『courage』も良かったけど、『Resolution』も良いわぁ・・・
《曜視点》
「・・・・・」
「・・・・・」
(き、気まずい・・・!)
無言で佇む千歌ちゃんと梨子ちゃんを前に、私は何も言葉を発せずにいた。
二人とも凄く落ち込んでいたので、『今日は三人で千歌ちゃんの家でお泊り会しよう』と提案したところまでは良かったのだが・・・千歌ちゃんの部屋の空気が、まるでお通夜のようだった。
とりあえず、何か話題を・・・
「・・・私達、どうすべきなのかな」
ポツリと呟く千歌ちゃん。
「天くんに、どんなことを言えば良いのかな・・・」
(いきなりその話題を切り出したあああああっ!?)
関係無い話をしつつ、さりげなくその話に持っていくつもりだったのにいいいいいっ!
前フリも無くいきなりぶっこんじゃったよ!?それはダメだって千歌ちゃん!?
「・・・分からない。多分、正解なんて無いのよ」
「・・・だよね」
(そして会話終わったあああああっ!?)
ちょっと梨子ちゃん!?そこはもっと話を広げてくれない!?
またお通夜に逆戻りだよおおおおおっ!
(うぅ、何で私こんなに気を遣ってるのかなぁ・・・)
それもこれも全部天くんのせいだ!天くんがあんなシリアスな展開にするから!
でも・・・
「・・・やっぱり嫌だよね。天くんがマネージャーじゃなくなるなんて」
「曜ちゃん・・・?」
気付けば本音を口にしていた。
やっぱり私は、天くんにマネージャーを続けてもらいたいんだ・・・
「ファーストライブの時も、内浦をPRする為のPVを撮った時も、東京のイベントの時も・・・どんな時でも、天くんは私達のことを支えてくれた。心が折れそうになったこともあったけど、天くんが励ましてくれたから乗り越えられた。辛い時も苦しい時も、いつだって天くんが寄り添ってくれた・・・もう天くんはAqoursにとって、欠けてはならない存在なんだよ」
私だけじゃない。
千歌ちゃんも梨子ちゃんも、花丸ちゃんもルビィちゃんも善子ちゃんも、ダイヤさんも果南ちゃんも鞠莉さんも・・・
皆、天くんのことが大好きなんだ。
「千歌ちゃんと梨子ちゃんだって、同じ気持ちでしょ?天くんにマネージャー辞めてほしくないでしょ?」
「・・・そんなの当たり前じゃない」
呟く梨子ちゃん。
「私が悩んだり、落ち込んだりしてた時・・・天くんはいつだって私のことを肯定してくれたし、いつだって味方でいてくれた。それがどんなに嬉しかったか・・・天くんの存在は、私にとってとても大きいの。だからこれからも支えていてほしいし、マネージャーを辞めてほしくなんてない。でも・・・」
「・・・だからこそ、どうしたら良いか分かんないよね」
梨子ちゃんの言葉の続きを、千歌ちゃんが引き取る。
「天くんは、Aqoursのマネージャーを続けることを望んでない。天くんにとっての特別はμ'sであって、Aqoursじゃないんだよ」
「千歌ちゃん・・・」
「『μ'sの一員として終わりたい』って言ってる天くんに、『Aqoursの一員になってくれ』って言うのは・・・ちょっと酷なんじゃないかな」
俯く千歌ちゃん。
「天くんは鞠莉さんに脅されて、自分の気持ちに反してマネージャーをやってくれてたんだよ?もう脅されることも無くなった今、天くんにもう一度気持ちに反したことをお願いするのは・・・」
「・・・Aqoursの一員になったら、μ'sの一員じゃなくなっちゃうのかな?」
「え・・・?」
私の言葉に、千歌ちゃんが首を傾げる。
「どういうこと・・・?」
「だってそうでしょ?Aqoursの一員になったって、天くんがμ'sの一員であることには変わりないじゃん。違う?」
「違わないけど・・・」
「多分・・・気持ちの問題なんじゃないかしら」
おずおずと口を挟む梨子ちゃん。
「海未先生達にとってμ'sが全てであったように、きっと天くんにとってもμ'sが全てなのよ。だからこそ、μ'sの一員として終わりたい・・・ううん、μ'sだけの一員として終わりたいって思ってるんじゃないかしら?」
「・・・それは思ってそう。天くんって、そういう意思は固いもんね」
思わず苦笑してしまう私。
「でもさ・・・それなら私達だって負けられないじゃん」
「え・・・?」
「私達は天くんにマネージャーを辞めてほしくなくて、天くんはマネージャーを辞めたいと思ってる・・・天くんが私達に自分の意思をぶつけてくれた以上、私達も天くんに自分達の意思をぶつけなきゃダメなんじゃないかな?」
「意思を・・・」
「ぶつける・・・」
