気が付けば、☆評価をしてくださった方が20人もいらっしゃるんですね・・・
本当にありがたいことです。
読者の皆様、いつもありがとうございます。
こんな作品ですが、これからもよろしくお願い致します。
「エ、エリーチカが・・・!?」
「そ、天くんの・・・!?」
「お、お姉さん・・・!?」
驚愕しているダイヤさん、ルビィ、千歌さん。他の皆も絶句していた。
「う、嘘・・・!?」
「嘘じゃないわ」
善子の呟きに、小原理事長が口を開いた。
「二人は姉弟よ。幼馴染の私が保証するわ」
「私もμ'sのメンバーとして保証します」
海未ちゃんも頷く。
「というか、誰も気付かなかったんですか?苗字が同じなのに」
「いやぁ、全く・・・」
「たまたま同じだけかと・・・」
呆然としながら答える曜さんと梨子さん。まぁ普通はそう思うよね・・・
「じゃあ、天くんがμ'sについて詳しいのって・・・」
「身内がμ'sのメンバーだからね」
花丸の問いに、苦笑しながら答える俺。
「それに俺、μ'sの活動はずっと近くで見てきたんだよ。学校同じだったし」
「学校が同じ・・・?」
首を傾げる千歌さん。
「μ'sが活動してたのは五年前・・・天くんは小学五年生だったはずだよね?っていうか、そもそも音ノ木坂って女子校のはずじゃ・・・」
「あっ・・・!?」
梨子さんが何かに気付いたように声を上げた。
「まさか天くん、中学まで音ノ木坂にいたの!?」
「そういうことです」
「梨子ちゃん、どういうこと?」
「音ノ木坂って、幼稚園から大学院まで存在するのよ。中学までは共学で、女子校になるのは高校からなの」
説明してくれる梨子さん。
「だから男子生徒は中学までしか上がれなくて、高校は外部を受験する必要があるんだけど・・・天くんもその内の一人だったのね」
「えぇ。なので俺が中三だった去年、高一だった梨子さんとどこかですれ違ってたかもしれませんね」
まぁそれはさておき、話を続けることにする。
「姉がμ'sのメンバーで、学校も同じ・・・μ'sの存在が身近にあった俺は、μ'sの活動をすぐ側で見てきました。だからμ'sのことは勿論、スクールアイドルやラブライブについてもよく知っているというわけです」
「そうだったのですね・・・ん?」
そこで首を傾げるダイヤさん。
「そういえば天さん、前に仰ってましわよね?中学の理事長さんから、浦の星のテスト生の話を持ちかけられたと」
「えぇ、言いましたね」
「そして天さんは中学まで、音ノ木坂に通っていたと・・・」
「そうですね」
「つまり天さんの中学の理事長さんは、音ノ木坂の理事長さん・・・ということは、まさか・・・!」
青ざめるダイヤさん。
「μ'sのメンバーの一人・・・南ことりさんのお母様のことですの!?」
「その通りです」
頷く俺。あの人には、昔からお世話になってるんだよなぁ・・・
「まぁまさか俺だけじゃなくて、海未ちゃんまでこっちに寄越すとは思ってませんでしたけど・・・小原理事長、あの人とどういう繋がりがあるんですか?」
「フフッ、小原家のConnectionよ」
「・・・何かもう怖いわ小原家」
思わず呆れてしまう。何なんだ、この成金一族は・・・
「まぁいいや・・・ところで海未ちゃん、教育実習ってどれくらいの期間なの?」
「二、三週間といったところですけど・・・それが何か?」
「いや、住む場所どうするの?まさか毎日東京と内浦を往復するわけじゃないよね?」
「あぁ、それでしたら問題ありません。天の家に住みますので」
「あぁ、なるほど。それなら問題ない・・・は?」
ん?今何かスルーしてはいけないことを聞いた気がする・・・
「聞き間違いかな・・・俺の家に住むって言った?」
「言いましたよ。最初からそのつもりで来ましたし」
「俺の意見は!?」
