絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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μ'sから、あの二人が登場します。


旅行先ではついはしゃぎたくなるものである。

 「わぁ・・・!」

 

 目を輝かせる千歌さん・ルビィ・花丸。俺達は東京・秋葉原に到着していた。

 

 「見て見て!スクールアイドルの広告があるよ!」

 

 はしゃぐ千歌さん。一方・・・

 

 「クックックッ・・・ここがあまねく魔の者が闊歩すると言い伝えられる約束の地、魔都・東京ね」

 

 ドヤ顔でポーズを決めている善子。魔都って何やねん。

 

 「はいはい、はしゃぎすぎないの」

 

 釘を刺す俺。

 

 「とりあえず、勝手な行動はしないように・・・」

 

 「あっ、スクールアイドルショップ!」

 

 「ぴぎぃっ!」

 

 「人の話聞いてくれる!?」

 

 近くのスクールアイドルショップへと走っていく千歌さんとルビィ。

 

 何してんのあの人達・・・

 

 「すっかり夢中になってますね」

 

 「皆はしゃいでるなぁ」

 

 苦笑している海未ちゃんと曜さん・・・って、あれ?

 

 「気のせいかな・・・海未ちゃんと曜さん以外誰もいなくない?」

 

 「善子は近くに堕天使ショップがあるらしくて、そちらへ行きましたよ。花丸は秋葉原の街を巡りたいとのことで、付き添いの梨子と一緒に行ってしまいました」

 

 「・・・もう嫌だ」

 

 溜め息をつく俺。内浦に帰りたい・・・

 

 「まぁせっかくですし、観光するのも悪くないでしょう。私は先に実家へ戻ろうと思いますが、天と曜はどうしますか?」

 

 「私はちょっと寄りたいところがあるので」

 

 「・・・じゃあ俺も曜さんに付き合おうかな。ついでに全員回収していくよ」

 

 「了解です。ではまた後ほど」

 

 海未ちゃんはそう言うと、実家へと戻っていった。

 

 俺は曜さんへと視線を移す。

 

 「曜さん、寄りたいところってどこですか?俺で案内できるところなら、案内させてもらいますけど」

 

 「ホント!?」

 

 目を輝かせる曜さん。

 

 「さっきも言ったけど、メイドカフェに行きたいんだよね!」

 

 「やっぱり俺も海未ちゃんの実家に行ってます」

 

 「ちょっと!?」

 

 慌てて襟首を掴まれる。えぇ・・・

 

 「勘弁してくださいよ・・・それはちょっと勇気が必要ですって」

 

 「大丈夫だよ!『愛と勇気だけが友達さ』ってアン●ンマンも言ってるじゃん!」

 

 「いや、俺はアンパ●マンじゃないんで。愛と勇気以外にも友達いるんで」

 

 っていうかそれ、『アンパン●ンのマーチ』の歌詞だよね?ア●パンマン本人が言ってたわけじゃないよね?

 

 アンパンマ●にだって友達はたくさんいるわ。

 

 「お願い天くん!私一人じゃ勇気が出なくて入れないの!」

 

 「それが本音じゃないですか。曜さんも勇気が無いパターンじゃないですか」

 

 「天くん、お願いっ!」

 

 両手を合わせて、上目遣いでお願いしてくる曜さん。

 

 何か今、あの人と被ったな・・・髪色もちょっと似てるし・・・

 

 「・・・分かりましたよ」

 

 「やったぁ!」

 

 喜ぶ曜さん。そういや、あの人の頼みも断れなかったっけ・・・

 

 「それで?どこのメイドカフェに行くんですか?一口にメイドカフェと言っても、色々お店がありますけど」

 

 「フッフッフッ、そこは抜かりなく調査済みだよ!」

 

 胸を張る曜さん。大きいな・・・じゃなくて。

 

 「実は一軒、もの凄く気になってるお店があるんだよね!」

 

 「へぇ・・・そんなに有名なお店なんですか?」

 

 「うん!『伝説のメイド』って呼ばれてるメイドさんがいることで有名なお店なの!」

 

 「・・・マジかぁ」

 

 苦笑する俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「えーっと、この道がここだから・・・」

 

 「こっちですよ」

 

 「えっ、ホント!?」

 

 スマホと睨めっこしていた曜さんが、慌てて俺の後をついてくる。

 

 俺達は、『伝説のメイド』がいるメイドカフェを目指していた。

 

 「天くん、道詳しいね・・・ひょっとして、そのお店知ってるの?」

 

 「知ってますよ。行ったことありますし」

 

 「えぇっ!?」

 

 驚く曜さん。

 

 「じゃ、じゃあ!『伝説のメイド』に会ったことあるの!?」

 

 「ありますよ」

 

 「どんな人!?」

 

 「それは行ってのお楽しみです」

 

 「えぇっ!?凄く気になるんだけど!?」

 

 そんな会話をしているうちに、目的地に到着する。

 

 何だか懐かしく感じるな・・・

 

 「そういえば今日、『伝説のメイド』は出勤してるんですかね?」

 

 「ネットの口コミで調べたら、土日にいることが多いみたい。前は平日の方が多かったみたいだけどね」

 

 だろうな。当時は高校生だったから放課後にバイトしてたけど、今は大学が忙しいって言ってたし・・・

 

 「そういえば、最近新しいメイドさんが入ったみたいだよ。もの凄く可愛いメイドさんで、『伝説のメイド』もイチオシなんだって」

 

 「そうなんですか?」

 

 あの人がイチオシかぁ・・・どんな人なんだろう?

