絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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セブンイレブンで大量のチョコを買いました。

全てはAqoursのクリアファイルを手に入れる為・・・

おかげで全種類コンプリート出来ましたが、店員さんからは白い目で見られました。

解せぬ。


誰しもが壁にぶつかるものである。

 「うぅ、こんなに人が多いなんて・・・」

 

 俺の腕にしがみつき、恐る恐る歩いている海未ちゃん。パフォーマンスの準備に向かった皆と別れた俺達は、イベントを鑑賞する為に客席へと向かっていた。

 

 マネージャーとはいえ、他のスクールアイドル達も使用する控え室には入れないからな。

 

 「どこかの誰かさん達がスクールアイドルブームを巻き起こして以来、スクールアイドルの人口は年々増加してるからね。必然的にスクールアイドルファンも増えて、こういうイベントはいつもお客さんでいっぱいになるんだよ」

 

 「く、詳しいですね・・・」

 

 「μ'sが解散してからも、こういうイベントにはよく連れて来られてたからねぇ・・・初代部長と二代目部長と三代目部長に」

 

 「あぁ、にこと花陽と亜里沙ですか」

 

 苦笑する海未ちゃん。あの三人は本当にスクールアイドルが好きだからなぁ・・・

 

 「まぁそのおかげで、最近のスクールアイドルのことも把握出来てるんだけどね。このイベントに参加するスクールアイドルも、ほとんど知ってるグループだったし」

 

 「いや、ほとんど知ってるって・・・凄くないですか?」

 

 「というより、割と有名なグループがたくさん参加してるんだよね」

 

 苦笑する俺。

 

 「何しろ、ラブライブの決勝まで進んだことのあるグループばかりだから」

 

 「えぇっ!?このイベント、そんなにレベルの高いものだったんですか!?」

 

 「気付くの遅くない?」

 

 俺が呆れていると・・・

 

 「あら?Aqoursのマネージャーさん?」

 

 ふいに声をかけられる。振り向くとSaint Snowの二人・・・鹿角姉妹が立っていた。

 

 「あぁ、おはようございます」

 

 「おはようございます」

 

 丁寧に挨拶を返してくれる聖良さん。一方理亞さんは聖良さんの陰に隠れ、こちらを睨み付けていた。

 

 「理亞さんもおはようございます」

 

 「・・・ふんっ」

 

 そっぽを向く理亞さん。聖良さんが困ったように笑う。

 

 「すみません・・・この子、昨日のことを根に持ってまして・・・」

 

 「あぁ、パンツの件ですか」

 

 「言わなくていいっ!」

 

 ガルルル・・・とこちらを威嚇してくる理亞さん。どうやら、本格的に警戒されてしまっているようだ。

 

 「天・・・また女の子のパンツを見てしまったんですか?」

 

 「だって理亞さんが見せつけてくるんだもん」

 

 「見せつけてないわよ!?」

 

 「スカートで跳んだら同じことでしょう」

 

 「うぐっ・・・」

 

 言葉に詰まる理亞さん。と、聖良さんが海未ちゃんの顔を見て首を傾げる。

 

 「ところで、そちらの女性は?」

 

 「初めまして、天の彼j・・・」

 

 「正体バラすぞ(ボソッ)」

 

 「姉ですっ!」

 

 慌てて言い直す海未ちゃん。

 

 ちなみに今の海未ちゃんは伊達メガネとマスクをしており、髪型もポニーテールにしている。要は正体がバレないように変装しているのだ。

 

 こんなところにμ'sの園田海未がいると分かったら、大騒ぎになりそうだしな・・・スクールアイドルファンの中で、μ'sのことを知らない人なんていないだろうし。

 

 「お姉様でしたか。ずいぶん仲がよろしいんですね」

 

 「姉は人見知りなもので、こういった人混みが苦手なんですよ」

 

 ここは適当に誤魔化しておく。向こうも気付いてないみたいだし。

 