「果南ちゃんと鞠莉さんもそうだったじゃん。ちゃんとお互いに思いを伝え合わなかったから、すれ違っちゃった・・・天くんは思いを伝えてくれたんだから、私達も思いを伝えなくちゃダメだと思う」
私の言葉に、二人が目を丸くしていた。
「・・・何か意外。曜ちゃんって意外と熱いのね」
「今度から修造さんって呼んで良い?」
「修造さんではないよ!?あそこまで熱くないからね!?」
「・・・フフッ」
千歌ちゃんが笑う。
「・・・そうだよね。ちゃんと気持ちは伝えないとね」
「・・・そうね。後悔だけはしたくないもの」
梨子ちゃんも微笑みながら頷く。二人とも・・・
「よーし!そうと決まれば、早速皆にも連絡しなくちゃ!」
「大丈夫かしら?皆まだ気持ちの整理がついてないんじゃ・・・」
「大丈夫!きっと皆気持ちは一緒だよ!」
良かった、二人とも元気が出たみたい・・・
「全く・・・君は本当に幸せ者だよ。天くん」
笑みを浮かべつつ、小さく呟く私なのだった。
*****
「・・・ふぅ」
家のベランダに出て、夜空を見上げている俺。
たくさんの星が瞬いている空は、目を奪われるほど綺麗だった。
「やっぱり・・・良い所だな、内浦は」
「同感です」
背後から声がする。海未ちゃんがベランダに出てきて、俺の隣に並んだ。
「こんなに綺麗な星空、東京ではなかなか見られませんから」
「確かにね」
笑いながら答える俺。
「でも、μ'sのファーストライブの前日・・・神田明神で、凄く綺麗な星空を見たよね。穂乃果ちゃんとことりちゃんと、海未ちゃんと俺の四人で」
「そういえばそうでしたね・・・懐かしいです」
微笑む海未ちゃん。
「ファーストライブ・・・お世辞にも『大成功』とはいえないものでしたよね」
「・・・いや、大成功だったよ」
俺は首を横に振った。
「花陽ちゃんに凛ちゃんに真姫ちゃん、にこちゃんに希ちゃんに絵里姉・・・後でμ'sに入ることになるメンバーが、全員揃ってたもん。あのライブがあったから、全員が繋がることが出来たんだと思う。そう考えたら大成功でしょ」
「・・・フフッ、そうですね」
面白そうに笑う海未ちゃん。
「貴方は昔からそうでしたね、天。穂乃果が底抜けの明るさで私達のことを引っ張ってくれたのに対し、天は底抜けの優しさで私達の心に寄り添ってくれて・・・タイプは違えど、私達にとっては二人とも太陽みたいな存在でした」
「・・・穂乃果ちゃんが太陽なのは同意するけど、俺は違うでしょ」
「違いませんよ」
首を横に振る海未ちゃん。
「自己評価が低いのは、天の悪い癖です。貴方が思っている以上に、私達にとって貴方の存在は大きいんですからね?」
「・・・ありがと」
嬉しい言葉ではあるけど、少し照れ臭いな・・・
「そしてそれは、私達μ'sだけじゃない・・・Aqoursの皆も同じです。彼女達にとって、天の存在は大きいんですよ。今日話してみて、改めてよく分かりました」
俺に視線を向ける海未ちゃん。
「Aqoursのマネージャーを辞めるという決意は・・・変わりませんか?」
「・・・変わらないよ」
ハッキリ答える俺。
「『μ'sの一員として終わりたい』っていう気持ちは・・・あの頃からずっと変わらない」
「天・・・」
「海未ちゃん達が、μ'sを解散した後スクールアイドルをやらなかったように・・・俺も他のスクールアイドルのマネージャーをやる気にはなれなかった。俺にとっても、μ'sが全てだったから」
空を見上げる俺。
「だからこそ、亜里姉と雪穂ちゃんのお願いも断った。スクールアイドルのマネージャーは、そのスクールアイドルの心に寄り添える人がやるべき仕事だと思ったから。『μ'sの一員として終わりたい』と思っている俺には出来ないし、やるべきじゃない・・・Aqoursのマネージャーもね」
溜め息をつく俺。
「Aqoursのマネージャーは、Aqoursの一員として頑張れる人・・・Aqoursに身も心も捧げられる人がやるべきなんだよ。成り行き上、今までは俺がやってたけど・・・本来であれば、俺なんかがやっちゃいけない仕事だった。中途半端な気持ちじゃ、一生懸命やってる皆に失礼だからね」
「・・・だからこそ、天は一生懸命やっていたのではありませんか?」
「勿論やってたよ。俺に出来ることは、ちゃんとやってきたっていう自負はある」
頷く俺。
「でも・・・心は変わらなかった。Aqoursのマネージャーをやってても、『μ'sの一員として終わりたい』っていう気持ちはずっとあった。そんな気持ちを抱えたまま、Aqoursのマネージャーを続けることは出来ないよ」
