絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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大阪・京都へ旅行に行ってきました。

良いところだったなぁ・・・


強みは活かすべきである。

 《果南視点》

 

 「それでは明日の朝四時、海の家に集合ということで!」

 

 「・・・ダイヤさんって、時々アホになるよね」

 

 「アハハ・・・否定出来ないかも」

 

 やる気に満ち溢れたダイヤを見て、苦笑しながらヒソヒソ話している天とルビィちゃん。

 

 いや、朝四時って・・・

 

 「無理に決まってるよね、鞠莉?」

 

 隣の鞠莉に話を振るが、返事が返ってこない。

 

 鞠莉は複雑そうな表情で、ルビィちゃんと談笑している天をジッと見ていた。

 

 「・・・天が気になるの?」

 

 「っ!?」

 

 耳元で囁くと、鞠莉がビクッとしてこっちを見た。

 

 やれやれ・・・

 

 「天と話したいんでしょ?見てないで行っておいでよ」

 

 「・・・何か、距離感が掴めなくて」

 

 寂しそうに笑う鞠莉。

 

 「ずっと距離があったから、すぐには縮められないっていうか・・・多分天も同じだと思う。未だに『小原理事長』呼びだもの」

 

 「鞠莉・・・」

 

 そういえば、天はまだ鞠莉のことを『小原理事長』って呼んでたっけ・・・

 

 昔は『鞠莉ちゃん』って呼んでたらしいけど・・・

 

 「これから少しずつ、距離を縮めていけたら・・・天と仲間になれたんだもの。今はそれだけで十分よ」

 

 そう言って笑う鞠莉だったが、強がっているのが見え見えだった。

 

 全く・・・

 

 「・・・だったら、この合宿で少しでも距離を縮めなきゃね」

 

 「え・・・?」

 

 「焦る必要は無いけど、せっかくのチャンスなんだもん。これを逃す手は無いよ」

 

 「・・・そうね。頑張ってみるわ」

 

 微笑む鞠莉。

 

 二人の間だけ距離があるのは、こっちも見てて寂しいからね・・・

 

 「・・・さて、私も一肌脱ぎますか」

 

 小さく呟く私なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 翌朝・・・

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 気持ち良く熟睡している俺。すると・・・

 

 

 

 『ピーンポーン』

 

 

 

 「・・・ん?」

 

 インターホンの音で目が覚める。

 

 むくりと身体を起こして時計を見ると、時刻は五時を過ぎたところだった。

 

 「誰だよ・・・こんなに朝早く・・・」

 

 眠りを妨げられて若干イラッとしていると、再びインターホンが鳴った。

 

 

 

 『ピーンポーン』

 

 

 

 「はいはい、出れば良いんでしょ・・・」

 

 欠伸をしながら玄関に向かい、ドアを開ける。

 

 「どちら様でs・・・」

 

 「天くううううううううううん!」

 

 「ごふっ!?」

 

 花丸が猛烈な勢いで抱きついてきた。

 

 な、何事・・・?

 

 「ちょ、花丸!?どうした!?」

 

 「どうしたもこうしたもないずら!」

 

 涙目の花丸。

 

 「今日は朝四時に海の家に集合のはずなのに、何で誰も来ないずら!?」

 

 「ホントに四時に行ったんだ・・・」

 

 呆れる俺。

 

 誰も真に受けてないと思ってたのに・・・

 

 「マルは三時半から待ってたのに、一時間経っても誰も来なかったずら!あまりにも寂しかったから、天くんを迎えに来たずら!」

 

 「可愛すぎか」

 

 思わず花丸を抱き締めてしまう。

 

 何だろう、今の花丸がメチャクチャ愛おしい。

 

 「とりあえず入って。皆が来るまでゆっくりしていきなよ」

 

 「ずらぁ・・・」

 

 花丸の手を引いて家に入れつつ、ダイヤさんをしばくことと決意する俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「今度ふざけたマネしたら内浦の海に沈めんぞ、この前髪パッツン堅物ですわ女」

 

 「うぅ・・・申し訳ありませんでした・・・」

 

 砂浜で涙目になりながら正座しているダイヤさん。結局全員揃ったのは、朝九時のことだった。

 

 しれっと一番最後にやってきたダイヤさんの頭に全力で『雷鳴●卦』を叩き込んだ俺は、そのままダイヤさんを正座させて説教タイムに入ったのだった。

 

 「っていうか、朝四時って言った張本人が何で一番最後に来てるんですか」

 

 「合宿が楽しみすぎて、昨晩はなかなか寝ることが出来なくて・・・目が覚めたらあんな時間に・・・」

 

 「遠足前の小学生か」

 

 このポンコツ生徒会長め・・・

 

 「ま、まぁまぁ天くん!もうその辺にしてあげるずら!」

 

 花丸が慌ててフォローに入る。

 

 ちなみにあの後、花丸はウチでもう一眠りしていた。一緒に朝ご飯も食べたので、すっかり元気モードである。

 

 「・・・まぁ花丸に免じて、この辺にしておくとして。他の皆は?」

 

 「あそこずら」

 

 指を差す花丸。そこには・・・

 

 「おりゃあっ!」

 

 「とりゃあっ!」

 