 「我々は客席でイベントを鑑賞させていただきますので。お二人も頑張って下さい」

 

 「あら、他所のスクールアイドルを応援して良いんですか?」

 

 「Aqoursのマネージャーをやっているからといって、他のスクールアイドルを敵視しているわけではありませんから。俺はスクールアイドル好きなので」

 

 「フフッ、ありがとうございます」

 

 笑みを浮かべる聖良さん。

 

 「それではまた・・・理亞、行きましょう」

 

 理亞さんを引き連れて去っていく聖良さん。去り際、理亞さんがこちらに向かって『アッカンベー』をしてきた。

 

 アララ、嫌われたもんだな・・・

 

 「・・・大丈夫ですか?」

 

 「大丈夫だよ。『アッカンベー』くらい可愛いもんだし」

 

 「いえ、そうではなくて・・・」

 

 心配そうに俺を見る海未ちゃん。

 

 「あの二人のこと、本当は好きじゃありませんよね・・・?」

 

 「・・・よく分かったね」

 

 素直に驚いてしまった。表面上は上手く取り繕ってたつもりだったんだけど・・・

 

 「丁寧な態度ではありましたが、ちょっと丁寧すぎましたね」

 

 苦笑する海未ちゃん。

 

 「普段の天を知っている身としては、少し冷淡な態度に感じましたよ。もっとも、普段の天を知らない人は気付かないでしょうけど」

 

 「よく見てるねぇ・・・」

 

 「これでも長い付き合いなんですから、それくらい分かりますよ。それに・・・五年前にもいたじゃないですか。天がああいう態度をとった人達が」

 

 「あぁ・・・そうだったね」

 

 当時のことを思い出して苦笑する。

 

 今でこそ仲良くなってはいるが、最初の印象は悪かったっけな・・・

 

 「懐かしいなぁ・・・って、そろそろ時間か。早くしないと始まっちゃう」

 

 「えぇ、急ぎましょう」

 

 「うん、急ぎたいから離れてくんない?」

 

 「それは無理です」

 

 「断言したよこの人・・・」

 

 俺が呆れていると、海未ちゃんがおずおずと尋ねてきた。

 

 「そういえば天、先ほどの話なのですが・・・今回のイベントには、かなりの実力者達が参加しているんですよね?Aqoursは、その・・・大丈夫でしょうか?」

 

 「・・・大丈夫、ではないだろうね」

 

 俺は首を横に振ると・・・あまり口にしたくない予想を言うのだった。

 

 「恐らく、Aqoursは・・・」

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「お疲れ様でした」

 

 千歌さん達を労う俺。イベント終了後、俺と海未ちゃんは千歌さん達と合流していた。

 

 皆の表情は・・・どこか暗いものだった。

 

 「ダメだった・・・」

 

 「優勝どころか、入賞すら出来なかったずら・・・」

 

 落ち込むルビィと花丸。

 

 今回のイベントは、観客の投票で優勝グループを決めるというものだった。得票数が一番多かったグループが優勝、八位以内に入ったグループは入賞という形だ。

 

 残念ながらAqoursの名前は、八位までには呼ばれなかった。

 

 「でも声は出てましたし、ミスもこれまでで一番少なかったですよ?今までで一番良い出来だったのではありませんか?」

 

 皆のことを気遣い、フォローしようとする海未ちゃん。

 

 確かに俺の目から見ても、今までで一番良い出来だったとは思う。ただ・・・

 

 「・・・それでも、この結果なのよね」

 

 溜め息をつく善子。

 

 今までで一番の出来であっても、優勝どころか入賞すら出来ていない・・・その現実が、皆に重くのしかかっているのだ。

 

 「・・・私ね、Saint Snowを見た時に思ったの」

 

 曜さんが呟く。

 

 「これがトップレベルのスクールアイドルなんだって。このくらい出来なきゃダメなんだって。なのに・・・入賞すらしてなかった」

 

