絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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『未体験Horizon』良い曲すぎません?

何回聴いても飽きないので、ヘビロテして聴いてます。


優しさだけでは解決できないこともある。

 「離してっ!離せって言ってるのっ!」

 

 「離さないっ!」

 

 階段で上の階に上がった途端、果南さんと小原理事長の言い争う声が聞こえた。案の定揉めているらしく、教室の前に人だかりができている。

 

 と、教室の前で花丸・ルビィ・善子が中の様子を窺っているのが見えた。

 

 「ちょっと失礼」

 

 「ぐえっ!?」

 

 「あっ、天くん!」

 

 善子の背中に飛び乗り、中の様子を窺う。そこでは・・・

 

 「強情も大概にしておきなさいっ!たった一度の失敗をいつまで引きずってるのっ!」

 

 「うるさいっ!大体、今さらスクールアイドルなんてやるわけないでしょ!?私達もう三年生なんだよ!?」

 

 しがみつく小原理事長を、必死に引き剥がそうとする果南さんの姿があった。

 

 うん、思った以上に揉めてたな・・・

 

 「二人ともお止めなさいっ!皆見てますわよ!?」

 

 「ダイヤも何とか言ってよっ!果南を説得してっ!」

 

 「止めなさいっ!いくら粘っても、果南さんが再びスクールアイドルを始めることはありませんわっ!」

 

 何とか止めようとしているダイヤさん。こういう時、間に挟まれる人って大変なんだよなぁ・・・

 

 亜里姉、いつもゴメンね・・・

 

 「どうして!?あの時の失敗はそんなに引きずること!?千歌っち達だって再スタートを切ろうとしてるのにっ!」

 

 「千歌達とは違うのっ!」

 

 なおも言い合う二人。どうやら、簡単に収まりそうもないらしい。

 

 「どうしよっかなぁ・・・」

 

 「どうしましょうねぇ・・・」

 

 「・・・何してるんですか貴女」

 

 いつの間にか、俺の隣に翔子先生が立っていた。

 

 困ったような表情で、果南さんと小原理事長の喧嘩を見ている。

 

 「騒ぎに気付いて駆けつけたんだけど、どうしたものかと思ってねぇ・・・」

 

 「いや、止めに行って下さいよ。仮にも担任でしょう、仮にも」

 

 「『仮にも』じゃなくて、れっきとした担任なんだけど・・・お姉さん、怖くて足がすくんじゃうわ」

 

 「・・・ハッ」

 

 「鼻で笑われた!?」

 

 「『お姉さん』が聞いて呆れるわ。人の家で酔い潰れた挙句、布団の上で思いっきり吐いt・・・」

 

 「ごめんなさい布団は弁償させていただきますのでどうかお許しを」

 

 即座に土下座を敢行する翔子先生。やれやれ・・・

 

 「ところで天くん・・・そろそろ津島さんの背中から降りてあげたら?津島さん、涙目でプルプルしながら耐えてるわよ?」

 

 「大丈夫です。堕天使ヨハネの辞書に不可能の文字は無いんで」

 

 「どこのナポレオンよ!?ホントにそろそろ限界なんだけど!?」

 

 「そう言いつつも、俺を落とさないように必死で耐えてくれるところホント好き」

 

 「だったら早く降りてよ!?」

 

 「えー、結構乗り心地良いのに」

 

 「降りてくれてら何でも言うこと聞いてあげるから!」

 

 「すぐ降ります」

 

 「素直っ!?」

 

 迅速に善子の背中から降りる。これで良し・・・

 

 「クックックッ・・・これで何でも言うこと聞いてくれるんだよねぇ・・・?」

 

 「うっ・・・エ、エッチなのはダメだからねっ!」

 

 「・・・ハッ」

 

 「腹立つ!コイツ腹立つ!」

 

 地団太を踏む善子。小娘が何を言っているのやら・・・

 

 「さて、善子イジりはさておき・・・そろそろ止めないとマズいですね」

 

 果南さんと小原理事長の喧嘩はヒートアップしており、このままだと殴り合いになりかねない。

 

 なかなか喧嘩を止めない二人に、仲裁しようとしているダイヤさんも苛立っている様子・・・このままだと、ダイヤさんまで参戦してしまいそうだ。

 

 「あー、もうっ!私がガツンと言って止めてくるっ!」

 

 「ステイ」

 

 「ぐえっ!?」

 

 イライラした様子で止めに行こうとする千歌さんを、首根っこを掴んで引き止める。

 

 「ゲホッ・・・ゴホッ・・・な、何するの天くん!?」

 

 「千歌さんが鼓膜が破れそうなほどの大声で、『いい加減にしろおおおおおおおおおおっ!』って叫ぶ未来が見えたんで止めました」

 

 「何で分かったの!?」

 

 「見聞色の覇気を鍛えすぎたせいで、少し先の未来が見えてしまうんですよ」

 

 「どこのカタ●リさん!?」

 

 「まぁ冗談はさておき、そんな力技じゃ二人の喧嘩は止められませんよ。俺が行くんで、千歌さん達はここにいて下さい」

 

 「大丈夫?止められるの?」

 

 「まぁ見てて下さいよ」

 

 千歌さん達にそう告げて教室の中へと入っていくと、周りの皆が俺に視線を向けた。

 

 ダイヤさんも俺が近付いていることに気付く中、果南さんと小原理事長は気付かずに喧嘩を続けている。

 

 「私はスクールアイドルなんてやらないッ!何度言えば分かるのッ!」

 

