絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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最近、鈴木このみさんの『My Days』をよく聴いてます。

メッチャカッコいい曲( ´∀`)


運命とは不思議なものである。

 《梨子視点》 

 

 翌朝・・・

 

 「・・・んっ」

 

 目を覚ました私は、ぼんやりとした頭の中で状況を整理する。昨日の夜は海未先生の実家に泊まって、皆で一緒に寝たんだっけ・・・

 

 と、身体が妙に温かいことに気付いた。まるで何かに包まれているような・・・

 

 「っ!?」

 

 そういえば昨日の夜、天くんと抱き合って・・・!?

 

 慌てて上を見上げると・・・

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 安らかに寝息を立てる天くんの顔があった。そして私の顔が、ちょうど天くんの胸の位置に・・・

 

 つまり私は天くんに抱き締められて、天くんの胸に顔を埋めたまま一晩寝ていたというわけだ。

 

 「っ・・・!」

 

 耳まで真っ赤になっていくのを感じる。

 

 天くんの前でボロ泣きしたことはまだ良い。問題は自分から天くんの布団に潜り込んで、自分から天くんに抱きついて胸に顔を埋めてしまったことだ。

 

 何やってるの私!もしこの場にダイヤさんがいたら、『破廉恥ですわ!』って怒られてるところじゃない!

 

 でも・・・

 

 「・・・温かい」

 

 思わず呟いてしまう。

 

 やっぱり天くんも男の子なだけあって、身体つきがしっかりしていた。抱き締められていて、とても安心感を覚える。

 

 「・・・嬉しかったな」

 

 昨夜の記憶が甦ってくる。

 

 私が歩んでいる道は間違いじゃないと、苦しい思いをしたことも無駄じゃないと言ってくれた。もっと胸を張って良いと、私のことを凄い人だと言ってくれた。

 

 本当に本当に嬉しくて・・・涙が止まらなかった。

 

 「・・・天くん」

 

 天くんの顔を見上げる。

 

 穏やかな寝顔を見ていると、何だか可愛く思えてきて・・・とても愛おしく感じた。

 

 「・・・フフッ」

 

 私は小さく笑うと、再び天くんの胸に顔を埋めた。もう少しだけ、このままでも良いよね・・・

 

 そんなことを思いながら天くんに身体を委ね、意識を手放そうとした時・・・

 

 「あーっ!?」

 

 急に大声が聞こえて、慌てて顔を上げる。

 

 千歌ちゃんが驚愕の表情でこちらを見ていた。

 

 「天くん!?梨子ちゃん!?何してるの!?」

 

 「ち、違うの千歌ちゃん!これは・・・」

 

 「うゆ・・・?」

 

 「何の騒ぎずらぁ・・・?」

 

 「騒々しいわねぇ・・・」

 

 千歌ちゃんの大声で目覚めた一年生三人組が、眠そうに目を擦りながら起き上がる。

 

 そして私達の方を見て・・・

 

 「ぴぎっ!?」

 

 「ずらっ!?」

 

 「な、何してんのよアンタ達!?」

 

 顔を赤くして絶句する三人。

 

 慌てて弁解しようとすると、今度は曜ちゃんと海未先生が起き上がった。

 

 「んっ・・・何かあったの・・・?」

 

 「大変なんだよ曜ちゃん・・・って、何で海未先生と同じ布団で寝てるの!?」

 

 「えへへ、色々あって・・・って、えぇっ!?天くんと梨子ちゃんも同じ布団で寝てるの!?しかも抱き合ってるじゃん!?」

 

 「ふわぁ・・・朝から何を騒いでるんですか・・・?」

 

 「海未先生!天くんと梨子ちゃんが!」

 

 「え・・・?」

 

 こちらを見る海未先生。

 

 マ、マズい・・・!天くんを溺愛している海未先生が、こんな光景を見たら・・・!

 

 「・・・何か問題でも?」

 

 「「「「「「えぇっ!?」」」」」」

 

 全員驚きの声を上げる。意外と冷静な反応なのが怖いんだけど・・・

 

 「ちょ、海未先生!?天くんと梨子ちゃんが抱き合って寝てるんですよ!?」

 

 「・・・普通ですよね?」

 

 「普通じゃないわよ!?」

 

 善子ちゃんのツッコミ。寝起きで頭がボーっとしてるのかな・・・?

 

 「μ'sとして活動していた頃、こういった光景はよく見ましたからね。外泊する時は誰が天の隣で寝るか、皆でよく争ったものです」

 

 苦笑する海未先生。

 

 「かくいう私も、今は天と一緒に寝てますから。同じ布団で寝ることもありますし」

 

 「そ、そうなんですか・・・」

 

 「・・・ん」

 

 そんな会話をしていると、天くんの目がゆっくりと開いた。

 

 そのまま海未先生達の方へと視線を向ける。

 

 「おはよー・・・朝から騒々しいけど、何かあったの?」

 

 「原因は天くんずらっ!」

 

 「俺・・・?」

 

 花丸ちゃんのツッコミに、首を傾げる天くん。

 

 「それより花丸、人の腕を抱き枕にするのは良いんだけどさ・・・俺も思春期の男子だってことを忘れないでね?花丸の胸の谷間に腕が挟み込まれて、色々大変だったんだよ?」

 

 「ずらぁっ!?」

 

 耳まで真っ赤になる花丸ちゃん。そんなことがあったのね・・・

 

 「ちょ、花丸ちゃん!?」

 

 「アンタも破廉恥なことしてるじゃない!?」

 

 「・・・ずらぁ」

 

 「あぁっ!?花丸ちゃんが倒れた!?」

 