 そう、Saint Snowも入賞出来ていなかった。イベントのトップバッターとして登場した彼女達は、大いに会場を沸かせてイベントを盛り上げた。

 

 そのレベルはとても高く、入賞した他のグループと比べても遜色ないものだったと思う。Aqoursの出番はその次だったのだが・・・その前のSaint Snowが良すぎて、イマイチ盛り上がりに欠けてしまったほどだ。

 

 それほど良かったSaint Snowでさえ、入賞すらしていなかったのだ。

 

 「あの人達のレベルで無理なら、そのレベルさえに届いていない私達じゃ・・・」

 

 「でも・・・全力で頑張ったじゃん、私達」

 

 落ち込む曜さんに対し、笑いかける千歌さん。

 

 「海未先生も言ってくれたけど、今日が今までで一番良い出来だったと思う。周りはラブライブの決勝まで進んだことのある人達ばかりだし、入賞出来なくて当たり前だよ」

 

 「だけど、ラブライブの決勝に出ようと思ったら・・・今日出ていた人達くらい、上手くなきゃいけないってことでしょ・・・?」

 

 「それはそうだけど・・・でも、今はそんなこと考えても仕方ないよ」

 

 「千歌ちゃん・・・」

 

 あくまでも笑顔の千歌さん。全く、不器用なんだから・・・

 

 「・・・とりあえず、何か食べに行きませんか?お腹空いちゃって」

 

 「あ、賛成!私もお腹ペコペコ!」

 

 俺の提案に乗ってくる千歌さん。と、千歌さんのスマホが鳴った。

 

 「はい、高海ですけど・・・はい・・・はい・・・」

 

 何やら話し込む千歌さん。やがて電話を切ると、困ったような表情でこちらを見た。

 

 「さっきのイベントのスタッフさんが、渡したいものがあるから来てほしいって」

 

 「渡したいもの?」

 

 「うん。参加者全員に渡してるものらしいんだけど、渡しそびれちゃったんだってさ」

 

 「スマホ貸して下さい。『そっちが持ってこいやハゲ』って伝えとくんで」

 

 「喧嘩売る気満々!?女性スタッフさんだよ!?」

 

 「だから男女平等ですって」

 

 「だからこういう時に使うセリフじゃないって!?」

 

 千歌さんのツッコミ。ホント空気の読めないスタッフだな・・・

 

 「とりあえず行ってくるよ。天くんと海未先生は待ってて」

 

 「大丈夫ですか?私達もついていった方が・・・」

 

 「大丈夫ですよ。すぐ戻ってきますから」

 

 千歌さん達がイベント会場へと戻っていく。大丈夫かなぁ・・・

 

 「・・・皆、もの凄く落ち込んでましたね」

 

 海未ちゃんの表情も優れない。

 

 「その中でも、一番落ち込んでいたのは・・・」

 

 「大丈夫。分かってるから」

 

 海未ちゃんの言葉を遮る俺。あれで気付かないわけがない。

 

 「ホント・・・似てるよね」

 

 「・・・ですね」

 

 揃って溜め息をつく俺と海未ちゃんなのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「全く、これだから海未ちゃんは・・・」

 

 溜め息をつく俺。俺は今、迷子になった海未ちゃんを探していた。

 

 待っている間に、皆の分の飲み物を買いに行ってくれたのだが・・・先ほど泣きながら『助けて下さい!』と電話がかかってきたのだ。

 

 どうやら、帰り道が分からなくなってしまったらしい。

 

 「だから一緒に行こうって言ったのに・・・」

 

 そんな愚痴を呟きながら、海未ちゃんのことを探していると・・・

 

 「あら、またお会いしましたね」

 

 ある~日~、人混みの中~、Saint Snowさんに~、出会った~♪

 

 「チェンジで」

 

 「何がですか!?」

 

 聖良さんのツッコミ。熊さんより出会いたくない人達に出会ってしまった・・・

 

 「まぁいいや・・・お二人とも、ウチの姉を見ませんでしたか?」

 

