絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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ヤバい。ポケモンがやりたくて仕方ない。

久々にXYとかORASとかSMとかやりたい。


再スタートはいつだって切ることが出来る。

 翌朝・・・

 

 「はっ・・・はっ・・・!」

 

 日課のランニングをしている俺。やっぱり内浦は走ってて気持ちが良いな・・・

 

 「・・・果南さん、大丈夫かな」

 

 ふとそんなことを呟く。

 

 昨夜家まで送り届けた時、Aqoursのことは『信じる』と言っていたが・・・小原理事長に関しては、やはりまだ複雑な思いを抱えているようだった。

 

 小原理事長といえば・・・

 

 「・・・あの人こそヤバそうだよなぁ」

 

 あの後家に帰ったら、海未ちゃんの機嫌が最悪だったのだ。何があったかは知らないが、恐らく小原理事長が海未ちゃんをブチギレさせる何かを言ってしまったんだろう。

 

 ムスッとした表情のまま抱きついてくる海未ちゃんをあやすのに、どれだけ苦労したことか・・・

 

 そして海未ちゃんがブチギレたのなら、小原理事長が何のダメージも無く済んでいるわけがない。精神的ダメージを負っているだろうし・・・海未ちゃんのことだから、思いっきり引っ叩いていることも考えられる。

 

 ブチギレた海未ちゃんの怖さを舐めてはいけない。

 

 「・・・ダイヤさんに、何があったのか聞いてみようかな」

 

 そんなことを考えながら、ふと海の方へ視線を向けると・・・

 

 「え・・・?」

 

 浜辺に千歌さんが立っていた。物憂げな表情で海を眺めている。

 

 スルーするのもアレなので、声をかけようとした瞬間・・・千歌さんが勢いよく海へと入っていった。

 

 「えぇっ!?」

 

 ビックリしてしまう俺。

 

 慌てて浜辺へと走るが、着いた時には千歌さんは完全に海に潜ってしまっていた。

 

 「っ・・・まさかあの人・・・!」

 

 嫌な予感がして、急いで俺も海に飛び込んだ瞬間・・・

 

 「ぷはぁっ!」

 

 千歌さんが海から出てくる。服はずぶ濡れ、腰から下は未だに海に浸かったままだ。

 

 「あー、気持ち良い!」

 

 「紛らわしいわっ!」

 

 「ごふっ!?」

 

 海水を手で掬い、千歌さんの顔面に叩きつける。マジで焦った・・・

 

 「げほっ・・・ごほっ・・・そ、天くん!?いきなり何するの!?」

 

 「カッとなってやりました。反省はしていません」

 

 「ふてぶてしいっ!?」

 

 ツッコミを入れつつ、手で海水を拭う千歌さん。

 

 「っていうか、何で天くんがここにいるの?」

 

 「ランニングしてたら、どっかのアホみかんが入水自殺を図ろうとしてたんで止めにきました」

 

 「コラッ!みかんをアホ呼ばわりしないのっ!」

 

 「そこにツッコミ入れます?俺がアホ呼ばわりしたのは千歌さんなんで大丈夫です」

 

 「そっかぁ、それなら大丈夫・・・じゃないよ!?何度も言うけど私先輩だよねぇ!?女の子だよねぇ!?」

 

 「当たり前じゃないですか。アホ過ぎて自分のことも分からなくなったんですか?」

 

 「辛辣過ぎィ!」

 

 千歌さんはツッコミを入れると、深く溜め息をついた。

 

 「そんなことするわけないじゃん。ちょっと海に潜りたくなっただけだよ」

 

 「服のまま潜るのは止めて下さい。もっと気をつけないと」

 

 「天くん・・・私のことを心配して・・・」

 

 「ただの水ならともかく海水なんですから、服がダメになっちゃうじゃないですか」

 

 「そっちの心配!?私のことは!?」

 

 「どうでもいいです」

 

 「酷い!?」

 

 ショックを受けている千歌さん。まぁ、冗談はさておき・・・

 

 「千歌さん、とりあえず隠した方が良いですよ」

 

 「え?何を?」

 

 「身体です。思いっきり透けてますけど」

 

 「透け・・・あぁっ!?」

 

 千歌さんは今、白いシャツを着ている。それが海水によって濡れ、肌にピッチリ張り付いた結果・・・下着がくっきりと浮き出てしまっていたのだ。

 

 しかも小柄な割りに大きい胸も、シャツが張り付いたことで強調されてしまっており・・・とてもエロい状態になっていた。

 

