激アツでした!バレット強すぎィ!
「あっつ~い・・・」
部室の椅子に座っている俺の後ろから、ぐでーんともたれかかってくる善子。
七月に入り、内浦は少しずつ暑くなってきていた。
「何言ってんの。本格的な夏はこれからだよ?」
「何で夏なんて季節があるのよ・・・春の次は秋でいいじゃない・・・」
「その意見には同意するけども」
苦笑しながら善子の頭を撫でる。
「それよりほら、これ見てみなよ」
「ん?」
パソコンの画面を指差す俺。そこには、この間のPVが映っていた。
「やっぱり綺麗ねぇ、スカイランタン」
「いや、それもそうなんだけど・・・再生回数を見てよ」
「再生回数?」
画面の下へと目を向ける善子。その瞬間、驚愕の表情を浮かべた。
「嘘!?五万回!?」
「ずらっ!?」
「ホントに!?」
俺達の会話を聞いていたのか、花丸とルビィが慌ててパソコンを覗き込む。
「スカイランタンが綺麗だって、結構評判になってるんだよ。『夢で夜空を照らしたい』も好評らしくて、どんどん再生回数が増えてるみたい」
「凄いずらぁ・・・!」
目がキラキラしている花丸。こんなに再生回数が伸びたの、初めてだもんな・・・
「天くん、ランキングはどう!?」
「えーっとね・・・」
ルビィに尋ねられ、ランキングをチェックする俺。すると・・・
「・・・99位だね」
「えぇっ!?」
「まさかの100位以内!?」
曜さんと梨子さんも急いで近寄ってくる。マジか・・・
「キタ・・・キタキタキターっ!」
テンションが上がっている千歌さん。
「それって全国でってことでしょ!?5000以上いるスクールアイドルの中で、100位以内ってことでしょ!?私達凄くない!?」
「一時的な盛り上がりかもしれないけど、それでも凄いわね!」
梨子さんも少し興奮気味だ。
確かに、この短期間でここまでランキングを伸ばしたのは凄い。ランキング上昇率は一位だし、今最も勢いのあるグループといえるだろう。
「何かさぁ・・・このままいったら、ラブライブ優勝出来ちゃうかも・・・!」
「調子に乗るな、自惚れオレンジヘッド」
「その罵倒に慣れちゃった自分が怖い!?」
溜め息をつく俺。ホントにお調子者なんだから・・・
「ラブライブで優勝するということは、全国のスクールアイドルの頂点に立つということです。確かに99位は凄い順位ですけど、裏を返せば上にまだ98組のスクールアイドルがいるということなんですよ?」
「うっ、確かに・・・」
「100位以内に入っているスクールアイドルですから、当然実力は折り紙付き・・・ラブライブの決勝まで進んだことのあるグループもゴロゴロいます。そういったグループを超えないかぎり、ラブライブで優勝なんて出来ないということを忘れないで下さいね」
「も、勿論です!」
ビシッと背筋を正す千歌さん。
「でもでも、可能性はゼロじゃないよね!?私達も100位以内に入ったんだから、ラブライブで優勝出来る可能性は上がったってことだよね!?」
「・・・まぁ、そうですね」
「やったー!」
喜ぶ千歌さん。
この人、本当に分かってるのかなぁ・・・ん?