 「な、何か凄く投げやりな感じですけど・・・お姉様は見てませんね。はぐれてしまったんですか?」

 

 「えぇ、どうやら迷子になってしまったみたいでして・・・電話で聞いたかぎりでは、どうやらこの辺にいるみたいなんですけど」

 

 「私達も探すの手伝いましょうか?」

 

 「あぁ、大丈夫です。多分すぐ捕獲出来ると思うので」

 

 「いや、捕獲って・・・」

 

 呆れている聖良さん。

 

 ふと聖良さんの陰に隠れる理亞さんへと視線を向けると・・・その目には涙が浮かんでいた。

 

 「えっ・・・泣くほど俺のこと嫌いですか?」

 

 「違うわよ!?」

 

 慌ててゴシゴシと目元を拭う理亞さん。聖良さんが苦笑している。

 

 「入賞出来なかったことが、よほど悔しかったみたいで」

 

 「姉様!余計なこと言わないで!」

 

 「あぁ、なるほど・・・」

 

 「何よ!?悪い!?」

 

 「いや、全然」

 

 首を横に振る俺。

 

 「それだけ理亞さんが、このイベントに本気で挑んでたっていうことでしょう?上から目線みたいになって申し訳ないですけど・・・立派だと思います」

 

 「っ・・・ふんっ」

 

 そっぽを向く理亞さん。

 

 「そんなの当たり前じゃない。お遊びで参加してるアンタ達とは違うのよ」

 

 「理亞」

 

 咎めるように声をかける聖良さん。だが、理亞さんは止まらなかった。

 

 「姉様だってあの子達に、『μ'sのようにラブライブを目指しているのだとしたら、諦めた方が良いかもしれません』って言ってたじゃない」

 

 「それは・・・」

 

 「・・・ずいぶんな言い方ですね」

 

 「「っ!?」」

 

 思わずドスの効いた声が出てしまう。それを聞いた鹿角姉妹が硬直してしまった。

 

 「お遊び?諦めた方が良い?貴女達がAqoursの何を知ってるんですか?」

 

 怒りがふつふつと湧き上がり、腸が煮えくり返る。

 

 「それがAqoursの為を思って言った言葉なら、話は別ですが・・・とてもそうは聞こえませんね。入賞出来なかったことが悔しくて、Aqoursに八つ当たりしたんですか?」

 

 「そ、そんなつもりは・・・」

 

 震えている聖良さん。理亞さんも再び涙目になっていた。

 

 「やっぱり俺は、貴女達のことがきr・・・」

 

 「ストップ」

 

 誰かに後ろから抱きつかれ、口を手で塞がれる。

 

 「それ以上は言っちゃダメよ、天くん」

 

 ウェーブのかかったセミロングヘアの女性が、優しく微笑んでいた。えっ・・・

 

 「なっ!?貴女はっ・・・!」

 

 その女性の顔を見た聖良さんが、驚愕の表情を浮かべる。その女性とは・・・

 

 「何でこんなところにいるの・・・あんじゅちゃん」

 

 「フフッ♪」

 

 A-RISEのメンバー・・・優木あんじゅその人なのだった。




どうも〜、ムッティです。

私事で大変恐縮ですが、本日誕生日を迎えました。

また一つ歳を重ねてしまった・・・

読者の皆様・・・いつもこの作品を読んでいただき、本当にありがとうございます。

この作品を書き続けることが出来るのも、ひとえに皆様の応援のおかげだと思っております。

こんな自分ではありますが、これからも応援していただけると幸いでございます。

これからもどうぞ、よろしくお願い致します。

さてさて、今回はA-RISEの優木あんじゅちゃんが登場したわけですが・・・

μ'sは勿論、A-RISEも出したかったんですよねー。

次の話では綺羅ツバサちゃんと藤堂英玲奈ちゃん、そして・・・

μ'sのあのメンバーも登場する予定です。

お楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!
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