「わぁ・・・!」
目を輝かせる千歌さん・ルビィ・花丸。俺達は東京・秋葉原に到着していた。
「見て見て!スクールアイドルの広告があるよ!」
はしゃぐ千歌さん。一方・・・
「クックックッ・・・ここがあまねく魔の者が闊歩すると言い伝えられる約束の地、魔都・東京ね」
ドヤ顔でポーズを決めている善子。魔都って何やねん。
「はいはい、はしゃぎすぎないの」
釘を刺す俺。
「とりあえず、勝手な行動はしないように・・・」
「あっ、スクールアイドルショップ!」
「ぴぎぃっ!」
「人の話聞いてくれる!?」
近くのスクールアイドルショップへと走っていく千歌さんとルビィ。
何してんのあの人達・・・
「すっかり夢中になってますね」
「皆はしゃいでるなぁ」
苦笑している海未ちゃんと曜さん・・・って、あれ?
「気のせいかな・・・海未ちゃんと曜さん以外誰もいなくない?」
「善子は近くに堕天使ショップがあるらしくて、そちらへ行きましたよ。花丸は秋葉原の街を巡りたいとのことで、付き添いの梨子と一緒に行ってしまいました」
「・・・もう嫌だ」
溜め息をつく俺。内浦に帰りたい・・・
「まぁせっかくですし、観光するのも悪くないでしょう。私は先に実家へ戻ろうと思いますが、天と曜はどうしますか?」
「私はちょっと寄りたいところがあるので」
「・・・じゃあ俺も曜さんに付き合おうかな。ついでに全員回収していくよ」
「了解です。ではまた後ほど」
海未ちゃんはそう言うと、実家へと戻っていった。
俺は曜さんへと視線を移す。
「曜さん、寄りたいところってどこですか?俺で案内できるところなら、案内させてもらいますけど」
「ホント!?」
目を輝かせる曜さん。
「さっきも言ったけど、メイドカフェに行きたいんだよね!」
「やっぱり俺も海未ちゃんの実家に行ってます」
「ちょっと!?」
慌てて襟首を掴まれる。えぇ・・・
「勘弁してくださいよ・・・それはちょっと勇気が必要ですって」
「大丈夫だよ!『愛と勇気だけが友達さ』ってアン●ンマンも言ってるじゃん!」
「いや、俺はアンパ●マンじゃないんで。愛と勇気以外にも友達いるんで」
っていうかそれ、『アンパン●ンのマーチ』の歌詞だよね?ア●パンマン本人が言ってたわけじゃないよね?
アンパンマ●にだって友達はたくさんいるわ。
「お願い天くん!私一人じゃ勇気が出なくて入れないの!」
「それが本音じゃないですか。曜さんも勇気が無いパターンじゃないですか」
「天くん、お願いっ!」
両手を合わせて、上目遣いでお願いしてくる曜さん。
何か今、あの人と被ったな・・・髪色もちょっと似てるし・・・
「・・・分かりましたよ」
「やったぁ!」
喜ぶ曜さん。そういや、あの人の頼みも断れなかったっけ・・・
「それで?どこのメイドカフェに行くんですか?一口にメイドカフェと言っても、色々お店がありますけど」
「フッフッフッ、そこは抜かりなく調査済みだよ!」
胸を張る曜さん。大きいな・・・じゃなくて。
「実は一軒、もの凄く気になってるお店があるんだよね!」
「へぇ・・・そんなに有名なお店なんですか?」
「うん!『伝説のメイド』って呼ばれてるメイドさんがいることで有名なお店なの!」
「・・・マジかぁ」
苦笑する俺なのだった。
*****
「えーっと、この道がここだから・・・」
「こっちですよ」
「えっ、ホント!?」
スマホと睨めっこしていた曜さんが、慌てて俺の後をついてくる。
俺達は、『伝説のメイド』がいるメイドカフェを目指していた。
「天くん、道詳しいね・・・ひょっとして、そのお店知ってるの?」
「知ってますよ。行ったことありますし」
「えぇっ!?」
驚く曜さん。
「じゃ、じゃあ!『伝説のメイド』に会ったことあるの!?」
「ありますよ」
「どんな人!?」
「それは行ってのお楽しみです」
「えぇっ!?凄く気になるんだけど!?」
そんな会話をしているうちに、目的地に到着する。
何だか懐かしく感じるな・・・
「そういえば今日、『伝説のメイド』は出勤してるんですかね?」
「ネットの口コミで調べたら、土日にいることが多いみたい。前は平日の方が多かったみたいだけどね」
だろうな。当時は高校生だったから放課後にバイトしてたけど、今は大学が忙しいって言ってたし・・・
「そういえば、最近新しいメイドさんが入ったみたいだよ。もの凄く可愛いメイドさんで、『伝説のメイド』もイチオシなんだって」
「そうなんですか?」
あの人がイチオシかぁ・・・どんな人なんだろう?