「天が断るわけないじゃないですか。天と私の仲ですよ?」
「まさかの決め付け!?っていうかどんな仲!?」
「当時は空(天)と海(海未)コンビとして、よろしくしあった仲じゃないですか」
「そのダサいコンビ名止めてくんない!?」
「ダサいってなんですか!」
ギャーギャー言い合う俺達を、皆がポカーンと眺めていた。
「な、仲良いね・・・」
「天くんがこんなにツッコミに回ってるところ、初めて見たかも・・・」
「確かにそうね・・・」
「あの天をツッコミに回すだなんて・・・」
「園田海未さん、恐ろしい人ずら・・・」
「ぴぎぃ・・・」
よく聞こえないけど、凄く心外なことを言われている気がする。一方・・・
「あの園田海未さんと、これから毎日会える・・・フフッ・・・フフフッ・・・!」
不気味に笑っているダイヤさん。何あの人、怖いんだけど。
「そういうわけだから天、教育実習生さんをよろしくデース♪」
「黙れおっぱいお化け。もぎ取るぞ」
「何を!?」
「大体男と一緒に住むとか、海未ちゃんなら『ふしだらです!』とか『破廉恥です!』とか言うところじゃないの!?」
「天は弟みたいなものなので大丈夫です」
「ラブアローシューターが姉とか嫌だわ!」
「それはやめて下さいって言ってるでしょうが!」
再び言い合う俺達なのだった。
*****
《梨子視点》
「それにしても、本当にビックリしたなぁ・・・」
千歌ちゃんが呟く。千歌ちゃんと私は、バスを降りて帰り道を歩いていた。
「まさかμ'sの園田海未さんに会えるなんて・・・しかも天くんのお姉さんが、あの絢瀬絵里さんだったとは・・・」
「驚いたわよねぇ・・・」
確かに衝撃だった。スクールアイドルを始めてからというもの、私もμ'sについて色々調べたので少しは詳しくなった自信がある。
そのμ'sのメンバーに会えた上に、天くんのお姉さんもμ'sのメンバーであることが分かったのだ。まさかこんな形で関わることになるなんて、思ってもみなかった。
「でも天くん、何で黙ってたんだろう?」
「μ'sのファンである千歌ちゃん達に言ったら、大騒ぎになるからでしょ?」
「うっ・・・否定できない・・・」
千歌ちゃんが苦い顔をする中、私は別のことが気になっていた。
「・・・本当に、身内がμ'sのメンバーっていうだけなのかな?」
「え?」
「天くんと園田さん、凄く仲良かったじゃない。あれは単なる知り合いっていうより、もっと関わりが深いような気がするのよね」
それだけじゃない。前に鞠莉さんが言ってたセリフ・・・
『スクールアイドルのマネージャーなんて・・・天にはお手の物でしょう?』
「まさか・・・」
ある可能性に思い至っていると、千歌ちゃんが顔を覗き込んできた。
「梨子ちゃん・・・もしかして、嫉妬してる?」
「はい!?」
「なるほど、天くんと園田さんの仲の良さを見て妬いちゃったのかぁ・・・天くんも罪な男だねぇ」
「ち、違うから!そんなんじゃないから!」
「あ、照れてる!可愛い!」
「違うって言ってるでしょ!?」
逃げる千歌ちゃんを、顔を真っ赤にしながら追いかける私なのだった。
*****
「ここが天の家ですか・・・?」
「そうだよ」
驚いている海未ちゃんに、苦笑しながら答える俺。
俺が住んでいる家は、アパートやマンションではなく平屋建ての一軒家だ。千歌さんや梨子さんの家より、もう少し歩いたところにある。
「浦の星にテスト生として入学することになった時、学校側が手配してくれたんだよ。前の住人が引っ越してから、しばらくの間誰も使ってなかったんだって。ここだったら家賃も払わなくて大丈夫だから、好きに使って良いってさ」
「そ、そんな都合の良い話ってあります・・・?」
「俺も最初は半信半疑だったんだけどさぁ・・・理事長があの人だって分かって、何か色々納得しちゃったよね」
