絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

44 / 173
最近、欅坂46の『黒い羊』をメッチャ聴いてます。

メッセージ性の強い、心に響く曲ですよね。


元気の無い人を見ると心配になるものである。

 「こ、ここが海未先生の実家・・・」

 

 唖然としている千歌さん。

 

 武家屋敷のような趣のある古風な家を前に、皆思わず固まってしまっていた。

 

 「何だかウチと似てて、親近感が湧くなぁ」

 

 「黒澤家もこんな感じだもんね」

 

 ルビィとそんな会話をする。

 

 初めて黒澤家にお邪魔した時、『まるで園田家だな』って思ったっけなぁ・・・

 

 「とりあえず入りましょうか」

 

 そう言ってインターホンを押そうとすると、その前にドアが開いた。中から着物姿の女性が出てきて、俺達を見て首を傾げる。

 

 「あら?ウチに何か御用ですか?」

 

 「あ、えーっと・・・」

 

 「お久しぶりです、波未さん」

 

 頭を下げる俺。波未さんは俺を見ると、顔をパァッと輝かせた。

 

 「まぁ、天さん!お久しぶりです!」

 

 「お元気そうで何よりです。お変わりないですか?」

 

 「えぇ、おかげさまで。天さんもお元気そうで安心しました」

 

 波未さんと談笑していると、梨子さんに袖を引っ張られた。

 

 「そ、天くん・・・こちらの方は・・・?」

 

 「あぁ、すみません。こちらは園田波未さん、海未ちゃんのお母さんです」

 

 「初めまして」

 

 微笑みながら一礼する波未さん。相変わらず作法が綺麗だなぁ・・・

 

 「お、お母さん!?海未先生の!?」

 

 「お姉さんじゃなくて!?」

 

 「フフッ、そう言っていただけると嬉しいです」

 

 皆の驚きように、口元に手を当てて嬉しそうに笑う波未さん。

 

 まぁ確かに、波未さんと海未ちゃんって似てるもんなぁ・・・しかも波未さんは若く見えるし、俺も最初は海未ちゃんのお姉さんだと勘違いしたっけ・・・

 

 そんなことを思い出していると、家の中から海未ちゃんが出てきた。

 

 「お母様、何かあったのですか・・・って、皆もう着いてたんですね」

 

 「遅くなってゴメンね、海未ちゃん。ちゅんちゅんとイチャイチャしててさ」

 

 「ことりと会ったんですか!?あの子はまた抜け駆けを・・・!」

 

 「あと、ツンデレ姫と戯れてた」

 

 「真姫まで!?ズルいです!」

 

 「『ちゅんちゅん』と『ツンデレ姫』で通じるんだ・・・」

 

 呆れている曜さん。まぁμ'sのメンバーなら、大体ニュアンスで通じるからな。

 

 「海未、こちらの方々が浦の星の・・・?」

 

 「えぇ、そうです」

 

 「まぁ、いつもウチの海未がお世話になってます」

 

 「い、いえ!こちらこそ!」

 

 慌てて頭を下げる皆。俺も波未さんに一礼した。

 

 「すみません波未さん、大勢で押しかけてしまって・・・」

 

 「フフッ、天さんとそのお友達ならいつでも大歓迎です」

 

 ニッコリ笑う波未さん。

 

 「それでは、私は夕飯のお買い物に行ってきます。どうぞ自分の家だと思って、ゆっくり寛いで下さいね」

 

 「ありがとうございます」

 

 「海未、皆さんに家の中を案内して差し上げて」

 

 「はい、お母様」

 

 波未さんは微笑むと、そのまま買い物へと出かけていった。

 

 「いやぁ、波未さんは相変わらず綺麗だねぇ・・・結婚しよ」

 

 「出来ませんよ!?人妻ですからね!?」

 

 「アハハ、冗談だよ」

 

 「私でしたら結婚出来ますよ?」

 

 「・・・ごめんなさい」

 

 「ガチトーンで断るの止めてもらえます!?」

 

 「この二人、本当に仲良しずらね・・・」

 

 「「「「「確かに・・・」」」」」

 

 苦笑する花丸の言葉に、同じく苦笑しながら頷く皆なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「美味しかったずら~♪」

 

 幸せそうに寝そべる花丸。園田家で夕飯をご馳走になった俺達だったが、その豪華さに全員が大満足だった。

 

 流石は波未さん、料理も上手とか完璧すぎる。

 

 「俺、料理が得意な人と結婚するんだ・・・」

 

 「じゃあ私しかいませんね」

 

 「ちょっと何言ってるか分かんない」

 

 「何でですか!」

 

 全く、海未ちゃんときたら・・・

 

 「ところで海未ちゃん、俺は今夜どこで寝たら良いの?」

 

 海未ちゃんに尋ねる俺。俺達は今大部屋にいるのだが、ここはAqoursの皆に用意された場所だ。

 

 俺はどこか余っている部屋にでも・・・

 

 「ここですけど?」

 

 「寝言は寝て言え、ラブアローシューター」

 

 「その呼び方止めてもらえます!?」

 

 何言ってんのこの人。年頃の男女を同じ部屋で寝かせる気なの?