 

 「よし・・・!」

 

 扉の前に立ち、深呼吸を始める曜さん。

 

 「入る前に、まずは心の準備を・・・」

 

 「こんにちは~」

 

 「天くん!?」

 

 扉を開けて中に入る俺。すると・・・

 

 「いらっしゃいませ~♪」

 

 背中までかかる赤い髪を揺らしながら、一人のメイドさんが笑顔で駆け寄ってきた。

 

 えっ・・・

 

 「二名様でよろしいでしょう・・・か・・・」

 

 俺の顔を見て硬直するメイドさん。そんなメイドさんを、曜さんがキラキラした表情で見つめていた。

 

 「うわぁ、メイドさんだぁ・・・!可愛いなぁ・・・!」

 

 曜さんがまじまじと観察していることを気にもせず、ダラダラ汗をかきながら俺を見ているメイドさん。

 

 うん、とりあえず・・・

 

 「スイマセン、店を間違えました」

 

 「待って!?」

 

 踵を返して店を出ようとした俺の肩を、メイドさんがガシッと掴んだ。

 

 「違うの!これは違うの!」

 

 「何ガ違ウンデスカ?」

 

 「何でカタコトなのよ!?お願いだから事情を聞いて!?」

 

 「誰カト間違エテマセンカ?俺達ハ初対面ジャナイデスカ」

 

 「冗談でも他人のフリなんてしないでくれる!?天に他人のフリなんてされたら、私は本気で泣く自信あるわよ!?」

 

 既に涙目のメイドさん。一方、曜さんは困惑していた。

 

 「えーっと・・・天くん、このメイドさんと知り合いなの・・・?」

 

 「いえ、全く」

 

 「ちょっと!?」

 

 「真姫ちゃ~ん?」

 

 奥からもう一人のメイドさんがやってきた。ベージュ色の長い髪を、独特のサイドテールに結ったメイドさんだ。

 

 「騒がしいけど、何か問題でもあった・・・の・・・」

 

 やはり俺を見て固まるメイドさん。俺もそのメイドさんを見て固まってしまった。

 

 そして・・・

 

 「そっ・・・天くううううううううううんっ!」

 

 「ことりちゃああああああああああんっ!」

 

 「ええええええええええっ!?」

 

 お互いの元に駆け寄り、思いっきり抱き合う。曜さんがビックリしていた。

 

 「会いたかったよ天くんっ!」

 

 「俺もだよことりちゃんっ!」

 

 「・・・相変わらず仲良しね、アンタ達」

 

 ひしと抱き合う俺達を見て、赤髪のメイドさんが溜め息をつく。

 

 「全く・・・私にはそんなリアクションしてくれなかったくせに・・・」

 

 「天くん、真姫ちゃんがやきもち妬いてるよ」

 

 「アララ、ホントだね。全く、真姫ちゃんったら可愛いんだから」

 

 「べ、別にやきもちなんて妬いてないわよ!?」

 

 「ゴメンゴメン。ほら真姫ちゃん、ハグしよ?」

 

 「し、仕方ないわね・・・」

 

 と言いつつも、しっかり俺に抱きついてくる真姫ちゃん。曜さんが呆然としていた。

 

 「そ、天くん・・・そろそろ説明してくれると助かるんだけど・・・」

 

 あっ、完全に曜さんを置き去りにしてたわ・・・

 

 っていうか、この二人の顔にまだピンときてないのかな?

 

 「曜さん、今μ'sの画像って見れます?」

 

 「え?あ、うん。千歌ちゃんからもらったのがあるよ」

 

 そう言ってスマホを操作し、μ'sの画像を表示する曜さん。それを見た瞬間、曜さんが驚愕の表情を浮かべた。

 

 「えっ!?」

 

 スマホの画面と二人のメイドさんの顔を、ダラダラ汗を流しながら超高速で交互に見る。

 

 「ま、まさかっ・・・!?」

 

 「そのまさかです」

 

 苦笑する俺。

 

 「南ことりちゃんと、西木野真姫ちゃん・・・二人ともμ'sのメンバーですよ」

 

 「初めまして♪」

 

 「どうも」

 

 挨拶する二人に、完全に固まってしまう曜さんなのだった。




どうも~、ムッティです。

今回はμ'sから、ことまきペアが登場しました!

真姫ちゃんは五年経っているので、髪が伸びているという設定です。

ことりちゃんは・・・そのままで良いかなって(笑)

鞠莉ちゃんもそうですけど、あの独特のサイドテールは特徴的ですもんね。

さて、メイドカフェにて真姫ちゃんやことりちゃんと再会した天ですが・・・

果たしてどのような展開になっていくのか・・・

続きをお楽しみに(・∀・)ノ

次の話は明日投稿します。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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