。輝きたい、か・・・
「・・・ありがとう」
女の子が微笑みながら呟く。
「今の話聞いてたら・・・何か、頑張れって言われた気がする。スクールアイドル、なれると良いわね」
「うんっ!」
女の子の言葉に、笑顔で頷く高海先輩。
「あっ、自己紹介がまだだったね・・・私は高海千歌。あそこの丘にある、浦の星女学院っていう高校の二年生。そこの男の子は絢瀬天くんで、同じ高校の一年生なの」
「えっ・・・女子校よね・・・?」
「共学化に向けてのテスト生です」
「あっ、なるほど・・・」
高海先輩や渡辺先輩に出会った時のような失態を犯さないよう、端的な説明を考えといて良かった・・・
「タイの色だけで音ノ木坂の学年が分かるみたいだし・・・ひょっとしたら、女子校好きの変態なんじゃないかって思っちゃった」
「ちょっと海に身投げしてきますね」
「わーっ!?ストップストップ!?」
必死に俺を止める高海先輩。その様子にひとしきり笑った女の子が立ち上がる。
「じゃあ明日から高海さんは同級生、絢瀬くんは後輩ってことになるわね」
「「・・・え?」」
同時にポカンとする俺達。そんな俺達を見て、悪戯っぽく笑う女の子なのだった。
「私は桜内梨子。明日から浦の星女学院に転入する予定だから、よろしくね」
どうも~、ムッティです。
新成人の皆様、おめでとうございます。
これからは大人としての自覚を持って…なんて、そんな偉そうなことを言える立場ではないので言いません(笑)
お互い人生を楽しみましょうね(^^)
さっきニュースで見ましたが、東京都の豊島区では『アニメで祝う成人式』が行われたんだとか。
…豊島区で成人を迎えたかった(涙)
それではまた次回!以上、ムッティでした!