 「何度だって言ってやるわよッ!一緒にスクールアイドルをやりなさいッ!」

 

 俺は激しく口論する二人の顔の前に、ゆっくりと手を伸ばし・・・

 

 「“檸檬●弾”」

 

 「「ギャアアアアアアアアアアッ!?」」

 

 手に持っていたレモンを握り潰した。レモン汁が目を直撃し、悶える二人。

 

 「目がっ!目があああああっ!?」

 

 「何っ!?何が起きたのっ!?」

 

 転げ回る二人。俺は千歌さん達の方を振り返った。

 

 「ほら、力技を使わずに止められたでしょ?」

 

 「「「「「「「思いっきり力技じゃん!?」」」」」」」

 

 千歌さん・曜さん・梨子さん・花丸・ルビィ・善子・翔子先生から一斉にツッコミを入れられる。

 

 あれ、おかしいな・・・

 

 「・・・相変わらず、天さんの行動は予想外過ぎますわ」

 

 「いやぁ、それほどでも」

 

 「褒めてませんわよ!?」

 

 ダイヤさんのツッコミ。と、ここで俺の両肩に後ろから手が置かれた。

 

 「そ~ら~・・・?」

 

 「何するデース・・・?」

 

 明らかに怒っている果南さんと小原理事長。やれやれ・・・

 

 「別に喧嘩するなとはいいませんけど、外でやってもらえます?教室でやられると、こういうことになるんで」

 

 「「・・・あっ」」

 

 ここで二人が、ようやく周りの人だかりに気付く。

 

 「しかも果南さん、衣装用の制服を外に投げ捨てましたよね?曜さんがお怒りですよ」

 

 「あれ捨てたの果南ちゃんなの!?信じられない!」

 

 「ゴ、ゴメン・・・つい・・・」

 

 「おかげで曜さんは死にそうになるわ、露出に目覚めるわで大変だったんですよ?」

 

 「何があったの!?」

 

 「露出には目覚めてないからっ!誤解を招く発言は止めてくれる!?」

 

 果南さんと曜さんのツッコミはスルーして、俺は小原理事長へと視線を向けた。

 

 「悔いの無いようにとは言いましたけど、やり方が強引過ぎます。ご自分が理事長という立場であることを、もう少し弁えて下さい」

 

 「・・・Sorry.熱くなりすぎたわ」

 

 「果南さんも。いつもの貴女だったら、もう少し冷静に対応出来たでしょう。復学初日から何問題起こしてくれちゃってるんですか」

 

 「・・・ゴメン。ちょっと冷静じゃなかった」

 

 うなだれる小原理事長と果南さん。ようやく頭が冷えたか・・・

 

 「ほらリバース先生、後は貴女が対処して下さい」

 

 「その呼び方止めてくれる!?」

 

 「じゃあゲr・・・」

 

 「すみません本当に勘弁して下さい」

 

 即座に土下座する姿に、最早教師としての威厳は欠片も無かった。全く・・・

 

 「・・・後処理は頼みましたよ。クラスの雰囲気が気まずくならないよう、翔子先生が上手くやって下さいね」

 

 「・・・任せて。ありがとう、天くん」

 

 教室を出て翔子先生とすれ違う際、短く会話を交わす。後のことは、翔子先生に任せておけば大丈夫だろう。

 

 「さて、我々は教室に戻りましょうか」

 

 「あ、うん・・・」

 

 「天さんっ!」

 

 周りの皆がそれぞれ戻っていく中、ダイヤさんが俺を追いかけてきた。

 

 「あの・・・ありがとうございました」

 

 「大したことはしてませんよ」

 

 首を横に振る俺。

 

 「ただあの二人の問題は、そろそろ看過出来なくなってきましたね。首を突っ込むつもりはありませんでしたが・・・止むをえません」

 

 「天さん・・・?」

 

 首を傾げるダイヤさん。俺はダイヤさんに視線を向けた。

 

 「ダイヤさん、今日の放課後なんですけど・・・果南さんと小原理事長を連れて、スクールアイドル部の部室に来て下さい。少しお話ししましょう」

 

 「っ・・・それは・・・」

 

 躊躇うダイヤさん。

 

 そうじゃないかとは思っていたが、やはりダイヤさんは・・・

 

 「・・・果南さんの行動の理由を知ってるんですね」

 

 「っ!?」

 

 息を呑むダイヤさん。図星か・・・

 

 「ど、どうして・・・!?」

 

 「続きは放課後に話しましょう」

 

 くるりと踵を返す俺。

 

 「ダイヤさん、優しいところは貴女の長所だと思いますけど・・・あの二人を仲直りさせたいなら、優しいだけじゃダメですよ」

 

 「っ・・・」

 

 俯くダイヤさん。

 

 俺はそれ以上何も言わず、教室へと戻るのだった。




どうも〜、ムッティです。

今さらですが、『MUSIC FAIR』のAqoursが『未体験HORIZON』を披露した回を見ました。

センターのきんちゃんが良かったのは勿論なのですが・・・

あいきゃんヤバくない?可愛くない?

そして歌もダンスも上手くない?完璧じゃない?

ちょっとハートを撃ち抜かれました(笑)

元々あの優しい歌声が好きだったけど、最初の『さぁどこへ?見渡してみなよ』の部分がもう神だった。

やっぱりあの歌声好きだわぁ・・・

さて、果南ちゃんと鞠莉ちゃんの喧嘩を止めた天・・・

果たして二人を仲直りさせることは出来るのか・・・

これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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