何回聴いても飽きないので、ヘビロテして聴いてます。
「離してっ!離せって言ってるのっ!」
「離さないっ!」
階段で上の階に上がった途端、果南さんと小原理事長の言い争う声が聞こえた。案の定揉めているらしく、教室の前に人だかりができている。
と、教室の前で花丸・ルビィ・善子が中の様子を窺っているのが見えた。
「ちょっと失礼」
「ぐえっ!?」
「あっ、天くん!」
善子の背中に飛び乗り、中の様子を窺う。そこでは・・・
「強情も大概にしておきなさいっ!たった一度の失敗をいつまで引きずってるのっ!」
「うるさいっ!大体、今さらスクールアイドルなんてやるわけないでしょ!?私達もう三年生なんだよ!?」
しがみつく小原理事長を、必死に引き剥がそうとする果南さんの姿があった。
うん、思った以上に揉めてたな・・・
「二人ともお止めなさいっ!皆見てますわよ!?」
「ダイヤも何とか言ってよっ!果南を説得してっ!」
「止めなさいっ!いくら粘っても、果南さんが再びスクールアイドルを始めることはありませんわっ!」
何とか止めようとしているダイヤさん。こういう時、間に挟まれる人って大変なんだよなぁ・・・
亜里姉、いつもゴメンね・・・
「どうして!?あの時の失敗はそんなに引きずること!?千歌っち達だって再スタートを切ろうとしてるのにっ!」
「千歌達とは違うのっ!」
なおも言い合う二人。どうやら、簡単に収まりそうもないらしい。
「どうしよっかなぁ・・・」
「どうしましょうねぇ・・・」
「・・・何してるんですか貴女」
いつの間にか、俺の隣に翔子先生が立っていた。
困ったような表情で、果南さんと小原理事長の喧嘩を見ている。
「騒ぎに気付いて駆けつけたんだけど、どうしたものかと思ってねぇ・・・」
「いや、止めに行って下さいよ。仮にも担任でしょう、仮にも」
「『仮にも』じゃなくて、れっきとした担任なんだけど・・・お姉さん、怖くて足がすくんじゃうわ」
「・・・ハッ」
「鼻で笑われた!?」
「『お姉さん』が聞いて呆れるわ。人の家で酔い潰れた挙句、布団の上で思いっきり吐いt・・・」
「ごめんなさい布団は弁償させていただきますのでどうかお許しを」
即座に土下座を敢行する翔子先生。やれやれ・・・
「ところで天くん・・・そろそろ津島さんの背中から降りてあげたら?津島さん、涙目でプルプルしながら耐えてるわよ?」
「大丈夫です。堕天使ヨハネの辞書に不可能の文字は無いんで」
「どこのナポレオンよ!?ホントにそろそろ限界なんだけど!?」
「そう言いつつも、俺を落とさないように必死で耐えてくれるところホント好き」
「だったら早く降りてよ!?」
「えー、結構乗り心地良いのに」
「降りてくれてら何でも言うこと聞いてあげるから!」
「すぐ降ります」
「素直っ!?」
迅速に善子の背中から降りる。これで良し・・・
「クックックッ・・・これで何でも言うこと聞いてくれるんだよねぇ・・・?」
「うっ・・・エ、エッチなのはダメだからねっ!」
「・・・ハッ」
「腹立つ!コイツ腹立つ!」
地団太を踏む善子。小娘が何を言っているのやら・・・
「さて、善子イジりはさておき・・・そろそろ止めないとマズいですね」
果南さんと小原理事長の喧嘩はヒートアップしており、このままだと殴り合いになりかねない。
なかなか喧嘩を止めない二人に、仲裁しようとしているダイヤさんも苛立っている様子・・・このままだと、ダイヤさんまで参戦してしまいそうだ。
「あー、もうっ!私がガツンと言って止めてくるっ!」
「ステイ」
「ぐえっ!?」
イライラした様子で止めに行こうとする千歌さんを、首根っこを掴んで引き止める。
「ゲホッ・・・ゴホッ・・・な、何するの天くん!?」
「千歌さんが鼓膜が破れそうなほどの大声で、『いい加減にしろおおおおおおおおおおっ!』って叫ぶ未来が見えたんで止めました」
「何で分かったの!?」
「見聞色の覇気を鍛えすぎたせいで、少し先の未来が見えてしまうんですよ」
「どこのカタ●リさん!?」
「まぁ冗談はさておき、そんな力技じゃ二人の喧嘩は止められませんよ。俺が行くんで、千歌さん達はここにいて下さい」
「大丈夫?止められるの?」
「まぁ見てて下さいよ」
千歌さん達にそう告げて教室の中へと入っていくと、周りの皆が俺に視線を向けた。
ダイヤさんも俺が近付いていることに気付く中、果南さんと小原理事長は気付かずに喧嘩を続けている。
「私はスクールアイドルなんてやらないッ!何度言えば分かるのッ!」
「何度だって言ってやるわよッ!一緒にスクールアイドルをやりなさいッ!」
俺は激しく口論する二人の顔の前に、ゆっくりと手を伸ばし・・・
