有り得ないなんてことは有り得ない、なんてことは有り得ない・・・って無限ループしそうなセリフではありますが(笑)
まぁ要はどんなことでも起こり得るし、『絶対』は無いということですね。
ちなみに自分がハガレンの中で好きなキャラはランファンです。
翌日・・・
『以上、頑張ルビィ!こと黒澤ルビィがお伝えしました!』
理事長室にて、千歌さん達が製作したPVを見ている俺達。
これは・・・
「よく伝わりますね・・・ルビィの可愛さが」
「「「「「そっち!?」」」」」
「いやぁ、そんなぁ・・・」
照れているルビィ。いや、照れてる場合じゃないよルビィ・・・
「海未ちゃん、どう思う?」
「いや、どう思うと聞かれても・・・」
返答に困る海未ちゃん。まぁそうだよね・・・
「や、やっぱりイマイチ・・・?」
「・・・良い出来映え、とは言えませんね」
「・・・だよねぇ」
俺の一言に、ガックリと肩を落とす千歌さん。自分でも分かっていたらしい。
「なかなか上手くいかなくて・・・PVって難しいね」
「経験者として、それは分かります」
頷いている海未ちゃん。俺は小原理事長へ視線を移した。
「小原理事長はどう思いますか?」
「・・・すぴー・・・すぴー・・・」
「”●砕”」
「痛ぁっ!?」
足を高く上げ、小原理事長の頭目掛けてかかとを振り下ろす。椅子から飛び上がり、頭を押さえながら痛みに悶える小原理事長。
「ちょっと天!?何するのよ!?」
「どうも、黒足の絢瀬です」
「どこのサ●ジ!?理事長に暴力だなんて、普通なら退学ものよ!?」
「出来るもんならやってみて下さいよ。俺を利用する為にこの学校に呼んだのは、一体誰でしたっけ?」
「うぐっ・・・」
言葉に詰まる小原理事長。と、ここで千歌さんが抗議の声を上げる。
「何で寝てるんですか!本気なんですから、ちゃんと見て下さい!」
「・・・本気?」
小原理事長の表情が変わった。今までのおちゃらけたものとは違う、冷たい表情だ。
「・・・それでこの体たらくですか?」
「ちょっと!?それは酷くないですか!?」
「そうです!これだけ作るのがどれほど大変だったと思ってるんですか!」
「努力の量と結果は比例しませんッ!」
曜さんと梨子さんが反論するも、一言で黙らせる小原理事長。
「大切なのは、このTownやSchoolの魅力をちゃんと理解しているかですッ!」
「小原理事長、流石に言い過ぎなのでは・・・」
「海未ちゃん」
海未ちゃんが間に入ろうとするのを、手を掴んで引き止める。
言い方は厳しいが、今回ばかりは小原理事長が正しい。確かにこのPVを作る為に、千歌さん達は一生懸命頑張ったんだと思う。
それでも出来上がったPVは、内浦の魅力を伝えるには不十分と言わざるをえないものだった。『努力したからそれで良い』という話ではないのだ。
「それってつまり・・・」
「私達が理解していないということですか・・・?」
「じゃあ理事長は、魅力が分かってるってこと・・・?」
ルビィ・花丸・善子に対し、小原理事長は不敵な笑みを浮かべた。
「少なくとも、貴女達よりはね・・・聞きたいですか?」
「結構です」
即座に断る千歌さん。
「そういう大切なことは、自分で気付けなきゃ意味無いですから・・・皆、行こう」
曜さん達を連れ、理事長室から出て行く千歌さん。俺も後に続こうとするが、海未ちゃんはその場から動こうとしなかった。
「海未ちゃん?行かないの?」
「先に行って下さい。私は小原理事長にお話がありますので」
「・・・分かった。程々にね」
海未ちゃんの心情を察した俺は、それだけ忠告して理事長室を後にするのだった。
*****
《鞠莉視点》
「それで?話って何かしら?」
園田先生に尋ねる私。
年齢は彼女の方が上だけれど、立場は私の方が上・・・彼女は理事長としての私に話があるようだし、それなら私も理事長として接するべきだ。
ここは敬語を使わず、堂々としているべきだろう。
「今のPVの件なら、私は間違ったことは言ってないつもり・・・」