 慌てて両腕で隠す千歌さん。

 

 「ちょ、そういうことは早く言ってよ!?」

 

 「いや、あえて見せつけてるのかなって。痴女なのかなって」

 

 「誰が痴女!?私にそんな趣味はないから!」

 

 「派手なオレンジ色のブラを着けてるのに?」

 

 「色を言わないで!?それとオレンジ色じゃなくてみかん色だから!」

 

 「相変わらずそこにこだわりますね・・・」

 

 俺は呆れつつ、ランニングウェアの上着を脱いで千歌さんに着せた。

 

 「少し汗臭いかもですけど、我慢して下さいね」

 

 「あ、ありがと・・・でも、濡れちゃうよ?」

 

 「今さらでしょう。俺も海に浸かってますし」

 

 そう答えながらジッパーを上げる。これで良し・・・

 

 「それで?何で海に潜ったりしたんですか?」

 

 「いやぁ・・・何か見えないかなぁって」

 

 苦笑する千歌さん。

 

 「前に海の音を聴く為に、海に潜ったことがあったでしょ?だから今回も、何か見えないかなぁと思って」

 

 「・・・何か見えました?」

 

 「・・・何も見えなかった」

 

 千歌さんは首を横に振ると、広がっている曇天の空を見上げた。

 

 「でも・・・だからこそ、スクールアイドルを続けなきゃって思った。先にあるものが何なのか・・・このまま続けても0なのか、それとも1になるのか10になるのか・・・ここでやめたら、全部分からないままになっちゃうから」

 

 「千歌さん・・・」

 

 「だから私は、これからもスクールアイドルを続けるよ!」

 

 笑顔で宣言する千歌さん。

 

 「だってまだ0だもん。あれだけ皆で練習して、皆で歌も衣装もPVも作って。頑張って頑張って、皆に良い歌を聴いてほしいって・・・スクールアイドルとして輝きたいって・・・!」

 

 千歌さんの表情がどんどん歪んでいく。

 

 目には涙が浮かび、歯を食い縛り・・・ついには自らの拳で、自分の頭を叩き始めた。

 

 「なのに0だったんだよッ!?悔しいじゃんッ!周りのレベルが高いとかッ!そんなの関係ないんだよッ!」

 

 俯く千歌さん。涙がとめどなく流れている。

 

 「やっぱり私・・・悔しいんだよ・・・!」

 

 「・・・ホント、不器用な人ですね」

 

 千歌さんをそっと抱き締める。

 

 千歌さんが一番悔しがってることなんて、一目見てすぐに分かった。雰囲気を暗くしないよう無理に笑顔を作っていたことも、悔しさを押し殺して皆を励まそうとしていたことも。

 

 多分、その理由は・・・

 

 「『スクールアイドルをやろう』って皆を誘った自分が、悔しいからって皆の前で泣くわけにはいかない・・・そう思ったんですか?」

 

 「だって・・・だって・・・!」

 

 泣きじゃくる千歌さん。俺は千歌さんの頭を撫でた。

 

 「全く・・・美渡さんの言葉を借りるなら、本当にバカ千歌ですね」

 

 千歌さんを抱き締める腕に、ギュっと力を込める。

 

 「悔しかったら『悔しい』って言えば良いんです。泣きたかったら泣けば良いんです。仲間の前で強がってどうするんですか」

 

 「だって・・・!」

 

 「もっと仲間を頼って下さい。一人で抱え込んで、感情を押し殺して・・・それじゃただの独りよがりですよ」

 

 あやすように、千歌さんの背中を優しく叩く。

 

 「曜さんも、梨子さんも、花丸も、ルビィも、善子も・・・千歌さんの大切な仲間でしょう?千歌さんが皆を大切に想っているように、皆も千歌さんを大切に想ってるんですよ」

 

 そう、だからこそ・・・皆この場にやってきたのだ。

 

 「千歌ちゃーんっ!天くーんっ!」

 

 「っ!?」

 

 驚いている千歌さん。

 

 浜辺には、Aqoursのメンバーが全員集合していた。躊躇することなく海に入り、俺達のところへやってくる。

 

 「み、皆!?どうしてここに!?」

 

 「やっぱり千歌ちゃんと、ちゃんと話をするべきだと思って。朝早かったんだけど、皆に連絡したらすぐに来てくれたの」

 

 笑っている梨子さん。だがすぐにジト目になり、俺の方を睨んでくる。

 

 「ただし天くんは、連絡したのに返信してくれなかったけど」

 

 「あっ・・・そういえば、スマホ見てませんでしたね・・・」

 