「“檸檬●弾”」
「「ギャアアアアアアアアアアッ!?」」
手に持っていたレモンを握り潰した。レモン汁が目を直撃し、悶える二人。
「目がっ!目があああああっ!?」
「何っ!?何が起きたのっ!?」
転げ回る二人。俺は千歌さん達の方を振り返った。
「ほら、力技を使わずに止められたでしょ?」
「「「「「「「思いっきり力技じゃん!?」」」」」」」
千歌さん・曜さん・梨子さん・花丸・ルビィ・善子・翔子先生から一斉にツッコミを入れられる。
あれ、おかしいな・・・
「・・・相変わらず、天さんの行動は予想外過ぎますわ」
「いやぁ、それほどでも」
「褒めてませんわよ!?」
ダイヤさんのツッコミ。と、ここで俺の両肩に後ろから手が置かれた。
「そ~ら~・・・?」
「何するデース・・・?」
明らかに怒っている果南さんと小原理事長。やれやれ・・・
「別に喧嘩するなとはいいませんけど、外でやってもらえます?教室でやられると、こういうことになるんで」
「「・・・あっ」」
ここで二人が、ようやく周りの人だかりに気付く。
「しかも果南さん、衣装用の制服を外に投げ捨てましたよね?曜さんがお怒りですよ」
「あれ捨てたの果南ちゃんなの!?信じられない!」
「ゴ、ゴメン・・・つい・・・」
「おかげで曜さんは死にそうになるわ、露出に目覚めるわで大変だったんですよ?」
「何があったの!?」
「露出には目覚めてないからっ!誤解を招く発言は止めてくれる!?」
果南さんと曜さんのツッコミはスルーして、俺は小原理事長へと視線を向けた。
「悔いの無いようにとは言いましたけど、やり方が強引過ぎます。ご自分が理事長という立場であることを、もう少し弁えて下さい」
「・・・Sorry.熱くなりすぎたわ」
「果南さんも。いつもの貴女だったら、もう少し冷静に対応出来たでしょう。復学初日から何問題起こしてくれちゃってるんですか」
「・・・ゴメン。ちょっと冷静じゃなかった」
うなだれる小原理事長と果南さん。ようやく頭が冷えたか・・・
「ほらリバース先生、後は貴女が対処して下さい」
「その呼び方止めてくれる!?」
「じゃあゲr・・・」
「すみません本当に勘弁して下さい」
即座に土下座する姿に、最早教師としての威厳は欠片も無かった。全く・・・
「・・・後処理は頼みましたよ。クラスの雰囲気が気まずくならないよう、翔子先生が上手くやって下さいね」
「・・・任せて。ありがとう、天くん」
教室を出て翔子先生とすれ違う際、短く会話を交わす。後のことは、翔子先生に任せておけば大丈夫だろう。
「さて、我々は教室に戻りましょうか」
「あ、うん・・・」
「天さんっ!」
周りの皆がそれぞれ戻っていく中、ダイヤさんが俺を追いかけてきた。
「あの・・・ありがとうございました」
「大したことはしてませんよ」
首を横に振る俺。
「ただあの二人の問題は、そろそろ看過出来なくなってきましたね。首を突っ込むつもりはありませんでしたが・・・止むをえません」
「天さん・・・?」
首を傾げるダイヤさん。俺はダイヤさんに視線を向けた。
「ダイヤさん、今日の放課後なんですけど・・・果南さんと小原理事長を連れて、スクールアイドル部の部室に来て下さい。少しお話ししましょう」
「っ・・・それは・・・」
躊躇うダイヤさん。
そうじゃないかとは思っていたが、やはりダイヤさんは・・・
「・・・果南さんの行動の理由を知ってるんですね」
「っ!?」
息を呑むダイヤさん。図星か・・・
「ど、どうして・・・!?」
「続きは放課後に話しましょう」
くるりと踵を返す俺。
「ダイヤさん、優しいところは貴女の長所だと思いますけど・・・あの二人を仲直りさせたいなら、優しいだけじゃダメですよ」
「っ・・・」
俯くダイヤさん。
俺はそれ以上何も言わず、教室へと戻るのだった。
どうも〜、ムッティです。
今さらですが、『MUSIC FAIR』のAqoursが『未体験HORIZON』を披露した回を見ました。
センターのきんちゃんが良かったのは勿論なのですが・・・
あいきゃんヤバくない?可愛くない?
そして歌もダンスも上手くない?完璧じゃない?
ちょっとハートを撃ち抜かれました(笑)
元々あの優しい歌声が好きだったけど、最初の『さぁどこへ?見渡してみなよ』の部分がもう神だった。
やっぱりあの歌声好きだわぁ・・・
さて、果南ちゃんと鞠莉ちゃんの喧嘩を止めた天・・・
果たして二人を仲直りさせることは出来るのか・・・
これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!