 

 「あのね海未ちゃん、皆の気持ちを考えよう?男と一緒に寝るなんて、皆嫌に決まってるでしょ?」

 

 「私は構わないよ?」

 

 「私も大丈夫だけど?」

 

 キョトンとした顔で言う千歌さんと曜さん。いやいやいや・・・

 

 「マルも平気ずら」

 

 「ルビィも天くんだったらオッケーだよ」

 

 花丸とルビィもそんなことを言い出す。いやいやいやいや・・・

 

 「ちょ、ちょっと恥ずかしいけど・・・まぁ天くんなら・・・」

 

 「クックックッ・・・我がリトルデーモンに添い寝をしてやるのも、主であるヨハネの使命・・・感謝するが良いぞ?」

 

 「また“ク●ッチ”されたい?」

 

 「すいませんでした!」

 

 梨子さんと善子まで・・・この人達の貞操観念はどうなってるんだ・・・

 

 「まぁ、天が嫌だというなら仕方ありません。私と一緒に私の部屋で寝ましょう。そして二人で、いつものように熱い夜を・・・!」

 

 「ここで寝ます」

 

 「ちょっと!?」

 

 海未ちゃんのツッコミ。『熱い』夜なんて過ごした覚えないわ。

 

 海未ちゃんに抱き枕代わりにされて、『暑い』夜を過ごした覚えならあるけど。

 

 「じゃあ私もここで寝ます!私だけ仲間外れは嫌です!」

 

 「よーし!皆で仲良く一緒に寝よー!」

 

 「「「「「おー!」」」」」

 

 テンションの上がっている皆。俺と梨子さんは顔を見合わせ、思わず苦笑してしまった。

 

 と、千歌さんが海未ちゃんの方を見る。

 

 「そういえば海未先生、ここから音ノ木坂って近いんですか?」

 

 「えぇ、近いですよ。私は徒歩で通学してましたし」

 

 「案内してもらえませんか!?」

 

 目をキラキラと輝かせている千歌さん。

 

 μ'sファンにとって、音ノ木坂は是非とも行きたい場所なんだろうな・・・

 

 「案内するのは構いませんが・・・今から行くんですか?もう夜ですし、お風呂にも入ってしまいましたよ?」

 

 「はい!行ってみたいです!」

 

 「ルビィも行きたい!」

 

 「賛成であります!」

 

 「大丈夫ずら・・・?東京の夜は物騒じゃないずらか・・・?」

 

 「ククッ、夜こそヨハネの活動時間・・・恐れるものなど何も無いわ!」

 

 「この辺りって夜になるとお化けが出るらしいよ」

 

 「ひぃっ!?」

 

 俺にしがみつく善子。メッチャ怖がってんじゃん・・・

 

 と、梨子さんが何やら浮かない顔をしていた。

 

 「梨子さん?どうしました?」

 

 「えっ?あっ、ううん・・・何でもない」

 

 慌てて笑顔を見せる梨子さん。

 

 「千歌ちゃん、ゴメン。私は遠慮しておくね」

 

 「梨子ちゃん・・・?」

 

 「先に寝てるから。皆で行ってきて」

 

 梨子さんはそう言うと立ち上がり、大部屋から出て行った。

 

 どうしたのかな・・・

 

 「・・・やっぱり俺達も寝ませんか?明日の朝は早いですし」

 

 「・・・そうしよっか」

 

 苦笑する千歌さん。音ノ木坂に行ってみたい気持ちはあるようだが、梨子さん抜きで行くつもりはないようだ。

 

 こういう仲間思いなところは、千歌さんの良いところだと思う。

 

 「とりあえず布団敷きましょう。寝る場所を確保しないと」

 

 「では、私は天の隣で」

 

 「あ、間に合ってます」

 

 「間に合ってるって何ですか!?」

 

 「ちょっと海未先生!リトルデーモンに添い寝するのはヨハネの役目よ!」

 

 「そこの堕天使もどきもちょっと黙って」

 

 「もどきって何よ!?」

 

 「しょうがないなー。天くん、私の隣に来ることを許してあげよう」

 

 「ピッチャー、第一球を投げました」

 

 「ふがっ!?」

 

 千歌さんの顔面に枕を叩き込む。一撃で沈む千歌さん。

 

 「天くんって、相手が女の子でも容赦ないよね・・・」

 

 「男女平等だからね」

 

 「こういう場面で使う言葉じゃないよねぇ!?」

 

 ルビィのツッコミ。海未ちゃんが苦笑している。

 

 「天は昔からそうでしたね・・・私達が相手でも容赦ありませんでした。ことりと花陽は例外でしたけど」

 

 「あの二人は天使だもん。それ以外は悪魔だけど」

 

 「誰が悪魔ですかっ!」

 

 「昔から、か・・・」

 

 何やら呟いている曜さん。

 

 憂いを帯びたその表情に、俺は曜さんのことが心配になるのだった。




どうも~、ムッティです。

今回は海未ちゃんのお母さんが登場しましたね。

アニメでは映画で一瞬だけ出てきましたが、果たして名前は何というのか・・・

この作品では、勝手にオリジナルの名前をつけてしまいました。

だいぶ迷いまして、最初は『すずこ』にしようかと思ってました(笑)

最終的に、海といえば波・・・じゃあ『波未(なみ)』で、となりました(笑)

名前を考えるって難しいですね。

さて、何やら曜ちゃんの元気がありませんが・・・

果たしてどうなるのか・・・

次の話は明日投稿します。

それではまた次回!以上、ムッティでした!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。