 「よっ!」

 

 「それっ!」

 

 「あ~、気持ち良い~・・・」

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 海に飛び込んでいる千歌さんと曜さん、ビーチバレーをしている果南さんと小原理事長、浮き輪に乗ってプカプカ浮いているルビィ、ビーチパラソルの下に寝そべって爆睡している善子の姿があった。

 

 「・・・見事に遊んでるわね」

 

 「・・・本当にあのメニューやらせようかな」

 

 「それは勘弁して!?」

 

 悲鳴を上げる梨子さんなのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「さぁ、気合い入れていきましょう」

 

 「「「「「「お、おー・・・」」」」」」

 

 砂浜に突っ伏した状態で手を上げる千歌さん・曜さん・ルビィ・善子・果南さん・小原理事長。

 

 全員『●鳴八卦』を叩き込まれた後である。

 

 「容赦ないわね・・・」

 

 「怖いずら・・・」

 

 「恐ろしいですわ・・・」

 

 こちらに畏怖の視線を向ける梨子さん・花丸・ダイヤさん。

 

 そんなことはまるで気にせず、俺は辺りを見渡した。

 

 「ところで、海の家ってどこですか?」

 

 「あそこだよ」

 

 千歌さんが指差した方を見ると・・・ボロボロの木造の建物があった。

 

 どう見ても寂れた感じが否めない。

 

 「・・・さて、壊しますか」

 

 「ストップううううううううううっ!?」

 

 慌てて俺を羽交い絞めにする曜さん。

 

 「あれ、何で止めるんですか?」

 

 「止めるに決まってるでしょ!?何で壊そうとしてるの!?」

 

 「え、だって解体の手伝いでしょ?」

 

 「いや違うから!営業の手伝いだから!」

 

 「こんな店に客なんて来るわけないでしょうが!」

 

 「それを呼び込むのか私達の仕事でしょうが!」

 

 「俺達にどうしろと!?曜さんがストリップショーでもしてくれるんですか!?」

 

 「嫌だよ!?それじゃ完全にいかがわしいお店じゃん!?」

 

 「根性見せろよ露出狂!」

 

 「まだそれ引きずるの!?違うって言ってるでしょうが!」

 

 「はいはい、そこまで」

 

 ギャーギャー言い合う俺と曜さんの間に、果南さんが割って入る。

 

 「とりあえず、どうしたら客を呼び込めるか考えよう。エッチな方法は無しで」

 

 「じゃあ無理です」

 

 「諦めるの早っ!?他に方法は無いの!?」

 

 「んー、店に来てくれた人に百万円を渡すとか?」

 

 「まさかの賄賂!?そのお金はどこから!?」

 

 「小原理事長が何とかしてくれるでしょ」

 

 「いや無理だから!」

 

 小原理事長のツッコミ。

 

 チッ、無理か・・・

 

 「っていうか、問題は隣の店ですよね」

 

 視線を向ける俺。そこには、とてもお洒落なカフェのような海の家があった。

 

 建物も新しく飾りも華やかで、多くのお客さんで賑わっている。

 

 「この二つが並んでたら、そりゃ皆隣に行くでしょ」

 

 「アハハ・・・確かに・・・」

 

 苦笑する梨子さん。

 

 さて、どうしたものか・・・

 

 「・・・勝算が無いわけじゃないんですけどね」

 

 「えっ、ホント!?」

 

 驚く千歌さん。

 

 何だかんだ言いつつ、可能性はあると俺は考えていた。

 

 何故なら・・・

 

 「えぇ。こっちの店には、あっちの店に無いものがありますからね」

 

 「えっ?何かあった?」

 

 首を傾げる善子。

 

 やれやれ、気付いてないのか・・・

 

 「皆スクールアイドルじゃん。スクールアイドルがやってる海の家なんて、話題性抜群でしょ。上手くいけば、Aqoursの知名度アップにも繋がるだろうし」

 

 「それですわ!」

 

 顔を輝かせるダイヤさん。

 

 「その点を上手く活かすことが出来れば、こちらにも勝機はあるはず・・・!」

 

 「でしょうね」

 

 頷く俺。

 

 「まぁそもそも、これほどの美少女が九人もいるんですから。俺だったら、絶対こっちの店に来ますよ」

 

 「「「「「「「「「っ・・・」」」」」」」」」

 

 何故か顔を赤くする九人なのだった。




どうも〜、ムッティです。

前書きでも述べましたが、大阪・京都へ旅行に行ってきました!

大阪ではたこ焼きをメチャクチャ食べ、USJでアトラクションに乗りまくり・・・

京都では観光名所を巡りつつ、紅葉を見てました。

特に良いなぁと思ったのは、京都の宇治ですね。

旅行の最終日にふらっと立ち寄ったんですが、のどかで本当に良い所でした。

『響け!ユーフォニアム』の舞台にもなった場所ということで、作品の中にも出てきた『宇治橋』とかを見てちょっとテンション上がってました(笑)

今度はゆっくり宇治を楽しみたいなぁ・・・



さてさて、本編では遂に合宿が始まりましたね。

果たして天と鞠莉ちゃんの距離は縮まるのか・・・

次の話は明日投稿します。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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