 何やら大変なことになっている中、天くんが私の方を見た。

 

 「おはようございます、梨子さん」

 

 「お、おはよう・・・」

 

 未だに天くんの腕に抱かれている私は、恥ずかしくてまともに天くんの顔を見れなかった。

 

 そんな私に天くんは優しく微笑み、耳元で小さく囁いた。

 

 「・・・少しはスッキリしましたか?」

 

 「っ・・・」

 

 ホントにこの子は・・・優しすぎるでしょ・・・

 

 「・・・えぇ。ありがとう、天くん」

 

 笑顔でそう返す私なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「この道を歩くのも、何だか久々な気がするよ」

 

 「フフッ、そうですね」

 

 Aqoursの皆の後ろを、海未ちゃんと会話しながら歩く俺。

 

 イベント会場へと向かう前に、俺達はある場所へと向かっていた。

 

 「着いた・・・!」

 

 先頭を歩いていた千歌さんが立ち止まる。

 

 目の前には大きなスクリーン、そして白く巨大な建物・・・秋葉原UTXがそびえ立っていた。

 

 「・・・変わらないな、ここも」

 

 小さく呟く。ここに来ることを提案したのは、他でもない千歌さんだった。

 

 何でも高一の時、曜さんと二人で秋葉原を訪れたことがあったらしい。その際にこのスクリーンでμ'sの映像を見て、スクールアイドルをやりたいと思ったんだそうだ。

 

 千歌さんがスクールアイドルを目指すきっかけは聞いていたが、まさかこの場所だったとは・・・

 

 それを聞いた時は、海未ちゃんと顔を見合わせて驚いてしまった。

 

 「同じですね・・・穂乃果と」

 

 「・・・そうだね」

 

 穂乃果ちゃんも、このスクリーンでA-RISEの映像を見てスクールアイドルをやることを決めた人だもんな・・・

 

 そしてその五年後、このスクリーンでμ'sの映像を見てスクールアイドルをやりたいと思った千歌さん・・・

 

 これは運命なんだろうか・・・

 

 「そういえば、そろそろじゃないですか?」

 

 「ん?何が?」

 

 「ラブライブのエントリーですよ。時期的にそろそろだと思うのですが」

 

 「あぁ、確かに」

 

 ラブライブは半年に一度のペースで、春と秋にそれぞれ開催されている。予選のことを考えると、そろそろ秋の大会のエントリーが始まる頃なのだが・・・

 

 そんなことを海未ちゃんと話していると、突然音楽が鳴り響いた。スクリーンに『Love Live!』の文字が映し出され、その下に『ENTRY START!』の文字が浮かび上がる。

 

 「ラブライブ・・・」

 

 「遂に来たね・・・」

 

 スクリーンを見上げるルビィと曜さん。梨子さんが千歌さんへと視線を向ける。

 

 「どうするの?」

 

 「勿論出るよ!」

 

 力強く頷く千歌さん。

 

 「μ'sがそうだったように、学校を救ったように・・・私達もラブライブに出て、浦の星を救おう!」

 

 「フフッ、言うと思ったずら」

 

 「やってやろうじゃない」

 

 笑みを浮かべる花丸と善子。μ'sがそうだったように、か・・・

 

 「・・・どこまでもμ'sの背中を追いかけるんですね。千歌さんは」

 

 「天・・・?」

 

 海未ちゃんが首を傾げる中、千歌さんが前に出す。

 

 「よし、アレやろう!」

 

 その言葉に呼応し、Aqoursの皆が円陣を組む。曜さんがこちらへ視線を向ける。

 

 「ほら、天くんも一緒に!」

 

 「六人いたら十分でしょう。俺は遠慮しときます」

 

 「えぇっ!?ファーストライブの時はやってくれたじゃん!?」

 

 「曜さんが無理矢理やらせたんじゃないですか」

 

 「言い方が酷くない!?」

 

 「俺の初めてが、曜さんに奪われて・・・」

 

 「その言い方も止めて!?」

 

 「まぁ、円陣組むの初めてじゃなかったんですけどね」

 

 「今のやりとり何だったの!?」

 

 「まぁまぁ曜ちゃん、今回は六人でやりましょう?ね?」

 

 「むぅ・・・」

 

 梨子さんが宥めてくれるものの、膨れっ面になる曜さん。やれやれ・・・

 

 「さぁ、いこう!今、全力で輝こう!」

 

 「「「「「「Aqours!サンシャイン!」」」」」」

 

 六人の声が響き渡る。

 

 人数が増えたのもあるが、それ以上に・・・ファーストライブの時と比べて、力強さが増した気がした。良いグループになったなぁ・・・

 

 感慨に浸っていた俺は、海未ちゃんがこちらを気遣わしげに見つめていることに気が付かないのだった。




どうも〜、ムッティです。

この前久しぶりにカラオケに行きまして、μ'sやAqoursの曲を熱唱してきました。

μ'sはともかく、Aqoursはキーの高い曲が多いですね(>_<)

そんな中、精密採点DXを使ってみたのですが・・・

Aqoursの曲の中で一番得点が高かったのは、『HAPPY PARTY TRAIN』でした。

ちなみに二番が『MY舞☆TONIGHT』で、三番が『想いよひとつになれ』でした。

個人的に難しいと感じたのは、『勇気はどこに?君の胸に!』ですね。

特に二番が終わった後の『やり残したことなど〜』からが、ちょっとキーが高すぎて・・・

裏声を使うって難しい(>_<)

またカラオケに行って練習したいなぁ・・・

という、全く関係ない話をしてしまいました(笑)

次の話ではあの人が登場する予定です。

明日投稿しますので、お楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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