「よし・・・!」
扉の前に立ち、深呼吸を始める曜さん。
「入る前に、まずは心の準備を・・・」
「こんにちは~」
「天くん!?」
扉を開けて中に入る俺。すると・・・
「いらっしゃいませ~♪」
背中までかかる赤い髪を揺らしながら、一人のメイドさんが笑顔で駆け寄ってきた。
えっ・・・
「二名様でよろしいでしょう・・・か・・・」
俺の顔を見て硬直するメイドさん。そんなメイドさんを、曜さんがキラキラした表情で見つめていた。
「うわぁ、メイドさんだぁ・・・!可愛いなぁ・・・!」
曜さんがまじまじと観察していることを気にもせず、ダラダラ汗をかきながら俺を見ているメイドさん。
うん、とりあえず・・・
「スイマセン、店を間違えました」
「待って!?」
踵を返して店を出ようとした俺の肩を、メイドさんがガシッと掴んだ。
「違うの!これは違うの!」
「何ガ違ウンデスカ?」
「何でカタコトなのよ!?お願いだから事情を聞いて!?」
「誰カト間違エテマセンカ?俺達ハ初対面ジャナイデスカ」
「冗談でも他人のフリなんてしないでくれる!?天に他人のフリなんてされたら、私は本気で泣く自信あるわよ!?」
既に涙目のメイドさん。一方、曜さんは困惑していた。
「えーっと・・・天くん、このメイドさんと知り合いなの・・・?」
「いえ、全く」
「ちょっと!?」
「真姫ちゃ~ん?」
奥からもう一人のメイドさんがやってきた。ベージュ色の長い髪を、独特のサイドテールに結ったメイドさんだ。
「騒がしいけど、何か問題でもあった・・・の・・・」
やはり俺を見て固まるメイドさん。俺もそのメイドさんを見て固まってしまった。
そして・・・
「そっ・・・天くううううううううううんっ!」
「ことりちゃああああああああああんっ!」
「ええええええええええっ!?」
お互いの元に駆け寄り、思いっきり抱き合う。曜さんがビックリしていた。
「会いたかったよ天くんっ!」
「俺もだよことりちゃんっ!」
「・・・相変わらず仲良しね、アンタ達」
ひしと抱き合う俺達を見て、赤髪のメイドさんが溜め息をつく。
「全く・・・私にはそんなリアクションしてくれなかったくせに・・・」
「天くん、真姫ちゃんがやきもち妬いてるよ」
「アララ、ホントだね。全く、真姫ちゃんったら可愛いんだから」
「べ、別にやきもちなんて妬いてないわよ!?」
「ゴメンゴメン。ほら真姫ちゃん、ハグしよ?」
「し、仕方ないわね・・・」
と言いつつも、しっかり俺に抱きついてくる真姫ちゃん。曜さんが呆然としていた。
「そ、天くん・・・そろそろ説明してくれると助かるんだけど・・・」
あっ、完全に曜さんを置き去りにしてたわ・・・
っていうか、この二人の顔にまだピンときてないのかな?
「曜さん、今μ'sの画像って見れます?」
「え?あ、うん。千歌ちゃんからもらったのがあるよ」
そう言ってスマホを操作し、μ'sの画像を表示する曜さん。それを見た瞬間、曜さんが驚愕の表情を浮かべた。
「えっ!?」
スマホの画面と二人のメイドさんの顔を、ダラダラ汗を流しながら超高速で交互に見る。
「ま、まさかっ・・・!?」
「そのまさかです」
苦笑する俺。
「南ことりちゃんと、西木野真姫ちゃん・・・二人ともμ'sのメンバーですよ」
「初めまして♪」
「どうも」
挨拶する二人に、完全に固まってしまう曜さんなのだった。
どうも~、ムッティです。
今回はμ'sから、ことまきペアが登場しました!
真姫ちゃんは五年経っているので、髪が伸びているという設定です。
ことりちゃんは・・・そのままで良いかなって(笑)
鞠莉ちゃんもそうですけど、あの独特のサイドテールは特徴的ですもんね。
さて、メイドカフェにて真姫ちゃんやことりちゃんと再会した天ですが・・・
果たしてどのような展開になっていくのか・・・
続きをお楽しみに(・∀・)ノ
次の話は明日投稿します。
それではまた次回!以上、ムッティでした!