 ま、まぁ結果オーライってことで・・・

 

 「しかも海で千歌ちゃんと抱き合ってるし・・・ホント手が早いんだから」

 

 「その言い方やめてくれません?まるで俺が女ったらしみたいじゃないですか」

 

 「合ってるじゃない」

 

 「合ってるじゃん」

 

 「合ってるずら」

 

 「合ってるよね」

 

 「合ってるわね」

 

 「よし、今日の練習メニューは淡島神社の階段ダッシュを五往復で」

 

 「「「「「すいませんでしたっ!」」」」」

 

 揃って頭を下げる五人。分かればよろしい。

 

 「・・・フフッ」

 

 小さく笑う千歌さん。少しは元気が出たらしい。

 

 「・・・やっと心から笑えましたね」

 

 千歌さんの目元の涙を、指でそっと拭う。

 

 「泣きたい時は泣いたら良いですけど・・・やっぱり千歌さんには、笑顔がよく似合いますよ」

 

 「っ・・・!」

 

 恥ずかしそうに俯く千歌さん。顔が赤くなっている。

 

 「そ、そういうことを真顔で言わないでよぉ・・・!」

 

 「千歌ちゃん、いい加減慣れた方が良いわよ。これが天くんなんだから」

 

 「そういう梨子ちゃんも、未だに慣れてないけどね」

 

 「ちょ、曜ちゃん!?」

 

 「やれやれ、これだから女ったらしは・・・」

 

 「善子のパンツの色はーっ!堕天使を意識した黒ーっ!」

 

 「うにゃああああああああああっ!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」

 

 「アハハ・・・流石の善子ちゃんも、天くんには敵わないんだね」

 

 「何だかんだ言いつつ、善子ちゃんは天くん大好きっ子ずら」

 

 「ヨハネよっ!あとずら丸は変なこと言わないっ!」

 

 ギャーギャー騒ぐ皆。俺は思わず笑ってしまった。

 

 「・・・やっぱり、似てるな」

 

 「天くん・・・?」

 

 首を傾げる千歌さん。俺は皆の顔を見回して、笑みを浮かべた。

 

 「確かに今は0かもしれません。それをいきなり100にすることは出来ないでしょう。だから・・・まずは1にするところから始めてみませんか?」

 

 「0から、1に・・・?」

 

 「えぇ。そもそもスクールアイドル部だって、最初は0からのスタートだったじゃないですか。部を立ち上げて、仲間が増えて・・・そして、東京のイベントに出ることが出来たんです」

 

 初めて千歌さんと出会った時には、そんな日が来るなんて想像もしていなかった・・・

 

 「だから、またここから始めるんです。新たなスタートを・・・もう一度、0からのスタートを切るんです」

 

 「0からのスタート・・・」

 

 やる気に満ち溢れた表情の皆。どうやら、覚悟は決まったようだ。

 

 「お遊びでやっているわけじゃないし、ラブライブを諦める必要も無い・・・Aqoursは本気なんだっていうところを、見せつけてやりましょう」

 

 「天くん・・・うんっ!」

 

 「ヨーソロー!」

 

 「やりましょう!」

 

 「ずらっ!」

 

 「頑張ルビィ!」

 

 「ギランッ!」

 

 笑みを浮かべる皆。その瞬間・・・曇天だった空に光が差した。

 

 「「「「「「わぁ・・・!」」」」」」

 

 嬉しそうに空を見上げる皆。

 

 そういや、五年前も似たようなことがあったっけ・・・

 

 「・・・懐かしいなぁ」

 

 眩しさに目を細めつつ、皆と一緒に空を見上げる俺なのだった。




どうも〜、ムッティです。

これにて、アニメ一期第八話までの内容が終了しました。

次からはいよいよ第九話の内容へと入っていきます。

色々と構想を練っていますので、お楽しみに(・∀・)ノ

さて、ここで日頃の感謝をお伝えしたいと思うのですが・・・

☆評価を見てみたら、何と40人もの方が付けて下さっていました!

あ、ありがたや・・・!

お気に入りの件数も500を超え、嬉しいかぎりです。

感想を書いて下さる方も多く、本当に励みになっております。

☆評価を付けて下さった方々・・・

お気に入りに登録して下さった方々・・・

いつも感想を書いて下さる方々・・・

そして、この作品を読んで下さっている方々・・・

本当にありがとうございます。

これからも『絢瀬天と九人の物語』をよろしくお願い致します。

それではまた次回!以上、ムッティでした!
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