「・・・少し黙りなさい」
「っ!?」
底冷えするような低い声に、私はゾッとしてしまった。こちらを射抜くような鋭い眼光に、思わず身体が固まってしまう。
「今の件についても言いたいことはありますが、天に止められてしまったので何も言わないでおきます。それより・・・話というのは天のことです」
私を睨み付ける園田先生。
「貴女が天を脅したことは、黒澤生徒会長から聞いています。本来であれば、私としても黙って見過ごすつもりなどありませんでしたが・・・天は引き続き、Aqoursを支えるつもりだと言っていました。それが天の意思である以上、私が出しゃばることは出来ません。ですが・・・」
園田先生は私の目の前に立つと、執務用の机を思いっきり叩いた。大きな音に、身体がビクッと反応してしまう。
「これ以上、天を傷付けたり苦しめたりするようであれば・・・私は勿論、μ'sのメンバー達が黙ってはいません。特に絵里が、どれほど天を大切に思っているか・・・幼馴染の貴女が、知らないはずありませんよね?」
園田先生はそう言うと、踵を返して出口へと歩いていった。
「貴女にどのような思惑があるのか知りませんが・・・天を脅してAqoursのマネージャーをやらせたことを、後悔する日が必ずやって来ます。その時に思い知るといいでしょう・・・自分のやったことが、どれほど罪深いことなのかを」
それだけ言い残し、園田先生は理事長室から出て行った。その瞬間、何かから解放されたように身体の力が一気に抜ける。
「後悔か・・・そんなもの・・・とっくにしてるわよっ・・・」
涙で視界が滲む中、思わず本音を呟いてしまう私なのだった。
*****
「魅力かぁ・・・」
部室の椅子に座り、考え事に耽る俺。
千歌さん達は作戦会議をするとのことで、最早スクールアイドル部の溜まり場となっている千歌さんの家へと向かった。
俺も誘われたのだが、少し一人で考えたかったので断ったのだ。
「っていうか、海未ちゃん大丈夫かなぁ・・・」
理事長室を出る時に顔を見たけど、完全に目が据わってたもんなぁ・・・
あれは海未ちゃんがガチでキレている時にする目だ。あの目で睨まれたら最後、身体が固まって動かなくなってしまうのだ。
ちなみにソースは俺。ガチでキレた時の海未ちゃんは、μ'sの中の誰よりも怖いのである。
「・・・まぁ、大丈夫か」
相手は仮にも理事長だし、海未ちゃんも少しは自重するだろう。それより、PVについて考えないと・・・
そう思っていた時、体育館の方から音がすることに気付いた。
「誰かいる・・・?」
今日はどこの部も体育館を使っていないはずだけどな・・・
部室を出て体育館を覗いてみると、体育館のステージ上で踊るダイヤさんの姿があった。
「ダイヤさん・・・?」
あのダイヤさんが、体育館のステージ上で踊っている。それにしても・・・
「・・・凄いな」
優雅で美しいダイヤさんの踊りに、俺は釘付けになっていた。
『踊り』というより、これは『舞い』と言った方が良いかもしれない。見る者をここまで魅了するなんて・・・
そのまま夢中になって見ていると、ダイヤさんが俺の存在に気付いた。
「そ、天さんっ!?」
みるみる顔が赤くなっていく。まさか見られているとは思わなかったらしい。
「い、いつからそこに!?」
「少し前からです。そこからずっと、ダイヤさんに見惚れてました」
「み、見惚れっ・・・!?」
耳まで真っ赤になるダイヤさん。可愛いなぁ・・・
「凄いですね、ダイヤさん。思わず引き込まれちゃいましたよ」
「ま、まぁダンスには少し自信があるので・・・」
照れ笑いを浮かべるダイヤさん。
「とはいえ、もう披露する機会もありませんから・・・」
「ダイヤさん・・・」
恐らく千歌さんならここで、『一緒にスクールアイドルやりませんか?』と声をかけるだろう。
だが、それに対するダイヤさんの答えはノーだ。何故なら・・・
「・・・果南さんや小原理事長と、また一緒にスクールアイドルをやりたいですか?」