だってそれは・・・皆を裏切っているのと同じことだから。
「だから俺は、Aqoursのマネージャーを辞める。そして・・・浦の星も出て行くよ」
「っ・・・転校する、ということですか・・・?」
「そういうこと」
Aqoursのマネージャーを辞める日が来たら、その時は浦の星も出て行く・・・それは以前から決めていたことだ。
マネージャーを辞める以上、俺はもうAqoursに関わるべきではないのだから。
「夏休みに入ったら、一度東京に帰ろうと思う。その時に南理事長に会って、転校について相談するつもりだよ。テスト生としてあの人に推薦されている以上、ちゃんと話はしておかないといけないから」
「・・・本気、なのですか?」
「勿論。っていうか、海未ちゃんも俺が東京に戻ることを望んでなかったっけ?」
「それはそうですが・・・」
複雑そうな海未ちゃん。
海未ちゃん自身もAqoursの皆と関わって、色々と心境の変化があったのかな・・・
「それに・・・そろそろ絵里姉をどうにかしないと。これ以上は亜里姉が可哀想だし」
「・・・仲直り出来るんですか?」
「・・・すぐには無理だろうね」
俺が帰ったからといって、あの喧嘩が無かったことになるわけではない。
絵里姉の態度が変わることは無いだろう。
「まぁ、それは帰ってから考えるよ。亜里姉とも相談したいし」
俺はそう答えると、ベランダからリビングへと戻った。
ふと、机の上に置いておったチラシに目が行く。
「・・・沼津の花火大会、か」
Aqoursが出演する予定のイベント・・・確か夏休みに入る直前だったよな・・・
「そういえば、海未ちゃんもそろそろ教育実習が終わるんだよね?」
「えぇ、一学期の終業式の日が最後ですね」
同じくリビングに戻ってきた海未ちゃんが頷く。
大学に行かなければならない都合上、終業式の翌日には東京に帰らなければいけないらしい。
海未ちゃんとの生活も、もう残り僅かなんだな・・・
「・・・これ、一緒に行こっか」
「え?」
驚いている海未ちゃん。
「いや、その・・・良いんですか?」
「何が?」
「いえ、天が誘ってくれるなんて・・・珍しいなと思いまして」
「あぁ、行きたくないなら別に・・・」
「行かせていただきますっ!」
慌てて答える海未ちゃん。
「こうしてはいられません!早速準備をしなくては!」
「早くない?まだ日にちあるよ?」
「何言ってるんですか!乙女の準備は時間がかかるものなんです!」
「あ、そう・・・」
「あぁ、楽しみです!どんな浴衣を着て行きましょうか!」
ルンルン気分で奥の部屋に入っていく海未ちゃん。
浮かれてるなぁ・・・
「・・・ま、いっか」
俺は苦笑すると、椅子に座って花火大会のチラシを眺めた。
Aqours、か・・・
『私達じゃ・・・ダメだったのかなぁっ・・・!』
「っ・・・」
千歌さんの言葉が頭の中で響く。千歌さん、泣いてたよな・・・
善子のことも泣かせちゃったし、ルビィと花丸にも悲しい思いをさせたことだろう。
ダイヤさんと果南さんも心配そうに俺のこと見てたし、曜さんも凄く気遣わしげな表情だった。
小原理事長も辛そうに唇を噛んでたし、梨子さんにはビンタまでされてしまった。
叩かれた頬以上に、とても心が痛かったけど・・・多分、梨子さんの方が心を痛めてたと思う。
叩いた手にも影響が無いと良いけど・・・
「・・・花火大会、間に合うかな」
Aqoursにとってせっかくのチャンスを、俺のせいで棒に振るようなことになったら・・・嫌だな。
「・・・よし。Aqoursのマネージャーとして、最後の仕事といこうか」
俺はあることを決め、紙とペンを用意した。
そしてスマホを取り出し、あの人に電話をかけてみるのだった。
「あ、もしもし真姫ちゃん?ちょっと相談したいことがあるんだけど・・・」
どうも〜、ムッティです。
またソードアート・オンラインのアニメが始まりましたね。
オープニングのアリスの主人公感ハンパない(笑)
そしてファナティオさん・・・エロい( ´∀`)
まさかオープニングにあんなシーンがあるとは思わなかった(*^ー゚)b グッジョブ!!
もう一度原作読み直したいなぁ・・・
さてさて、どうやら二年生組が動き出したようですね。
しかし天は何と、浦の星を出ていこうとしている様子・・・
そして何やら真姫ちゃんに連絡していましたが、一体何をするつもりなのか・・・
これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!