「あぁ、なるほど・・・」
恐らく、手配してくれたのは小原理事長・・・というか小原家だろうな。
小原家の力が働いているのなら、こんな都合の良い話があっても納得できてしまう。現役女子高生理事長を誕生させちゃうぐらいだし。
「中も広いですね・・・ここで一人暮らししてるんですか?」
「まぁね。なかなか贅沢だと自分でも思うよ」
完全にファミリー向けの家だもんな、ここ・・・
どう見ても一人暮らし向けの家ではない。俺と海未ちゃんの二人で住んでも、まだまだ余裕たっぷりだ。
「でも安心しました。私はてっきり狭いアパートで、ひもじい思いをしながら暮らしているのではないかと・・・」
「そんな生活を強要されてたら、とっくの昔に東京に帰ってるわ」
思った以上に酷い想像をされていたらしい。やれやれ・・・
「それでは、しばらくの間お世話になりますね」
「はいはい・・・っていうか、そろそろ教えてくれても良いんじゃない?」
「教える?何をですか?」
「海未ちゃんが浦の星に来た本当の理由を、だよ」
「っ・・・」
息を呑む海未ちゃん。やっぱりか・・・
「確かに海未ちゃんは緊張しやすいタイプだけど、『人が多いから』なんていう理由で音ノ木坂を避けたりしないでしょ。むしろ母校の方が安心するだろうし、縁もゆかりもない浦の星を選ぶ理由は無い。あるとすれば・・・俺に用があったんじゃないの?」
「・・・その察しの良さ、相変わらずですね」
溜め息をつく海未ちゃん。
「確かに、そんな理由で浦の星に来たわけではありません。μ'sのメンバーである私が音ノ木坂に行くことで、混乱を招いてしまう恐れがあることを考慮したのもありますが・・・一番の理由は仰る通り、貴方に用があったからですよ」
「わざわざ教育実習で来なくても、プライベートで来れば良いのに・・・」
「私が一番見たかったのは、学校での天ですからね。貴方が浦の星でどのような学校生活を送っているのか、自分の目で確かめたかったんですよ」
苦笑する海未ちゃん。
「だって気になるじゃないですか。何しろ天は・・・絵里と大喧嘩してまで、浦の星にテスト生として入学する道を選んだんですから」
「・・・それで南理事長に頼んで、浦の星で教育実習を受けさせてもらえるよう小原理事長に掛け合ったの?」
「その通りです」
頷く海未ちゃん。
「浦の星に来て驚きましたよ。まさか天が・・・スクールアイドルグループのマネージャーをやっているだなんて」
「っ・・・」
「経緯は黒澤生徒会長に伺いましたが、小原理事長に脅されたそうですね。高海さん達の為に、仕方なくマネージャーを引き受けたのでしょう?」
俺を見つめる海未ちゃん。俺は海未ちゃんの顔を見ることが出来なかった。
「これでは、天も絵里も浮かばれません・・・私が小原理事長に直談判して、スクールアイドル部の立場を保障させます。ですから・・・」
涙を浮かべ、俺の手を握る海未ちゃん。
「帰って来て下さい、天・・・絵里も亜里沙も、μ'sの皆も・・・貴方の帰りを待っているんですよ」
海未ちゃんの切実な願いに、何も返すことが出来ない俺なのだった。
どうも~、ムッティです。
さて、天の立場が明らかになったわけですが・・・
ここで少し説明させていただきますと、この作品での音ノ木坂は幼稚園から大学院まで存在することになっています。
『え、じゃあ何で高校だけ廃校の危機に陥ったの?』
『中学まで共学なのに、高校から女子校ってマジ?』
等の疑問は勘弁してください(泣)
そういう設定なんです(泣)
まぁとにかく、実は天は音ノ木坂に通ってましたというお話でした。
さて、物語はどう動いていくのか・・・
これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!