「っ・・・」
唇を噛むダイヤさん。
これがダイヤさんの答え・・・二人が一緒でなければ、スクールアイドルはやらない。この答えが覆ることはないだろう。
だったら・・・
「もし果南さんと小原理事長が、もう一度スクールアイドルをやると言ったら・・・ダイヤさんもやりますか?」
「・・・有り得ませんわ」
俯くダイヤさん。
「鞠莉さんは乗り気のようですが・・・果南さんが再びスクールアイドルをやることはないでしょう。果南さんの意思は固いですから」
「今はあの二人の意思はどうでもいいです」
バッサリ切り捨てる俺。ダイヤさんが目を見開いて驚く。
「俺が聞いているのは、ダイヤさんの意思です。もう一度聞きますが・・・あの二人がもう一度スクールアイドルをやると言ったら、ダイヤさんもやりますか?」
「・・・やりますわ」
目に涙を浮かべているダイヤさん。
「私はもう一度・・・果南さんと鞠莉さんと・・・一緒にスクールアイドルがやりたいですわ・・・!」
「・・・それが貴女の本音ですか」
二年前、何故Aqoursが解散したのかは分からない。ただ現状から推測すると、恐らく原因は果南さんと小原理事長にある。
何があったかは知らないが、ダイヤさんとしては解散なんてしたくなかったんだろうな・・・
「・・・その思い、大切にして下さい」
「え・・・?」
呆然とするダイヤさんに、俺は微笑んだ。
「ダイヤさんは、千歌さんがスクールアイドル部を設立すると宣言した時・・・ここまで来るなんて予想してましたか?」
「・・・正直、無理だと思ってましたわ」
「まぁ、普通はそう思いますよね」
階段を上り、ステージに上がる俺。
「でもここまで来た。曜さんや梨子さん、ルビィと花丸、それに善子・・・一緒に輝きを目指す仲間を集めて、ここまで来たんですよ」
そう、ここまでの流れはまるで・・・
「μ'sみたいだな・・・それが俺の感想です」
「μ's・・・ですか?」
「えぇ。最初は穂乃果ちゃんがスクールアイドルをやると宣言して、幼馴染のことりちゃんや海未ちゃんがそれに賛同して。そこから仲間が増えていき、μ'sになったんです。ラブライブで優勝するほどのグループになるなんて、あの時は想像もしてませんでした」
いつだって彼女達は、俺の想像を遥かに超える活躍を見せてくれた。周りを巻き込み、スクールアイドルブームを巻き起こしたのだ。
その中心にいたのは、紛れも無くリーダーの穂乃果ちゃんだった。
「穂乃果ちゃんと千歌さんって、どことなく似てるところがあるというか・・・何かやってくれそうな雰囲気があるんですよね。その千歌さんが今、周りを巻き込みながらスクールアイドルをやっている・・・可能性はあると思いません?」
「私達が、再び一緒にスクールアイドルをやれる可能性・・・ですか?」
「えぇ。あの人のことですから、そのうちダイヤさん達をも巻き込むことになるでしょう。意思が固いという果南さんだって、心が動くこともあるかもしれません」
「そんなこと・・・」
「有り得ないと決め付けるのは勿体ないですよ」
俺はダイヤさんを真っ直ぐ見つめた。
「だからその気持ち、絶対に捨てないで下さい。今の果南さんと小原理事長を繋いでいるのは、ダイヤさんなんですから」
「天さん・・・」
俺はそれだけ言うとステージを降り、ダイヤさんに一礼して体育館を後にする。
最後に見たダイヤさんの瞳は、大きく揺れ動いていたのだった。
どうも~、ムッティです。
暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
自分は暑くて死にそうになってます(´д`|||)
実は春夏秋冬の中で、夏が一番嫌いです。
とにかく暑いのが苦手でして・・・
逆に寒い方が好きなので、一番好きな季節は冬です。
好きな順でいうと、冬→秋→春→夏ですかね。
皆さんの好きな季節はいつでしょうか?
・・・作品と全く関係ない話でしたね(笑)
それではまた次回!以上、ムッティでした!