「メール・・・?」
どうやら、新しいメールが届いたらしい。開いてみると・・・
「東京スクールアイドルワールド運営委員会・・・?」
俺の肩越しに、開かれたメールの差出人をチェックする曜さん。
「東京スクールアイドルワールドって何?」
「近年東京で開かれている、スクールアイドルのイベントですね。どうやら、Aqoursにもお誘いがかかったみたいです」
「「「「「「ええええええええええっ!?」」」」」」
ビックリしている皆。これは突然の展開だな・・・
「開催日は、今週の日曜日ですね・・・どうします?」
「行きます!」
力強く宣言する千歌さん。言うと思った・・・
「お金は大丈夫なんですか?」
「お、お小遣い前借りで!」
「全然大丈夫じゃないパターンですね」
ダメだこの人、何も考えてないわ・・・
「イベントは日曜日の朝から始まるそうなので、もし参加するなら前乗り・・・つまり土曜日に東京へ行って、一泊する必要があります。往復の交通費にプラスして、東京での宿泊代もかかるわけですが・・・本当に大丈夫ですか?」
無言で汗をダラダラ流す千歌さん。はい、アウトー。
「『オコトワリシマス』っと・・・」
「わーっ!?」
メールに返信しようとすると、千歌さんが慌ててパソコンを閉じた。
「お、お金は何とかするからっ!」
「・・・何とかなるんですか?」
「うぅ・・・」
涙目の千歌さん。流石に可哀想になったのか、曜さんと梨子さんが助け舟を出す。
「ま、まぁまぁ!皆で出し合って何とかしようよ!」
「そ、そうよ!こういう時こそ助け合いよ!」
「曜ちゃん、梨子ちゃん・・・!」
「正直に言って下さい。懐、潤ってますか?」
「「・・・いえ、全く」」
「二人とも!?」
「ゴメンなさい、ルビィもちょっと・・・」
「マルもそんなにお金は・・・」
「堕天使グッズ買っちゃったから・・・」
「皆も!?」
全滅だった。そりゃそうか・・・
「でも、東京のイベントだもんね・・・」
ルビィが呟く。
「参加、したいよね・・・」
その言葉に、押し黙ってしまう皆。どうやら皆、気持ちは同じようだ。
「・・・そんなに参加したいんですか?」
「・・・したいよ」
千歌さんが頷く。
「Aqoursをアピールする、絶好の機会だもん。みすみす逃したくないよ」
「・・・ハァ」
溜め息をつく俺。こうなりそうな予感がしたんだよなぁ・・・
「・・・往復の交通費だけなら、何とかなりますか?」
「え・・・?」
「東京での宿泊代が無ければ・・・何とかなりますか?」
俺の問いに、皆が顔を見合わせた。
「それなら何とかなるけど・・・」
「でも、イベントって朝からなんでしょ?ここからじゃ、当日どんなに早く出発したって間に合わないわよ?参加するなら前乗りしないと・・・」
曜さんと善子が戸惑いの表情を浮かべる。だが、俺には考えがあった。
「大丈夫ですよ。心当たりはあります」
「天ー?」
海未ちゃんがふらっと部室に現れる。
「仕事終わりました。そろそろ帰りましょう」
「お、ナイスタイミング」
「え?」
首を傾げる海未ちゃん。俺は話を切り出した。
「実は今週の日曜日、東京でスクールアイドルのイベントがあるんだけどさ。土曜日の夜、海未ちゃんの実家に千歌さん達を泊めてあげてほしいんだよね」
「あぁ、良いですよ」
「「「「「「軽っ!?」」」」」」
ずっこける皆。
「海未先生!?本当に良いずら!?」
「構いませんよ。実家には連絡しておきます」
「で、でも!流石に大人数で押しかけるのは迷惑なんじゃ!?」
「全然大丈夫です。ウチはそういうの慣れてるので」
さらっと答える海未ちゃんに、皆絶句していた。苦笑する俺。
「海未ちゃんの家って、日本舞踊の家元なんですよ。家の広さでいえば、黒澤家くらいはあるので大丈夫です」
「そうなんだ・・・」
唖然としているルビィ。
「そういうことなら、私も今週末は一緒に実家に帰ります。その方が千歌達も安心出来るでしょうし」
「ありがとうございます!海未先生!」
千歌さんが海未ちゃんに抱きつく。曜さん達も大喜びしていた。
「やったー!これでイベントに参加できる!」
「良かったですね」
苦笑する俺。
「頑張ってきて下さい。応援してます」
「「「「「「「え・・・?」」」」」」」
俺の言葉に、千歌さん達だけでなく海未ちゃんも固まる。
「えーっと・・・天くん?」
「何ですか?」
おずおずと尋ねてくる千歌さんに、俺は首を傾げた。何だろう?
「まさかとは思うけど・・・行かないつもり?」
あぁ、なるほど・・・そういうことね。
「いや、まさかも何も・・・行きませんよ?」
「「「「「「「ええええええええええっ!?」」」」」」」
皆の絶叫が響き渡るのだった。
どうも~、ムッティです。
今回の話から、アニメ一期の七話の内容へと入っていきます。
東京でのイベント編ですね。
早速天が東京に行かない宣言してますけど(笑)
果たしてどうなることやら・・・
これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ
次の話は明日投稿します。
それではまた次回!以上、ムッティでした!